今野敏のレビュー一覧
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不可解な謎もない、最後の最後でのどんでん返しもない。ピッチャーに例えれば、ストレートが速いわけでもなく、変化球のキレもない。でも、読まずにはいられない。なぜなら、そこには、人間臭いドラマがあるからだ。
安積班シリーズは、1988年に書かれたという第一作目の『二重標的』から、2007年に刊行された『花水木』までの間に、実に20年近い歳月が流れています。それにも関わらず、『二重標的』を2月1日に読み終えて、今日(2月21日)『花水木』を読み終えるまで3週間、私の中では全く違和感がありませんでした。
『花水木』の巻末にある西上心太さんによる解説にを読むまで気がつかなかったのですが、舞台が東京ベイエリア分署から、一旦神南署に移り、再度、東京湾臨海署に戻ってくる間に20年もの歳月が流れ、連絡手段もポケベルから携帯電話に代わっているにも関わらず、安積、村雨、須田、黒木、桜井に速水を加えた登場人物達は、年をとっていなかったのだ。つまり、安積班シリーズは、警察小説界の『サザエさん』なのである!
これは、とても不自然なことなのにも関わらず、そうせざるを得ない理由がある。安積は、永遠に中年の警部補であり続け、読者に愛され続けるのだ。 -
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私にとっての『安積班シリーズ』の9冊目は、2005年に刊行された『隠蔽捜査』の丁度1年前になる2004年に刊行された『半夏生(はんげしょう)』だ。『安積班シリーズ』は、作品を重ねる毎に面白さが増して来ている。
東京お台場のビルの狭間で、アラブ系と思われる外国人男性が倒れているのが発見された。事件性はないと考えられたが、男性は原因不明の高熱を発し、まもなく死亡したため、海外からウィルスを持ちこんだ自爆テロの犯人である可能性が疑われた。本庁の公安部外事三課からやって来た警視 岸辺の指示で地域や道路を封鎖することになり、ベイエリア分署の警察官たちは奔走するのであった。
安積警部補の周辺を固める登場人物達の清々しい生き様と信頼関係が心地よい。気の利いた会話と、登場人物達の心の呟きが電車の中で読んでいても思わず声を出して笑ってしまいそうなほど楽しい。この『半夏生』では、後半、須田からの報告を切欠に物語が大きく動く! -
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ベイエリア分署復活後2作目に当たる『陽炎』も良かったが、3作目に当たるこの『最前線』も面白い。人間がどうすれば清々しく生きれるかを登場人物達の背中が示している。
『陽炎』も良かったけど、『最前線』も素晴らかった!何がって末國善己さんによる解説が素晴らしい!読後の感動が倍返しで蘇る。この解説を読んでしまうと、とても自分の感想・レビューを書く気になれない。それでも書いておきたい感想がある。
一つ目は、村雨と組んでいた大橋が、桜井に言ったことだ「俺が何か目立つことをやったら、ムラチョウは俺のことを半人前だと思っただろうな。刑事の仕事っていうのは、とにかくこつこつやることだ。それを教えてくれたのは、ムラチョウだ。あの人には徹底的に仕込まれたよ。だから、こんな最前線でも立派に戦える兵隊に育ててくれたというわけだ」
二つ目は、安積が初めて刑事になった時に組んだという三国俊治の言葉だ。三国は「おまえさん、いい刑事になったな。部下を見りゃわかるよ。あいつらおまえさんのことを露ほども疑っていない」と言った、安積は「そりゃそうです。私の師匠がよかったですからね」と言うのだった。 -
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『陽炎』は、ベイエリア分署復活後の2作目で安積と部下達や速水らを丁寧に描いた短編集。安積班シリーズを読み始めるのなら、この作品からが良いかもしれない。と思う作品だ。そして、この短編集の最後には表題作『陽炎』という心暖まる作品が据えられている。
この作品が刊行された2003年がどんな年だったかは忘れてしまったが、今野敏さんは、若者達にとって夢や希望が持てない社会になってしまっている。と感じていたのだろう。自暴自棄になってしまいそうな若者に、懸命に職務をまっとうしようとする安積警部補の姿はどのように映ったのか?
安積班シリーズを7作読んで来たが、この『陽炎』が一番好きだ!今野敏さんが、いわゆる刑事モノと言われているカテゴリーの文法に捉われず、書きたい物語を表現しているような気がする。
お互いに信頼し合っている仲間達の間で交わされる気の利いた台詞が心地よく、自分もこんな人間関係の職場で働きたいとすら思ってしまった。安積班と速水の活躍を見ていると現場で懸命に働く警察官の皆さんに感謝したくなる。 -
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ネタバレアラブ系の男が行き倒れ。
東京湾臨海署安積班が捜査に乗り出す。
アラブ系の男ということで、テロの疑いが濃厚な中でも原因不明の病名での行き倒れということで、バイオ・テロ疑惑が深まる。
介抱したり、接触の疑いのある人間の割り出し、追跡。お台場という一過性の強い現場での捜査は難航する。
あれやこれやの勘違いが緊迫したなかでもおかしい。
極めつけは・・・
問題の病原菌とは、警視庁のキャリア、の仕掛けた・・・
えっ? そんなこと有り?という結末。
現場を知らないキャリアというのは何を考えるのやら、という典型という終わり方。
バイオ・テロ・・・恐ろしいです。炭疽菌や天然痘やワクチンが常備されていない伝染病に自ら感染して入国するというテロ。
どれほど拡散されるのやら想像もつきません。
しかし回りまわって、また仕掛けた国に戻るという危険性もあり、恐ろしい事態の覚悟がいるのです。 -
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シリーズ3作目。2作目が待てなくてフライングだけどこっちを先に。
※シリーズ2作目であっていました。フライングじゃなかったです。
今回は中国警察部隊も登場しての、大掛かりな仕掛けに挑む。
確証が持てず何度も迷子になりそうになるが、
今野さんは一つ一つ立ち止まって確認してくれる。
今野さんの筆は、急かさないし、独りよがりに暴走しない。
逮捕劇の緊迫を経て、、、そして、読後、あったか。
マル暴の話なのにね!?
個人的に神野&岩倉が好きなので、要に登場してうれし。
諸橋がお茶を飲んでくれて、またうれし。
防波堤がやっと貸出し可になったのでやっと読めます。
雨降りなので、明日まで我慢。