熊谷達也のレビュー一覧

  • ウエンカムイの爪

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    父の本棚から拝借。
    この数年熊の被害が毎日のようにニュースになる昨今で、思わず手に取った。
    この本が出たのは2000年。もう25年も前のこと。
    この頃から人が熊の生息地を荒らし不足する食べ物を求めて人里に現れることが課題となっていて、駆除するだけではなく、根本的な解決のために人と熊と棲み分けが必要なことや、熊が絶滅すれば、生態系の異常の現れとなることが言われていたことがわかる。今読んでも何も効果的な対策はされたなかったことがよくわかった。そして、今その絶滅がぐんと近づいていることも。。

    クマなんて絶滅しても何にも困らないという浅はかな意見をよく聞くが、それがどんな状況を示しているのか良く知ってほしい。

    人間さえ良ければ、
    自分さえ良ければ、
    本当に嫌な世の中だ。

    私が歳をとって見えてきただけなのか、世界中でモラルや他者、ここでは他の種へのリスペクトが失われているのか。


    新人賞を取ったデビュー策だったようだが、映画さながらの始まりでグッと引き込まれ、
    また、謎の能力をもつ不思議な女性の存在、魅力、場面の展開に引き込まれて2〜3時間で読み終えてしまった。
    とても平易な文章で読みやすかった。

    エンターテイメント要素の高い本として楽しむのはもちろん、クマ被害の根本理由を知り考えるきっかけのためにも、手に取ってほしい。

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    2026年05月07日
  • 希望の海 仙河海叙景

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    震災前後の東北の沿岸部の街を題材にした短編集で、各話が緩くつながりつつ話が展開されている。それぞれの話で情景が思い浮かべて、主人公の感情を感じ取りながら読めるので体感では一瞬で読み終わった。うるっとくる話もあり、自身の感情の起伏をサクッと感じやすいので、また読書疲れしたら読み返してみたい。

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    2025年08月31日
  • 海峡の鎮魂歌

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    主人公 泊敬介は函館の潜水夫。昭和9年の函館の大火事で妻子と母親を失う。昭和20年の函館の空襲で大怪我を負い、左足がやや不自由になる。そして昭和29年の洞爺丸沈没で九死に一生を得る。次から次へと災難に襲われる。
    そんな災難はなかったほうが勿論いい。けれど、振り返って見た時に、それがあったから、今の自分がこうしていられる、と気づく。
    でも、それは何もせずにいたら得られないのだと思う。

    「人と人を結びつける絆は、人生の苦難や嵐を乗り越えれば乗り越えただけ、いっそう太くて強固なものになる。ただし、その絆は、人の努力のみによって作られる。」
    と敬介の言葉にあるように。

    時に投げやりになることもある。生きていても辛いだけだと。けれど、それでも生きて行く。それはきっと1人ではないと分かっているから。何があろうと傍にいてくれる人がいるから。

    次々と敬介を襲う苦難に、そこまでしなくても、と思う。でも、だからこそ第三部「鎮魂」のラストに希望を想う。あまりにも都合良すぎる設定かもしれないけれど、現実にももしかしたら起こりうるかもしれない、と静かな感動に包まれる。
    読んで良かった。

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    2025年04月18日
  • 邂逅(かいこう)の森

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    年始の一冊目は長編を読むことにしている。

    悩んだ挙句、選んだ本書。当たりだった。

    濃厚なマタギの男の人生を描く。
    最後は壮絶。

    読んで良かった。間違いなく良書。

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    2025年04月06日
  • 漂泊の牙

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    現代に生き残るニホンオオカミを追う話、と思いきや、話の中盤でいったん山場到来。後半は山の民「サンカ」が関係するミステリー展開となっていく。

    2025年現在と比較すると、日本のスキー人口が7倍いた1990年代。東北の山奥のスキー場にもリゾート開発の波が押し寄せていた時代の話なので、感覚が狂うが、ミステリーとしては十分に面白かった。しかし、女性のキャラ設定がどうにも古臭く、男性である作者の内面の昭和時代のおじさんの感覚が滲み出てくるのが気持ち悪い。

