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第二次大戦末期、ナチスは不治の精神病者に安死術を施すことを決定した。その指令に抵抗して、不治の宣告から患者を救おうと、あらゆる治療を試み、ついに絶望的な脳手術まで行う精神科医たちの苦悩苦闘を描き、極限状況における人間の不安、矛盾を追究した芥川賞受賞の表題作。他に『岩尾根にて』『羽蟻のいる丘』等、透明な論理と香気を帯びた抒情が美しく融合した初期作品、全5編。
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Posted by ブクログ
不治の精神病患者を安死させる決定をしたナチス。それに抵抗する医師ケルセンブロックは患者たちを安死させない為に無理な治療を施し、かえって悲劇的な結果を産むことに…。戦争の悲惨さよりも、戦争を題材に、極限状態に置かれた人間の苦悩が描かれている。
恐ろしいほど狂気に満ちた作品だった。 ナチスドイツがさいしょに虐殺したのはポーランド人でもユダヤ人でもなく、同胞ドイツの精神病患者たちだった、という事実。それを当たり前だと賛同していた精神科医師たちが多くいたと言う事実。 狂気の沙汰にあふれた時代を舞台に、患者を救うため一か八かの博打に打って出た医師...続きを読むケルセンブロック。しかしそれすら、使命感によって自己正当化された狂気の一端である。 精神科医でもある作者のリアリティ溢れる表現と、鮮明な描写、鬼気迫る行動で、気持ち悪い汗が止まらない。 蒸し暑さが増す部屋で読むべき作品ではなかったな。 正気と狂気の境目はいったいどこなのか?考えさせられる。
全体的に灰色がかった雰囲気の中、救いがないストーリー。短編で読みやすいのだが、すべて読み終わるのに時間がかかってしまう矛盾が・・・とても考えながら読んだ作品。 表題作も引き込まれたが、「岩尾根にて」が一番よかった。
読み始めました。何年ぶりでしょう。30数年ぶり。 (2013年11月23日) ◎「岩尾根にて」 ○「羽蟻のいる丘」 ほかは、「×」 (2013年11月25日)
『楡家の人びと』を読んで再読したくなった初期作品集。 表題作は述べるまでもないが、他の4作品も締め付けられるような死の臭いが漂う緊張感、そして読者を放り出すような感じでもってそれぞれの解釈に作品そのものを委ねるような結末、いずれも素晴らしい作品ばかり。 自分の時間を割いたことに対する十二分な報い、小...続きを読む説を読むということの醍醐味を感じずにいられませんな。
北杜夫の短編集。『夜と霧の隅で』がよみたかったのだけれど、その他の名前の知らない短編も、非常に繊細で理知的で心に残るものばかりだった。人間の不気味さを綺麗な文章で浮き彫りにしているかんじ。前から読みたいと思っていた『夜と霧の隅で』は、想像以上にグロテスクで悲しい話。ナチスドイツの時代というだけで物語...続きを読むは陰惨なものになるが、さらに精神疾患の患者たちを題材にして扱っている。深く深くまで心が抉られるような、そんな不気味さであり、本当にグロテスク。視点を登場人物から離して語ろうとすればするほど、描写が真に迫ってくる。ここまでじめじめとした話は久しぶりに読んだ。身体的な意味でも心にダイレクトに入ってくる人間の業の深さ。何が正しくて何が間違っているかなんて時代によって180°変わる。だから今この本を読むのはとても怖いことだけれども、多分そこまで計算して人間の罪深さを配置した本なんだとおもう。
ナチスによる安死術の指令と精神科医による限度を超えた治療。医師の本当の良心についての有無に恐怖を覚えた表題作。読後に寒気を覚え、繰り返し読んだ『岩尾根にて』、個人的に好きな味の『谿間にて』など5編。どれも感覚的な読書体験が得られる傑作。
頭から順に読んでいくと文芸というか文学というか 解説に云う「透明な論理と香気を帯びた抒情」というふぜい つまり「お話」のない小説でない文章で 心境を情景描写に仮託しているようなそれである 仮託とかいうことばを使う時点でそんなかんじお察し 最後に収められている表題作は他と違って「お話」が明瞭な小説と...続きを読むして読める こういうのだと読み下しやすい またこのお話からみればその他の作品にある作者が描こうとしていたものも なんとなく理屈づけられて見えるような気がしないでもない つまり小説すなわち筋書きのあるお話でないものは 筋書きでいちおう方向が示されているものに比べてどうとでもとれるのではないか どの作者が書いたのかより不明瞭で 詩歌のように短くなるほど表現技術の高低も素人に判別困難になる 絵画でも音楽でも万人が評価するものが優れている証だとは思わないが 評価できるひとにしか評価できないものは どうとでもとれるようにみえるものに多いようにみえるのが素人の感想 文章は手段であり目的のあるものではない 作品は目的を形にしたもので作者にせよ誰にせよ ひとのこころを動かすべく作られたものだが その機能が目的を果たしているかを判断するのは使用者の規格に適合するかで 作者のもとにはないと言える この本については 表題作は小説として無難に良く文句ないが その他は 例えば高校向け国語の教科書に採用されるかどうかという「規格」で評価するなら ややいやはっきり落ちるといえると思う
ひさしぶりに文学な作品を読んだ。 小説と文学の違い(とわたし流の分け方)は、 地の文が説明、解説になっているものと、 文が練れていて、雰囲気が漂うもの とである。 もちろん、前者でも後者でもいいものはいい。 コクがあるものが傑作なのであるし、読む楽しみになる。 この短中編集に収めてあ...続きを読むるのは 「岩尾根にて」「羽蟻のいる丘」「霊媒のいる町」「谿間にて」「夜と霧の隅で」 どの作品も心揺さぶられるのだが、やはり芥川賞の「夜と霧の隅で」が印象深い。 第二次大戦中、ドイツ南部の町にある公立精神病院の医師たちは、 ナチス政権による民族浄化というとんでもない思想の影響を受けざるを得ないその苦悩がある。 それが単にドキュメンタリーではなく、文学的で深みがある文章が心にしみた。 迫害されるユダヤ人だけではなく、精神疾患者たちにとってもむごい政策というか仕打ち。 そして病んでいる本人たちには何もわからないのだ。 患者を治療しているドイツ人医師たちの悩みはさまざま。 そこに同盟国の日本人医師も留学生としていたが病み、入院してその不条理を経験する。 その妻がユダヤ人という設定も悲しい。 わたしが映画や文章などで知ったことよりも、この中編は胸に響いた。 それが文学の力と思う。
「岩尾根にて」 山中で自我を失ったような気分になる話 クライマーズ・ハイかな? 「羽蟻のいる丘」 自暴自棄のため放射能Xの女王蟻に自分を重ねる女がいて 気の毒なのはそれにつきあわされる幼い娘だが 「霊媒のいる街」 逃げ場のない大人たちはロマンを求めてたわごとを言う 本当に過去を忘れられない坊やは...続きを読むハードボイルドにひたって生きる 「谿間にて」 蝶の採集で名を成したいあまりに精神の様子が少しおかしくなった人の話 かつて失われた全能性が蝶のまぼろしとなって現れるのだろうか 「夜と霧の隅で」 ナチスの断種政策によって収容所送りにされる患者を1人でも救おうと 無謀かつ無意味な実験手術に走る精神科医の話 まったくの本末転倒である
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