北杜夫のレビュー一覧

  • 木精―或る青年期と追想の物語―

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    先日亡くなった北杜夫さんの自伝的小説で、『幽霊~或る幼年と青春の物語~』の続編。ドイツの神経研究所に留学した日本人が主人公。作家としての自覚を深めていく主人公の心の軌跡を、北杜夫自身が尊敬するドイツの作家、トーマス・マンの足取りと重ねながら描いています。
    チューリヒ郊外キュスナハトまで旅して、そこに眠るマンの墓に語りかける場面はやや感傷的であることは否めないものの、自身のペンネームをマンの『トニオ・クレーゲル』のトニオから取った作家の信仰告白としてもうけとれる、心を打つ場面です。
    ご冥福をお祈りします。
    追伸
    2011年10月27日付『日本経済新聞』に掲載された加賀乙彦さんの追悼文も、心温まる

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    2011年10月29日
  • さびしい王様

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    タイトルが提示していりとおり、どことなく寂しかったりします。でもクスクスっと笑えるところもあって・・・サイレント映画に近い感じかな、うん、チャップリンの笑いに似ているかも。ユーモラスで笑いを誘うんだけど、その中に絶対涙があるの。

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    2011年10月26日
  • 船乗りクプクプの冒険

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    私の中の北杜夫ベストワンです。

    子供の頃に読んで、それは面白かったと記憶しています。今、私がもし、この本の中に入って冒険してきてってって言われたら喜んでダイブしちゃいますね(笑)

    享年84才。惜しい方が亡くなりました。ご冥福をお祈りします。

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    2011年10月26日
  • どくとるマンボウ青春記

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    北杜夫さんが亡くなった.「楡家の人びと」を読んで以来,また彼の本を読み始めていたので寂しい.
    この本は旧制松本高校から東北大学時代の回想のエッセー.旧制高校での生活を描いた本の中でも最もすばらしいものに入るのではないか.バカバカしいこともたくさん出てくるが,それとともに親友の辻邦生さんや望月市恵先生との出会いも語られる.そして文学に目覚め,真剣に取り組む様子などまさに「青春記」にふさわしい.
    現在,旧制松本高校の校舎は旧制高校の博物館みたいになっていて,北杜夫さんの高校時代の物理の迷答案や,昆虫学者になりたいのを父茂吉に反対されてすねて作ったような短歌の色紙などもおいてある.この夏に見たばかり

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    2011年10月26日
  • マンボウ 最後の大バクチ

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    躁病万歳!
    マンボウ氏の軽快なエッセイを読めたことが嬉しい。
    遺言状,恐妻記は何となく支離滅裂だった記憶があるが,この作品はテンポ良く,伝わりやすい書き方がされている。天の邪鬼,躁病,ギャンブル,性の目覚め等々エピソードを面白く読めた。
    旧知の人物に対する追想も楽しめた。

    今は氏の健康状態はどうなのだろう。この作品は1999年のエピソードなので,今はもしかしたら躁の時代なのでは!と期待してしまう。

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    2011年09月28日
  • マンボウ 最後の大バクチ

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    北杜夫のエッセイ、懐かしくて、ついつい買ってしまった。
    80歳過ぎて、なお健在というところだ。
    独特のユーモアがあって、心が和まされる。
    何カ月か前にテレビの週刊ブックレビューに出ているのを見て、随分年をとったなあという印象だったが、文章になっているのを見ると、まだまだだなあと感じた。
    100歳までも長生きして、エッセイでも短編でもいいので残してほしい。

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    2011年09月13日
  • 船乗りクプクプの冒険

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    小学校4年生くらいまで、ほとんど本を読まなかった自分が、母にすすめられたこの本をきっかけに読書の道へ。そういう意味で記念すべき1冊。

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    2011年09月01日
  • 幽霊―或る幼年と青春の物語―

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    北杜夫さんも全集を、しかもうっかり愛蔵版を買ってしまったくらい好きです。

    なにか一冊ならどれを選ぶでしょう。

    「航海記」?
    「楡家」?
    「少年」?

    いろいろ考えた結果、これだろうと。
    身につまされるというかボクにとって追体験しやすい内容だったから。

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    2011年03月02日
  • 船乗りクプクプの冒険

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    2010/09/30

    この本はずっと前に読んだことがある。小学生の頃だったろうか。

    登場人物はみな愛らしいけど、作中にキタ・モリオ氏が出てきて編集者から逃げ惑うユーモアなど、大人が読んでも楽しめる作品だと思う。

    また、作家の北杜夫が、斎藤茂太の弟なのを知って少し驚いた。

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    2010年10月01日
  • 船乗りクプクプの冒険

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    おれを本好きにしたのは北杜夫さんだと思います。大人の童話ってゆうか、そんな感じで。ある少年がいつの間にか本の世界に入っちゃって大活躍って感じなんですけどなかなかにおもろいっす。

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    2009年10月07日
  • マンボウ 恐妻記