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    2025年03月31日
  • 希望の海 仙河海叙景

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     「仙河海」は気仙沼をモデルとした架空の町で、聞き慣れない「叙景」は、自然の風景を詩文に書き表すことの意だそう。帯には〈「あの日」を描かない(10編の)連作短編集〉とあります。2016年刊行、1編追加して2025年に文庫化されました。

 様々な人々の何気ない日常は、どこにでもある暮らしです。ただこれらの震災直前の描写は、起きてしまった大災害を知る読み手にとっては、自ずと「あの日」のカウントダウンとなり、それまでの当たり前の生活が、よりかけがえのないものとして伝わり、胸に迫ります。

     連作短編は、とかく物語の深みに欠ける印象になりがちですが、本作はより多様な日常を描くこと、それぞれの短編の登場人物がとても自然に重なっていること、さらに各話をあえて完結させずに描くことで、日常の連続性が感じられますし、薄っぺらな印象をもちません。
     また、震災前の7編と震災後の3編を見事につなげ、時を巻き戻さずとも絶望から希望へ走り出すラストが感動的で秀逸でした。

     かつて気仙沼で中学教師だった著者には、かつての何気ない日常、そこに暮らす人々、豊かな海が脳裏に焼き付いているのでしょう。この「仙河海」を舞台としたシリーズが現在8作。書き続けることに大きな意義があるのですね。

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    2025年03月05日
  • エスケープ・トレイン

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    ネタバレ

    梶山浩介
    エルソレイユ仙台に電撃加入する。長年ヨーロッパで活躍し、ツール・ド・フランスにも出場したレジェンド。

    佐久間美佳
    八年前、梶山が「ツール・ド・フランス」に出場した時から応援に来ている。ワインのネット通販会社「ヴィーノ・デル・ソル」を経営している。エルソレイユ仙台の新たなメインスポンサー。

    ドミニク
    監督。

    アラン・ルロワ
    昨年まで梶山と同じチームで走っていた。

    三橋
    エルソレイユ所属。チーム発足の翌年、他チームから移籍してきた。二十八歳。

    佐山
    エルソレイユ所属。二十八歳。クライマー。契約更改にならなかった。群馬ギャラクティカに移籍。

    小林湊人
    エルソレイユ仙台所属。二十三歳。下部育成チームのソレイユ仙台からメンバーになった。

    葛西
    エルソレイユ仙台のゼネラルマネージャー。

    高畑和哉
    エルソレイユ仙台のキャプテン。

    藤浦
    エルソレイユ仙台所属。発足時からのメンバーベルマシーヌのメカニックとして働く。三十四歳。契約更改にならなかった。

    小野寺悠
    エルソレイユ仙台所属。湊人と同時にチームに加入。二十三歳。将来のエースとしての有望株。

    桜井千秋
    エルソレイユ仙台所属。他チームから移籍してきた。三十歳。

    原田
    エルソレイユ仙台所属。二十五歳。四年前にソレイユ仙台から昇格してメンバーとなった。

    澤井
    エルソレイユ仙台のチーム監督。

    岡島陸
    エルソレイユ仙台に加入することになった新人。ソレイユ仙台からの加入。

    佐久間瑞葉
    佐久間美佳の娘。アシスタントマネージャーとして葛西の補佐役をする。二十五歳。

    須藤
    エルソレイユ仙台のメカニック。サイクルショップ「ベルマシーヌ」の社長。

    山下
    エルソレイユ仙台のチームマッサー。整骨院の院長先生。

    成田
    宇都宮ブラウヒンメルのエース。

    田辺
    国内の企業系コンチネンタルチーム、ヤマノレーシングのエース。

    岡田
    宇都宮ブラウヒンメルの若手。

    山岸
    多摩レーシング。全日本選手権タイムトライアルだチャンピオンになったことがある。

    ナバーロ
    企業系チーム「パワード・バイ・ステルス」所属のスペイン人。

    川本
    インターテクニカサイクリングのエース。

    大江田
    パワード・バイ・ステルスのベテラン。四年前の全日本で逃げ切り優勝を決めた。

    光岡
    チーム999。

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    2024年09月11日
  • 邂逅(かいこう)の森

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    感想を書くにあたり便利な言葉がある

    「凄い」だ!

