野口悠紀雄のレビュー一覧

  • 「超」情報革命が日本経済再生の切り札になる

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    「超」情報革命が日本経済再生の切り札になる 2015/11/19


    日本の産業構造が中国と同じなら、賃金はいずれ中国並みに低下する
    2016年2月22日記述

    野口悠紀雄氏の著作。

    題名にあるように今、世界を変えつつあるUber(ウーバー)や
    Airbnb(エアビーアンドビー)、ビットコインの基礎技術であるブロックチェーン技術。
    エパゴギクス(Epagogix)という人間の脳をまねたニューラルネットワークという方法でなされる映画興行成績の予測。

    何より重要なのは米国の大手金融機関がビットコインの基礎技術であるブロックチェーン導入実験に取り組んでいる事実だ。
    証券取引所ナスダック、バークレイズ、シティバンク、UBS,BNYメロン・・・
    日本においてそのような変化に対し準備出来ている金融機関はあるのか?
    (三菱東京UFJ銀行などメガバンクはさすがに独自の仮想通貨の開発を進めていると報道があった。しかし世界を変えるような何かが出てくる予感がしないのはなぜだろう)
    各国金融機関はこのブロックチェーン技術を利用し新しいビジネスモデルを築けるかどうかしのぎを削っているのは間違いない。

    日本に求められる方向性としてこのような先進国としてのメリットを活かした新しいIT技術を活かす新しいビジネスモデルをつくる事が求められている。
    そういった新しい産業・・GoogleやAppleなどの産業のある米国経済は相変わらず強い。
    しかも30年前のプラザ合意時とは違い、為替の変動に大きく揺れることのない強い経済を作り上げたのだ。

    日本がそういった方向性を示さなければ待っているのは日本経済の中国化である。
    理由としては要素価格均等化定理がある。
    異なる国の生産技術が同じであれば、その技術を用いて生産された製品が自由貿易されることによって、貿易できない土地や労働などの生産要素の価格も国際的に均等化するという定理である。

    日本の産業構造が中国と同じなら、賃金はいずれ中国並みに低下する。
    日本と米国の間では要素価格均等化定理は働いていない。
    日米間の一人あたりGDPはむしろ広がりつつある。
    逆に米国と同じ産業構造を持てば、日本と中国の間で要素価格均等化は起きない。
    日本にとって喫緊の課題はそうした変化を実現することである。
    それによって為替レートによって大きく変動するような日本、韓国のような脆弱な経済からの脱却が可能になる。
    長期的な課題として最も重要なのは財政再建であり、社会保障制度の抜本的な見直しだ。
    しかし安倍晋三内閣は、最も重要な事には何も手をつけていない。

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    2022年01月16日
  • 戦後経済史―私たちはどこで間違えたのか

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    戦後経済史 単行本 – 2015/5/29

    経済政策に関する限り安倍晋三はアカ、社会主義者である
    2015年6月7日記述

    野口悠紀雄氏の著作。
    今回は戦後経済史と銘打っている通り経済史の本である。
    本書に登場する1940年体制という概念は戦時経済体制のことである。
    著者の1940年体制という書籍を合わせて読めば理解が深まるだろう。

    これまでの野口悠紀雄氏の著作をいくつか読んでいた身としてはまず本書の語りかける文章に驚いた。
    ただ野口氏の個人的な当時の出来事とからめて経済史が語られるという本書のつくりではむしろその方が適切であると途中から実感。
    著者自身の東京大空襲を生き延びた話、子供のころ、大蔵省に入るきっかけ
    大蔵省での仕事、留学時の話など大変興味深かった。
    当時の生活がリアルに見えてくるようでもあった。

    敗戦後の日本を統治したGHQが日本の経済については実は無知でシャウプやドッジは日本の官僚が自分たちの政策を実施するための神輿だったという指摘には意外な思いがしました。
    ただ日本の予算制度などを詳しく知らない人がいきなりきて膨大な予算案をつくれるはずはないという指摘は正しいでしょう。

    紹介したい点が数多くあります。(ただ細かい点は本書を読んでいただくことにして)

    戦時体制をつくる為に準備された1940年体制は戦後の復興、農地改革、高度経済成長、石油ショックの克服など1970年代までは有効に機能していた。
    しかしIT革命、社会主義国の崩壊並びに資本主義国への変貌、中国の工業化などによって日本経済にとっては逆風とも言える経済構造に世界が変化した。
    その変化に対応しきれていない為、日本は停滞し失われた20年となった。

    1980年代後半からのバブル経済は明らかに異常だった。
    人はボブルの渦中にいるとき、それがバブルであることを認識できないバブルが進行している最中にそれをバブルだと認めることは、非情に難しい。
    バブルだと指摘することは、もっと難しい。
    それは誰も理解してくれない、孤独な戦いです。

    自分の国に誇りを持てるのは大変重要。
    しかしそれは客観的な事物や事実に裏付けられている場合である。
    裏付けなく誇りだけが独走するのは危険。
    それは攘夷と異質排除に繋がり、進歩に対する最大の障壁になる場合が多い。

    著者の違和感の正体は「働く必要がある」という原則が成立しないこと。
    日本人が使える資源の総量が増大しない好景気は間違いなくおかしい。
    誰かが豊かになっても他の人が貧しくなる状態は長続きしない。

    介護問題や財政危機など今後の日本のために必要なのは高生産性産業。
    竹ヤリとバケツで超高齢化社会には立ち向かえない。
    現在の安倍晋三内閣の進める経済政策は企業の賃金決定過程に介入するなど市場の役割を否定している。
    日銀の独立性に否定的立場である。
    それは統制型経済、1940年体制、戦後レジームへの執着に他ならない。

    野口悠紀雄氏の論説が人気が無いのは内容が悪いからではない。
    理解できない人or理解したくない人が多いからである。
    それはバブル景気の時も今の異次元金融緩和も同様である。
    今こそ著者の真摯なる日本経済への指摘に耳を傾けよう。

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    2022年01月16日
  • 知の進化論 百科全書・グーグル・人工知能

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    知の進化論 百科全書・グーグル・人工知能 (朝日新書) 新書 – 2016/11/11

    知識のありようの変化、知識はどこから来てどこへ行く?
    2016年12月19日記述

    野口悠紀雄氏の本。
    2016年11月30日第一刷発行。
    本書の第三章~第六章の一部は週刊新潮に連載した
    「世界史を創ったビジネスモデル」の一部を基にしています。

    印象深かったのは第一章の印刷技術が登場する以前の世界は相当に今と違う。
    メモすら残さない。
    残すにしても鏡文字で記録する(レオナルド・ダ・ビンチ)などちょっと信じられない思いだ。
    教会や大学でもラテン語によって守られていた。
    ラテン語は古代ローマ帝国の文字で別にキリスト教にゆかりがあるとか聖なる文字だというのは全く関係のないことである。
    情報、知識は秘匿するものだった時代から印刷技術によって大きく公開、記録される時代への変化。
    百科全書が一般の人々の知る欲求に答えるようになったこと。
    Web、インターネットの発達による進化。
    (野口悠紀雄氏も研究室から統計書などの類が無くなったと語っている。自分の家でも百科全書など分厚い本は確かに無い)

    90年代のパソコン通信やブラウザ戦争の時代は自分もまだ幼稚園、小学生時代でそういうことがあったのだという歴史上の出来事という感覚がある。
    ただGoogleの誕生でネット検索がしやすくなったこと、Gメールの登場(日本公開2006年)youtubeなどのネット動画の普及(2006年以降)ストリートビューの登場などは自分も直接間近で目撃してきた変化だ。
    まさに革命とも呼ぶべき大変化を実感してきたのだという思い、過去との変化を実感する。

