北杜夫のレビュー一覧

  • どくとるマンボウ航海記

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    うーん、ここまで名著だと感想書きづらいですね(苦笑)。

    言わずと知れた、北杜夫の世界旅行記。とにもかくにも文章表現が独特で、どこそこに行きました、と記すだけの並の紀行文とは一線を画しています。後に写真を入れて再発売されたのですが、かえって文章の魅力を減殺してしまったと編集者は恥じ入ったとか(宮脇俊三「旅は自由席」より)。

    初版の発売から既に半世紀近くが経過しており、文章のあちこちに顔を見せる昭和30年代のニッポンの空気が、どこか物珍しくも感じられる1冊です。海の上にいるのにそんな連想をするのも、ちょっと奇妙ではありますが(笑)。

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    2016年11月27日
  • 楡家の人びと 第二部

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    大黒柱が去った後のバタバタを中心に。残された人たちも個性的だけど、物語中でも描かれているように、やっぱり先代と比べると皆が小粒に思えてしまうというか、そのせいで、展開そのものもやや小ぶりになってしまった感がありました。病院の勢いがやっと戻ってきたところで、今度は世界大戦に突入してしまう訳ですが、その絡みで、やっぱり家も没落してしまうんでしょうか。そのあたりが描かれるであろう下巻の結末に、期待は大きいです。

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    2016年09月14日
  • どくとるマンボウ航海記

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    すごく面白かった。1960年刊行とのことだが、現在でも色褪せておらず、そのユーモラスな筆致は面白く読める。

    世界各国の港でのアレコレは旅情を掻き立てるし、海やなんかの風景描写は一人旅をしている気持ちになれる。博覧強記と解説にあったが、その知識に裏打ちされたユーモアは必見。とってもオススメである。

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    2016年08月14日
  • 船乗りクプクプの冒険

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     著者の北杜夫さんが作中にキタ・モリオ氏として出てくる面白さもあるけれど、それだけではなく、人生の教訓や社会のルールなどが話に織り込まれており、子供の時にも一度読んでおきたかった、将来子供をもったら読ませたい、と思える作品。でも、大人になってから読んでもワクワクできると同時に、大切なことを再確認できるので、読んで良かったと思う。

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    2015年11月29日
  • 幽霊―或る幼年と青春の物語―

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    幼い頃のことを、幼い心が感じた通りに、しかし独特の美しい文章で綴った小説かな、と思いつつ読んで、自分の幼い頃も記憶の蓋が開いたように思い出され、いい小説だな、好きだなと読み進めるうち、思い付くままどころか、かなり巧緻に構成された完成度の高い小説だということが分かり、圧倒された。
    トーマス⚫マンを読み返したくなった。

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    2015年06月07日
  • 世の中どうにかなるもんだ

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    中学生の時、「どくとるマンボウ」シリーズにはまって、一連の作品をずっと読んでいた時期があった。先日、ふと本屋でこの本を見かけ、懐かしくて手に取り、一気に読ませていただいた。古くは「どくとるマンボウ小辞典」から、新しいものでは最後の本となった「マンボウ最後の家族旅行」まで、テーマごとにエッセイが収録されていて、変わることのないユーモアあふれる文章に、本当に楽しい読書の時間を過ごさせてもらった。
    ただ、テーマごとなので仕方ないと言えば仕方ないのだが、執筆年があっち行ったりこっち行ったりで、いつの年に書かれたものなのかをいちいち最後の出典一覧で確認しなければならないのが面倒だった。1970年代のドイ

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    2015年04月28日
  • マンボウ最後の家族旅行

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    北杜夫さんの本が好きで、全集も本棚にある。亡くなられた後に出版された本の世界はどくとるマンボウにあふれている気がする。家族に対してぶつぶつぼやきながらも愛情があるのを感じる。お幸せでしたね。

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    2014年11月03日
  • マンボウ 恐妻記

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    【本の内容】
    文学を志し、家庭は顧みず、結構モテて、わがまま放題。

    そんな夫にも優しく尽くす、十歳年下の若い妻。

    ハンブルクで出会って結ばれた二人の新婚生活は、圧倒的な亭主関白モードで始まる。

    しかし躁病をきっかけにエスカレートした夫の蛮行には妻もブチ切れ、ついに大逆襲に-。

    淑やかだった妻を鍛えた、壮絶なる四十年の結婚生活を回顧する、愛情エッセイ。

    [ 目次 ]
    第1章 夫婦の始まり
    第2章 夫婦の逆転
    第3章 夫婦の戦い
    第4章 夫婦の折り合い
    第5章 夫婦の晩年

    [ POP ]
    躁鬱病の夫は、ベストセラーは出すわ、株で借金はこしらえるわ、妻にすぐ「出ていけ」と言うわ。

    結婚

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    2014年08月24日
  • なまけもの礼讃

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    マンボウのように悠々と世間を泳いでいく。笑ったり怒ったり泣いたり照れたり謝ったり……人生を楽しもうという気持ちが湧いてくる。

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    2014年06月01日
  • 夜と霧の隅で

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    「岩尾根にて」、「羽蟻のいる丘」、「 霊媒のいる町」、「谿間にて」、「夜と霧の隅で」の五編。

    山を舞台にした話と、脳・心理・精神医学に関わる話が多い。何かを考えさせられるというよりは、不気味な絵を見ているような、引きこまれて不思議な世界に連れて行かれそうな短編が多い。