    この作品は凄い!
    (小学生の読書感想文か)


    もうひとつ高度な言葉を使ってみよう

    「圧巻」だ!

    この作品は圧巻だ!
    (中学生の読書感想文になりました)


    もっとわかりやすく言ってみようか

    「めっちゃスゲェー」だ!

    この作品めっちゃスゲェー!
    (大人な感想文になりました)


    とにかくこれだけで『邂逅の森』が素晴らしい作品ということは伝わるでしょ!


    マタギとして生きる男の人生、女とのチョメチョメ、そして熊との死闘を描いた物語
    詳しくは他の人のレビューを参考に!


    で、私もこれから実践してみようと思います
    仕事でもしもの時は、妻のことを思おう、、、
    帰って、妻の手を握りたいと思おう、、、
    そしたら、必ず力が湧いて出てくるはずだ

    っーか、オメェの仕事は命の危険をかけた仕事ではないやろー
    ( ゚∀゚)・∵. グハッ!!
    そもそも、妻は手を握らせてくれないだろー
    ( ゚∀゚)・∵. グハッ!!

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    2024年09月07日
  • 邂逅(かいこう)の森

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    熊谷達也の邂逅の森を読みました。
    舞台は秋田、マタギの主人公は夜這いして地主の娘と出来てしまい発覚して鉱山に送られます。
    今はまた大らかになった感じがしますが、昔は大らかだったんだなと。
    マタギの生活もわかり面白かったです。

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    2024年06月26日
  • 邂逅(かいこう)の森

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    厚みよりも長い長い物語を読んだ感じ。
    くま小説だと思って読み始めたけど、富治の生涯の話だった。面白かった!
    最後の熊との戦いはキツかったー

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    2024年04月12日
  • まほろばの疾風

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    ミュージカル『刀剣乱舞』 〜陸奥一蓮〜 を観に行くにあたって、蝦夷の文化や関連の歴史に一度触れておきたくて読んでみたところ、足がかりとしてちょうど良さそうだった。

    蝦夷の文化・習俗についてが、信心深くない現代の日本人の目線から見ても噛み砕きやすいくらい理性的に描かれていて、大和側の歴史の動きも最低限振れているので自分の中での時代勘の同期もとりやすかった。

    こういった歴史上の人物や土着信仰を持つ人々を描く本に対しては、今まで、少年漫画の主人公によく見られるような、良い面ではアツく、悪い面では考えなしな人物像の主人公が書かれるイメージがあった。私自身はそのような人柄だと感情移入しにくいので少し警戒していたのだが、少なくとも本作のアテルイは、狩猟の民としての冷静さ・判断力が存分に描かれていて、自分の知らない慣習との橋渡しになってくれる。

    また、そもそもアテルイたち蝦夷の人々を理性的に描くことこそ、彼らを偏見なく見ることなのだなというのを、文字でなく実感させてくれたように思う。昔の、自然と暮らした民の話だから直情的な主人公かもしれない――という気持ち自体も偏見のひとつだったなと自省した(振り返って自分の心配を分析してみれば本の描写に対するものだったとはいえ、読む前はそこまで細かく区別して意識していなかったので、大差ないことだと思う)。

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    2024年03月10日
  • 漂泊の牙

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    雪山にて追う人間と、その対象である動物との緊迫感はすごかった!

