熊谷達也のレビュー一覧

  • 迎え火の山

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    この人の作品はどれも熱い。
    日本の原風景という言葉の似合う作品が多い。
    今回は少し、高橋克彦テイストだが。

    改めて、古代の呪術がなぜ、ここまで生活とつながっていたのか、腑に落ちる思いだ。

    好みもあるだろうが、自分には、この人の作品はどれも、
    単なるエンタメではなく、ミステリの範疇には入らないような奥の深さがある。

    この作品、ミステリとはいえないだろうなぁ。
    ストーリーだけ追えば、結末はあまりにも陳腐かと(苦笑)
    そこを求めちゃいけない(笑)

    リーダビリティは抜群!
    一気読みしたくなる。
    この文章の強さは相変わらずで素晴らしい。

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    2014年10月11日
  • 氷結の森

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    マタギ三部作の3作目。元猟師で日露戦争従軍兵だった男の逃亡劇と女たちとのロマンスを描いたハードボイルド。三部作のなかで最もカッコいいマタギが、ゴルゴ13ばりのライフルさばきを見せる。おすすめ。
    舞台は異なるが、映画『八甲田山』を先に見ておくと物語のイメージがグッと深まります。
    しかし、これも映画化されたらおもしろそうだが、現在日本の近辺諸国(ロシア、中国、韓国、北朝鮮)との情勢を考えると難しいかな。

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    2014年09月13日
  • 相剋の森

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    マタギ三部作の1作目。現在を生きる熊追い人たちの話。マタギの男性とジャーナリストの女性の視点と立場で、それぞれの仕事と生活の有り様から現在を生きていく難しさが描かれる。おすすめ。
    尚、第2作は直木賞受賞の『邂逅の森』、第3作は『氷結の森』であるが、ストーリーのつながりはない。

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    2014年09月13日
  • 稲穂の海

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    昭和40年代の宮城県に住む人々の暮らしぶりを描いた短編集。

    方言使いで書かれているものもあり、非常に情緒豊か。
    昔話『梅太郎』が良かったな。

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    2014年06月05日
  • 漂泊の牙

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    入院中に読みました。暇でしょうがない入院生活の中で一気に読んでしまいました。主人公が犯人の生き物に憎しみをぶつける訳ではなく、そのような生き物を造った人間に復讐をするというところが良かったです。

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    2014年03月18日
  • ウエンカムイの爪

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    「名前が熊谷だからクマから入りたかったんです!」
    という氏のデビュー作です(言ってません)。なんか
    テンポのいい熊谷作品て不思議な感覚ですね。

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    2013年08月29日
  • ウエンカムイの爪

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    「ヒグマと人間」は私の好きなテーマ。つまりは人間にとっての神、人間にとっての恐れるべき存在というもの。ただつくりとしては単調。新人っぽいともいえるが。「邂逅の森」を書いた重厚な熊谷達也とは思えないほどの軽さ。もうちょっと主人公及び准教授の内面を描くべきだ。一方でどうでもいい大学生たちの描写が細かかったり。

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    2013年07月23日
  • 漂泊の牙

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    3.5点
    もっと、動物と自然の冒険小説を期待してなので、う〜ん、
    前半は面白かったが、後半は無理がある。

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    2013年06月14日
  • 相剋の森

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    獣道も人の道も険しい。

    (以下抜粋。○:完全抜粋、●:簡略抜粋)
    ○本当に俺らが必要としているものは物質的なもんじゃねえ。(P.396)

    ○バーチャルな世界に慣らされた現代人の愚かな部分である。
     テレビが映す映像にすっかり飼いならされていると言ってしまってよいかもしれない。(P.478)

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    2013年05月12日
  • 相剋の森

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    秋田に行くのに面白い東北が舞台の小説を探していたら、邂逅の森というのがあり、その小説と3部作でこれが1作目、とあったので、読んでみた。

    マタギを通して自然との共生について考えさせられ、面白く読めたが、恋愛模様はいらないのでは、といまいち読ませる内容でなかったのと、祖先へのオマージュといったくだりが物語全体からは浮いているようでちょっと不思議な感じ。
    (3部作の2作目を読むといろいろと謎が解けるようになってた)

    現代でも行われている猟やそれを取り巻く環境についてなど、勉強になりました。

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    2013年04月30日
  • 稲穂の海

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    昭和40年代を舞台にした短編集です。
    熊谷さんといえば東北、自然、動物、マタギなんてキーワードが浮かびます。この作品は東北を舞台としているものの、人情ものというのが相応しそうです。
    衰退する捕鯨の砲手を描いた「酔いどれ砲手」、米の減反政策に翻弄される農民を描く「稲穂の海」、民話の語り部を主人公にする「梅太郎」、屋台の親父の幸せを描いた「屋台「徳兵衛」」、スバル360との不思議な邂逅の物語「てんとう虫の遍歴」、畜産農家の悲喜の「桃子」、ちょっとスタンドバイミーを思わせる「星空を見ていた夜」、不思議な「団塊の世代」。
    高度成長期の貧しさからの脱却の時期、どこか希望に溢れ、ノスタルジックで、暖かい。

