熊谷達也のレビュー一覧

  • まほろばの疾風

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    アテルイを主人公にした作品は、陸奥甲冑記(澤田ふじ子)、火怨(高橋克彦)に続いて三作目ですね。
    前半を過ぎまでは、なかなか良いのです。アテルイの登場の仕方もモレとの出会いも。熊谷さんらしい力強さが有って、次々にページをめくってしまいます。しかし、最後はちょっと。というより、「火怨」の余りにヒロイックなアテルイの行動解釈を読んだ後では、どうしても負けてしまいます。こちらを先に読んでいれば、それなりに収まったのかもしれませんが(とは言え、ちょっと納得できないところもあります)。
    ところで、この作品、「火怨」と比べ幾つかの大きな相違があります。
    まず第一に、この戦いの先陣を切るアザマロの子(

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    2017年10月30日
  • 調律師

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    なんだろう、やはり途中で投げ出されたって印象なのかな。それは地震のせいなんだけど、本来こうなるべきではなかった物語なのがわかってしまったから、この評価。

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    2017年06月20日
  • 光降る丘

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    宮城県にある実在する市をモデルに描かれた一冊。
    戦後、地区を開拓した祖父、
    二代目 三代目と続く父親、息子の話。

    開拓一世になる祖父たちのなんと力強いことか。
    東京生まれ東京育ちの私には想像もつかないけれど、
    自らの手で生活を築き上げてきた主人公たちは
    想像以上に、一日一日を丁寧に生きていってるのだろうな。

    震災を受け、遭難した祖父を救出しにいくシーンでは思わずウルっときてしまった。

    やはり日本に住んでいる以上は、地震や其の外の災害は避けられないのだな、と再確認。

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    2017年05月16日
  • リアスの子

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    シリーズ3部作?の最終、と言っていいのか分りませんが、和也とナオミがよそよそしかったのは残念だった。

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    2017年04月13日
  • モラトリアムな季節

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    「七夕しぐれ」の続編ですよね。
    カーコ「・・・そんな弱音を正直に口にしたり、夢を語り合ったりするのが、ほんとうにつきあっているっていうことだと、わたしは思うんだけど」
    そうだよね。付き合うってそういう事。人間にしかできない事と思います。

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    2017年04月10日
  • 七夕しぐれ

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    よく噛み締めて読む小説なのかもしれない。
    普通に読み進めて楽しめたけど、サラッと読み終えてしまったのが、これで良かったのかな?と。
    タイトルももっとインパクトあるほうが、と思いましたが、これでいいんでしょうね。

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    2017年04月05日
  • 漂泊の牙

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    私が「熊もの」にはまっているときに、どなたかにオススメしてもらって買ったものです。
    1回、かなりラストの方まで読んだのですが、なんか思ってたのと違うなあ……と思い、やめてしまっていたのでした。

    今回改めて読んでみると、前に感じたようなガッカリ感は全然なかったです。
    本を読むのにはタイミングってあるなあとつくづく思いました。

    山って三浦しをんさんの「神去ー」を読んだ時も思ったけどやっぱり神秘的。こんなこともあるかもなあと思わせてくれる。

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    2017年03月12日
  • 山背郷

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    (01)
    9つの短編からなるが、近代東北の群像劇(*02)の様にも読める。人生のある瞬間というだけではなく、一人の一生や、数代にわたる因縁も綴られ、必然的に戦前戦中戦後の東北の生活が現れる。特に山に生態する狼や熊という動物や、漁業や運送に駆使された船が題材となって、現代では省みられなくなった習俗(*03)などにも焦点を当てている。

    (02)
    オチを知らないものにとっては、これらの短編がバッドエンドに終るのか、ハッピーエンドに終るのか、あるいはその間に宙吊りにされるのかを楽しむことができる。どちらかと言えば、「旅マタギ」や「モウレン船」などの唐突な終結が出色であるが、「艜船」のハラハラさせる展

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    2017年02月12日
  • 荒蝦夷

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     古代東北史・蝦夷史のターニングポイントとなった780年の「伊治呰麻呂の反乱」に至る過程を描いた歴史小説。主人公の呰麻呂の残虐で野性的なキャラクターに綺麗ごとでないスケールの大きさを感じるか、単なる野蛮さを感じるかで評価は割れよう。史料不在で不明なところを大胆な仮想で埋めたり、明らかな史実改変を行っているので、注意が必要である。