    最終章においては日本企業がハードウェア中心主義から脱却できていない事を指摘し例えば自律運転が主流になれば人工知能やビッグデータを扱える企業が事業をコントロールすることになると、日本の全産業がGoogleの支配下に入ってしまう危険性を指摘している。
    ただ失われた20年で大した変化も起きていない多くの日本企業はむしろGoogleの支配下に入った方が変わっていく機会になるのではないかと思えてしまう。
    例えば自分の勤める勤務先でも会社のメールは未だに勤務先でしか見れないしメールボックスの保管量も少ない500MBくらい?だっただろうか。
    放っておくとメールボックスが一杯ですとの連絡メールが頻繁に来るようになりいちいち不必要な昔のメールを削除しなくてはならない。
    この事を野口悠紀雄氏は過去のメールサービスの実態として本書に記載している。
    しかし大半の日本企業においては未だに現在進行系の話なのだ。
    Gメールが勤務先が導入していればこんな無意味な事をしなくて済むはずなのにという思いが時々する。
    Googleフォビアが酷いケースが多いように思う。
    労働者としてはただただ仕事がやりにくいだけだ。

    知識を増やすことは疑問の発見や好奇心を満たす為に以前として重要。
    また名前を知ること記録することが以前以上に大事になった。
    名前が分からないと検索もしにくい事は事実だ。

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    2022年01月16日
  • 1940年体制(増補版) さらば戦時経済

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    1940年体制(増補版) ―さらば戦時経済 単行本 – 2010/12/10

    日本的なるものと思い込んでいるものは実は比較的新しい
    2011年2月19日記述

    1995年に出版された1940年体制の改訂版。
    2002年にも出されているので3つ目の増補版になる。

    11章の内容を新たにしている。
    日本的なるものと戦後思ってきたものは、実は太平洋戦争への準備で出来た体制の影響が随分と大きいという事実に驚いた。
    現在の世界経済の流れの中で高度成長期には良かったそのシステムでは対応しきれない。
    新しい経済体制を作る必要がある。

    本書が初めて世に出たのは1995年。
    それから15年経つが、大きく日本は変化した。
    しかし企業の分野で40年体制が変化していないことが問題であると指摘する。
    特に労働者の企業間移動は殆ど無く、それは日本経済にとってマイナスに働いていると。

    また経営者層も大半の企業でいわゆる上がりのポストになっていることがダイナミズムを産まなくなっている原因のひとつであるとも。

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    2022年01月16日
  • 入門 AIと金融の未来

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    入門 AIと金融の未来 (PHPビジネス新書) 新書 – 2018/9/18

    日本は人口減少社会であるので特化型AIを最大限活用するべきである
    2018年10月2日記述

    野口悠紀雄氏による著作。
    2018年10月2日第1版第1刷発行

    AIやビックデータを活用する社会、金融、保険は
    どのような変化をもたらすのか方向性を解説している。
    Q&A方式で書かれていて読みやすい。
    自分の知りたい箇所からどんどん読むと良い。
    印象に残った点を列挙してみたい。
    しかし中国や北欧で進むキャッシュレス化や
    GAFAのような新興企業とは無縁な日本が
    ここから新しい流れを生み出せるのか、あまりイメージはわかない。
    ただ今起きている変化を素直な心で受け取り少しずつ始めることだろう。
    ウルトラCの解決策はどこにもない。

    AIに対してむやみに警戒をする必要はない。
    発達しているのはあくまで特化型AI(特定の仕事について、人間と同等にあるいはそれ以上に処理することができるコンピュータ)
    映画でイメージされる汎用AI(人間を超えるAI)ではない。

    日本は人口減少社会であるので特化型AIを最大限活用するべきである

    保険もAIの活用で個々人に最適な保険を提供できるようになる
    →テレマティクス保険 ビックデータの活用が大前提

    中国のキャッシュレス化の勢いは凄まじい。
    アリペイやウィーチャットペイの支払いが日本でも可能になると状況が大きく変わる可能性

    日本の高等教育は先端分野の専門家が少ない
    日本の大学学部も伝統的な産業分野に偏っており時代の変化に対応できない

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    2022年01月16日
  • 仮想通貨革命

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    仮想通貨革命---ビットコインは始まりにすぎない 単行本(ソフトカバー) – 2014/6/6

    インターネット登場に匹敵する社会変化を起こす可能性がある
    2014年9月16日記述

    野口悠紀雄さんの最新作。
    ビットコインを取り巻く現在の状況と新技術の意義について述べている。

    2014年2月に起こったビットコイン両替所であるマウントゴックスの破綻ではビットコイン=危険のような間違った認識が広がったという指摘はなるほどと思った。
    一両替所が破綻した事と通貨の破綻は違うのであると。

    むしろ中国政府はビットコインの規制に乗り出したし
    何よりビットコインは恐るべき潜在性があることを認めたのだ。

    まえがきにも書いていたのだが、ウクライナでのロシアに抵抗する人々がネット上でビットコインでの支援を求めるためにQRコードを写真で提示している。

    ギリシャなど財政破綻国家では自国通貨からビットコインに逃避する事態になった。
    このことは国が無責任な金融政策を続けようとする政府行動を制約する。
    本書P196で日本の放漫財政と国債貨幣化、日銀の独立性侵害を続ける金融政策を批判し、本当に規制と監視が必要なのはビットコインではなく国の通貨であるという指摘にはハッとさせられた。

    本書ではニュースなどでのビットコインの解説からもうワンランク上の解説が続く。
    特に国際送金の手数料を劇的に減らす事が可能であること。
    ブロックチェーンという技術によって二重払いの問題を解決した事。

    ビットコインなどの登場はかつてのインターネットが登場したのと匹敵する大きな変化をもたらす可能性があるという。
    確かに最初の頃のネットは不十分であるだけではなく
    否定的な面もよく見えたものだ。
    2000年頃の我が家でもPCはあった。
    しかし十分に活用していなかった。
    今ではネットの無い生活は考えられないほどだ。

    新しい技術はいつの時代も過小評価されがちなのだ。
    IT革命しかり、電話の登場しかり・・当初電話の重要性が分からずおもちゃとみなされた時代もあった。

    今後ビットコインをはじめとするこれらの技術が進歩し社会を大きく変化させる事だろう。
    重要なこの変化を耐えず注視していきたい。

    *ビットコインは価格変動が激しく投資には向かない。
    また仮想通貨としても唯一のものではない。
    投資やマイニングより重要なのは仮想通貨がもたらす社会の変化を正しく予測し、それに適応すること。
    最も積極的な対応は、関連事業をベンチャー企業ではじめること。
    自分で投資できないが、投資資金があるのならば関連企業に投資したら良い。
    日本に対象が無いならアメリカで探してもいい。

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    2022年01月16日
  • リープフロッグ 逆転勝ちの経済学

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    一人一人が逆転勝ちの可能性を信じて、実力を蓄えること。
    【感想と私見】
    中国の発展を語るときの視点として、海亀族がある。国外で技術を究めた人材の還流とそれを引きつけるポジションと金銭的見返りである。
    日本は古来から、亡命者、渡来人という名のお雇い外国人をもてなしながら、技術発展してきた国である。出島戦略でも良いと思う。今こそ、国を心を外に開き、交わろう。
    最後に、政治に対して関心を持って、すぐに忘れないようにしよう。選挙には必ず行って投票しよう。未来のために。

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    2022年01月10日
  • ブロックチェーン革命--分散自律型社会の出現

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    ブロックチェーン革命 分散自律型社会の出現 単行本 – 2017/1/19

    日本は否応なくこのパブリックブロックチェーン技術を最大限活用する以外に選択肢はない
    2017年7月31日記述

    野口悠紀雄氏による著作。
    2017年1月18日 1版1刷。

    野口氏は2014年に仮想通貨革命という書籍を記している。
    その時にも解説はあったのだが、そのしくみの中にある
    ブロックチェーンという技術がコアなのだ。
    それは単に仮想通貨だけではなく広い分野に革命を起こす。
    具体的には、土地登記をはじめとする公的な登記や登録への活用。
    いくつかの国ですでに実施されたり実験が行われている。
    宝石、貴金属、ブランド品などの購入履歴のトラッキングにも応用が可能。

