北杜夫のレビュー一覧

  • マンボウ 恐妻記

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    愛妻紀改め恐妻紀ととなるところが楽しい。氏が破天荒な人生を生きたか、その一端を知ることができる。躁鬱病の躁状態がいかに大変か本書で知ることができた。この本を執筆していた時も鬱状態だっんだろうな。氏独特のユーモアが少ないですね。

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    2014年07月15日
  • 夜と霧の隅で

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    芥川賞の表題作。読んでいるうちに怖いなぁと思ってきました。何が現実でどこからが妄想なのか。脳がそう思い込ませているのだったら、もう分かりようがないよなぁと。そして異常者を排除しようとすることの正当性。読み終わった後も、悶々としています。 他にも短編が収録されていますが、抽象的でよくわからなかったのと、虫が嫌いな私には少し気持ち悪く感じてしまいました。

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    2014年01月07日
  • どくとるマンボウ航海記

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    耳に心地いい音楽のように、読んでいて心地いい文章で埋め尽くされた航海記でした。
    先が気になってハマる、というよりは読んでいる時間がただただ楽しくて残りのページが少なくなっていくのが惜しい気持ちになります。
    美しい文章もさることながら、全編に漂う温かい人間味と、時折ニヤッとさせられるピリッとした毒に病みつきになりました。

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    2013年11月17日
  • 夜と霧の隅で

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    表題作『夜と霧の隅で』、ナチス下のドイツで"真っ当な"血統保存を目的として行われた分裂病患者の殺害。精神病患者の病院を舞台に、そこで医師として働くケルセンブロック、患者として入院するも、ユダヤ人の妻を亡くし最終的には自殺してしまう日本人のタカハシ、年老いた院長、様々な立場に置かれたそれぞれの人々を描く。
    有益か無益か、合理的思考からその二元論的な結論に達してしまいがちだが、そうだとしたら戦時中の精神病患者たちは軍部の目には間違いなく"無益なもの"として映るのだろう。「p252 人間についての僕の考察をいえば、この時代やこの戦争が特に暗黒な目をおおう時代とは思えないね。人間の文化、道徳、殊に進歩

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    2013年06月25日
  • 母の影

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    宗吉(北杜夫)が茂吉を父として認めた一瞬。

    《本文より》
     そのうち、苦労して「赤光」「あらたま」からの自薦歌集「朝の蛍」を入手した。
    これらの初期の歌は、ずっと圧倒的な感動を私に引起した。
    青年期の感情的、抒情的な歌どもであり、更に私の記憶に懐かしい青山墓地や私がそこで育って嫌だった狂院のことなどが詠みこまれていたからだろう。
    私は暗記するまでそれらの歌を繰り返し読み、私自身のとりとめのない、だが切迫した感情にひたった。
    そして、昔から単に怖いと思っていた父は、突如として茂吉という崇拝するに足りる歌人の姿として、私の内部で変貌したのである。
     あの頃のわたしの異常ともいえる感傷癖は、やはり

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    2013年06月07日
  • 私はなぜにしてカンヅメに大失敗したか

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    タイトルに惹かれてフラフラと手に取った。
    すごく気になるタイトル。
    北杜夫さんの本は初めて読んだ。

    可愛いと思っていなかった孫がじわじわ可愛くなって、ついには爺馬鹿になるまでを書いた「デンヤ」。
    タイトルの「デンヤ」についても読めば納得。
    そしてとても可愛い。
    「ジイジ」って可愛い呼び方だ。
    内弁慶のフミ君がかたまる場面も非常に可愛らしい。
    にこにこしてしまう。

    ホテルのカンヅメでの大失敗を書いた「私はなぜにしてカンヅメに大失敗したか」は、かなりクラクラする長さ。
    これでもかと言うほどに詳細。
    お風呂にお湯をためる描写がすごく良かった。
    こういう瞬間にも物語のプロローグを作れるのが作家なん

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    2013年05月06日
  • 私はなぜにしてカンヅメに大失敗したか

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    北杜夫の短編集。

    日米ワールド・シリーズが一番面白かった。鎧兜の佐藤愛子や海軍大尉の阿川弘之、「精神異常者」という単語が出てくるたびに笑える。

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    2013年05月02日
  • どくとるマンボウ航海記

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    ユーモアたっぷり。
    荒唐無稽なようでいて、そこはかとなく文学の香り。
    一味違う、旅行記・航海記です。

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    2013年04月16日
  • どくとるマンボウ航海記

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    いっしょに船旅をして、波に揺られてるようだ。

    文学のなかに上質のユーモアと潮風が混じっている。

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    2013年03月23日
  • マンボウ 恐妻記

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    ネタバレ

     いつも、阿川弘之さんのエッセイに登場するので、初めて読みました。宮脇俊三さんと家が隣同士なんて、うらやましいです。
     今度は小説も読んでみたい。

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    2013年02月13日
  • どくとるマンボウ青春記

