あらすじ
水産庁の漁業調査船に船医として乗りこみ、5カ月間、世界を回遊した作者の興味あふれる航海記。航海生活、寄港したアジア、アフリカ、ヨーロッパ各地の生活と風景、成功談と失敗談などを、独特の軽妙なユーモアと卓抜な文明批評を織りこんで描く型破りの旅行記である。のびやかなスタイルと奔放な精神とで、笑いさざめく航跡のなかに、青春の純潔を浮彫りにしたさわやかな作品。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
くだらなくて最高
時に船に酔わぬと胸を張り、時に女の子に見つめられ倒れそうになり、時に街で捕まりたくない女性に捕まり悪夢を見せられたり、、
皮肉もたっぷりあったりと、笑っちゃう
この人の手にかかれば全て面白おかしくなってしまうのではないか
こんな風に生きたい考えたい
ばからしくてキラキラしてて愛すべき一冊
Posted by ブクログ
最初にこの本に、そして北杜夫さんの作品に出会ったのは中学生。
ホラとマコトが入り混じったような、船の上でのあれやこれやを読み知って楽しくページをめくった。
将来の進路を考える時に船乗りになろうと決意し、商船大学に入ったのもこの作品のおかげであり、ひがんだ言い方をするとこの作品のせいでもある。
あれから50年以上経ってもう一度読み返そうとしているのですが、その間の人生経験はこの作品をどう味あわせてくれるだろうか。
Posted by ブクログ
北杜夫が若い頃乗り込んだ船の船医をしながら見た世界一周旅行の旅日記。
なんか、面白い。くすっと笑ってしまう。
でも風景の描写は真面目。
なんだかんだ言っても、とても素敵な場所なんだということが伝わる。
昔は飛行機が発達していないせいなのか、船の旅がすごく新鮮に思えた。
Posted by ブクログ
小学生の頃、マンボウのことが書いてある、と早とちりして買った本。
(確かにマンボウのことも書いてあった)
小学生に北杜夫のエッセイの面白さがわかるか!と怒られそうですが、
冒頭部分や、サメにコーヒーのあたりは普通に面白かった。
とはいえ、基本おとな向けですな。。。
ちょっとひねくれてるところも含めて面白い。北氏はエッセイだと生き生きする。何度も読んだので、同じ本を2冊買いました(笑)
Posted by ブクログ
中学時代に北杜夫氏の本と出会い、高校時代に筒井康隆氏の本と出会ってしまった。
荒唐無稽でナンセンスなお二人の本に青春の苦悩がバカバカしく思えるゆとりをいただいた。お二人には感謝しかない。
久しぶりの航海記。
精神科医の北杜夫氏が漁業調査船に船医として乗り込んで、5ヶ月の回遊する。不純な?動機で。
読んでみると、いまでは考えられないほどぶっ飛んでいる。今書いたら、大炎上のことだらけ。このユーモアが許された時代にはその時代なりのよさがあった。
「アフリカ沖にマグロを追う」では、うんざりするほでトロを食べ、
「ドイツでは神妙に」トーマス・マンを味わいにいく。
あとがきにあった。
「私はこの本の中で、大切なこと、カンジンなことはすべて省略し、くだらぬこと、取るにたらぬこと、書いても書かなくても変わりがないが書かない方がいくらかマシなことだけを書くことにした。」
突き抜けている解放感にすっきり気分。
Posted by ブクログ
今は亡き祖父の実家の書斎にこれが置いてあって幼心に「大人になったらこういう難しい本を読むんだな」と思ってから数十年経ち…ついに読みました。難しい本じゃなかったね。
昔の航海とか船乗りってこういう感じだったんだろうな。という海のロマンもとい皮肉なぼやきと、酒とタバコと女、外国の情緒と若さ、ユーモアある書き方でとても楽しく読めました。
Posted by ブクログ
北杜夫先生の旅行記です
何十年かぶりの再読
私には「先生」とういう呼称を付ける作家さんが二人いて、それは北杜夫先生と星新一先生なのだが、あらためて考えてみると、この「先生」には教師とか師匠という意味が無意識に込められていたのだと思われる
孔子先生とかと同じ使い方だ
ようするに人生の師ということだ
では北杜夫先生は何を教えてくれたのか?