    ブロックチェーンはIT革命の時のような非連続のイノベーションをたくさん起こす可能性がある。
    (インターネットの場合には、通信網が整備されるのに時間がかかった。ブロックチェーンは、すでに出来上がっているインターネットのネットワークを使えるので、普及のスピードはインターネットの場合より
    早い可能性がある)

    特に事務のルーチンワークを無人化出来る可能性が今以上になる。
    外国ではAIやこのブロックチェーンの人の仕事を奪う危険性について議論される事もあるようだ。
    しかし我が国日本は野口氏の著書2040年問題にも書かれているように深刻な人手不足が続く。
    結論から言えば日本は否応なくこのブロックチェーン技術を最大限活用する以外に選択肢はない。
    移民について未だに拒絶しているのだから当然、その他の手段で人手不足を解決しなければならない。
    それは製造業の製造部門、工場のアジア移転、そして事務部門へはこのブロックチェーン利用によるものだ。

    従来のITを使うのであれば、ルーチンワークを行う人手はどうしても必要だ。
    しかしブロックチェーン技術は、基本的には人手なしで運営できる仕組みだ。
    したがって人員の大幅な削減が可能になる。
    究極的には、銀行や証券会社そのものが必要なくなるかもしれない。

    ブロックチェーンは組織に頼らずに何が正しいかを立証することを可能とした。
    それが実現することにより、社会が大きく変わる。
    →インターネット登場時に期待された社会のフラット化はブロックチェーンによって実現される。

    ただしプライベートブロックチェーンという中央の管理者のいる仕組みも近年登場しつつある。
    日本でいうと三菱東京UFJ銀行が発表したMUFGコイン。
    この場合、大組織が社会を支配する構造が続く。

    もし中央銀行が仮想通貨を発行する場合は「1984年」にある悪夢のような世界が実現することになる。

    パブリックブロックチェーン
    →誰でもP2Pに参加することができる。
    信頼できない参加者が入ってくる可能性がある為、
    不正がなされる可能性がある。
    それを防止する為にPOW(プルーフオブワーク)という計算作業を課しデータの改ざんが事実上できないようにしてある。
    管理者がいないこと、改ざんが不可能なことが重要な特性だ。
    問題点はPoWの関係で取引の確認に10分程度時間がかかること。

    プライベートブロックチェーンはPoWを課していない為に取引記録確認がパブリックよりも速く行われる。
    ただし管理者が存在し管理者に対する信頼によって成立していること。
    自由主義的でオープンな仕組みとは異なる。
    開放的なシステムでは、さまざまな人や組織が関与するので技術革新が起こりやすい。
    それに対して閉鎖的なシステムでは一旦採用したシステムがそのまま続きやすい。
    長期的にはパブリックブロックチェーンが優越する可能性が高い。

    プライベートブロックチェーンはファウスト博士の契約だ(タプスコット「ブロックチェーンレボリューション」)

    中央銀行が仮想通貨を発行するとマイナス金利政策や
    経済をコントロールすることが極めて容易になる。
    また全国民の詳細なプライバシー情報を手にする事によって捜査当局や徴税当局の仕事がやりやすくなる可能性がある。
    ただしジョージ・オーウェルの描いた1984年のような世界が出現する。
    ビックブラザーは全能の独裁者であり、その権限の源は全国民の生活を仔細に観察できることだ。
    我々はこうした状況が生じることを、何としても食い止めなければならない。

    ただ野口氏の懸念とは逆に日本の当局がそこまで大それたまさに革命のような中央銀行による仮想通貨発行を行う姿がイメージできないことだ。
    企業の間でもベンチャーも少なければユニコーン企業のような有望な若い企業が出てこない。
    そのような人材も少ない国でそんな野心的な戦略を実行する人間がいるだろうか。(ある意味でそれはそれで問題なのかもしれない)

    何より人手不足の未来の日本社会ではなるだけ手間のかからないものを選んでいくべきだろう。
    それはパブリックブロックチェーンに他ならない。
    また日本の国と地方の借金は1000兆円を越え、全くまともに財政再建が進まない日本国において資本逃避する先として米ドル以外に仮想通貨があってしかるべきであろう。
    国内で使える場所がもっと増えた方が日本の
    財政破綻が起きた場合に便利であろう。

    第10章で労働者はいるけれども、経営者がいないDAOについての説明があった。
    この辺はTVでも取り上げられることが無い為か少々具体的にはイメージしにくかった。
    ただ無能な経営者に仕えるくらいならDAOで働く方が良いだろうとは思う。

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    2022年01月04日
  • 世界経済入門

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    世界経済入門 (講談社現代新書) 新書 – 2018/8/22

    日本は新しい条件に合った新しい産業構造に転換しなければならない
    2018年10月18日記述

    野口悠紀雄氏による著作。
    日本経済入門の姉妹本になる。
    2018年8月20日第1刷発行。

    現在、特に1990年代以降の世界がいかに変化してのか。
    日本人が学校で習った事の先を解説している。
    本書のコアメッセージは日本は新しい条件に合った新しい産業構造に転換しなければならないことである。

    印象に残った点を列挙してみると

    われわれは、地図を見るときに、無意識に国土の広さを見ています。
    そして国土面積が広い国は大国であると考えています。
    しかし、国土が広くても、使えない土地が多ければ無意味です。
    使える土地にどれだけの人間が住み、どのような経済活動を行っているかが重要なのです。

    1990年代以降、日本でアメリカやイギリスにおけるような産業構造の転換が進んでいないのは、日本が、内向きの閉ざされた社会になったからです。
    企業も内部者だけで共同体を組織して生き延びようとします。
    海外からの経営の拒否は、日本が衰退した大きな原因の1つです。
    海外企業による日本企業の買収を、外国に支配されることだとしてネガティブに捉えるのでなく、日本を活性化するための手がかりだとしてポジティブに捉えることが必要です。

    日本もイギリスも海に囲まれた国ですが、イギリスが世界に向かって開かれた「海洋国家」であるのに対して、日本は海によって外国から遮断された「島国」であると言わざるをえません。

    リカードの比較生産費の理論
    どの国も相対的な優位性を持つ産業に特化して、その生産物を輸出するのが良い。
    そして、相対的な優位性を持たない生産物は他国から輸入すべきだ

    実際には輸入品に対して高い関税をかけたり、あるいは直接的な輸入規制をするといったことが行われてきました。
    しかし、「そうするよりは、貿易を自由にして、その後に適切な再配分を行うほうがよい」というのが、比較生産費の理論が提言するところです。

    比較優位原則を無視して食料自給率にこだわるのは、合理性を欠く、愚かな考えです。
    つまり、自給率は低いほうがよいのです。

    日本で食料を国内生産するのは割高です。
    だから、外国から輸入すれば安くなります。
    日本人は高い食料を買わされて、その分だけ貧しくなっているのです。

    輸出制限や売り惜しみが起きると言う人もいます。しかし、そんなことをすれば真っ先に困るのは供給者です。
    アメリカ、カナダ、オーストラリアなどの農業生産者は、ビジネスとして農業生産を行っています。
    国が輸出禁止命令を出せば、農業生産者からの強い反発は必至でしょう。

    日本にとって必要なのは、TPPやFTAのような閉鎖的クラブを結成してブロック化を進めることでなく、国内既得権益集団の抵抗を排して、人材と資本の面で日本を世界に向かって開くことです。
    それは農業と人材・資本面での開国をはかるということです。
    これはFTAやTPPで行うようなことではなく、日本が自ら行うべきことです。
    これは国内の政治問題ですから、日本が一方的に自由化すればよいのです。
    農業が開国できないのは、農業や農家のためでなく、それを票田とする政治家がいるからです。
    そして、農林水産省や農協があるからです。

