北杜夫のレビュー一覧
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マンボウ氏の青春期。「どくとるマンボウ」は高校生の時に読もうと思って挫折した記憶があって、ちょっと倦厭していたんだけれども。もったいなかった。早く読んでおけば良かった。
青春を終戦期で送ったマンボウ氏。日本中で思想が根本から覆り、休止していた学業が再び動き出した時代。帝国主義を取り壊し、新たな日本として一歩を踏み出した時期とはいえ、動き出したのは国のシステムばかり。若者の実情はまだまだ空腹と憂鬱に支配されていた時代。その中で若き医学生が何を思ってきたのか、マンボウ氏独特のユーモアとともに描かれる。
グッとくる名言が多く、それでいて文体は軽やか。心の栄養剤として手元に置いておきたい本です。 -
Posted by ブクログ
北杜夫先生の旅行記です
何十年かぶりの再読
私には「先生」とういう呼称を付ける作家さんが二人いて、それは北杜夫先生と星新一先生なのだが、あらためて考えてみると、この「先生」には教師とか師匠という意味が無意識に込められていたのだと思われる
孔子先生とかと同じ使い方だ
ようするに人生の師ということだ
では北杜夫先生は何を教えてくれたのか?
それは「自由」とは何か?ということだったと思う
北杜夫先生の旅行記はどこまで本当か嘘かよく分からないところがある
童話もそうだ
いや童話は基本嘘の物語なのだが
本当の先に嘘があって
嘘の先に本当がある
そんな本当とも嘘とも分からない物語で気付くのは、 -
Posted by ブクログ
ネタバレ表題作、名前だけは知っていた。この作品ではないが、読むべき本として北杜夫の名前が上がっていたことから、初めて手に取ってみた。
表題作と他四つの短編で構成されている。
最初の、岩尾根にて…は、前半ただひたすら山を登っていく様子が描かれる。そこでちょっとモタモタしてて、なかなか進めてなかったんだけど、後半は1人の男との出会いから、会話が続く。夢幻のようなその出会いは、ふと能の世界にも通じるような気がしてきた。
事物の描写も大したものだけど、こういった会話でも読ませる作家なのだなと思った。
どくとるマンボウ、船乗りクプクプあたりはもしかしたら昔読んだことあるかもしれないが、内容は忘れてしまった。なん -
Posted by ブクログ
どくとるマンボウこと北杜夫の、山に関するエッセイをまとめたもの。
子供の頃から、どくとるマンボウのシリーズや北杜夫の作品を読んで、大いに人生に影響を受けた私には、なかなか面白い本であった。
様々な媒体に書かれた既出のエッセイ等をまとめたものなので、どこかで読んだようなエピソードは多く、また本書の中でも同じような話が何度も出てくるきらいはある。
本書の中だけでも重複したようなエピソードが書かれているのであるから、北杜夫ファンとしては、そこここに聞いた話が出てくる。
しかし、本書によって集められたエッセイでしか見つけられないエピソードも集められている。
これは、ファンとしては読まずにおられな