熊谷達也のレビュー一覧

  • 山背郷

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    大自然と人間の共存をテーマにした短編9作品。
    短編にしとくのがもったいない気がするくらい
    とれも読みごたえがあった。

    森シリーズ全巻読まねばなるまい。

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    2013年05月21日
  • 稲穂の海

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    昭和四十年代の宮城県を舞台に描かれる珠玉の短編集。いずれも懐かしく、心に訴えるものがあり、なかなか面白い作品に仕上がっている。

    『酔いどれ砲手』は牡鹿半島を舞台に廃れゆく捕鯨をユーモアを交えながら描いており、ユーモアの中に潜む哀しさが何とも言えない。

    『稲穂の海』は宮城県北を舞台に減反政策にあがらう若者の姿をユーモアを交えながら描く。

    『梅太郎』は民話を収集する大学の若手助手と語り部の婆さんを描いているが、あくまでも純粋な婆さんに対して、物事を四角四面に捉え過ぎる大学助手の姿が滑稽である。

    『屋台「徳兵衛」』は思わずホロリと来る人情話。今は見ることの無い屋台の描写が何とも言えない。

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    2013年05月04日
  • 邂逅(かいこう)の森

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    ・明治から大正・昭和へと移り変わっていく中での東北の山村の生活風景を軸に、阿仁マタギや炭鉱での生活を丹念な筆致で描き出した快作。山岳小説を期待してたけど大正物の一冊として面白く読んだ。淡々と書かれているようで実に膨大な内容が盛り込まれていて、惹きつけられて一気に読み進めた。面白かった。

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    2013年04月16日
  • 冒険の日々(小学館文庫)

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    最初、読み始めはつまらなかった。
    私は熊谷氏と同じ昭和33年仙台生まれ。読んでいるうちに昔を思い出し相槌をうっていました。いい本です。

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    2013年04月13日
  • オヤジ・エイジ・ロックンロール

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    ただの家族持ちのおっさんになって会社も大学生になった息子も妻も自分になんの関心も持っていない寂しい生活をしていた主人公が、偶然楽器店に入ってしまったところから始まるお話。

    「年をとってもくだらない人間にはならないッ」などと単純にイキってる自分には丁度いい出会いになりました。人生のイベントは偶然発生するかもしれないけど、そこで「選択」をするのは自分自身。無意味にするのも意味アリにするのも自分だから、いつでも面白くなりそうな選択をしていたいじゃないですかー。

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    2017年05月24日
  • 七夕しぐれ

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    私は作者と同い年、そして仙台生まれ仙台育ち。
    仙台市内の地名町名などを思い浮かべながら少年時代を思い出しました。

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    2012年12月15日
  • 漂泊の牙

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    東北の山奥で、謎の獣により人が喰い殺され、「オオカミだ」という噂が流れる。妻を殺された動物学者の城島が追う先にいるのは、はたして…。
    完全な動物ものではなく、半分はミステリ。それでも、日本では絶滅したはずの狼というロマンとスリリングさ、装備や動きの描写が真に迫って面白かった。

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    2012年12月06日
  • 邂逅(かいこう)の森

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    マタギの村に育ち、何の疑問もなくマタギになった男が、あることをきっかけに村を追われる。その人生を描いてます。
    特殊な世界、今とは違う時代背景が興味深く、村を追われてからもじりじりと生きていく主人公の生き様も読ませてくれた。

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    2012年11月03日
  • 邂逅(かいこう)の森

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    かなり読み応えがあり、雪山でのシーンは 思わず 迫力ありすぎて ぐったりです(笑)
    す、すごいなぁ~マタギさんって・・・

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    2013年02月11日
  • バイバイ・フォギーデイ

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    9/14

    この2012年より少し先の、でも非現実とはいえない年代と設定が良いなぁと。ツイッターとかの用語も普通に出てきて無理がない感じ。

    扱うテーマは憲法九条の改正っていうヘビーなものなんだけど、キャラの魅力とテンポの良さでサクサク読めました。

    震災の時日本にいなくて、あの揺れを体感してないのだけど、明らかにそれまでよりは世界の紛争とか自衛隊の活動とか憲法とかに興味がわいた気がする。

    主人公たちが高校生なこともあってラブもあります( ´ ▽ ` )ノ

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    2012年09月14日
  • 漂泊の牙

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    幻のニホンオオカミに関する話かと思ったら、出だしはミステリ、中盤で凶獣の正体は明らかになるが、ここから一転、謎の山間漂泊民・山窩を巡る戦後史となる。信じ難いが、一応そういう説もある様だ。話としては面白い。最後に姿を見せる7匹の…。ところで狼と言えば、和歌山と奈良の県境沿いに、古より「谷幽かにして嶺遠し因りて無果という」と説かれた果無山脈が広がっている。山低くアルピニズムとは無縁の地であるが、その山懐は果てし無く深い。山の斜面をツチノコ転がり大蛇が道を塞ぐ、夜には狼の遠吠えが聞こえると言う。未知動物の聖域。