    2017年のビックマック価格ランキングでは、ビックマックの価格は、アメリカで5.30ドル、日本で380.00円でした。
    これらの価格が同じでなければならないとすると5.30ドル=380円
    つまり、1ドル=71.7円となります。
    2018年1月の実際のレート112円と比較すると、36%も円安ということになります。
    1つの商品だけ取り上げて「適切な」為替レートといえないことはもちろんです。
    しかし、現在の為替レートがかなり円安に偏ったものであることは、確認できます。

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    2023年06月13日
  • マネーの魔術史―支配者はなぜ「金融緩和」に魅せられるのか―(新潮選書)

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    マネーの魔術史 :支配者はなぜ「金融緩和」に魅せられるのか (新潮選書) 単行本(ソフトカバー) – 2019/5/22

    優れた為政者は、貨幣価値の向上を望む
    2019年11月4日記述

    野口悠紀雄氏による著作。
    2019年5月20日発行。
    本書は「週刊新潮」2016年31号~2017年32号、
    「フォーサイト」2017年6月1日~2018年7月6日において
    連載された「マネーの魔術史」に加筆修正をおこない、再編集したものです。

    全体を通しての感想になるが、軍資金等の無い権力者がマネーを発行しすぎてインフレに襲われるということが繰り返されてきた。
    今、日本社会ではイメージしにくいものの、マネーの発行をやり過ぎれば、私達の社会もいつでも本書で記載されたような悲劇が襲ってくるのではないか。
    もちろん、色々なモノの値段が上がっている割には
    給与が伸びていない事もあり生活が苦しい、若者の●●離れ、専門学校、大学への進学での奨学金(ローン)まみれ、これらだけでもうんざりするほどだ。
    しかし本格的なインフレーションが日本を襲えば
    とてつもない被害が出るだろう。
    少々暗澹たる気持ちになった。
    ただいつまでも「見たい現実」ばかりを見ているわけにもいかないだろう。

    通貨発行益、マネーの増発による利益は国家にとって大きい。
    Facebookの仮想通貨リブラの計画にG20で反対意見ばかり出たというのは本書を読むとさもありなんと思えた。

    印象に残った部分を列挙していくと

    マネーは何故にマネーとして機能するのか?
    →人々がそれをマネーとして認めるということだ。

    ニーアル・ファーガンは「マネーの進化史」(早川書房)の中で言う。
    「スペインの過ちは、貴金属の価値が絶対的なものだと思い込んでいたところにある。
    カネの価値は、誰かがそれにふさわしい対価を見つけて喜んで支払う時に生じる」

    自給自足で物々交換になってしまうと、交易の利益は生じなくなる。

    持ち運びの容易さ等の点で、紙幣は明らかに金属貨幣より優れている。
    しかし、製造コストが金属貨幣より遥かに低いので、増発されやすい。
    これまで見てきたように金属貨幣でも改鋳が頻繁に繰り返されたが、紙幣増発の危険はずっと大きい。
    実際、中国のどの王朝も、紙幣の発行量をコントロールできなかった。
    そして最後には制御不能なインフレーションに陥ったのだ。

    現代社会におけるマネーは、金貨でなく、中央銀行の銀行券と銀行の預金だ。
    この世界でマネーがいかに作り出されるかを、
    これまでの教科書は、次のように説明してきた。
    ある人が、銀行券を銀行に預金する。
    銀行は、その預金の一部を準備預金とし、残りを貸し出す。
    貸し出されたものは、預金となって銀行に戻ってくる。
    それが再び貸し出される。
    同様のことがさらに続き、最初の預金の数倍の預金が作り出される。
    これが「信用創造」と呼ばれる過程だ。
    ファーガソンは「マネーの進化史」で、ハーバード大学のビジネススクールでは、学生に銀行ごっこをさせることによってこの過程を再現させ、信用創造過程を教えている、と言っている。
    しかし、この説明は誤りなのだ。
    銀行は、預金が来るのを待って、その一部を貸し出すのではなく、何もないところに貸し出しを作り出す。
    貸し出しは、借り手の預金口座の残高を増やすことによって行われる。
    つまり貸し出しと預金が同時に創造される。
    現代社会におけるマネーは、コンピューターのキーのひと押しで作られるのだ。
    教科書の説明が間違いであると認められるようになったのは、比較的最近のことだ。
    イングランド銀行のサイトにある
    いくつかの論文が、これを解説している。
    また「通貨改革、アイスランドのためのより優れた通貨制度」
    (2015年3月)というレポートにも、詳しい解説がある。
    (この報告書は邦訳されており、ウェブで読むことができる)
    これまで広く信じられてきた説明が間違いだったとは、驚きだ。
    この誤りは、金融政策等に関する様々な誤解の原因にもなっている。

    エリザベスがあえて改鋳したのは、国民のことを考えたからだ。
    ポンドの価値が下がったために輸入品の価格が高くなり、イングランドの国民生活を圧迫していた。
    エリザベスは、羊毛業者の利益よりは、輸入品の価格を引き下げ、国内の物価を引き下げるのが重要と考えたのである。
    このように、優れた為政者は、貨幣価値の向上を望み、業界の反対を押し切って実行する。
    この話を、現在の日本の政策担当者に是非聞かせたい。

    経済全体にとって重要なのは、銀山を発見できたかどうかではなく、増加した銀をどのような目的に使ったかであることがわかる。
    非生産的な用途に使えば、インフレが起きるだけの結果に終わってしまう。
    しかし、それを利用して新しい経済活動を
    始めるのであれば、経済成長を実現させることができる。
    自分で採掘せずに海賊行為で略奪しても、である。

    金融的な手段では、経済の構造的問題は解決できない。
    これこそが、ローマやスペインの歴史から学ぶべき教訓だ。

    マネーの増発や金融緩和は、短期的に見れば、徴税強化のような痛みを伴わない。
    だから、何のコストも伴わずに経済が
    活性化するような錯覚に陥ってしまうのである。
    このため、政治的に選ばれやすい。
    しかし、長期的な経済体質は悪化する。
    とくに、マイナス金利を導入すれば、生産性の低い企業が生き残ったり、効率の悪い投資が行われたりする。
    だから、長期的に見た経済の体力は、確実にむしばまれるのである。

    彼(ヤコブ・マルシャック)が亡くなってから、ある人(日本人)から聞かされた話。
    マルシャックは、”Noguchi is one of best students"
    と言ってくれたそうだ(彼は、私のことをYukioではなくNoguchiと呼んでいた)。
    これは、私の最高の自慢話である。

    (第一次世界大戦後のインフレに苦しむドイツで)
    紙幣は、額面ではなく重さで計られた。
    インクを節約するために、紙幣は片面しか印刷されなくなった。
    紙幣を盗む物好きはいないので、むき出しで札束を運んでも何の問題もなかった。
    紙幣がいっぱい詰まったかごを盗んだ泥棒が紙幣を置いてかごだけを持って行った。
    薪を買いに行く代わりに、札束を燃やした。

    中央銀行の最も重要な役割は、こうしたことを阻止し、貨幣価値を維持することだ。
    しかし、戦争の遂行や復興は、貨幣価値の安定より重要な目的だと考えられたのである。
    復興の完了後、それまでの経験を踏まえて、政府の財源調達はマネーによらないことが基本方針とされた。
    これを確保するため、「財政法」第5条によって、
    日本銀行が国債を引き受けることが禁止された。
    日本の高度成長は、そうした経済環境の中で実現したのだ。
    しかし、こうしたことは、すべて忘れ去られてしまった。
    2013年に日本銀行は異次元金融緩和を開始した。
    これによって、日銀引き受けと実質的に同じことが
    行われるようになったのだ。

