北杜夫のレビュー一覧

  • どくとるマンボウ昆虫記

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    虫の話のようであり、虫を通して人を語るようでもあり、何とも胡乱で面白い。但し、昭和36年刊行とのこと、現代の虫取り少年にお勧めするには時代色が強すぎる…何せ沖縄返還前の話なので。既に本作の中でも生態系の変化について触れられているが、更に温暖化の進んだ現今では、恐らくそれ以上に変化が進んでいるだろう。また、譬え話の類が、これも時代性なのだろうが、如何にも偏見が目立つ。その辺りを含んで楽しめる世代は、限られるかもしれない。

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    2023年10月12日
  • どくとるマンボウ航海記

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    「読書会」 課題図書
    半世紀ぶりに再読
    初めて読んだ若い頃、すっかり北杜夫のファンになって
    たくさんの著書を読んだ

    あの目新しかったユーモア、珍しかった海外の様子
    それも懐かしかったが、海の描写が美しいのに感嘆
    やはりすごい作家だなあ

    でもやはりというか「昭和の男性」
    女性感は鼻についた

    自分が選ばない本を読む楽しみ
    「読書会」これからも参加したい

    ≪ 青春の 奔放な旅 もう一度 ≫

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    2023年10月12日
  • どくとるマンボウ航海記 増補新版

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    自分が学生だった一昔前には「どくとるマンボウ」シリーズはかなり人気があった記憶があるが、その頃は”ユーモアもの”と聞いただけで手を出さない偏った読み手だったので、中公文庫で新版が出た今回、初めて読むことができた。
     
     1958年の11月から翌年の4月にかけて、水産庁の調査船に船医として乗り込んだ著者。当時は留学等でなければまだ海外に行くことが難しい時代だった。行程と著者が立ち寄ったところは、おおむね次のとおり。シンガポール(館山を出て12日目)ーマラッカ海峡からインド洋ー紅海ースエズー地中海ーヴェルデ岬諸島からカナリア諸島(ここが目的のマグロ漁)-リスボンーハンブルクーロッテルダムーアントワープー(ル・アーブル)パリージェノヴァ(ミラノ)ーアレキサンドリアーコロンボーそして帰国。
     パリやミラノで友人と会ったりはしたが、大体は航海中の船でのあれこれ、そして入港地での多少の公式日程、飲み屋での酒や遊び。

     60年以上前の本で、多少時代が違う違和感はあるものの、全体に伸びやかな文章、闊達さが伺われて気持ちよく読むことができた。

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    2023年07月26日
  • 楡家の人びと 第三部

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    国家も家族も共同体の体裁を優先して個人の尊厳を踏みにじる。国家は反逆という手段を選択できても血縁という事実は逆らえない。そこに懐柔するかのごとく戦争へと闊歩した政府の罪は戦犯を罰するだけで解決したのだろうか。世間の空気を読むことを有益だと判断する家族に恐怖する。コロナ5類になったから安心だという根拠なき日常に訝しむ。なぜなら虐げられるのは常に弱者だから。そこにも皆と同等の命がある。それは誰も否定できない、看過してはならない。

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    2023年05月09日
  • 楡家の人びと 第二部

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    あれほど心を病むような慣わしに翻弄された人びとは、災害や病、そして戦争によって周囲のつながりが狂い出す。それは精神をむしばんでいくような毒ではなく、日常の生活や風景に溶け込んでいて知らぬ間に身体へと染み込んでいく。この緩やかな悲劇が怖くなる。

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    2023年04月29日
  • どくとるマンボウ青春記

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    40の歳を迎えた作者による、学生時代の青春の回顧。
    当時の鬱屈した世相と、その中で踠きながら駆け抜けていく姿に胸が少し詰まった。
    入れられたユーモアは航海記よりも自然で、円熟を感じる。
    暗さと明るさのバランスが性に合っていて楽しめた。

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    2023年01月29日
  • P+D BOOKS 少年・牧神の午後

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    『少年』北杜夫
    東京生まれの少年が松本高校で仲間と出合い自然の中で思索し青年へ至る過程が抒情的に綴られています。
    槍の肩で月光に照らさて黒藍色の空を区切る大槍の姿とその周りに陣をはる星座に放心、人間の儚さと哀れさを認識し、そこから生まれる可憐な意思を自覚し覚醒していきます。

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    2022年11月26日
  • 船乗りクプクプの冒険

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    導入から面白い!小学生の夏休みにぴったりな一冊。大人でも楽しめるけど、想像力豊かな子供の頃に出逢いたかったなあ。

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    2022年10月25日
  • 夜と霧の隅で

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    表紙が串田孫一の版で読んだ。最初に収録されている「岩尾根にて」が一番好きだった。自分と相手(と滑落死体)の区別がつかなくなる場面は映像で見たい。
    「夜と霧の隅で」では、精神病患者を助けようとするあまり、体制側と同じ思想(=人間は役に立たないと生きていてはいけない、何とか彼らを役に立つ人間にしなければ)に陥ってしまう医師の姿があわれだった。対照的に、半身不随でほとんど自分では何もできなくなった元院長は、患者たちから絶大な尊敬を集めていた。

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    2022年10月24日
  • どくとるマンボウ航海記