それは「自由」とは何か?ということだったと思う
北杜夫先生の旅行記はどこまで本当か嘘かよく分からないところがある
童話もそうだ
いや童話は基本嘘の物語なのだが
本当の先に嘘があって
嘘の先に本当がある
そんな本当とも嘘とも分からない物語で気付くのは、想像力の翼を拡げることで人はどこまでも行けるということ
ちっぽけな自尊心やクソみたいな偏見から自由になることで、肌の色や信じる神様が違うこと、お金を持っているとか持っていないとかが大した違いじゃないってことに気付くこと
自由であるってことは相手の自由を尊重すること
自由であることで隣人を愛せるようになること
可能性はいつだって無限大であること
Posted by ブクログ
著者が船医として世界中を航海した様子をユーモラスに書いたエッセイ。
戦後の日本人の気質や時代背景が分かって面白い。今となっては差別になっている用語や表現もあり、本の中に当時の風がそのまま吹いている感じ。
思った以上に口が悪くて笑えた。
Posted by ブクログ
タイトルは知っていたけど読んでなかった本。
知らないところに旅したい気持ちはいつもあるけど、実行に移すまではなかなか。
そんな私にとって、読みながらあちこち旅してる気持ちになれ、スキマ時間や疲れているときに少しずつ読んで楽しめました。
Posted by ブクログ
なんだか次元を超えた話で面白かった。携帯もない、ただとにかく海の中を進むのを待つってどんな感じなんだろう(笑)全くもってわからない。そしてこの筆者もまたかなりの変わり者っぽくてまた読みたいな。
Posted by ブクログ
軽快なタッチで描かれる、世界各地の港に降り立つ著者の旅。
サトリを開く下りは、現代人でも思わず笑ってしまう。
著者の降り立つ国や河川はどの辺りなのか、グーグルマップで調べながら読みすすめてみたが、思わず地理の勉強にもなった。
全く真面目さを感じさせない著者が、船の中では医者として働く、そのミスマッチまでもが面白くなってきた。
著者のような筆致で物書きをしてみたいものだ。羨ましい。
Posted by ブクログ
水産漁業調査船の船医として日本からヨーロッパにかけて航行したときの体験をエッセイにした作品。
高校生に読んで以来、17年ぶりに思い立って読破してみた。どんな内容か全く覚えていなかったので実質初めて読む感覚だったが、自虐的な読み口、どこまで本当でどこまで嘘かわからない内容がすごく新鮮でおもしろかった。17年間の間に私が訪問した場所も増えたことで内容がより入るようになったことも、おもしろさを感じた要因ではないか。1960年頃はまだ海外渡航が珍しい時代だったと思うが、そのなかで海外に対して好奇心を持ちつつ、謙虚な姿勢で過ごされてこられたことに驚く。海外に渡航するにあたり大切な姿勢は、今も昔も不変だと痛感した次第。
文庫本で200ページ超、休日に気軽に読書するのにうってつけの一冊。
Posted by ブクログ
北杜生さんの訃報に接し、少し前に買っていたのを読みだした。
この「どくとるマンボウ」シリーズは、親の書棚にあったのを小学生の頃に読んでいた。当時、教室の後ろの掲示板に読書記録を貼りだしており、そこに何冊か感想を書いて貼ったのを覚えている。まったく小学生らしくない。この航海記を読んだかどうか記憶は定かでないが、少々アダルトと言えなくもない内容も含まれていることから察するに、もしかしてこれは読んでいなかったのではないかと思う(青春記や昆虫記は読んだはず)。こうした韜晦に満ちた書き振りのエッセイが小学生の人格形成に影響を与えたか否かは不明である。
Posted by ブクログ
うーん、ここまで名著だと感想書きづらいですね(苦笑)。
言わずと知れた、北杜夫の世界旅行記。とにもかくにも文章表現が独特で、どこそこに行きました、と記すだけの並の紀行文とは一線を画しています。後に写真を入れて再発売されたのですが、かえって文章の魅力を減殺してしまったと編集者は恥じ入ったとか(宮脇俊三「旅は自由席」より)。
初版の発売から既に半世紀近くが経過しており、文章のあちこちに顔を見せる昭和30年代のニッポンの空気が、どこか物珍しくも感じられる1冊です。海の上にいるのにそんな連想をするのも、ちょっと奇妙ではありますが(笑)。
Posted by ブクログ
すごく面白かった。1960年刊行とのことだが、現在でも色褪せておらず、そのユーモラスな筆致は面白く読める。
世界各国の港でのアレコレは旅情を掻き立てるし、海やなんかの風景描写は一人旅をしている気持ちになれる。博覧強記と解説にあったが、その知識に裏打ちされたユーモアは必見。とってもオススメである。
Posted by ブクログ
「どくとるマンボウ」シリーズ、第1作。
