熊谷達也のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
昭和40年代を舞台にした短編集です。
熊谷さんといえば東北、自然、動物、マタギなんてキーワードが浮かびます。この作品は東北を舞台としているものの、人情ものというのが相応しそうです。
衰退する捕鯨の砲手を描いた「酔いどれ砲手」、米の減反政策に翻弄される農民を描く「稲穂の海」、民話の語り部を主人公にする「梅太郎」、屋台の親父の幸せを描いた「屋台「徳兵衛」」、スバル360との不思議な邂逅の物語「てんとう虫の遍歴」、畜産農家の悲喜の「桃子」、ちょっとスタンドバイミーを思わせる「星空を見ていた夜」、不思議な「団塊の世代」。
高度成長期の貧しさからの脱却の時期、どこか希望に溢れ、ノスタルジックで、暖かい。 -
Posted by ブクログ
読むのにとても苦労した。
なにより主人公の富治に共感できなかったからだろう。
だが、それでいいのだと思う。
この時代だからこそ、男性だからこその考え方なのだろうと感じたし、作中でも彼は「馬鹿」と何度も言われているシーンがあって、少しすっきりしたから、というのもある。
ただ、こういう本は苦手だ。
性表現が多く、自然・野生の厳しさを感じるシーンも多い。
それはきっとこの本には必要なことで、だからこそ大きな賞を受賞したのだろうと納得できるのだが、そういうものが苦手な私には辛く、苦しかった。
こういう作品に素直に感動できるようになるには、まだまだ経験値が足りないのだろう。