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    2016年06月19日
  • モビィ・ドール

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     主人公はイルカの研究者として、NPO法人鯨類鳴音研究所に所属する女性。新しくやってきたダイバーがひどくクセのある性格で、最初は喧嘩ばかりしていたのだが……
     恋愛小説としては主人公にあまり共感できなくて、特に大きく心揺さぶられることもなく読み終えてしまったのだけれど、海洋小説としては非常に楽しく読みました。イルカやシャチの生態、行動と文化、彼らを取り巻く状況。
     前にアンソロジーで読んだ、同じ方の東北の漁師を主人公にした短編が非常に印象深かったので、この方はぼちぼち何作か追いかけてみようかなと考えています。

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    2013年03月12日
  • バイバイ・フォギーデイ

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    霧だらけの毎日に、さようなら

    恋愛小説としては、とても普通な物語(笑)
    ただ、憲法改正の話が絡んできておもしかった!
    高校生があんなに真剣に政治と向き合う世界はいいですねー

    最後のデレデレヒロインもかわいかったなー


    タイトルが気に入ったので☆3つ!

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    2013年02月02日
  • 群青に沈め

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    現代が舞台の小説を読んでいるような感じでした。
    文章の感じと主人公の気持ちの揺れ動き方が。

    伏龍隊というものの存在を私は初めて知りました。
    読みやすい文章だし、そういった意味で、若い子向けにはよいきっかけ?になる本かなあって思いました。

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    2013年02月01日
  • 氷結の森

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    ヒーローは死なない。

    (以下抜粋。○:完全抜粋、●:簡略抜粋)
    ○必要以上に獣を獲りすぎてはならない。(P.204)

    ○敵側の人間と見れば、民間人の女を見境なく犯す。
     子どもまで平気で殺す。
     普段の大人しいきみたちからは、想像もつかない豹変ぶりだと思うのだが。(P.379)

    ○銃を撃つときだけは見える。(P.469)

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    2012年12月02日
  • ウエンカムイの爪

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    著者名が記されていなければ『山背郷』と同じ作家だとはわからなかっただろう。直木賞作家・熊谷達也氏の処女作。ストーリー展開等さほど気に掛けず、東北という風土の断面を無作為に抜き取って、無造作に並べた様な構成であるにも拘わらず、限りなく魅力的であった『山背郷』に比べ、本作は全く以て普通の文体である。まあ、その分、非常に読み易く数時間で読み終えた。羆版『サンダ対ガイラ』みたいな話。古く遡れば『海彦山彦』のテーマか?二本足で立ち上がって咆哮する、ウェンカムイらしい金毛羆を描いたイラスト(写真?)が結構お気に入り。

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    2012年10月19日
  • バイバイ・フォギーデイ

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    女の子が絵に描いたような子で、そこだけちょっとなんだか…だったけど、おもしろかったかな。
    結論も無理がなかった。

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    2012年10月15日
  • 邂逅(かいこう)の森

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    読むのにとても苦労した。
    なにより主人公の富治に共感できなかったからだろう。
    だが、それでいいのだと思う。
    この時代だからこそ、男性だからこその考え方なのだろうと感じたし、作中でも彼は「馬鹿」と何度も言われているシーンがあって、少しすっきりしたから、というのもある。

    ただ、こういう本は苦手だ。
    性表現が多く、自然・野生の厳しさを感じるシーンも多い。
    それはきっとこの本には必要なことで、だからこそ大きな賞を受賞したのだろうと納得できるのだが、そういうものが苦手な私には辛く、苦しかった。

    こういう作品に素直に感動できるようになるには、まだまだ経験値が足りないのだろう。

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    2012年10月12日
  • ウエンカムイの爪

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    第10回小説すばる新人賞受賞作にして、『邂逅の森』で直木賞を受賞した熊谷達也氏のデビュー作。
    マタギ系の古風な狩猟モノではなく、現代風のクマ小説。
    登場人物の描写が甘いのと、展開が早過ぎ&終盤がアッサリし過ぎの感もありつつ、良い意味でサラッと読める。

    巻末の阿刀田高の解説が、かなりの上から目線。

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    2012年08月16日
  • 漂泊の牙

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    読者を飽きさせないストーリーや展開のスピードにくわえ、登場人物それぞれの描写も丁寧で、専門的な情報も豊富。

    「邂逅の森」を読む前にと思い、入門編として読みましたが、十分に面白かったです。ファンになりました。
    他の作品も読みたくなりました。

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    2012年08月14日