ひょんなきっかけと周囲の後押しにより、水産庁の漁業調査船に船医として乗り込んだ"どくとるマンボウ"こと「私」。その船上生活とそこから見える海の景色、次々と立ち寄る国々の様子や民族性を、彼視点で生き生きと表現された航海記。北杜夫さん自身の実体験をもとに書かれています。
大きな事件が起こるわけでもなく、「私」の見たまま感じたままの世界が素直に描かれています。従来の日本文学にないユーモアに富んだ文体でベストセラーとなった本作の初版は今から約50年前。当時の読者は本作を通して、活字の向こうの広い広い世界に想いを馳せたのかと思うと感慨深いものが。
薄い本ですが、その中身は広い世界への魅力で溢れていました。
Posted by ブクログ
「読書会」 課題図書
半世紀ぶりに再読
初めて読んだ若い頃、すっかり北杜夫のファンになって
たくさんの著書を読んだ
あの目新しかったユーモア、珍しかった海外の様子
それも懐かしかったが、海の描写が美しいのに感嘆
やはりすごい作家だなあ
でもやはりというか「昭和の男性」
女性感は鼻についた
自分が選ばない本を読む楽しみ
「読書会」これからも参加したい
≪ 青春の 奔放な旅 もう一度 ≫
Posted by ブクログ
『火宅の人』を彷彿とさせるユーモア溢れる饒舌体の航海記。
所々個人的には滑っていると感じてしまうのと、著者得意の抒情が欲しいところだった。
締めくくり方は素晴らしかった。
Posted by ブクログ
ここ2ヶ月ほど北杜夫に興味を持っていて、3作目に読んだ。
持って回ったような諧謔的な表現は内田百閒の随筆などを連想させる。旅行記としても十分おもしろい。ただ、どちらかと言うと「どくとるマンボウ青春記」の方が面白かった。
Posted by ブクログ
ジョーク8割の青春記。
あとがきにある
~私はこの本の中で、大切なこと、カンジンなことはすべて省略し、くだらぬこと、取るに足らぬこと、書いても書かなくても変わりないが書かない方がいくらかマシなことだけを書くことにした。~
の通りの本だった。良い意味で。
作者の宝物を詰めたような本。
古い本だから、聞き慣れない言い回しが多くて苦戦した。でも調べならが読むのも楽しかった。
~私が円周率を考究中のアルキメデスみたいな顔でうなずくと、~
この皮肉めいた一連の流れが特に面白かった。
この作者(北杜夫)のマンボウシリーズ、次は昆虫記あたりを読んでみたいと思った。
Posted by ブクログ
東京オリンピックの翌年が初版
半世紀以上前の作品です。
私が出会ったのは、大学生の時、新潮文庫の夏の100冊の中で見つけたのが始まりでした。
題名に惹かれ、手に取り読み始めると北ワールドに引き込まれる自分がいました。
1950年代、水産庁の海洋調査船に医師として乗り込んだ著者の日常や、船の中での出来事、外国での寄港地での出来事などを、いろいろな視点から綴っています。
ちょっとそこに自分がいるような想像できる1冊
Posted by ブクログ
あくまで肌に合う合わないの問題でしょうが、『深夜特急』とか『何でも見てやろう』ほどのめり込めなかったかな。
この作家の私的部分が見え過ぎることがその因のような気がする。『楡家の人びと』もまぁその極致ではあるんですが、どうもエッセイだけにそれが露骨かなぁという感じ、何と言うか醒めた視線が前2作ほど鋭くないと言いますか。
ちなみにドイツ料理にあまり感心しないことにはまったく不同意、まぁこれも個人的嗜好に過ぎないことではありますけれども。
Posted by ブクログ
現実逃避には紀行文がいちばん。できれば、凡人とは目線がズレていて、しかもコミカルなのがいい。『どくとるマンボウ航海記』は、まさしくそんな条件を満たす絶好の一冊。
「掘りだされて一年目のゴボウのごとく疲れ果てた…」(上陸がうれしくてついはしゃぎすぎたマンボウ先生)
「もっとも安くもっとも面白い場所を古ギツネのごとく捜しだす…」(古参乗組員について)
「海と空の中間の色彩で、ほそく一直線におどろくほど起伏なくつづいている」「それはいかにも涯がなく,窺いきれぬほど暗黒なものを蔵しているかのようだ…」(船上から目にしたアフリカ大陸の眺めについて)
こんな独特の表現とともに、いまはもう二度とこの目で見ることはできない60年近くも前の世界が生き生きと立ち上がってくるのだから、なんとすてきなことだろう。
Posted by ブクログ
耳に心地いい音楽のように、読んでいて心地いい文章で埋め尽くされた航海記でした。
先が気になってハマる、というよりは読んでいる時間がただただ楽しくて残りのページが少なくなっていくのが惜しい気持ちになります。
美しい文章もさることながら、全編に漂う温かい人間味と、時折ニヤッとさせられるピリッとした毒に病みつきになりました。