北杜夫のレビュー一覧
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中学生の時、「どくとるマンボウ」シリーズにはまって、一連の作品をずっと読んでいた時期があった。先日、ふと本屋でこの本を見かけ、懐かしくて手に取り、一気に読ませていただいた。古くは「どくとるマンボウ小辞典」から、新しいものでは最後の本となった「マンボウ最後の家族旅行」まで、テーマごとにエッセイが収録されていて、変わることのないユーモアあふれる文章に、本当に楽しい読書の時間を過ごさせてもらった。
ただ、テーマごとなので仕方ないと言えば仕方ないのだが、執筆年があっち行ったりこっち行ったりで、いつの年に書かれたものなのかをいちいち最後の出典一覧で確認しなければならないのが面倒だった。1970年代のドイ -
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【本の内容】
文学を志し、家庭は顧みず、結構モテて、わがまま放題。
そんな夫にも優しく尽くす、十歳年下の若い妻。
ハンブルクで出会って結ばれた二人の新婚生活は、圧倒的な亭主関白モードで始まる。
しかし躁病をきっかけにエスカレートした夫の蛮行には妻もブチ切れ、ついに大逆襲に-。
淑やかだった妻を鍛えた、壮絶なる四十年の結婚生活を回顧する、愛情エッセイ。
[ 目次 ]
第1章 夫婦の始まり
第2章 夫婦の逆転
第3章 夫婦の戦い
第4章 夫婦の折り合い
第5章 夫婦の晩年
[ POP ]
躁鬱病の夫は、ベストセラーは出すわ、株で借金はこしらえるわ、妻にすぐ「出ていけ」と言うわ。
結婚 -
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「岩尾根にて」、「羽蟻のいる丘」、「 霊媒のいる町」、「谿間にて」、「夜と霧の隅で」の五編。
山を舞台にした話と、脳・心理・精神医学に関わる話が多い。何かを考えさせられるというよりは、不気味な絵を見ているような、引きこまれて不思議な世界に連れて行かれそうな短編が多い。
「夜と霧の隅で」が面白かったので星を一つ増やした。
第二次大戦末期、ナチスは不治の精神病者に安死術を施すことを決定した。その指令に抵抗した精神科医たちは、不治の宣告から患者を救おうと、あらゆる治療を試み、ついに絶望的な脳手術まで行う。
精神病者を救うために博打のような手術に臨む医師らの苦悩。その中にひとり入院している、ユ -
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ネタバレ【Impression】
「マンボウ愛妻記から変更されました」がマジなのか皮肉っぽくしてるだけなのか分からんけど、こういうのおもろい。
この人が躁鬱とは知らんかったけど、まぁ航海記よりは薄い内容ではあるけど、皮肉感が好き
やっぱりこういう夫婦関係の方が上手くいくような気がするなー、まぁ身勝手な注文ではあるけど
【Synopsis】
●北杜生、ドイツで出会った妻に関してのエッセイ。妻が進化していく様子が描かれている
●躁鬱病を境に夫婦関係が変化していく。しかし夫婦関係は破綻せず、修正に修正を重ね執筆時の状態に落ち着いていく。
●著者晩年の様子が描かれている。皮肉満載で。 -
Posted by ブクログ
「どくとるマンボウ」シリーズ、第1作。
ひょんなきっかけと周囲の後押しにより、水産庁の漁業調査船に船医として乗り込んだ"どくとるマンボウ"こと「私」。その船上生活とそこから見える海の景色、次々と立ち寄る国々の様子や民族性を、彼視点で生き生きと表現された航海記。北杜夫さん自身の実体験をもとに書かれています。
大きな事件が起こるわけでもなく、「私」の見たまま感じたままの世界が素直に描かれています。従来の日本文学にないユーモアに富んだ文体でベストセラーとなった本作の初版は今から約50年前。当時の読者は本作を通して、活字の向こうの広い広い世界に想いを馳せたのかと思うと感慨深いも -
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