    MAN WITH A MISSIONが好きで狼が出てくるから購入。

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    2023年12月03日
  • オヤジ・エイジ・ロックンロール

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    黒沢巧也
    五十歳を目前にしてエレキギターを購入する。高校生の頃、ギター小僧だった。地元仙台ではそこそこ大きな印刷会社に勤務。第二企画室長。G大五大バンドのひとつ「パープル、ヘッド」に所属していた。

    妙子
    巧也の妻。

    大輔
    巧也の一人息子。大学二年生。ベースをやっている。

    杉本亜紀
    巧也の部下のひとり。入社五年目の若手デザイナー。アッちゃん。

    小畑亮二
    巧也の部下。昨年秋に結婚したばかり。

    菅野多希子
    入社十二年目の中堅社員。タッキー。

    斎藤
    ギターショップ『ROCK GARAGE』の長髪プラス金メッシュの店員。巧也のバンドのサイドギターを引き受ける。

    奥山
    ギターショップ『ROCK GARAGE』のリペアマン。

    関本康弘
    室長代理で比較的外回りが多い。

    澤口
    巧也が大学時代にバンドを組んでいた。自分以外で唯一バンドに残ったメンバー。キーボード。

    高橋薫
    巧也が大学時代に顔だけよくは知っているが、学部が違うためほとんど会話をしたことのない女子学生。G大の五大バンドのひとつ「オレンジ・ブルー」の女性ボーカル。

    堀越
    「オレンジ・ブルー」の新メンバー。ドラム。昨年度まで「アイアン・クロウ」に所属していた。

    八嶋
    「オレンジ・ブルー」の新メンバー。キーボード。昨年度まで「サザンクロス・ベイビーズ」に所属していた。

    成田
    オレンジ・ブルーのオリジナルメンバー。ベース。広告代理店の社長。巧也のバンドのベースを引き受ける。

    宮本
    仙台のライブハウス「パークハウス」のオーナー。

    門脇
    レコード会社のプロデューサー。

    松本隆志
    あっチャンのお父さん。巧也のバンドのドラムを引き受けてくれる。スキンヘッドの杉本。

    沙織
    巧也のバンドのボーカルを引き受ける。

    武田
    ギターショップ『ROCK GARAGE』のベース担当。

    柳沢
    拓也の会社の常務。

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    2023年06月27日
  • 我は景祐―幕末仙台流星伝―(新潮文庫)

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    私は新撰組が好きで維新志士が大嫌いです。

    新撰組◎
    薩摩△
    長州×
    勝海舟××
    一橋慶喜×
    西郷隆盛△
    松平容保○
    坂本龍馬××
    桂小五郎×
    高杉晋作×
    榎本武揚△
    吉田松陰××

    軍事クーデターにより政権を転覆させた薩摩と長州の武力は、江戸城無血開城という肩透かしを受けて、行き場を失った凶刃の矛先が北に向けられる事となる!!!
    会津と仙台を中心とした奥羽列藩同盟の発足から戊辰戦争へと物語は進んでいくが、今まで全く注目されなかった実在の人物(Wikipediaを書くなら今のうちです!)若生文十郎を主人公として歴史の流れと官吏の葛藤が描かれる!!!

    宮城県が舞台になっているので、宮城県人は読んだ方が良いです!知ってる地名が出るとワクワクします!!!

    星は地元なので一個プラスにしておきました!

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    2023年06月11日
  • エスケープ・トレイン

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    暑苦しいスポーツのお話ではないのがとても良かった。ロードバイクに乗り始めたばかりでこの本に出会い自転車のことや競技のことなどたくさん知ることができて、読み終えたらもっともっとロードバイクに乗りたい、レースを観てみたいという気持ちになった。実際に宮城にあるお店やサイクリングコースなどが出てきておもしろかった。

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    2023年08月31日
  • 調律師

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     本書を読みながら、宮下奈都さんの『羊と鋼の森』(ピアノ調律師の青年の成長物語 2016年本屋大賞受賞作)を思い出していました。
     本書の単行本は2013年刊なので、『羊と鋼の森』より少し前ということになりますね。