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    ヒザ小僧がかわいいと思ってつきあいだした可憐な少女も、今ではかなりの猛女となった・・・

    精神科医をやめ、作家になった北先生を影から支えた奥様のお話。

    『どくとるマンボウ航海記』が大ベストセラーになり、売れっ子作家となった北先生だが、41歳にして突如躁鬱病を発病し、株で大損、借金まみれ

    奥様の支えがなければ今の北先生はなかったと思う。

    読んだことがある話が多かったけど、
    北先生のハチャメチャな文章はいつ読んでも面白いw

    ただ、作家の妻だけにはなりたくないなと思いました

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    2009年10月04日
  • さびしい王様

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    最初に読んだ時は、こんなふざけた本があるのかと思った。
    しかし、これを書くのはやさしそうでそうは簡単でないとあとで思いました。

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    2009年10月04日
  • 船乗りクプクプの冒険

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     遅筆の三文作家「キタ・モリオ」の中途半端な小説を世界で唯一買ってしまった主人公タローはこの小説の世界に「クプクプ」として迷い込む。物語から抜け出すために逃げ出したキタ・モリオを追う冒険小説である。北杜夫氏自身が船医だったこともあって、航海の様子は巧み描かれている。時にパロディ的な皮肉あり、時に少年少女への教えがありと飽きさせない小説である。小学校高学年くらいから読める小説だが、内容が幼いわけではない。

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    2009年10月04日
  • 幽霊―或る幼年と青春の物語―

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    初めて読んだのが中学生の頃だったから、私も大概ませた頭でっかちのガキだったんだろう。
    「死」と「人生」と「生きる」ということを繊細に、しかも美しく書いた本書の内容を当時どれだけ理解していたか怪しいものだが、それから何回読み返しても変わらず切なく、哀愁を帯び、そうして愛しい話だ。
    安易に論評を加えるのは控えるが、「これ、読んでみろ」と差し出したい本の一冊である。
    著者の(ほぼ)処女作といっていい時代に書かれたものだというのに、こんなにクオリティが高いのも驚きの種。

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    2009年10月04日
  • さびしい王様

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    なんていっても「まえがき」が最高です。
    内容の方も、読みすすめて行き、残りの頁数が少なくってくると、さびしくなります。ずっと読んでいたい。

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    2009年10月04日
  • さびしい王様

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    こういう世界にどっぷり浸かっていたくなる時があります。オブラートを剥ぎ取って解かり易く純粋に・・・。理屈抜きってのかなぁ。童話だなぁ。

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    2009年10月04日
  • 夜と霧の隅で

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    すごい考えてしまう内容。
    ケルセンブロックの考える正義、彼をここまで極端な行動に走らせてしまうという背景も、仕方ないのか、どうすればいいのか、と読後考えてしまった。
    この時代だからそうせざるを得なかったのか、、、読後はちょっと疲れてしまった。
    人間追い詰められたら、思考がどんどん偏ってしまって、普通の時には考えられないような行動に出たりする、戦争中の話だが、自分がそうならないように戒めたい。

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    2025年11月27日
  • 楡家の人びと 第一部

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    ネタバレ

    一代で大病院を築いた楡家の栄枯盛衰。
    のほほんと始まり気楽なユーモア小説的なものかなと思いきや、突如として数々の災厄が楡家に襲いかかる。
    楡家の人員は、お互いに憎み合っているという程ではないものの、自分のために他人を利用するか、あるいは疎ましく思っているかで、心の交流というものがほとんどない。そのため共感できる登場人物がなかなかいない。強いて言えば院長基一郎の長女龍子の夫徹吉ぐらいだろうか。楡家のごたごたに巻き込まれた被害者的な立ち位置である。
    全体的にかなり引きの目線で描いていて、途中からはテンポが速く、あらすじを読んでいるだけのような気分だった。展開としては面白い。

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    2025年10月19日
  • 夜と霧の隅で

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    北杜夫の芥川賞作品。「夜と霧」同様に、いつか読もうと思っていた作品。
    ナチスドイツの治る見込みのない患者は絶滅させるという方針に、絶望的な、いちかばちか的な荒療治で患者を救おうとする精神科医。そこに、患者として入院している日本人精神科医の存在をからめ、むなしくも残酷な抵抗を冷徹に描く。重く、苦しい作品だった。

    高校生の頃に「ドクトルマンボウ航海記」と「…青春記」を読んだ。こんなにも冷徹な、かつ深刻な作品を書く作家とは思えなかった。
    他の「岩尾根にて」なども、良かった。

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    2025年09月23日
  • どくとるマンボウ航海記

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    ユーモラスな医者の航海記
    古典エッセイの名作
    港に折り異国の人と酒を酌み交わす様子は今読んでも大変楽しく読めました
    船同士の横付けで物資交換とか今現在もある文化なんでしょうか?
    なんていうか、バトルのないワンピースのような雰囲気にほがらかに読めました

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    2025年09月10日