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     辻邦生について調べていて、この本にぶつかった。辻邦生と北杜夫が旧制松本高校の先輩後輩だというのは知っていたが、作品中に登場しているのは知らなかった。そう言えば、中学時代に北杜夫は結構読んだのだが、この本は読んでいなかった。
     太平洋戦争末期の東京から始まり、壮絶な話もあるが、基本的には北杜夫のエッセイらしい馬鹿話・ヨタ話が中心である。彼のエッセイを読むと必ず感じるのは、自分のことを笑い飛ばす精神だ。したたかさとも言えるが、そのおかげで深刻な話も気楽に読める。
     タイトルに「青春記」とある通り、北杜夫の青春時代、旧制高校時代から大学時代のエピソードが中心になっている。読んでいて、何だかとても懐

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    2012年12月12日
  • マンボウ 遺言状

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    死ぬまでに書いておきたいことって結構あるけれど、北先生は一体どういうつもりでこの本をかいたのか。ユーモアがありすぎて面白いのですが、最後まで読むと何とも言えぬ郷愁感で満たされます。先生は最後に伝えたいことを、どう表現するかちゃんと分かってらっしゃいますね。

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    2012年10月03日
  • マンボウ 遺言状

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    ネタバレ

    ふ~~んっ てな感じで面白い。何もすることが無く、毎日ぼーっとしてるときに読むのにふさわしい。還暦退職で毎日が「日曜日」の人にふさわしい本だ。若い人には読むに値しない。北杜夫さん長生きしてください。
    私は150歳までは生きる予定です。天国で会えることを切に願います。

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    2012年10月11日
  • マンボウ 最後の大バクチ

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    ネタバレ

    楡家の人々の背景を中心に、父茂吉への想いがつづられている。山形観光や競馬場、韓国カジノのあたりは、こちらまでギャンブルしたくなるような書きっぷり。躁鬱病って、周りが大変なんだろうなって。一読者としてはぜんぜん憎めない。

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    2012年04月12日
  • マンボウ 遺言状

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    ネタバレ

    遺言状とは名ばかりで、言いたいことをマンボウ節で言いたい放題。早く死にたいという話から、精神病の話まで、あっちこっちに飛び回る。それでも文壇仲間の話を読んでいると、次ちょっと読んでみよっかなぁ、って思う。たとえば、埴谷雄高の「死霊」とか。

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    2012年04月11日
  • さびしい王様

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    「だって、それは女のほうがいけないわ。あなたと結婚できれば死んでもいい、って女が言うそうよ。そこでお父さまはちゃんと結婚式をあげ、式が終わると、どうぞお死に下さいって手紙を渡して、そのまま探検旅行に行っちゃうの。でも、今までどの女も死ななかったし、いつかは必ず家出をするわ」「ううむ、ぼくにはとても理解できない」「あなたには無理なことね。お父さまは、最初の妻、つまりあたしの母をとっても愛していたのじゃないかしら。で、わざとそんなことをするのかも知れない」

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    2012年04月04日
  • どくとるマンボウ青春記

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    北杜夫氏の訃報をニュースで知り、恥ずかしながら、初めて氏の本を読みました。
    旧制高校から大学時代にわたる、まさに北杜夫さんの青春期のエピソードが、ユーモアたっぷりに綴られています。
    今の時代とは高校も大学も違った雰囲気であろうかつての旧制高校・新制大学の時代の様子もあわせて興味深く拝読しました。

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    2012年03月13日
  • 楡家の人びと 第一部

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    大正時代の中ごろの日本、それは自分の祖父母が生まれる少し前の時代。 楡病院の創始者基一郎の楽天的で憎めない性格とそれに影響された楡家の貴賎あいまった人々の人間模様と生活。
    原敬内閣などその当時の世相や、文学も織り交ぜての表現
    時に、ちょっと重たいな、と思って読むスピードが遅くなったこともあるが、ちょっと気を楽にして読めば、それはそれで愉快でありながら、時にちょっと悲哀さも感じさせる面白い文学だと思いました。

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    2012年01月18日
  • マンボウ家族航海記

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    『マンボウ航海記』と一緒に購入した一冊。
    北杜夫氏の訃報を知ったからだ。
    これは著者が59歳から84歳まで週刊雑誌に連載してきたエッセイの中から著者が選んで編集した文庫本で「あとがき」が…平成23年8月19日…軽井沢にてとある。
    亡くなったのが同年の10月24日だからこの「あとがき」が絶筆だった可能性がある。
    そう思って読むと複雑な思いに捕らわれる。
    いきいきと夫であり祖父であり躁鬱患者としての日常が描かれている。共感する部分や安心させてくれる所が多い。
    苦悩を笑いに描く理性と分析力、客観視できていることに感心した。

    ご冥福をお祈りします。(合掌)

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    2012年01月13日
  • 船乗りクプクプの冒険

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    冒険ものなのに,とってもゆるーい.
    どんどんページが残り少なくなっていくのに,
    話は全然終わりそうな雰囲気じゃない.
    なんだかぽやんとした物語でふふふって笑いたくなる感じ.
    長新太のカバーと挿絵も良い.

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    2012年01月10日