北杜夫のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
記憶が正しければ、私が、初めて読書感想文で褒められた作品だと思う。
宿題やだーと思っていた少年が、勉強をするフリのために開いた本に入っちゃった!
海賊と一緒に海に飛び出す。
その名もクプクプ!
本の主人公として活躍することに。
作者のキタ・モリオを探し出して、元の世界に戻れるのか・・・
子どもの頃、この作者が作中に登場する、という設定がとても面白くて、
しかもけっこう自虐的な描き方、ユーモアあふれるセリフ回しなど、
とても好きだった作品だが、不思議と他の作品を読む機会がなかった。
どんなに高い文明を持っていても、裸にヤリで生活する、
土人たちのセリフが、大人となった今ぐっとくる。
姿を見て、バカにして話をしようとしない。
文化が進み過ぎると、目標を見失って、何のために生きるかわからなくなってしまう。
そんな現代の文明人たちに、土人たちが言う。
「手でカイをこぐのが好きなんだよ。機械にたよらず、自分の力で波を乗り越えて行くのが好きなんだよ」
北杜夫さん、さよなら、バイバイよ。合掌。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ近頃、ヴァーチャルとリアルの違いとか関わりとかを
ふと考えちゃうことがあって…たとえば、巷のSNSなどは、
どこまでがリアルでどこからがヴァーチャルなんだろなんてこと…
FBがリアルでMixiがヴァーチャルとは一概に言えないだろうし…
で、この本、そうした気持ちで読んでたからかもしれないけど、
そうしたヴァーチャルとリアルは密接にしらんぷりをし、
関係なさそうで、しっかりと絡んでいるのだと、感じたんです。
なにしろ、作品世界に作者が登場しちゃうんだもの…
作者の実存はリアルで、作品世界はヴァーチャルってこと?
ま、そんなことを思いながらも、しっかりと冒険譚
楽しめました…つまり、ヴァーチャルだろうがリアルだろうが
冒険はわくわくどきどきの世界なんです…そして未来を見てる!
ラストシーンは感涙ものですョ!
―海、海、海、どこまでもつづく広い海。
やさしくそしてあらあらしい海。
ぼくはおまえが好きだ。
ほんとうに好きだ。
ぼくはもっとおまえのなかへはいっていこう! -
Posted by ブクログ
先日亡くなった北杜夫さんの自伝的小説で、『幽霊~或る幼年と青春の物語~』の続編。ドイツの神経研究所に留学した日本人が主人公。作家としての自覚を深めていく主人公の心の軌跡を、北杜夫自身が尊敬するドイツの作家、トーマス・マンの足取りと重ねながら描いています。
チューリヒ郊外キュスナハトまで旅して、そこに眠るマンの墓に語りかける場面はやや感傷的であることは否めないものの、自身のペンネームをマンの『トニオ・クレーゲル』のトニオから取った作家の信仰告白としてもうけとれる、心を打つ場面です。
ご冥福をお祈りします。
追伸
2011年10月27日付『日本経済新聞』に掲載された加賀乙彦さんの追悼文も、心温まる印象的な内容でした。 -
Posted by ブクログ
北杜夫さんが亡くなった.「楡家の人びと」を読んで以来,また彼の本を読み始めていたので寂しい.
この本は旧制松本高校から東北大学時代の回想のエッセー.旧制高校での生活を描いた本の中でも最もすばらしいものに入るのではないか.バカバカしいこともたくさん出てくるが,それとともに親友の辻邦生さんや望月市恵先生との出会いも語られる.そして文学に目覚め,真剣に取り組む様子などまさに「青春記」にふさわしい.
現在,旧制松本高校の校舎は旧制高校の博物館みたいになっていて,北杜夫さんの高校時代の物理の迷答案や,昆虫学者になりたいのを父茂吉に反対されてすねて作ったような短歌の色紙などもおいてある.この夏に見たばかりで印象も強いうちにこの訃報にあった.ご冥福をお祈りします.
本の中でまたお会いしましょう.