    現代の国家では、貨幣は完全に不換紙幣になっているので、政府による恣意的な財源調達を阻止することが、とりわけ重要だ。
    そのためには、中央銀行が政府からの独立性を保ち、
    マネーファイナンスを阻止することが必要だ。
    しかし、現実には中央銀行は政治に隷属している。
    とくに日本の場合はそうだ。
    異次元金融緩和によって市中の国債を日銀が買い上げたため、財政規律は著しく損なわれている。
    ところが、コンピュータ技術の進歩によって、新しい通貨である仮想通貨が登場した。
    これは、政府の自由にはならないマネーだ。
    仮に仮想通貨が広く使われるようになり、政府が発行する通貨を代替することになれば、政府はマネーを発行して財源を調達することができなくなる。
    政府は、数千年にわたって享受し続けてきた重要な財源調達手段を失うことになるわけだ。
    もし、そうしたことが実現すれば、世界は根本的に異なるものになるだろう。
    しかし、現状では、仮想通貨の規模はまだ小さすぎる。
    そして多くの人々は、仮想通貨をどう使うかではなく、短期的な価格変動を利用した投機にしか関心がない。
    この状況が将来どうなっていくのか、まだ見通しにくい。
    ただし、マネーの歴史がいま大きな転換点に差し掛かっていることは間違いない。

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    2021年12月24日
  • 世界史を創ったビジネスモデル(新潮選書)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    世界史を創ったビジネスモデル(新潮選書)2017/5/26

    地方分権化と市場メカニズムの活用、寛容主義が日本に必要
    2018年5月8日記述

    野口悠紀雄氏による著作。
    2017年5月25日発行。
    本書は2014年6月から2016年8月にかけて週刊新潮に
    連載した「世界史を創ったビジネスモデル」をまとめたものである。

    はじめにでも著者が指摘しているのだけれども
    それまでよく知られている歴史上の事実であっても、
    別の分野の専門家がその分野の観点で見ると、
    新しい歴史像が浮かび上がってくることを示している
    というのが本書のコンセプトだ。

    本書を読んでいて井沢元彦氏の逆説の日本史や
    磯田道史氏の著作などに通じるものがあると思った。
    それは非歴史家故に出来ることなのだろう。
    だからこそ無意味に難しくなっていないとも思えた。

    昨年ヒットした応仁の乱を書いた呉座勇一氏には
    本書のような読者を意識した文章というものを理解して
    貰いたい所ではある。

    参考になって点をあげていくと

    成功するための法則を見出すことは難しい。
    見い出せても、その応用は難しい。過去に成功した
    ビジネスモデルをそのままの形で真似ても成功するとは限らない。
    それに対して、失敗を避ける方法は、比較的容易に見出すことが出来る。
    そして、その知識は、広い応用可能性を持つ。
    失敗の原因を知り、それを避けることは、誰にでも出来る。

    多様性を否定した国や企業が失敗する例はきわめて多い。
    失敗しなくても、徐々に衰退することはほぼ間違いない。
    つまり、多様性の確保は、組織の成功にとって、ほぼ間違いなく必要条件である。
    ローマ帝国が崩壊した基本的原因は、異質なものを排除するようになったことだ。
    現代ではナチスドイツの異民族排斥政策がその典型だ。
    企業も多様性を失うと1980年代のIBMの例に見られるように衰退する。

    分権化を実現する手立ては、経済的な問題については
    市場メカニズムの活用であり、政治的には分権化である。

    カエサルが投降者を寛大に扱うことは、広く知られている。
    現に、カエサル軍にはガリア人の兵士すらいる。
    それを見れば、降伏したところで残酷な扱いは受けず
    むしろ歓迎してくれるだろうと期待できる。だから、戦局のわずかな変化をきっかけにポンペイウス軍から大量の投降が発生し総崩れになったのではないだろうか?カエサルの寛容性はポンペイウスとの戦いで決定的な重要性を持っていたことになる。

    ローマの指導者として要求される条件を繰り返せば、
    第一には兵士と市民に対して物質的な報酬を約束し、それを実行できること。
    第二には正当性を獲得することだ。しかしそれだけでは十分ではない。
    国家の理念、あるいは将来のビジョンを提供する必要がある。
    しかも空虚な絵空事ではなく、説得力のあるものを。

    人は誰も自分の能力を正しくは評価できない。

    アウグストゥスが見出したローマの新しいビジネスモデルは通商の拡大であった。

    経済活動に対して国家が干渉しなかったことだ。
    エジプトのように交易と工業を国営化し、国家の独占事業とするようなことはしなかった。

    軍事的拡大のモデルには、いつか限界が来る。
    しかし、通商の拡大というモデルには限界がない。
    空間的拡大が終わったとしても、通商の内容を充実させることが出来るからだ。

    強権的収奪モデルを長期にわたって継続するには膨大な
    軍事コストが必要であり、現実的ではないのだ。

    なぜ交易するだけで価値が生まれるのか?それは自然条件が地域によって異なるので、分業によって特定分野に特化するほうが、全体の生産が増えるからである。

    交易の利益、あるいは分業の利益とは、18世紀から19世紀にかけてアダム・スミスやデイビッド・リカードが定式化した概念である。
    リカードが言うように、分業して交換すれば、どちらも豊かになる。
    経済の繁栄は、それによってもたらされる。

    現代のドイツが他のヨーロッパ諸国を支配し搾取しているという説明は、事実とは異なる。
    それは、ローマ帝国が属州を支配したという見方と同じように、誤りだ。
    ドイツの一人勝ちだと、よく言われる。
    ドイツに貿易黒字が生じているのは事実だ。
    しかし略奪しているから生じているわけではない。
    貿易とは、言うまでもなく経済的等価交換である。
    しかも、ドイツは貿易黒字を溜め込んでいるわけでもない。
    ターゲット2と呼ばれるユーロ加盟国間の決済システムを通じて、赤字国に貸し付けているのである。

    貿易収支そのものについても、ドイツがEUから利益を得たという見方には、疑問がある。
    ドイツの貿易収支が巨額の黒字であることは事実だが、EUがなくてもそうなっていた可能性は高い。
    EUが存在するために、ドイツは農産物をフランスから輸入しなければならないという事情もある。
    しかし、もっと条件の良い輸入先が域外にある。
    だから、ドイツは世界を相手に自由貿易するほうが有利だろう。
    (関税同盟を作ることがかえって事態を悪化させるというこの効果は関税同盟の貿易阻害効果と呼ばれる)
    しかしながら、第二次大戦を引き起こしたという歴史的な責任があるのでドイツはEUを尊重せざるをえないのだ。

    日本はローマが豊かになり、そして衰退した過程を、
    それよりずっと短い時間の幅の中で再現した。
    だから、ローマがなぜ繁栄し、なぜ衰退したかを知ることが重要である。

    ビジネスモデルという観点に立つと、「何がなかったか?」は
    大変重要な問いだ。なぜなら、現代の国家にはあるがローマ帝国にはなかったものは、現代の国家にも不必要かもしれないからだ。

    ローマ帝国には(少なくとも初期においては)巨大な官僚機構が存在しなかったことだ。

    アメリカと古代ローマは、議会の名称や外観だけでなく、政治システムの基本思想において似ている。
    そして、それは偶然ではない。
    アメリカ建国の父たちが、古代ローマを意識して新しい国を設計したからだ。

    ローマとアメリカの類似性は、以上にとどまらない。
    もっとも重要な共通点は、戦争後の対外政策にある。
    それは、よく言えば「寛容主義」であり、やや否定的なニュアンスを含めて言えば、「敗北者同化主義」だ。

