北杜夫のレビュー一覧

  • 楡家の人びと 第三部

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    戦時中の楡家の人びとの話。

    何だか皆んな、可哀想。
    あの熊五郎ですら可哀想。

    それであって龍子だけはずっと、太々しい。

    この先ももっと読みたかったな。

    この小説みたいな小説があったら教えてほしいです。

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    2025年09月02日
  • 楡家の人びと 第二部

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    桃子と徹吉が可哀想だったな。
    私は女だけど、龍子より徹吉贔屓だ。

    途中で院代が50周年記念のために気合い入れているところで
    やっぱり基一郎は凄かったんだなと改めて感じた。

    この巻は終わりの方に近づくほどに
    戦争が近づいてくるのが分かって、いよいよかとドキドキした。

    さて次はいよいよ戦中だ。どうなるのだろう、楡家。

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    2025年08月25日
  • 楡家の人びと 第一部

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    面白かったぁ。
    最初は『がんばれタブチくん』のような四コマ漫画映画のような雰囲気がだったが、第三章辺りから楡家の人たちのことが
    それぞれ描かれるようになっていって、どんどん面白くなっていった。

    徹吉の留学辺りから、怒涛の展開でこの小説まだ2冊残ってるんだよね?と心配になるほど色々あった。

    第二部以降もとても楽しみだ。

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    2025年08月18日
  • どくとるマンボウ青春記

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    森見登美彦氏の「夜は短し歩けよ乙女」や吉田修一氏の「横道世之介」のような痛快系の本。ではあるが、心に残る言葉が出てくる。
    ・喜劇と悲劇、滑稽と悲惨が極めて接近しているか、或いは表裏だということである。
    ・まず生活の基礎を築いたのち、ゆっくりとその名著とやらを書いてください
    ・本というものは、一見役立たずのように見えようとも、その中に自分と無関係でないと思われる一行があれば本棚に並べておく価値があるものだ。
    ・かつて高校時代に自分がけっこう人に好かれたことすらいけないことのように思いこみ、心の中ではらたらと全人類から嫌われ者の大悪人になりたがり、そうでなければ創造というものはできっこないと、一人

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    2025年07月14日
  • どくとるマンボウ航海記

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    くだらなくて最高
    時に船に酔わぬと胸を張り、時に女の子に見つめられ倒れそうになり、時に街で捕まりたくない女性に捕まり悪夢を見せられたり、、
    皮肉もたっぷりあったりと、笑っちゃう
    この人の手にかかれば全て面白おかしくなってしまうのではないか
    こんな風に生きたい考えたい
    ばからしくてキラキラしてて愛すべき一冊

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    2025年06月13日
  • どくとるマンボウ医局記 新版

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    『青春記』(1968)と『航海記』(1960)の間を埋める。でも、1993年(66歳)の出版だから、著者の躁鬱も相当進んでいる。
    26歳で大学卒業、医師免許をとって、大学病院に医局員として勤務。なんのためかと言えば、勤めながら博士論文を書きあげ、ドクターをもったドクターになるため。でも無給。一種の徒弟奉公。東京の病院勤務だけかと思ったら、山梨の病院にも1年間の出向。
    時代は1950年代後半。精神医学ではやっと薬物治療が登場しつつあった頃。電気ショックやインシュリンショックも行なわれていた。それに精神分析もまだ幅をきかせていた。医師として北杜夫がそうした状況をどう見ていたか、それも興味深い。

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    2025年05月08日
  • どくとるマンボウ航海記 増補新版

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    1960年、33歳、「夜と霧の隅で」で芥川賞を受賞する直前の出版。この『航海記』で大ブレーク。文章に勢いがあるし、ユーモアにキレもある。その年のベストセラー第3位になったのもうなずける。躁鬱の気配がさほどないのもいい。
    1958年の11月から半年間、水産庁の調査船に船医として乗り込み、インド洋からヨーロッパを回る。船上の人間観察がおもしろい。荒れた時の海の描写はさすが。
    悪知恵をつける友人たち、AとHとMが何度か出てくる。Aは心理学者の相場均、Hは精神科の医師の堀内秀(なだいなだ)、ということまではわかるが、さて、ニューヨーク帰りの医師Mはだれ? 
    立ち寄ったパリでは、親友Tのアパートに投宿。

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    2025年05月08日
  • どくとるマンボウ医局記 新版

    匿名

    購入済み

    北杜夫氏の精神科医としての含蓄の深さと、患者さんへの深い理解に驚きました。
    他のマンボウシリーズでのイメージとは一風異なる、医師としての北先生の姿が垣間見られます。

    #憧れる #切ない #深い

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    2024年06月12日
  • 夜と霧の隅で

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    不治の精神病患者を安死させる決定をしたナチス。それに抵抗する医師ケルセンブロックは患者たちを安死させない為に無理な治療を施し、かえって悲劇的な結果を産むことに…。戦争の悲惨さよりも、戦争を題材に、極限状態に置かれた人間の苦悩が描かれている。

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    2024年05月31日
  • どくとるマンボウ航海記 増補新版

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    懐かしい本が再刊されていたので久しぶりに読んでみました。
    少年時代にイキがって手に取り、そのま夢中になって読み進め、ボロボロになるまで愛読した一冊です。
    今で言う厨二病全開だった当時が恥ずかしくも思い出されますが、なぜか本作の内容はまったく覚えておらず、かつて何度も繰り返し読んだにもかかわらず初読であるかのように楽しく読めてしまい、うれしいやら情けないやら。
    まあ得したと思っておこうかと自身を納得させています。

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    2024年03月15日
  • 楡家の人びと 第三部