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    『火宅の人』を彷彿とさせるユーモア溢れる饒舌体の航海記。
    所々個人的には滑っていると感じてしまうのと、著者得意の抒情が欲しいところだった。
    締めくくり方は素晴らしかった。

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    2022年10月08日
  • 夜と霧の隅で

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    日本語を活字で見ることが好きだ。

    だから基本的には読み始めたものはどんなものでも倍速読みでもとりあえず読み終えようとする。
    だが、今回は、短編にも関わらず、何度も本を置こうとしたくて堪らなくなった。

    一言で言うと不快。
    ナチスによる精神患者の安楽死、その大まかすぎる粗筋のみに依拠して手に取ったことを後悔した。そんな短絡化できない気持ち悪さ。
    物語のプロットをここに書いてもこの作品の気味の悪さ、不愉快さはとてもではないが表しきれない。黒板に爪を立てたような、顔を背けたくなるような軋んだ音に満ちた正常を装った異常さ。

    ナチスの命令に抵抗する医師たちのもがき苦しみ?そんなつまらない文で要約なんてできない。読み手の反発と嫌悪を引き摺り出す歪んだ文章。
    他の作品を読むと同一の作者とは思えない。こんなにも全ての登場人物に共感できない作品は久しぶりだ。

    文章をなぞるだけでは分からない。考えに考えを重ねて、立ち止まってひとつひとつ見つめ直さないとわからない。同時に分かろうとすることで染み込んでくる気持ちの悪い正体を振り払いたくなる衝動に駆られる。分かったと思っても分からない。そんな作品がみちっと詰められた狂気。

    この作品だけでは判断がつかない凄まじい筆力だ。

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    2022年09月19日
  • 楡家の人びと 第二部

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    登場人物が多いけれど、それぞれ特徴がしっかり際立っているので混乱せずに読める。昭和、開戦へ。一つ一つは日常の細かいエピソードだけど、少しずつ時代は移ろっていく。

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    2022年09月11日
  • 楡家の人びと 第一部

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    登場人物の紹介が延々と続いてなかなか物語が始まらないなーと思っていたら、どうやら様々な登場人物のエピソードを淡々と語っていく中で少しずつ物語は進んでいき、そこに面白さを見いだすタイプの小説なのだなーと気がついた。大正から昭和へ。精神病院の患者さんたちと桃子のエピソードがいきいきとしていて楽しい。

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    2022年09月09日
  • どくとるマンボウ航海記

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    ここ2ヶ月ほど北杜夫に興味を持っていて、3作目に読んだ。
    持って回ったような諧謔的な表現は内田百閒の随筆などを連想させる。旅行記としても十分おもしろい。ただ、どちらかと言うと「どくとるマンボウ青春記」の方が面白かった。

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    2022年09月19日
  • どくとるマンボウ青春記

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    しばらく前に 「どくとるマンボウ航海記」 を50
    年振りくらいに再読して、 懐かしさと、 より大
    きな面白さがあったので、 高校時代の思い出を
    たぐりたくて本書を再読した。

    ああ、なんと私の記憶と異なる作品なのだ。
    記憶では松本高校時代の寮生活がほぼ全編に面
    白おかしく描かれていた。
    ところが松高寮生活の様子は楽しく描かれてい
    るものの、主流は「青春記」に相応しい青年の
    悩みと迷いの告白の書だった。

    「一見自堕落な寮生活をつづけてはいたが、 私
    たちの心の底には、青年の悩み、 孤独、 疑惑な
    どが常につきまとっていた。」

    という一文はほとんどの若者の胸に一度は去来
    する思いではないだろうか。

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    2022年05月22日
  • 楡家の人びと(第一部~第三部) 合本版

    購入済み

    苦しかった

    本作は日露戦争から太平洋戦争直後までの波乱に満ちた世相を逞しく生きる家族の姿を描いたもの。
    個性的な楡家のユーモアと共に反骨精神も持ち合わせている生活を描いた中盤までは楽しかったけど、大正から太平洋戦争直後までの時代を描いた後半はその個性的な人たちが苦しむさまは、読み進めるのが苦しかったです。やっぱり市井の人々を描く戦争ものは僕は読めない。

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    2022年02月05日
  • 夜と霧の隅で

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    北杜夫にとって精神科医である以上書かなくてはならないテーマだったと言っているが、今にしてみれば内容は薄いと感じた。
    ひとつ思うことは、戦争という背景があり精神科医の苦悩があってこそ現在のノーマライゼーションの考え方で人格が尊重されているんだなと考えさせられる作品だと思う。

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    2022年01月08日
  • マンボウ最後の家族旅行

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    北杜夫さんの晩年の家族との旅行記。ユーモアのある文章は健在であったが、全盛時のリズムはさすがになかった。

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    2021年05月16日
  • ヤマケイ文庫 どくとるマンボウ青春の山

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    北杜夫さんがあちこちに書いたものをワンテーマでまとめたものなので、話が重なるものも多い。そのぶん、ひとつのネタをどのように広げて書くか、テクニックが見えて興味深い。

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    2021年04月04日
  • みつばちぴい

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    なまけものの、みつばちぴぃが、仕事をサボって遊びに行ってしまい危ない目に遭うが、巣の仲間たちは心配して待っていてくれたという心温まる話。ぴぃたち、みつばちの絵が無表情なのが残念です。

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    2020年11月27日