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Posted by ブクログ
基一郎没後の楡家と楡病院、そしてそれを取り巻く社会情勢が描かれる。
第一部ではどこかでたらめな人物に見えた基一郎だが、いなくなってみると、あれほどのカリスマ性と頼りがいを持つ存在はもう現れそうにない。作中では、なんとなく神格化されつつあるようにも感じた。
登場人物は多いものの、物語の軸は婿養子の徹吉に置かれているように思える。読み進めてようやく腑に落ちたが、徹吉は斎藤茂吉であり、その次男にあたる周二が北杜夫なんですよね。
徹吉・周二は楡家の内部にいながらも本来は外から入ってきた存在で、その“内からの視点”と“外からの視点”をあわせ持つ立ち位置が、この作品の独特の冷静に全体を見渡す視点を生み出しているのかな。
冒頭から予感はあったが、第二部は太平洋戦争の開戦によって幕を閉じる。
真珠湾攻撃へ向かう空母に乗り込んだ城木(周二の兄・峻一の友人)の体験談が生々しく、引き返せない一線を越えてしまう瞬間が描き出される。そのほかにも当時の出来事を挟み込む場面が多く、全体として強い臨場感を生んでいると感じた。
ラストの徹吉と周二の会話場面は、急に私小説めいた空気になっていて面白かった。
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