    ロシア兵(ソ連軍)が夕刊だったのは、ローマ兵が退役後の夢にひきつけられたのとは全く違う理由による。
    それとは正反対に、絶望と恐怖のために勇敢にならざるを得なかったのである。

    1940年初め、逃亡と戦線離脱で赤軍が崩壊しそうになったとき、NKVD「ザグラドオリャードイ」という特殊部隊が作られた
    (NKVD 内務人民委員部とは国家保安委員会KGBの前身の戦時中の呼称)
    その任務は、戦闘部隊の後方に位置し、逃亡兵を射殺すること。
    彼らは、普通の兵士が持っていない機関銃を持っていた。
    1942年7月には、命令227号により「封殺部隊」が設立されてザグラドオリャードイを補佐し、逃亡兵や突撃に後れを取る兵士を容赦なく射殺した。スターリングラードだけで数週間で1万人を超える兵士が銃殺された。兵士は、後退のほうがずっと危険だと思い知らされていたから、武器を持たず素手のままでも前進したのだ。
    また捕虜になれば、仮に帰国できてもスパイ容疑を追及され、人生は終わりになる。

    (部分的個人的感想)****************************************
    ・・・このソ連軍の実態はかつて小林よしのり氏が1998年に出した
    戦争論に中国国民党、中国共産党軍の実態として紹介していた実態と酷く酷似している。
    正直言って第二次大戦はアメリカ兵以外では戦勝国、敗戦国関係なく全員敗者だとしか言いようがない。
    誰もが不幸だとしか言えない。
    第二次大戦でソ連の異常なまでの死亡者数もこれで納得できるというものだ・・・
    ************************************************************

    しかし、恐怖によって支えられる体制を長期に継続することは出来ない。
    ソ連が70年しかもたなかったのは、当然のことだ。

    ローマの奴隷のほどんどは一生奴隷だったが、中には解放された者もいた。
    人は絶望すれば働く意欲を失うが、希望があれば苦しみに耐えられる。
    だから、働くインセンティブを与え続けるため、解放の可能性は重要な手段だった。将来の夢を与えて働かせたという意味で、軍の場合と同じメカニズムだ。しかも、主人は身近にいて、個々の奴隷の働きぶりを詳しく観察できる。
    巨大組織での勤務評価とは違って、ごまかしがきかない。

    秘密警察こそ、ソ連の中核的組織であり、そしてローマ帝国にはなかったものの典型だ。
    現代日本企業はソ連の強制収容所や集団農場とは違うし、日本の会社員は奴隷ではない。
    しかし、だからといって、以上で述べたことが現代の日本に無関係だとは言えない。
    人間が自ら進んで働くには、第一に未来への希望が必要だ。
    そして第二に、勤勉に働いたことが正しく評価される仕組みが必要だ。
    ローマにはこの2つともがあり、ソ連には2つともなかった。
    では、今の日本はどうだろうか?

    ローマの偉大さとは、制服の迅速さでも、広さでもない。
    属州の統治に成功したことだ。統治は概して属州の住民にとって善政であり、彼らの生活水準向上に寄与した。だから彼らは属州化を喜んで受け入れたのである。

    寛容主義は、最強国となるための必要条件だ。
    歴史的事例を見れば、これが正しいことは、疑問の余地が全く無い。

    現代社会での反面教師は、ナチスの劣等民族根絶政策だ。
    それは、馬鹿げたほどに高くつくものだった。
    もっとも大きなコストは、優れた技術者がドイツやハンガリーなどから
    逃げ出したことだ。彼らの多くはアメリカにわたり、
    その科学技術水準を短期間の内に飛躍的に向上させた。

    寛容政策は、受け入れる側にとっても一定の資質を必要とする。

    カエサル流戦略(寛容主義)は現代においてももちろん有効だ。
    政党や会社の中の派閥争いなどでは、相手の寛容政策に
    ひきつけられた内部崩壊が、帰趨を決める。
    有能な社員を他社から引き抜く際にも、重要な要素だろう。

    寛容政策に対する最大の敵は、国内における反対勢力なのである。
    自分たちの既得権が侵されるから反対する。

    寛容政策を取れるかどうかは、国内反対勢力との戦いだ。
    だから誰にでも実行できるものではない。

    異質なものを受け入れ、自らの中に取り入れて、国を強くすること

    異質なものと共存するのは、決して容易ではなく、常に緊張を伴う。
    だから、人々は同質なものだけで集まろうとする。
    それによって結成されるグループのメンバーは、価値観を同じくする人々であり、仲間であり、お友達だ。
    しかし、コストがあっても、なおかつ異質なものを認めることにはプラスがあり、プラスはマイナスを上回る。
    これを意識するのが、「異質性や多様性の尊重」だ。

    組織のとって異質性や多様性が必要である第一の理由は、同じ人ばかりだと「内輪の論理」「仲間内の論理」「なあなあ主義」が蔓延しやすいことだ。同質の人ばかりだと、遺伝子は劣化するのである。
    不祥事はこうした体質の企業で発生する。
    現代に日本では、東芝の不正会計、三菱自動車やスズキのデータ偽装など企業の不祥事が続いている。東芝や三菱自動車の不正は、上司の命令が絶対的で逆らえなかったから起きたと説明されている。
    しかし、これは多くの社員の協力なしには出来ないことだ。
    不祥事は、同質集団だからこそ起きる問題である。
    それを改善するために社外取締役制度を導入したが、チェックすることは出来なかった。

    第二の理由は、同じ人ばかりだと、それらの人々の既得権益保護が最優先事項となり、企業のビジネスモデルを変更できなくなることだ。
    新しい事業に着手するのは難しいし、古い事業を切り捨てるのは絶望的だ。
    このため、組織は硬直化し、衰退する。

    異質性が必要とされる第三の理由は、外的条件が大きく変化した場合異質性が、生き延びるための最終的な保険となることだ。
    最も優れたものだけを集めるのでは、保険として機能しないのである。

    時代を代表する文化は、数人の優れた創作者がいても形成できない。いかに彼らが優れていたとしても、その時代の大部分の人が権力者と同じ方向を向き、賛同し、高揚するという動きがなければ、生まれない。そうしたことが実現するのは、誠に稀有なことである。

    ローマ帝国における都市は、ほとんど完全な自治を享受していた。
    帝国の官僚機構が地方の都市の事柄に介入することは、極めて稀であった。
    このために、ローマ帝国は、広大な領域をごく少数の官僚機構で支配することができたのだ。
    ローマ帝国は、自治を行なう諸都市の連合と、その上にはめ込まれた絶対的な君主制との混合物だったのである。

    日本の地方都市は、排他的であり、地域外から移住者を迎えて成長したわけではなかった。排他的である半面で、財政的には国に依存した。
    日本の地方都市に決定的に欠けていたのは、財政的な地方分権と地方自治である。
    このために、地方都市の多くは、ローマ植民地のように発展するのではなく、個性を失って、衰退していったのだ。

    ローマ帝国が衰退した理由
    (なぜ大国は衰退するのか グレン・ハバード、ティム・ケイン)

    1ハドリアヌス帝による帝国拡大路線の放棄
    2二人のセウェルス帝による銀貨の改悪。その後の皇帝たちも、軍事費のために通貨改悪に頼った。
    3ディオクレティアヌス帝による価格統制。
    これによって市場経済が機能不全に陥った。

    もっとも、日本はトランプ発言以上に移民に対して拒絶的であり、異質のものを認めようとしない。それを考えると、われわれには、トランプ発言に対してあまり批判的なことを言う資格は無いと思われる。

    市場経済は、人々の創意を刺激し交易を促進して、経済を活性化させる。統制された経済では、人々は抑圧され、取引はヤミ市場にもぐって、経済は活力を失う。このことが、すでにローマ帝国の時代に実証されていたのである。