    「夜と霧の隅で」が面白かったので星を一つ増やした。
     第二次大戦末期、ナチスは不治の精神病者に安死術を施すことを決定した。その指令に抵抗した精神科医たちは、不治の宣告から患者を救おうと、あらゆる治療を試み、ついに絶望的な脳手術まで行う。

    精神病者を救うために博打のような手術に臨む医師らの苦悩。その中にひとり入院している、ユ

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    2014年05月22日
  • 夜と霧の隅で

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    1960年上半期、芥川賞受賞作。選考委員10人のうち8人までが◎(他の2人は〇)と圧倒的な支持を受けての受賞だった(倉橋由美子の「パルタイ」もこの時の候補作だった)。言うまでもなく、V・フランクルの『夜と霧』に触発されての作である。本家がホロコーストを描いていたのに対して、こちらはタイトルにもあるように、その片隅で密やかに行われていた、精神病者の抹殺に焦点を当てた、精神科医でもある北杜夫ならではの小説だ。ただ、『夜と霧』が、まさしく当事者としての迫真性を持っていたのに比すれば、良くも悪くも客観的な視座だ。

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    2014年04月19日
  • マンボウ 恐妻記

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    奥様への仕返しのような体裁の本書だけれども、
    読み進めるとラブレターを読んでいるかのような錯覚が。。

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    2013年11月09日
  • 夜と霧の隅で

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    精神病理に通じた作家による、秀作。
    殊に精神病に関心のある自分にとっては、特にその「行間」を読む醍醐味を感ぜられる。
    初読で印象深いのは「岩尾根にて」「夜と霧の隅で」。
    特に「岩尾根にて」は、精神科医ならではの洞察が感じられてインパクトがある。再読してじっくり噛みしめるに値する作品。
    全体的に文体は平易で、描写はややざっくりとした印象はあるが、あまり気にならない。それを補って余りあるだけの充実さがある。

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    2013年11月09日
  • マンボウ 恐妻記

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    ネタバレ

    【Impression】
    「マンボウ愛妻記から変更されました」がマジなのか皮肉っぽくしてるだけなのか分からんけど、こういうのおもろい。

    この人が躁鬱とは知らんかったけど、まぁ航海記よりは薄い内容ではあるけど、皮肉感が好き

    やっぱりこういう夫婦関係の方が上手くいくような気がするなー、まぁ身勝手な注文ではあるけど
    【Synopsis】 
    ●北杜生、ドイツで出会った妻に関してのエッセイ。妻が進化していく様子が描かれている
    ●躁鬱病を境に夫婦関係が変化していく。しかし夫婦関係は破綻せず、修正に修正を重ね執筆時の状態に落ち着いていく。
    ●著者晩年の様子が描かれている。皮肉満載で。

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    2013年10月13日
  • 船乗りクプクプの冒険

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    ネタバレ

    読み手と作者と登場人物とその中をいったりきたり

    ファンタジーとユーモア、文明人の土人からがとてもすきです

    クプクプはこれから帰れないのか、これからまたこの感じがエンドレスなのかとか

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    2013年09月22日
  • マンボウ 最後の大バクチ

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    大作家の老後生活と回想。
    過去の偉業となお続く執筆でみんなにかまってもらえるジイジが羨ましいなぁ。
    老人になってもユーモアは衰えず。

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    2013年06月12日
  • どくとるマンボウ航海記

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    「どくとるマンボウ」シリーズ、第1作。

    ひょんなきっかけと周囲の後押しにより、水産庁の漁業調査船に船医として乗り込んだ"どくとるマンボウ"こと「私」。その船上生活とそこから見える海の景色、次々と立ち寄る国々の様子や民族性を、彼視点で生き生きと表現された航海記。北杜夫さん自身の実体験をもとに書かれています。

    大きな事件が起こるわけでもなく、「私」の見たまま感じたままの世界が素直に描かれています。従来の日本文学にないユーモアに富んだ文体でベストセラーとなった本作の初版は今から約50年前。当時の読者は本作を通して、活字の向こうの広い広い世界に想いを馳せたのかと思うと感慨深いも

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    2013年06月19日
  • 船乗りクプクプの冒険

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    とっても楽しかった!!
    北杜夫さんの作品は始めてだったけど、こんなに本の世界に入り込めた作品はない!

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    2013年03月02日
  • 船乗りクプクプの冒険

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    実際に読んだのは、2012年夏に新しく表紙絵が新装されたバージョンだったのですが。
    荒井良二さんのイラストがマッチしていて不思議で面白い世界観を満喫です。
    こどもは小5男子。
    自力で読むのはちょっと難しい。
    漢字に振り仮名がないのと、知らない語彙が結構あるみたい。読み聞かせをすると爆笑です。

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    2013年01月28日
  • 私はなぜにしてカンヅメに大失敗したか

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    ネタバレ

    自らの老人ボケをネタにしているところが面白い。北杜夫は昔からのファンであり、何ともいいほんわかとした雰囲気がいい。癒されるという感覚だ。
    もう一つの日米ワールドシリーズは、いつ書かれたか知らないが、当時の夢を書いたものだと思う。しかし、実際にWBCで2大会連続で優勝する等満更非現実とばかりは言えない。しかし、内容はハチャメチャである。

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    2012年11月02日