北杜夫のレビュー一覧

  • どくとるマンボウ航海記

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    今は亡き祖父の実家の書斎にこれが置いてあって幼心に「大人になったらこういう難しい本を読むんだな」と思ってから数十年経ち…ついに読みました。難しい本じゃなかったね。
    昔の航海とか船乗りってこういう感じだったんだろうな。という海のロマンもとい皮肉なぼやきと、酒とタバコと女、外国の情緒と若さ、ユーモアある書き方でとても楽しく読めました。

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    2025年06月02日
  • どくとるマンボウ青春記

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    マンボウ氏の青春期。「どくとるマンボウ」は高校生の時に読もうと思って挫折した記憶があって、ちょっと倦厭していたんだけれども。もったいなかった。早く読んでおけば良かった。

    青春を終戦期で送ったマンボウ氏。日本中で思想が根本から覆り、休止していた学業が再び動き出した時代。帝国主義を取り壊し、新たな日本として一歩を踏み出した時期とはいえ、動き出したのは国のシステムばかり。若者の実情はまだまだ空腹と憂鬱に支配されていた時代。その中で若き医学生が何を思ってきたのか、マンボウ氏独特のユーモアとともに描かれる。
    グッとくる名言が多く、それでいて文体は軽やか。心の栄養剤として手元に置いておきたい本です。

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    2025年05月23日
  • どくとるマンボウ青春記

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    青の時代
     どちらかといへば再再再読あたり。すっかり忘れてゐて読み直した。

     読みやすく思へた
     自身の青春をかへりみる内容で、随所にブレイクだのゲーテだのが顔を出す。そして最大に親炙するトーマス・マン。

     老いてゆく父とのあひだで、いびつな関係をたもちながら、磊落で渾沌とした旧制高校にもまれて精神科医になっていく。
     筆はところどころ静謐ではないが、あだながポケット・モンキー(略してポケモン)の知人などが出てき、バカっ話もやまのやうにあり、笑はせてくれる。
     そして、青年は悩み、私もまた往時をしのぶ。

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    2024年11月20日
  • どくとるマンボウ航海記

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    北杜夫先生の旅行記です
    何十年かぶりの再読

    私には「先生」とういう呼称を付ける作家さんが二人いて、それは北杜夫先生と星新一先生なのだが、あらためて考えてみると、この「先生」には教師とか師匠という意味が無意識に込められていたのだと思われる
    孔子先生とかと同じ使い方だ
    ようするに人生の師ということだ

    では北杜夫先生は何を教えてくれたのか?

    それは「自由」とは何か?ということだったと思う

    北杜夫先生の旅行記はどこまで本当か嘘かよく分からないところがある
    童話もそうだ
    いや童話は基本嘘の物語なのだが

    本当の先に嘘があって
    嘘の先に本当がある

    そんな本当とも嘘とも分からない物語で気付くのは、

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    2024年09月26日
  • 人生のずる休み

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    ネタバレ

    どくとるマンボウを読んだこともないけどタイトルが良くて手に取った。
    激しくてクセが強いけど魅力的な方だったんだろうなあ。
    著名人も出てくる、お手伝いさんもいるアッパークラスの方。
    双極性をオープンにして愛すべきキャラになっているように思えるけど、周りの人たちは大変だったんだろうなあ。

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    2024年08月04日
  • 夜と霧の隅で

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    ナチスによる安死術の指令と精神科医による限度を超えた治療。医師の本当の良心についての有無に恐怖を覚えた表題作。読後に寒気を覚え、繰り返し読んだ『岩尾根にて』、個人的に好きな味の『谿間にて』など5編。どれも感覚的な読書体験が得られる傑作。

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    2024年07月04日
  • 幽霊―或る幼年と青春の物語―

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    現代では情報過多で時間に追われるように過ごす人が多く、このように自分と向き合って自分で考えて何かを見出していくことができる人は少ないだろうと感じる。あらためて、自然と向き合ってじっくり考えて人のために行動することを意識したいと感じた。

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    2023年10月09日
  • 楡家の人びと 第二部

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    ネタバレ

    これはとてつもなくいっちまっている作品ね。
    ちなみに実話がどうも元になっているようで
    ある本を書いている人は…なのです。


    結局この家は欺瞞の塊だったのでしょう。
    見せかけの栄華を見ている感じですね。
    その裏側には目も当てられない負債があるというのに…

    院代の望むとおりにならないところが
    没落を示唆していて痛々しかったです。
    どんなに良くしようとしていても独り歩きだからね…

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    2023年09月06日
  • 楡家の人びと 第一部

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    ネタバレ

    濃いぜ。出てくる人たち、濃いぜ。

    楡基一郎をはじめとする楡家の年代記とも呼べるもの。

    だけれどもこの病院、どうも様子がおかしいのよ。
    どう頑張ってもこの病院…詐欺でね?

