今野敏のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
内容(「BOOK」データベースより)
強くなりたい!ブルース・リーに憧れて空手道を歩みはじめた少年今野。手作り巻藁を突き、鉄下駄代わりに父親の下駄を履いての跳び蹴り特訓。気がつけば空手塾を主宰し、指導の合間に本業をいそしむ、立派な“空手ばか”になっておりました。文壇屈指の格闘家がつづる爆笑自伝エッセイ。五月女ケイ子の豪快なイラストも満載。
人気小説家今野敏の空手との出会い、蜜月の歴史を一冊にまとめた本です。コミカルなテイストしはしているものの、実は空手への思いを皆に伝えたくてうずうずしていたのを吐き出したようでかなり読み応えあります。逆に途中で挿しこまれる担当とのやり取り部分はいらないような気がしました。淡々と思いの丈を書いて貰って、さらに濃密にして頂きたかった。
基本的に格闘技小説が好きなので、楽しんで読めたし伝統空手への誤解が自分の中で氷解しました。 -
購入済み
つかみどころのないスクープ記者
局長と現場の記者の板挟みになる進行役。
仕事熱心な警察の上役他個性的なキャラクターが多く登場。
プロットの展開には注意が必要。 -
Posted by ブクログ
「同期」シリーズ第2弾。
警視庁捜査一課の宇田川と表向きは警察を辞めた形になっている公安の蘇我の物語である。
捜査一課内ではまだまだ中堅とも言えない立場だからか、主人公であるはずの宇田川の存在感が薄い。
一方登場場面は少ないにもかかわらず蘇我の存在は大きく重い。
多くは語られていない蘇我の人となりが、逆に寡黙で捉えどころのない公安ぽさにつながっているのかもしれない。
今野さんの物語は読んでいて疲れることがない。
停滞したように見せかけてもきちんと物語は進んでいるし、何よりもキャラクターの個性が際立つ物語が多いからだろう。
宇田川にはそれほど強烈な個性はない。
だからなのか。
読んでいて「あぁ、宇田川っぽいな」と感じる場面がなかった。
蘇我の側から見た事件も読んでみたいような気がする。 -
Posted by ブクログ
STが設立される以前の物語である。
同時に、何故STが設立されたのか。その謎が物語の中に提示されている。
菊川は30歳半ば。まだ捜査一課にきて一年という駆け出し刑事だ。
三枝は同じ捜査一課の先輩刑事として登場している。
ある夜、普段の生活圏とかけ離れた場所でひとりの男が刺殺された。
目撃者の証言から、事件現場から走り去る黒っぽい上着の男が犯人として有力視される。
被害者には膨大な借金があり、返済の目処も立っていない。
性急に事件を解決しようとする鳥山検事。
集められた証拠の中から都合のいいものだけを取り出し、取調べを強行しようとする。
自白さえ取ってしまえば・・・そんな検事の思惑は現場の刑事たちを困惑させる。
菊川と組んだベテラン刑事・滝下のマイペースさに戸惑う菊川。
しかし次第に滝下が優秀な刑事だと気づいていく。
過去の出来事が影をさしているものの、滝下はけっして刑事としての本分は忘れてはいない。
検事た起訴した場合、ほとんどが裁判で有罪になるという現実。
刑事の良心と誇りをかけて、真実に迫る滝下たちの捜査が始まる。
いまどき自白にこだわるなんて、と思った。
だが、現実に起きていることを考えると笑ってもいられない。
法は確かに誰に対しても平等だろう。
けれど、その法を司る人間たちが平等とは限らないのだから。
誰もが納得する客観的で説得力のある証拠。
間違いを犯さないための、そして、捜査員も、検事も、判事も、誰もが納得する裏付け。
そのためにSTは設立された。 -
Posted by ブクログ
刑事告訴された案件の調査を開始したSTのメンバーたち。
事件かどうかもわからないが、民事裁判ではすでに無罪の判決が出ている事案だった。
鑑定医として裁判に参加していた赤城は、判決に納得しているわけではない。
調査が進む中で明らかにされる赤城の過去。
医療に情熱を燃やし、正義感にあふれ、それでいて対人恐怖症に脅えていた研修医時代。
いかにも赤城らしいエピソードが物語の中で語られている。
個性あふれる・・・というよりも、強烈な個性の持ち主ばかりが集められているのがSTだ。
それぞれに専門分野を持ち、知識と能力をいかんなく捜査に発揮する。
今回の調査でも、その能力が十二分にいかされている。
事件の真相には驚かされた。
大学病院で我が物顔にのさばっている人間もどこか壊れているとは思うが、事件の鍵を握っていた人物も壊れている。
医師とは人の命を救うのが使命ではなかったのか。
出世や名声が医療よりも優先される病院など、絶対に行きたくない。
患者は無条件に医師を信頼する。
それは真摯に病気や怪我と向き合い、専門的な知識をいかし治療してくれると信じているからだ。
医師を信じられなくなったら、患者は何を信じればいいのだろう?