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    2017年01月21日
  • 稲穂の海

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    熊谷達也の稲穂の海を読みました。

    昭和40年代の仙台近辺を舞台に、その時代に生きた人々を描いた短編集でした。
    方言をとりまぜて描かれていてその時代の空気が感じられる物語でした。

    現在ではこの時代の名残もほとんどなくなってしまっていて、昭和は遠くなったなあと思ったのでした。

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    2016年10月23日
  • 調律師

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    第6章の転調は、正直しっくりこない。解説を読んで作家さんの気持ちは理解できたけど、私は、震災がなかったらどんなエンディングになってたのかなぁ?と思うし、それが読んでみたかった。

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    2016年09月16日
  • 翼に息吹を

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    終戦間際の知覧特攻基地で、特攻隊員の戦闘機の整備を行う整備兵の物語。

    やるせなさと勇気を感じるも…

    熊谷達也の作品としてはハズレか。

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    2016年07月07日
  • 調律師

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    2010年から2012年にかけて「オール讀物」に発表された7つの連作短編。
    かつての天才ピアニスト、交通事故で妻を亡くし、自らも以前のような演奏ができなくなって、今は義父の元で調律師として働く主人公がピアノを通して様々な人生に触れ合います。
    2012年8月に発表された最後の2編から話が急に変わります。仙台在住の熊谷さん、3.11から1年を経て東日本大震災を物語に取り入れます。
    全体としては、、、、まあ特筆するようなものも無く、普通の出来といった感じです。

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    2016年06月10日
  • 調律師

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    ネタバレ

    ピアノの音と共に臭いを感じることができる不思議な共感覚を持った調律師を巡る物語。

    かなり久しぶりに著者の作品を読んだ。
    震災が著者に大きな影響を与えたであろうことは理解できるが、解説で本人も解説者も認めているように物語の途中に震災を絡めてくることに唐突感が否めない。
    小説の内容としても特筆すべき点はない。

    ストーリーそのものは分かりやすいし読みやすいので、小説をあまり読んだことのない人にはおすすめできる。

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    2016年03月05日
  • 銀狼王

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    熊谷達也さんの作品が大好きで、わりと色々読ませもらっています。
    マタギ、羆、狼などを中心に東北や北海道を舞台にした作品群は江戸から明治へそして現代へと次第に変わって行く時代や環境の変化の中で自然やケモノとの関わり合いながらそこに暮らす人間たちの悲喜交々や艱難辛苦を描いた作品がとても土臭さく、読み進めるほどに命をやり取りすることや生きるって事の意味を考えさせられてしまう。
    そんな熊谷作品が私は大好きなんですけど、この作品はちょっと…

    最早絶滅の危機に瀕しているのは分かっていて、そんな中生き残ってた最後の大物たる狼王の話を聴いて、そいつは俺が仕留めなきゃならない…って自分勝手な印象の展開がちょっ

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    2015年09月26日
  • 漂泊の牙

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    期待とは違う展開で少し残念。動物モノも民俗学的なモノも好きなだけに惜しい。

    無理に、現代ミステリに仕立てる必要は無かった。それでも水準はクリアしてると思うし楽しめた。直木賞を取っている作品もあるので、そちらも期待して読みたい。

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    2015年05月30日
  • モラトリアムな季節

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    前作が良かっただけに少々残念!モラトリアムな時期が長すぎるような気がする。前作との繋がり無く単作だったら、途中放棄でした。

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    2014年12月01日
  • 七夕しぐれ

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    主人公よりも同級生のユキヒロとナオミが気になります。因習という本人たちには関係のないことが、小学生までも巻き込んでしまう。理屈では分かっていてもなかなか変えることができない世界。子供たちの純粋な気持ちが重い内容をさわやかにしてくれる。続編「モラトリアムな季節」に期待!

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    2014年12月01日
  • 山背郷

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    東北という地の厳しさ、優しさ。同じ日本でもその地域の空気感はまるで違う。各編様々な物語であるが、全体を通して人間の思いの強さを感じさせてくれる。

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    2014年11月26日
  • 氷結の森

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    3部作の完結というよりは別な物ととらえた方が入り込めると思う。時代設定を含めた背景の描写が緻密で物語をイメージしやすい。波瀾万丈の人生!主人公の精神力に感銘!

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    2014年11月26日