     7話からなる連作短編集で、ピアノ調律師・鳴瀬の再生の物語です。
     元ピアニストの鳴瀬は、10年前、事故により妻とピアニストとしての将来を失い、以来、音から匂いを感じ取る「嗅聴」という共感覚を得ています。
     連続する作中、異なる状況下での微妙な音や匂いの繊細さが上手く表現されています。
     鳴瀬は、亡き妻がもっていた「嗅聴」と調律の仕事を辿ることになります。様々なピアノ・依頼主と出会いながら自分と向き合い、少しずつ〝妻の幻影からの解放〟に向かうはずでしたが‥。

     執筆(連載)中に東日本大震災が発生し、仙台在住の著者は、途中中断しながらも、第6話から物語を転調することにしたようです。個人的には、震災を物語に取り込むことが、「唐突」ではなく「必然」だったのだろうと思います。

     余韻の残る、不思議ととても清々しい読後感でした。暗い印象になりがちな物語に、義理妹の存在が健気で可愛らしく、救われる思いがしました。不謹慎かもですが、ある意味〝胸キュン〟の側面もあり、震災云々を抜きにしても良質の物語だとおすすめできます。

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    2023年03月05日
  • 明日へのペダル

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    コロナ禍を背景に、50代半ばの主人公がロードバイクに挑戦する物語。

    主人公は健康診断で脂質異常をD判定と診断された本間優一。
    体質改善を考え会社の部下に勧められたロードバイクを始める事を決意する。

    自転車ショップ「ベルマシーヌ」の場面だけで、その情景が目に浮かんで来る。

    ロードバイクの師匠・水野唯との初ライドから、一人で百キロライドまで、めきめきと上達していく姿はこちらまで風を感じて爽快だ。

    会社の業績不振やリストラ、様々な問題が勃発しても誠実でポジティブな主人公に元気を貰えた。

    何歳になっても新しい扉は開けられる。

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    2023年02月18日
  • 孤立宇宙

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    小惑星が地球に激突するというので外宇宙に向けてテラフォーミングを目的として旅立つもの、またシェルターを作り生き残りを賭けるもの、そして意識をサイバースペースに移して生きていくもの、様々な人間模様を描き出すポストアポカリプスなSF小説。
    普段SFってあんまり読まないのでたまに読むと新鮮でとても楽しい。設定としてはがっつりとしたSFでありながらも結構生々しい人間ドラマがまたリアルでいいですね。技術はSFでも結局は人間が使うものだしねえ。
    「死」という概念が非常にあやふやな感じが興味深い。意識はデータであって、消失してもバックアップから理リロードするし、肉体は凍結保存されていてもなくなったらなくなったでクローン作れば・・・という。登場人物たちもそれを当然としてやっているのがある意味不気味にも思えました。遠い将来にそんな未来が・・・いやどうなんだろうな。
    読み応えもたっぷりで満足の一冊でした。

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    2023年01月05日
  • 孤立宇宙

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    ネタバレ

     蓮と彩音の物語、そして、レンとアヤネ、ミク、ユイのストーリー。
     電脳空間、宇宙空間で肉体を離れて存在する意識、なかんずく人間たちの物語。


    (内容紹介)
     小惑星の衝突で地殻、気象ほかあらゆる環境が破壊され、生存の危機に陥った人類は、他の星への移住を目指すものと世界各地のシェルターで生き残りをはかるものとにわかれた。
     さらに、肉体のくびきから離れ、意識のサイバースペースへの移行が可能になった世界は、分断と孤立の中にあった。

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    2022年12月28日
  • 明日へのペダル

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    170これまで少なからず情緒的な部分が強調されがちなところが目立ったが、大きな組織と小さな集団との対比から始まって、家族の向き合い方や自分にない才能への気付きなど、面白くあっという間に読んだ。お仕事小説もいけますねえ。

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    2022年12月21日