北杜夫のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
おそらくはユング心理学を還元法に用いて
いま・ここにある私(作者)から捏造された過去の記憶の物語
トーマス・マンの影響を指摘されるが
教養小説というより、偽私小説とでも呼んだほうがしっくりくる
とはいえ、自分を大きく見せようとするでもない
性のよろこびや、人間としての生きかた
それに、死に対する畏れが、幼心に目覚めていく有様を
やや気張った文章で書いている
その手法には、いま読んでも清新さを感じるが
クソみたいなナルシズムの産物…と言われると
それもまた認めざるを得ない
北杜夫のデビュー作で、もとは自費出版だったという
13冊売れたとか -
Posted by ブクログ
マンボウ先生、晩年のエッセイです。
かつては船医として7つの海を渡り、カラコルム登山隊のドクターとしても参加した北杜夫さんですが、晩年は入院生活をされながらも、ご家族に囲まれて穏やかに暮らしておられたようです。
年を取るといろいろな欲が消えるので、ストレスが無くなり、なかなか死ねない、アイロニイだが真実だと、医者らしいことをおっしゃっておられ、なるほどと思いました。老体となったご自分の姿を、衰えることのない独特のユーモアでしみじみと語られていました。
昔話も多く、父茂吉のことが多く語られているのは、尊敬してやまない存在だったことが伺われます。
年を重ねてゆけば、親しかったひととの別れも多くなり -
Posted by ブクログ
いやー北杜夫さん!!!!!
ふなのりクプクプの冒険がだいすきだった!
小学生の時に笑い転げた。そんな著者の大人向けっぽい装丁&分厚さのこれを見つけて、分厚いから迷ったけど面白いに違いないから買いました。
なんやこらーーーー
何度も本で吹き出したの久しぶりです。
テキトーすぎるしつじつま合わんしこれはひどい笑
いい意味で。笑
最後はネタ回収さえしてくれないし
どーなったんwww
なんなの!!!!と拍子抜けしたけど、なんか破天荒というかこんなのもアリだよねっていうか、肩の力が抜けました。
こうじゃなきゃダメっておもわなくても、いいか。って思えた。
もうなんか、無意味すぎてこんな分厚いのにこ -
Posted by ブクログ
現実逃避には紀行文がいちばん。できれば、凡人とは目線がズレていて、しかもコミカルなのがいい。『どくとるマンボウ航海記』は、まさしくそんな条件を満たす絶好の一冊。
「掘りだされて一年目のゴボウのごとく疲れ果てた…」(上陸がうれしくてついはしゃぎすぎたマンボウ先生)
「もっとも安くもっとも面白い場所を古ギツネのごとく捜しだす…」(古参乗組員について)
「海と空の中間の色彩で、ほそく一直線におどろくほど起伏なくつづいている」「それはいかにも涯がなく,窺いきれぬほど暗黒なものを蔵しているかのようだ…」(船上から目にしたアフリカ大陸の眺めについて)
こんな独特の表現とともに、いまはもう二度とこの