北杜夫のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
北杜夫氏が亡くなって、それを機に(っていうのも失礼かもしれないけど)読んでおかねばと思いつつ、今になってしまったのだが。
まず、文章がなぜだかものすっごく読みやすくてびっくり。リズムがいいのか、けっこう文語調だったりするのに、あるいはそのせいなのか、するする読めて気持ちがいいくらい。
精神科の大病院を経営する一族が、関東大震災や太平洋戦争を経てだんだん没落していく大河ドラマのようなストーリーなのだけれど、登場人物が実に個性的というか変わった人びとばかり。考えてみると、みんな変な人っていうだけで家族仲も悪いし、いい人も魅力的な人な人もいないし、だれかに共感するとか応援するとかって気持ちにまーっ -
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Posted by ブクログ
ネタバレ以前,長野県松本市の旧制高等学校記念館に行ったときに
卒業生の一人として,この北杜夫さんのプロフィールと「青春記」の紹介がされており興味を持っていたところ,2011年秋に訃報。
これは読まなくては・・・と思いやっと手にとることができました。
旧制高等学校のエピソードは,記念館で部屋の作りや事件,習慣などを見たあとだったのでとてもイメージできて楽しく読めました。
また,斉藤茂吉の息子であるというのも大変興味深くて,父親である茂吉像を垣間見ることが出来たり,親が有名であるということに対して息子がどう感じているかというのを感じることができました。
しかしホントに旧制高等学校は楽しそうだなーと -
Posted by ブクログ
記憶が正しければ、私が、初めて読書感想文で褒められた作品だと思う。
宿題やだーと思っていた少年が、勉強をするフリのために開いた本に入っちゃった!
海賊と一緒に海に飛び出す。
その名もクプクプ!
本の主人公として活躍することに。
作者のキタ・モリオを探し出して、元の世界に戻れるのか・・・
子どもの頃、この作者が作中に登場する、という設定がとても面白くて、
しかもけっこう自虐的な描き方、ユーモアあふれるセリフ回しなど、
とても好きだった作品だが、不思議と他の作品を読む機会がなかった。
どんなに高い文明を持っていても、裸にヤリで生活する、
土人たちのセリフが、大人となった今ぐっとくる。
姿を -
Posted by ブクログ
ネタバレ近頃、ヴァーチャルとリアルの違いとか関わりとかを
ふと考えちゃうことがあって…たとえば、巷のSNSなどは、
どこまでがリアルでどこからがヴァーチャルなんだろなんてこと…
FBがリアルでMixiがヴァーチャルとは一概に言えないだろうし…
で、この本、そうした気持ちで読んでたからかもしれないけど、
そうしたヴァーチャルとリアルは密接にしらんぷりをし、
関係なさそうで、しっかりと絡んでいるのだと、感じたんです。
なにしろ、作品世界に作者が登場しちゃうんだもの…
作者の実存はリアルで、作品世界はヴァーチャルってこと?
ま、そんなことを思いながらも、しっかりと冒険譚
楽しめました…つまり、ヴァーチャ -