    “ガオー”の次は“ウォー”! 2012年09月07日

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    2012年09月09日
  • 氷結の森

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    常に最善を尽くす男、矢一郎。合理的な思考を持ち、勇敢で義理堅く硬派である。恨みを買って追われていたり、それによっていろんな事件を誘発した。いろいろがなければ、彼は何を目指したのか?多分普通の暮らしがしたかったのだろう。しかし、すごい奴だ。

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    2014年06月06日
  • バイバイ・フォギーデイ

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    テーマの割りに読みやすかった!
    憲法改正の要素がなかったらたぶんちょっと軽過ぎて物足りなかったと思うので、バランスよかったと思います。
    作中に掲示板とかTwitterが普通に出てくるあたり、今時なカンジがしましたね。映画化しても面白いかも。
    初めて読んだ作家さんだったけど、ちょっと過去の作品もチェックしてみようと思います☆

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    2012年06月29日
  • 邂逅(かいこう)の森

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    ネタバレ

    マタギ×クマ。
    っていう大好きなジャンルなので前から読んでみたかった。予想に反して一人の男の波瀾万丈の半生記で読み応えたっぷり。深夜に「ちょっとだけ読み進めておこうかな~」と思って開いたら、最後までやめられず朝になっていたくらい。
    マタギ言葉とか風習とかの描写が細かくて、かなり綿密かつ専門的な調査の上で書かれた作品と思われます。それだけでも読んだ甲斐があった。あと、山での張りつめた空気がいい。東北出身の作家でないとこの空気は出せないと思う。
    しかし気になるのはこの男、下半身で生きてるんじゃあ・・・という傾向がなきにしもあらずで。とくに後半。いや決して下品とか好色とかいうわけじゃないだけど

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    2012年06月27日
  • バイバイ・フォギーデイ

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    高校生が憲法改正について話し合う場面にまずは驚きました!
    未来では実際に起こりうることなのかなとかいろいろ考えました。
    今までに読んだことのないジャンルで面白かったです(o^-^o)

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    2012年06月22日
  • 七夕しぐれ

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    いじめと差別。小学生の主人公の目を通してみる、社会の歪みの縮小版。友達を通して、真実は何なのか、正義を貫く様子は痛感に気持ちがいい。振り返れば、きっといい少年時代。

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    2012年05月22日
  • 迎え火の山

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    フィリピン出張のお供に持っていきました。僕にとっては「邂逅の森」以来の熊谷作品。これは全くジャンルが違うのですが、邂逅〜と同じく、ストーリテリングのうまさ、読ませる技術が凝縮された作品でした。さすが直木賞作家。もっと売れてもいいと思うんですが…

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    2012年05月07日
  • 漂泊の牙

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    狼好きは読めというレビューを読んで、本書を手に取ってみました。深い雪山での追跡、日本狼の存在、謎の漂白の民。どれも興味深い内容でした。

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    2012年05月06日
  • 相剋の森

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    「自然と調和して生きる」 壮大なテーマを題材にした力作。伝統的な熊狩りと野生動物の保護という視点で読者に分かりやすい形で論争を提示している。主人公は女性のライター。シンポジウムにて偶然耳にした「山は半分殺してちょうどいい」という言葉。物語が進むにつれ、意識が少しずつ氷解していく。筆者渾身のマタギ三部作の第一段。衝撃の二作目と比べても遜色ない出来。ちなみに「相剋」とは 対立・矛盾する二つのものが互いに相 手に勝とうと争うこと。なるほど納得!

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    2012年04月11日
  • 氷結の森

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    「冬は寒ければ寒いほど良い。冬に全てが凍りつけばそれだけ春や夏が素敵に思える」。九州育ちの私は全く想像がつかない氷点下の世界を物の見事に描く筆致力。大正時代の極寒の地シベリア、サハリンに生きる人々の息吹が胸に染みてくる。 モデルのいない主人公と歴史的事実を無理やり繋げている感じはするが 裏切り、人種差別、戦争、狩、革命、恋愛を通じて当時の生活習慣とともに時代に翻弄されるマタギの矜持の描写が本当にお見事!ミステリ&冒険小説だなこれは。特に真冬の旧間宮海峡を犬ぞりで渡るシーンの描写は圧巻です。作者も実際に渡ったとの事。凄い!

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    2012年02月24日