    スターリンがソ連に秩序をもたらした方法は、ディオクレティアヌスが
    ローマに秩序を確立したやり方と同じであって、いずれ崩壊するものだったからだ。
    ソ連はローマ帝国後期の歴史に学ぶことが出来なかったのだ。

    計画経済が何かを知るには、ソ連のアネクドート(小話)を見るのが一番よい。
    「君たちは働いたふりをしろ。われわれは給料を払ったふりをするから」
    もっと体系的にはつぎのとおり。
    「失業はないが、誰も働かない。働かないが、給料は貰う。給料は貰うが、何も買えない。何も買えないが、何でも持っている。何でも持っているが、不満だらけ。不満だらけだが、選挙では現体制に投票」

    ところが、おかしなことに、現在の日本では、政府の統制を是認する考えが強まっている。安倍晋三内閣は、官民対話と称して春闘に介入し、民間企業の賃金を引き上げようとしている。

    国は一度停滞しても復活することがあるという事実は我々を勇気づけてくれる。

    分権化と市場メカニズムの活用こそが、悪政から国家と
    経済活動を守る最も強力な手段なのである。

    企業に所属し得ない若者たちは、どこに拠り所を求めるか。
    それは、学校で教えられてきた概念である「日本国」だ。
    国が彼らを守るというのは幻想にすぎないのだが、国に対する依存が強まる。
    歴史上初めて、人々が国に帰属意識を持つようになったのだ。
    それは、外国人に対する強い警戒感と密接に結びついている。

    戦争が採算に合わないのはいつの時代にも変わらぬ真理であり、そうした考えが政策を手動する国では、軍部の暴走は起こらないのだ。

    「外に開かれた部分」に対して日本社会が関心を持ち、彼らをはぐれ者にせず、その発想を日本社会の改革に役立てられるなら日本は大きく変わるだろう。

    我々は、失敗したビジネスモデルや敗北した英雄の物語に、もっと注目しなければならない。

    企業が失敗する理由も様々だ。
    新しい技術の価値を評価せず、古いビジネスモデルに固執すること。
    異質性を排除し、同質の人々のグループになってしまうこと。
    短期的利益にとらわれて、長期的見通しを失うこと、等々。

    いまの日本では、分権的な制度が機能しておらず、
    官僚機構が肥大化している。国全体も地域も企業も、
    異質なものを排除し同じ仲間だけで集まろうとする。
    古いビジネスモデルに固執して、新しい技術の導入を怠っている。
    異常な金融緩和策で財政支出をまかない、企業は国の介入に依存するようになってきている。
    これらはきわめて深刻な兆候だ。
    しかし無視ないしは軽視されている。
    日本は歴史に学ぶことができるだろうか?

    ドナルド・トランプ米大統領は、自由な貿易を否定し、
    伝統的な製造業をアメリカに復活させることによって、
    失業した労働者に職を与えようとしている。
    そして、移民や外国人労働者に対して非寛容的な政策を取ろうとしている。
    こうした政策が失敗することは、火を見るより明らかだ。
    このような政策がアメリカを強くすることなど、決して無い。
    それは、確実にアメリカの産業力を弱めるだろう。
    トランプ米大統領の政策は、控えめにいっても時代錯誤の復古主義だが、国のビジネスモデルの基本から見ても明らかに誤りだ。

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    2021年12月11日
  • 良いデジタル化 悪いデジタル化 生産性を上げ、プライバシーを守る改革を

    Posted by ブクログ

    コロナ禍で判明した日本のDigital敗戦の総括
    野口先生らしい率直な物言い 実際の問題の根は深い
    野口先生もGAFAに対抗する産業政策の問題=時価総額と指摘
    しかし実際は日本社会の構造問題=1940年問題と繋がる発見は
    コロナ禍のお陰だが、問題の深刻さはとてつもなく深い

    2000年e-governance戦略以来何も進まず
    エストニア・台湾はDigital先進国家へ この差はなぜ
    日本の役所 ①紙②ハンコ③fax
    企業も進まないテレワーク
    →Digital化を拒む既得権益 レガシーシステム ベンダーと発注者
    Digital化の本質「分権化」 中央集権の価値観と合わない!
    ブロックチェーン 究極の分権化 日本政府は全てのdataを管理
    日本の経営者はITを理解できない 経営者がプロでない

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    2021年08月02日
  • ブロックチェーン革命--分散自律型社会の出現

    Posted by ブクログ

    ブロックチェーの技術、及び自律分散型社会を知ったきっかけとなった良著。
    今、2021年では少し古いかもしれないが、逆に当時の期待や熱狂が伝わる。

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    2021年07月04日
  • 「超」英語独学法

    Posted by ブクログ

    聞くことができれば話すこともできるようになる

    どの英語をどの程度勉強すべきか?
    正式な英語を8割抑える

    単語帳を捨てて、分解法の勉強をやめること
    →丸暗記で全体を覚える

    敵味方理論
    英語を味方だと思うこと
    →新しいものには敵とみなしがち。全員味方だと思う思考が大切

    消失、変化、連結を覚えると聞ける

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    2021年06月02日
  • ブロックチェーン革命--分散自律型社会の出現

    Posted by ブクログ

    ブロックチェーン技術の出現で何が変わるのか
    「仮想通貨」。ビットコイン。ブロックチェーン。
    一度は聞いたことがあり、興味を持ったことがあるだろう。では、これらは一体どういった代物なのか。これらの発明で一体どういった意味があるのか。説明できるだろうか。乱高下するビットコイン相場に怯えるだけで良いのだろうか。
    本書では、著者の専門であるファイナンス理論から、豊富な情報量で今どういった動きがあり、ブロックチェーン技術の何が革命的なのかを解説している。
    ビットコインの入門書などで基礎的な知識を得た後ならば、刺激的に読み進めることができる。
    今後、金融だけでなく、政治、司法、福祉など、様々な領域で革命が起きる可能性がある。これを読まずして、未来は語れない。
    キーワードは、ブロックチェーン。

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    2021年04月13日
  • 「超」独学法 AI時代の新しい働き方へ

    Posted by ブクログ

    情報社会化、AIなどのテクノロジーが生活の基盤化された時代においての、独学の重要性か伝わった。

    独学は、私たち人間のみに与えられた、知識を得る行為を楽しむものであり、資本主義社会で生き残るために必要な稼ぐ武器になり得るもので必要不可欠なものだと思った。

    検索エンジンは企業にとってはマーケティング広告など、利益を追求する場として活用されているが、消費者=ユーザーは購買心理などの無意識に行動や意識を促されていることに気づかなければ本質的な選択ができなくなぅているのかと疑問に感じた。

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    2021年03月03日
  • リープフロッグ 逆転勝ちの経済学

    Posted by ブクログ

    2021/02/24野口悠紀雄「リープフロッグ」カエル跳び
    コンパクトながら国家の盛衰論 滅び行く日本への檄 野口悠紀雄先生渾身の一書

    「成功のジレンマ」
     成功をもたらした、人材・設備・社会制度・体制は固定化・硬直化する
     産業革命後の英国 蒸気→電気 大資本 労働組合
    「Digital敗戦」コロナで判明した日本の後進性 江戸幕府の黒船と全く同じ
     情報・知識としてはあるが、全く対応できていない 小手先で抜本改革手付かず
    「企業家精神」
    「国を解体 道州制で自己責任体制を構築」 売り家と唐様で書く三代目
     借金1,000兆円を持続可能な仕組みに体制を再構築
     収支に責任を取る「道州制」に分割するしかない
     でなければ国家破綻=ハイパーインフレ・預金封鎖・資産課税・徳政令
     究極のモラルハザードは人心を荒ませて国家を蝕む
    後発国の優位性は①キャッチアップと②リープフロッグがある。
    世界のデジタル化は中国を有利な立場に変え、米国を脅かす地位にしたのは②リープフロッグである。
    中国の発展には「時代への適合」というツキが味方したのも大きい
    ①改革開放による近代化・・・社会基盤
    ②新しい情報技術の登場・・・技術基盤

