野口悠紀雄のレビュー一覧
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ネタバレ2016年2冊目は、野口悠紀雄先生の『「超」情報革命が日本経済再生の切り札になる』。
野口さんの本を読んだのは、初めてだったのですが、めちゃくちゃ参考になることだらけでした。
この本はざっくり2部構成になっていて、前半は新しいテクノロジーの話で、後半は日本経済・世界経済の構造の話。
赤ペン引きまくったのですが、あえて絞ると、この本のポイントは、下記5つかなと思います。
①AIの進化によって、発明や創造の分野にも、コンピューターが入ってくる。
②重要なのはビットコインそのものではなく、ブロックチェーン技術であり、それを用いてスマートコントラクトを自動的に遂行していくことである
③日本経済は -
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会社でブロックチェーンについて調査しておいてほしいという依頼を受けて、手に取った本。
社会的な影響についての切り口を主に期待していたが、ブロックチェーンの仕組みについても記載があり、暗号化や電子署名と、思っていた以上に情報が多く、勉強になりました。
ブロックチェーンのテクノロジーそのものについては、Webで検索をするといろいろと出てくるのですが、一冊にまとまったものとして有益でした。
仮想通貨革命という題名ですが、主になっているのは、なぜビットコインなのか?という点とその基盤テクノロジーのブロックチェーンの解説、世界中の金融機関がどう見ているか、社会的影響についてです。
ビットコインについて -
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日本の問題点と改善策を考える上で参考になる本
ふむふむ箇所は以下(本書270ページ)
・国内の人口構造の変化によって生じる新しい需要に対応することが重要。若年層人口が減少したため住宅や自動車の従来型の需要が減少したが、高齢者の人口は絶対値で見ても増加しているので、医療は介護では供給が需要に追い付いていない。医療や介護は基本的に公的保険のなかで対応しようとしているためだ。
高齢者は賃金所得などのフローの所得を持たない場合が多い。他方で資産は保有している。ところが資産が不動産の形態をとっている場合、これを流動化して消費することが難しい。そのため本来は増加すべき高齢者の消費が顕在化しない。
そのため -
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ビットコインはブロックチェーンと呼ばれる取引の記録で維持される、管理主体のない通貨だ。ビットコインは価値保存手段ではなく送金手段として捉えるべきであり、政治活動の資金集めに使われたり、或いは銀行の国際送金業務を肩代わりするとなればビットコインの価値は大きなものになる。ケニアの仮想通貨エムペサで今までできなかった経済活動も産まれ、農村の収入は上昇した。通貨の規制緩和は重要な成長戦略である。
税務署が脱税を摘発するのが困難になるので税制にも大きな影響を与え得るし、今の恣意的な金融政策をとることができる中央銀行という仕組みも超える。国債貨幣化が困難になる。DACによって経営者すら代替できる可能性があ -
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近代世界経済の歴史はこの本で網羅できてしまうバリューな一冊です
『何があって』『どこ(国・地域)が』『どうなって』『現在こうなった』が簡潔にまとめられているのでわかりやすい
変わった世界について
各章・各項で細かく解説されていてすべてが深く確信をついた考察ですべての章で数冊分の良書を読みきった充実度があります
変わらない日本について
なぜ米国が発端となったリーマンショックで最大の下落率だったのが日本となったのか
その構造的な問題と先送りしたまま変われない日本について言及されています
知識として世界の経済がどのような情勢であるのかはニュースや経済番組でも伝えられているがそこに至ってい -
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ものづくりに関わっているものにとって、気になっていた本です。
新興国の工場に行くと、日本式の運営方法が取り入れられている。すなわち、カイゼンや5S【整理、整頓、清潔、清掃、躾】だ。どんなに小さな工場に行っても、5Sは大きく表示されていて、日本式工場運営がグローバルスタンダードになっているのが垣間見える。
だが、これから日本の工場がどんどん海外に出て行ってしまうと、日本式工場運営の伝承が失われてしまうのではないかと思う。もしかすると、日本式工場運営を覚えた、東南アジアが次の担い手になるかもしれない。
著者はアップル、イコール水平分業の頂点として、評価しているが、日本はアップルを生む土壌はないので -
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ネタバレ*70年代
ヒト・モノは変わらないがカネ・情報は変わった
71年、ニクソンショック→ブレトン・ウッズ体制崩壊
∵敗戦国の成長
74年、オイルショック
しかし、原油と金の同時上昇により、原因はドル価値下落にある
西ドイツと日本が早期に対応できたのは通貨高
70年代の西ドイツと日本の躍進
1.戦後復興に伴い重工業を一から組成できた
2.人口成長率
3.社会制度(労使関係・大型直接金融)
また、コンピュータが一般化したことで、
全体主義に矛盾が生じる
*80年代
サッチャーとレーガンの新自由主義=民営化・規制緩和
背景的な思想:
市場を代替する資源配分メカニズムは存在しない
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実質的に今年の1冊目。その意味でなかなか年初に相応しい1冊目だったのではないかと。
震災直後の野口教授の主張、「金融政策は今の日本には機能しない。今こそ大規模な財政政策が求められる」には、前半には大いに同意ながら、後半はものすごく条件を付けないと賛同出来ないところもあったが、この本で書かれていることにはほぼ全篇に渡って同感。
それは、具体策はあまり書かれておらず、現状に対する認識と今後必要な方向性が主な内容だからかもしれないが、垂直統合モデルで強みを発揮した日本の製造業が水平分業モデルによるハードよりもソフトでの競争環境下でいかに敗退しているかの解説はその通り。これはエレクトロニクスや自動 -
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前半の70年代から90年代に至る歴史のパート、IT・金融のパート、まとめのパートに分かれている。金融のパートは金融に無縁の人にはとっつきにくい内容になっているので飛ばしてもよさそうだ。しかし、前半の歴史のパートだけでも読む価値は大いにある。
経済や指導者の変遷が現代にいたるまでどう必然性を持って推移してきたかが各国横串で解説されている。70年代のアメリカがベトナム戦争で苦しんでいる頃、イギリスは、フランスは、ドイツは、ソ連は、日本は、というように国の政治や経済が有機的につながりを持ち頭に理解を促してくれる。
なるほど、イメージとしてはアメリカの80年代というのは数々のハリウッド映画やレーガ