物語とはいえ背筋がちょっと凍るような感じがして怖かった。 -
Posted by ブクログ
テレビ局の遊軍記者である布施は、けっして仕事熱心な記者ではない。
けれども何度もスクープをものにして実績をあげてきた。
上司である鳩村も、刑事である黒田も、布施に一晩張り付いてまわり、驚くべき人脈を目の当たりにする。
常に自然体で周囲に接している布施だったが、それが計算されたものなのか天性のものなのかは、結局ふたりにはわからない。
知り合った人たちをいつの間にか安心させ、布施が張りめぐらした網の中へと取り込んでしまう。
そして築かれたとんでもなく豊富な人脈。
それこそが布施のスクープを生み出している。
一年前に起きた猟奇殺人事件に目をつけた布施。
独自に取材を始めるが、未解決のままになっていたその事件の担当刑事が黒田だった。
以前から布施に一目置いていた黒田は、布施に協力をあおぎ事件解決へと乗り出す。
実際には刑事と記者が共に聞き込みに回るようなことはないだろうが、設定としては面白かった。
「俺は俺の仕事をした。黒田さんは黒田さんの仕事をした。それだけでしょう?」
言い切ってしまう布施は変わってはいるけれどかっこいい。
第1弾の「スクープ」よりもミステリー色が濃くなっていたし、黒田から見た布施像も描かれていてより面白く読むことができた。 -
Posted by ブクログ
刺殺現場での目撃証言から「黒い亡霊」と呼ばれている風間が容疑者として浮上する。
しかし、風間をよく知る速水は風間の犯行を否定する。
本庁から送り込まれた刑事たちと、ベイエリア分署の捜査方針の違い。
プライドなのか、自分たちの捜査に絶対の自信を持っているのか。
安曇たちの意見に耳を貸そうとはしない。
風間のキャラクターが印象的だった。
終盤で明かされる風間の環境や心境。
捉えどころのない人間だと感じていたのに、彼なりの理由がそこにはちゃんとある。
「いつの世でも、子供は大人に何かを求めている。反抗するのは、甘えなのだ。
大人は、手取り足取り教える必要はない。何かを子供に示せばいいのだ。
生きる姿勢を見せてやるだけでいい」
妙に印象に残った作品の中のこの一節。
たしかに、親にはむかったりするのは甘えもあるな・・・とあらためて気づいた。
常に上から物を言われているような感じにムカついたりはするけれど、甘えてるだけ・・・なのかもしれない。
今回は速水が大活躍をしている。
ドラマだったらW主演といった感じだ。
今野さんの物語に登場する人物たちは、どれも個性豊かで活き活きと物語の中で動きまわっている。
今野さんの作品が好きな理由は、そんなところにもあるのかもしれない。 -
Posted by ブクログ
勇気ある一般市民の協力によって逮捕されたかにみえた通り魔殺人の犯人。
現行犯逮捕という現実の前に、消えた協力者へ注意を払う人間はほとんどいなかった。
しかし、犯人として逮捕された男は拘束直後から「自分はやっていない」と否定をし続ける。
相棒として心理捜査官・紗英とともに捜査を続ける碓氷に、紗英は意外な事件の真相を告げる・・・。
人物の記号化という考え方がとても面白かった。
人は興味があるものは記憶に残りやすく、逆に自分にとって関心のないものは記憶に残りにくい。
より強烈な印象を残すものは、他のものよりも強く記憶されやすい傾向がある。
後半、「強固な象徴性」という言葉が出た時点で、犯人の次の手口がわかってしまったのは残念だった。
捜査方針を決定しなければならない場面だっただけに、必要な不可欠な展開だったとはわかるのだけれど・・・。
事件は人が集まる駅前広場で起きている。
犯人が下見をした可能性が指摘されてから、周辺の防犯カメラがチェックされる。
事件当日の防犯カメラに犯行の様子は映っていなかったのか。
用意周到な犯人のことだから、カメラの死角を狙っての犯行だったのかもしれないが。
しかし、群集がパニックになっている中でひとりだけ違う行動をしている者がいたら目立つと思うのだけれど。
プロファイリングの正確さについても、あまりにも100%の的中率だったことがかえって「えっ?」と感じてしまった。
それでもやっぱり今野さんの作品は面白い。
見かけるとつい手に取ってしまう魅力がある作家だと思う。 -
Posted by ブクログ
警察を舞台にしたドラマは多い。
そのためか、何となく縁はなくとも警察の捜査など知っているような錯覚に陥ってしまう。
けれど、公安となると話は別だ。錯覚する余地などないくらい、その内実は知られていない。
もしかしたら、同じ警察官であっても公安について正確に知っている人は一握りかもしれない。
刑事が犯人を逮捕するには証拠が必要だ。
物的証拠がない、もしくは乏しいときは、犯人しか知りえない秘密の暴露といった意味で自白が重要な位置をしめる。
一方公安は証拠にこだわらない。事実だと納得できる情報があればそれがすべてだからだ。
表舞台に出ることのない公安という組織。
私たち国民の知らないところで、国家的危機から国を守るために公安は動いているのだろうか。
それにしても第1弾に登場したヴィクトルといい、シロコフといい、人間凶器とも言えるようなプロがいるということが恐ろしい。
平和ボケと言われる日本だが、同時にスパイ天国とも言われている。
出来ればこんな恐ろしい攻防は小説の中だけに留めておいてほしいものだ。