    0.「Leap Flog」蛙跳び 遅れている者が逆転する ≠キャッチアップ追いつく
     衰退一途の日本の現状に一石 

    Ⅰ.中国 「電子マネー」最先端の決済システム 銀行決済システムをリープ
     米国は小切手・クレジットカード 日本は給振・口座振替・クレジットカード・ATM
     中国は「eコマース」馬雲ジャック・マー「アリババ」 インターネット+スマートフォン
     ←固定電話・大型コンピュータをLeap 巨額な投資を回避。次の世代システムへ
     「EV」への国策 ①環境問題②石油輸入削減③産業強化・・・自動車・蓄電池
     「自動運転」社会制度との適合・軋轢 道路 事故対応 法体系
     中国は時代とのタイミングが合致①改革開放・近代化②新しい情報技術

    Ⅱ.アイルランド 1人GDP78千ドル 日本39千ドルの倍
     IT企業を誘致 ①コールセンター②バックオフィス業務③高度専門業務
      ④対顧客業務センター「ハブ」⑤海外から直接投資・金融保険
     製造業をリープして「情報産業」へ 人口5百万人 →「北海道の模範」

    Ⅲ.栄光の中華史
     中国の4大発明 紙・印刷・火薬・羅針盤 ⇔ルネサンス3大発明✕
     明の永楽帝(1402-1424) 「鄭和の大航海1405-1433」朝貢貿易→鎖国へ
     中国の大航海は国家プロジェクト 皇帝の命として  
     ヨーロッパは「ベンチャービジネス」 個々人のインセンティブ
     1839年アヘン戦争 42年南京条約 1895年日清戦争 ⇒凋落へ

    Ⅳ.ヨーロッパの大航海「ベンチャービジネス構想」→新たな目標=国の活性化
     海上保険で危険分散 「レコンキスタ(国土回復)」「外洋航海技術」
     ポルトガルの時代 エンリケ王子1394-1460航海王子「インド航路の開拓」
      香辛料貿易 イスラム商人を介さず直接交易→「ビジネスモデル構想」明との違い 
      バスコ・ダ・ガマ 1498インド・カリカット到着 喜望峰経由 香辛料を持ち帰る
     スペイン イサベル女王1451-1504 1492グラナダ陥落 コロンブス支援
      南北アメリカ ポトシ銀山→①王室の浪費②軍備拡張
     オランダ 独立戦争1568-1648 フェリペ2世新教禁止
     イギリス エリザベス1世1533-1603 ドレーク海賊 無敵艦隊の撃破1588
     株式会社 イギリス東インド会社1600 オランダ東インド会社1602永続
          有限責任 リスク限定出資の範囲 分権社会vs中国専制国家
     英蘭戦争 ①1652-②1665-③1672- ⇒イギリスの覇権
     
    Ⅴ.産業革命イギリス→米国・ドイツ
     18世紀後半 産業革命 技術革新による産業・経済・社会の大変革
     1839アヘン戦争で中国撃破 1857インド反乱を制圧
     1846穀物法の廃止 自由貿易 D.リカード「比較優位の理論」正当化
     英国の黄金期 ビクトリア女王1837-1901 金本位制の時代=ポンド体制
     転換の遅れ→衰退 蒸気・ガス灯から電気 第二次産業革命は米独主導
      旧来の生産設備 人材の固執 組合保護など変革を望まない
     第二次産業革命=電気 大規模産業・・・電気・化学・鉄鋼・自動車・石油
      株式会社の活用 イギリスは1720南海泡沫事件から消極
      →鉄道事業の発展へ

    Ⅵ.新しいビジネスモデル 収益化する ①技術 ②基盤
     無線放送の収益化 個別料金ではなく「広告収入」 →無料型「フリー」
     インターネットは無料型=限界費用がゼロ
     Googleも収益化に苦しむ 「検索連動広告」オーダーメイド・マーケティング
     セグメンテーション ターゲティング プロファイリング ビッグテータ AI
     ⇒「Dataサイエンティスト」 機械学習 賢くなる パタン認識
     ビッグテータは現代の石油 「21世紀のゴールドラッシュ」
     新しいビジネスモデルこそ必要 電子マネー・手数料に群がってもダメ

    Ⅶ.日本のリープフロッグ逆転勝ち①技術②ビジネスモデル③人材=リーダーと専門家
     ショック①1人当たりGDP世界一②国際競争力一位③Digital敗戦レガシー固執④⑤
     明治維新=キャッチアップ 技術 社会制度 
     国が主導 鉄道 電信電話 官営工場 工学教育機関 公立学校 軍の学校
      ネガティブ ①中央集権 ②おごり ③政府依存
     戦後の高度成長 1940年戦時体制が効率的に機能した
     1987年 日本の1人当たりGDPは世界一
     世界の変化 ①情報通信産業 サービス業(IBM)②PCとインターネット→open分散
     強固なレガシー体制

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    2021年02月21日
  • 野口悠紀雄の経済データ分析講座―――企業の利益が増えても、なぜ賃金は上がらないのか?

    Posted by ブクログ

    1.アベノミクス検証 金融緩和・円安
    $ベースGDPは減少 世界の中の地位は低下
    2.第三次産業の低下 小売業・飲食サービス
    人口減少・廃業・ネット移行
    3.新事業取り組みの弱さ 人材・教育・企業代謝
    4.変革への取り組み弱い 茹でガエル現象
    5.Dataで検証 野口先生らしい
      IT情報産業への取り組みは起こらなかった
      野口先生の痛恨
    2020年秋 菅政権のDIGITAL庁構想
    安倍政権で全く出なかったのは?

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    2020年12月28日
  • マネーの魔術史―支配者はなぜ「金融緩和」に魅せられるのか―(新潮選書)

    Posted by ブクログ

    1.コロナショック 金融の本質を学ぶ
    「米国ドル覇権」の行方 
    トランプ政権は土俵際 うっちゃるか 押し出されるか
    「通貨のシニョリッジ」
    2.スペインの覇権 無敵艦隊 銀鉱の発見 
    フィリペⅡ 1550-1600 貨幣改悪・通貨発行増
    3.江戸幕府 小さい財政 分権国家・非軍事国家
    重商は積極 重農は堅実
    4.ローモデル 国債の貨幣化 MMT?
    不換紙幣は信頼により成立 信頼を失うと✖
    現代の金融緩和にも通じる普遍原理
    5.米国南北戦争
    国家と中央銀行で財政を分離 健全性の明確化
    中央銀行と一体はどんぶり勘定 財政破綻へ
    歴史の知恵 
    現代はその一線を踏み越えつつある
    「コロナ戦争」として支持を確保

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    2020年12月21日
  • 世界経済入門

    Posted by ブクログ

    世界レベルの知識が必要な時代 日本経済理解のためにも
    日本の地位低下と、中国の地位向上が対照をなす 製造業・輸出の役割交替
    日本は新たな戦略ポジションを見つけられないまま漂流している 戦略不在
    菅総理のもと、デジタルとグリーンが新たな戦略構想だが 掘り下げが必要
    1.GDP 1人当たり 貿易 対外純資産 成長のテコは
    2.貿易 日本の対外資産1,000兆円 米国双子の大赤字
    3.リカード「比較生産費の理論」世界的水平分業の時代→コロナで変わるか?
    4.実効為替レート
    5.アメリカ経済 高賃金の成長 低賃金労働は移民 製造業からITへ
    6.中国 投資主導40%日本20% ルイスの転換点 BAT 
    7.アジア Leap Frog
    8.EU 金融は統一 財政は独自 ターゲット2 ギリシアの救済永遠?

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    2020年12月20日