    ちなみに1名だけ、その欺瞞に気づいている
    節のある人物がいます。
    途中で存在が消えてしまいますが
    きっとそのあとに出てくるものと信じています。

    ラストは…

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    2023年08月25日
  • 夜と霧の隅で

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    ネタバレ

    表題作、名前だけは知っていた。この作品ではないが、読むべき本として北杜夫の名前が上がっていたことから、初めて手に取ってみた。
    表題作と他四つの短編で構成されている。
    最初の、岩尾根にて…は、前半ただひたすら山を登っていく様子が描かれる。そこでちょっとモタモタしてて、なかなか進めてなかったんだけど、後半は1人の男との出会いから、会話が続く。夢幻のようなその出会いは、ふと能の世界にも通じるような気がしてきた。
    事物の描写も大したものだけど、こういった会話でも読ませる作家なのだなと思った。
    どくとるマンボウ、船乗りクプクプあたりはもしかしたら昔読んだことあるかもしれないが、内容は忘れてしまった。なん

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    2023年08月04日
  • 楡家の人びと 第一部

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    楡家とその周囲の慣わしは時代と共に変わりゆくが、伝統にこだわり、あるいは恨み、憂うことも各人によって情態を異にする。互いに共有できない繋がりの薄弱さは、すでに共同体の崩壊を示唆するものであり、あくまでも維持するのは張りぼて化した “しきたり” への意地である。その執念が民族の怖さへと通じる。そこにユーモアを加味するところが本作の魅力である。

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    2023年04月24日
  • ヤマケイ文庫 どくとるマンボウ青春の山

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    どくとるマンボウこと北杜夫の、山に関するエッセイをまとめたもの。
    子供の頃から、どくとるマンボウのシリーズや北杜夫の作品を読んで、大いに人生に影響を受けた私には、なかなか面白い本であった。

    様々な媒体に書かれた既出のエッセイ等をまとめたものなので、どこかで読んだようなエピソードは多く、また本書の中でも同じような話が何度も出てくるきらいはある。

    本書の中だけでも重複したようなエピソードが書かれているのであるから、北杜夫ファンとしては、そこここに聞いた話が出てくる。

    しかし、本書によって集められたエッセイでしか見つけられないエピソードも集められている。
    これは、ファンとしては読まずにおられな

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    2023年04月19日
  • どくとるマンボウ航海記

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    著者が船医として世界中を航海した様子をユーモラスに書いたエッセイ。
    戦後の日本人の気質や時代背景が分かって面白い。今となっては差別になっている用語や表現もあり、本の中に当時の風がそのまま吹いている感じ。
    思った以上に口が悪くて笑えた。

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    2023年04月12日
  • 楡家の人びと 第二部

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    シナ事変から太平洋戦争開戦と時代は楡家の人びとを押し流して行く。昭和初期の精神史を読むようだ。特に楡俊一の友人で空母瑞鶴に乗った軍医の語る開戦までの経緯は迫力がある。

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    2023年02月22日
  • 楡家の人びと 第三部

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    作中で経過した30年弱を、最後にずっしりと実感できる構造でしんみりした。
    第三部は戦争文学と言っても差し支えないシビアな内容だったが、時代と国のうねりに飲まれる市井の年代記として、迫力と厚みを加える内容だったと思う。時間を費やすに足る大作。

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    2023年02月10日
  • 楡家の人びと 第二部

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    昭和元年〜第二次世界大戦までを記録。
    終盤近くの、ある楡家の友人目線による真珠湾攻撃開戦時の空気感が生々しく、良かった。
    仄かなユーモアと戦争突入前の日本の緊迫感がバランス良く、中弛みしなかった。

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    2023年02月07日
  • 楡家の人びと 第一部

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    井上ひさしの大名作『吉里吉里人』にも通ずる大群像劇。
    時代のうねりの中で当主・楡基一郎を筆頭に楡家、関係者の人生の盛衰がドラスティックに描かれる。
    ユーモアは控え目だが、作品の渦巻のようなパワーに当てられる。

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    2023年02月01日
  • どくとるマンボウ医局記 新版

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    マンボウの由来が丁寧に書かれていて面白いです
    ところどころで支離滅裂に感じますが、内容と合っているので
    より楽しめました

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    2023年01月07日
  • どくとるマンボウ航海記

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    タイトルは知っていたけど読んでなかった本。

    知らないところに旅したい気持ちはいつもあるけど、実行に移すまではなかなか。

    そんな私にとって、読みながらあちこち旅してる気持ちになれ、スキマ時間や疲れているときに少しずつ読んで楽しめました。

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    2022年12月26日
  • 楡家の人びと 第三部

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    平和だった大正時代から震災、戦争へ。戦艦、南の島、中国で戦争した人々、東京で被災した人々、疎開先で過ごした人々。どれも実際に体験したのかと思うようなリアリティで書かれている。当時の様子を知ることができるのも貴重であるし、長い物語を通してすっかり馴染みとなった人物たちがどう考えどう行動しどうなっていったのかも興味深かった。

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    2022年09月12日