今野敏のレビュー一覧
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この烈日からドラマオリジナルキャラだった水野が加わった。安積ばかりではなく、読者としても水野が安積班にどのように溶け込んで行くのかが心配だったが、彼女でなければ務まらない役割があるようだ。
『隠蔽捜査+2~3.5』が面白かったので、今年(2014年)の一月末から読みだした安積班シリーズ。Bookoffで手に入れることが出来た11冊を3週間かけて読んできたが、最後を飾る?烈日は、良い意味でドラマ向けの物語りで、是非、原作に忠実な脚本でドラマ化して欲しい作品だった!
とにかく登場人物の人間関係が清々しく、俄か安積班ファンにとってはたまらない。いつもは、安積が一人称の主人公として進む物語りが、「開花予想」では記者の友紀子、「烈日」では村雨、「白露」では桜井と一人称の主人公が入れ換わり、夫々の視点から描かれる安積のキャラクターが新鮮だ。
『隠蔽捜査』でも、妻の冴子に唐変木と言われる竜崎が、物語りの進行と共に徐々に人間的に変化してゆく姿が楽しかったが、この『烈日』でも、安積が、相手の気持ちと自分自身の気持ちに徐徐に気がつき、成長してゆく。もしかしたら、『烈日』は、安積の成長譚なのかもしれない。 -
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新しく庁舎が建てられた東京湾臨海署の刑事課に、新たな刑事が配属された。安積班にやって来たのは水野真帆という鑑識課出身の女性だった。歪に膨張した水死体を前にしても、怯む事なく捜査を進める水野。しかし、初任課で同期だった須田は彼女に対して何か思う所があるらしい。新顔の女性刑事は、安積班の一員として活躍する事が出来るのか―――(「新顔」より)。安積、村雨、桜井、そして東報新聞社会部の女性記者・山口、それぞれの物語を四季を通じて描く、安積班シリーズ、待望の文庫化。 (内容紹介より)
新顔
海南風
開花予想
烈日
逃げ水
白露
凩
厳冬
この短編集、刑事ものというより、それぞれの登場人物の思いが綴られた物語のような気がしました。
いつもこういう時どういう表現をすればいいのか悩んで、それでもわからなくて結局こう言ってしまうのですが、とってもおもしろかった。
好きです、この本。
みんななんて魅力的な人たちなんでしょうね。
安積班は強い絆で結ばれているんだなあと、あらためて思いました。
その安積班に新しく加わった水野さん。
若くて美しい女性。
元々TVドラマオリジナルのメンバーでしたが、後付(?)で小説にも登場となりました。
こんなメンバーの中で一緒に働いてみたいね。
あ、下町ロケットでも同じこと言ったっけ(笑)。 -
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不可解な謎もない、最後の最後でのどんでん返しもない。ピッチャーに例えれば、ストレートが速いわけでもなく、変化球のキレもない。でも、読まずにはいられない。なぜなら、そこには、人間臭いドラマがあるからだ。
安積班シリーズは、1988年に書かれたという第一作目の『二重標的』から、2007年に刊行された『花水木』までの間に、実に20年近い歳月が流れています。それにも関わらず、『二重標的』を2月1日に読み終えて、今日(2月21日)『花水木』を読み終えるまで3週間、私の中では全く違和感がありませんでした。
『花水木』の巻末にある西上心太さんによる解説にを読むまで気がつかなかったのですが、舞台が東京ベイエリア分署から、一旦神南署に移り、再度、東京湾臨海署に戻ってくる間に20年もの歳月が流れ、連絡手段もポケベルから携帯電話に代わっているにも関わらず、安積、村雨、須田、黒木、桜井に速水を加えた登場人物達は、年をとっていなかったのだ。つまり、安積班シリーズは、警察小説界の『サザエさん』なのである!
これは、とても不自然なことなのにも関わらず、そうせざるを得ない理由がある。安積は、永遠に中年の警部補であり続け、読者に愛され続けるのだ。 -
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私にとっての『安積班シリーズ』の9冊目は、2005年に刊行された『隠蔽捜査』の丁度1年前になる2004年に刊行された『半夏生(はんげしょう)』だ。『安積班シリーズ』は、作品を重ねる毎に面白さが増して来ている。
東京お台場のビルの狭間で、アラブ系と思われる外国人男性が倒れているのが発見された。事件性はないと考えられたが、男性は原因不明の高熱を発し、まもなく死亡したため、海外からウィルスを持ちこんだ自爆テロの犯人である可能性が疑われた。本庁の公安部外事三課からやって来た警視 岸辺の指示で地域や道路を封鎖することになり、ベイエリア分署の警察官たちは奔走するのであった。
安積警部補の周辺を固める登場人物達の清々しい生き様と信頼関係が心地よい。気の利いた会話と、登場人物達の心の呟きが電車の中で読んでいても思わず声を出して笑ってしまいそうなほど楽しい。この『半夏生』では、後半、須田からの報告を切欠に物語が大きく動く! -
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ベイエリア分署復活後2作目に当たる『陽炎』も良かったが、3作目に当たるこの『最前線』も面白い。人間がどうすれば清々しく生きれるかを登場人物達の背中が示している。
『陽炎』も良かったけど、『最前線』も素晴らかった!何がって末國善己さんによる解説が素晴らしい!読後の感動が倍返しで蘇る。この解説を読んでしまうと、とても自分の感想・レビューを書く気になれない。それでも書いておきたい感想がある。
一つ目は、村雨と組んでいた大橋が、桜井に言ったことだ「俺が何か目立つことをやったら、ムラチョウは俺のことを半人前だと思っただろうな。刑事の仕事っていうのは、とにかくこつこつやることだ。それを教えてくれたのは、ムラチョウだ。あの人には徹底的に仕込まれたよ。だから、こんな最前線でも立派に戦える兵隊に育ててくれたというわけだ」
二つ目は、安積が初めて刑事になった時に組んだという三国俊治の言葉だ。三国は「おまえさん、いい刑事になったな。部下を見りゃわかるよ。あいつらおまえさんのことを露ほども疑っていない」と言った、安積は「そりゃそうです。私の師匠がよかったですからね」と言うのだった。 -
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『陽炎』は、ベイエリア分署復活後の2作目で安積と部下達や速水らを丁寧に描いた短編集。安積班シリーズを読み始めるのなら、この作品からが良いかもしれない。と思う作品だ。そして、この短編集の最後には表題作『陽炎』という心暖まる作品が据えられている。
この作品が刊行された2003年がどんな年だったかは忘れてしまったが、今野敏さんは、若者達にとって夢や希望が持てない社会になってしまっている。と感じていたのだろう。自暴自棄になってしまいそうな若者に、懸命に職務をまっとうしようとする安積警部補の姿はどのように映ったのか?
安積班シリーズを7作読んで来たが、この『陽炎』が一番好きだ!今野敏さんが、いわゆる刑事モノと言われているカテゴリーの文法に捉われず、書きたい物語を表現しているような気がする。
お互いに信頼し合っている仲間達の間で交わされる気の利いた台詞が心地よく、自分もこんな人間関係の職場で働きたいとすら思ってしまった。安積班と速水の活躍を見ていると現場で懸命に働く警察官の皆さんに感謝したくなる。