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    ネタバレ

    すべては戦争により、灰燼と帰してしまうのです。
    戦争の業火で。

    楡家も例にもれず、戦争へと召集されていき
    時に帰ってこない人もいます。
    一人その安否がわからない人がいますが
    恐らくな…

    私は経験上あの女性は嫌いです。
    プライドばかり高い人はね。

    まあこういう人はきっとしぶとく残るんでしょうよ。
    実際に実話では…

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    2023年09月11日
  • どくとるマンボウ医局記 新版

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    昔読んだことがあると思ったのだが、内容を全く覚えていなかった。それだけに新鮮に読むことができた訳であるが。
    どくとるマンボウシリーズなので、いつものユーモアあふれるエッセイを想像したのだが、本作はちょっと雰囲気が異なる。
    いや、最初の方はそんな趣で、医局にはこんなにも変人が多いのかと驚いたところである。
    しかし、山梨県の精神病院に赴任した後の話になると、俄然内容に重みを増してきた。精神病者の症状にも驚くが、彼ら彼女らに対して医師や看護師も真摯に対応するのだが、一筋縄ではいかない。なかなか大変な仕事である。
    現在の大部分の精神病院の状況は違っていると思いたいのだがどうなのだろう。それにしても、な

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    2023年08月20日
  • 幽霊―或る幼年と青春の物語―

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    私の青春時代という時に何度も読み返した作品。
    久しぶりに読みたくなったので購入して読んでみた。
    今読むとどう感じるのだろうかと少し危惧するような気持ちもあったが、とても面白く読むことができた。
    文章が美しく叙情性あふれていて、ストーリーのようなものはほとんど無いのだが文章を読むこと自体を楽しんで読んでいける。
    青春期の心の揺らぎや感性の鋭敏さが描かれていて、青春時代の私がこのあたりに共感して読んでいたことが思い出された。

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    2023年07月28日
  • 楡家の人びと 第三部

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    戦争に翻弄される楡家の人々の個人史とも言うべきものだ。自分にはこの第3部が最もリアリティのある優れた文章に思える。各人戦争に呑み込まれ、いずれも悲惨な状況を迎えるが、きっと楡家は復活するのだろうと思えた。

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    2023年03月04日
  • 楡家の人びと 第一部

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    一代で脳病院を築いた楡基一郎とその一族の記録だ。大正、昭和の時代と共に紡がれる楡家の物語。個性豊かな面々のその生き様が活写されている。

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    2023年02月16日
  • 幽霊―或る幼年と青春の物語―

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    ネタバレ

    自伝的小説。幼少期をありのまま、皮膚感覚が蘇るくらいねっとり描く。姉、母、父、その喪失。忘却に沈んだ記憶をたぐる。ばあや、叔父、従兄。自分と境遇は違うけれど、なぜか懐かしさを感じる。その具体性が魅力。遊び、会話、植物、昆虫、心情の変化。おかゆに残る梅干しの赤。そこに読むものを引っ張っていく力がある。序盤が特に良い。家族を失い、病気を患い、ばあやとも死別。戦争。糸が切れた凧のように山を歩き、自然の中で自分と向き合う。心理学的に研究できそうな深みがある。後半は思春期に入り、少女への渇望と羞恥心の狭間で揺れる。

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    2022年12月03日
  • 静謐 北杜夫自選短篇集

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    学生時代に北杜夫の長編小説は何冊か読んでいます、マンボウ物も愛読していました。それから何十年経ちましたが短編小説はこの文庫本で初めて読みました。人を冷静に観察し、ユーモアをもって冷酷に表現する。すばらしい小説ばかりで、手元においてなんども読み返したくなる本です。

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    2022年06月19日
  • どくとるマンボウ航海記

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    最初にこの本に、そして北杜夫さんの作品に出会ったのは中学生。
    ホラとマコトが入り混じったような、船の上でのあれやこれやを読み知って楽しくページをめくった。
    将来の進路を考える時に船乗りになろうと決意し、商船大学に入ったのもこの作品のおかげであり、ひがんだ言い方をするとこの作品のせいでもある。
    あれから50年以上経ってもう一度読み返そうとしているのですが、その間の人生経験はこの作品をどう味あわせてくれるだろうか。

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    2022年04月23日
  • どくとるマンボウ航海記

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    誕生日プレゼントに「私が手に取らなさそうな本」をリクエストした私に、友人が贈ってくれた本です。率直に面白かった…!それに表紙や冒頭の印象では、確かに私が選んで読むことは無かったような気がします。本をおすすめしてもらうの、すごく良いですね。
    内容は愉快なお医者さんが独特の視点で書いた旅の記録です。諸外国を巡る船の旅というと、目眩く冒険や人生を変えるような出会いや旅を終えて生まれ変わった自分を期待したくなるけれど、そんなフィクションはこの本には登場しません。
    旅の船内や旅先での出会いは、あくまで素朴なものであるにも関わらず、斜に構えた態度をとったり訝しんだり全く関係ないことを空想したりする著者の振

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    2022年01月08日
  • 夜と霧の隅で

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    恐ろしいほど狂気に満ちた作品だった。
    ナチスドイツがさいしょに虐殺したのはポーランド人でもユダヤ人でもなく、同胞ドイツの精神病患者たちだった、という事実。それを当たり前だと賛同していた精神科医師たちが多くいたと言う事実。
    狂気の沙汰にあふれた時代を舞台に、患者を救うため一か八かの博打に打って出た医師ケルセンブロック。しかしそれすら、使命感によって自己正当化された狂気の一端である。
    精神科医でもある作者のリアリティ溢れる表現と、鮮明な描写、鬼気迫る行動で、気持ち悪い汗が止まらない。
    蒸し暑さが増す部屋で読むべき作品ではなかったな。
    正気と狂気の境目はいったいどこなのか?考えさせられる。

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    2021年07月14日