北杜夫のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
著者が40歳の頃に、自分の青春時代について書いているエッセイ。航海記、狂阪神時代と続いてこの著者のエッセイを読むのは3冊目。そのため、前者2作品のようなノリなのかと思い読み始めると、流石に少し重かった。青春時代を戦時中~戦後で過ごしたのだから無理はない。まずくても食べるしかないし古本屋で本を買うにも米がいる、というようにとにかく空腹との闘いという今では中流家庭以上では恐らく想像できないような暮らしをしている。
とはいえ、多くの人が書くと暗いエッセイとなるのだろうが、そこは流石北杜夫氏。個性豊かな登場人物と著者自身の行動に笑わざるを得ない。というかどこまでが本当のことなのかわからない。大変な時代 -
Posted by ブクログ
子供のころ、家の本棚にこの本の単行本版がならんでいた。お化けや妖怪(水木しげる系ね)のお話が好きだったわたしは「あの本を読みたい」と親に訴えて、あんたがおもっているような本じゃないんだよ、難しい本なんだよと、たしなめられていた。子供心に釈然としない、あきらめきれない思いが残ったのを覚えている。
著者が20代前半の頃に書いた作品で、副題のように、幼年時の記憶だとかマザコンみたいなものが主題。言われるとたしかにセンチメンタルだし若い感じがある。でも文章がすっきりしているので、センチメンタルさも嫌味にならない。ユーモラスな語り口であるとか、昆虫の描写には後の作品にも通じる北杜生らしさがある。 -
Posted by ブクログ
おそらくはユング心理学を還元法に用いて
いま・ここにある私(作者)から捏造された過去の記憶の物語
トーマス・マンの影響を指摘されるが
教養小説というより、偽私小説とでも呼んだほうがしっくりくる
とはいえ、自分を大きく見せようとするでもない
性のよろこびや、人間としての生きかた
それに、死に対する畏れが、幼心に目覚めていく有様を
やや気張った文章で書いている
その手法には、いま読んでも清新さを感じるが
クソみたいなナルシズムの産物…と言われると
それもまた認めざるを得ない
北杜夫のデビュー作で、もとは自費出版だったという
13冊売れたとか