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山深き秋田で、足は悪いが誰よりも美しい箕を作る若者・弥平。初めての行商では1枚も売れず。なんとか商いのコツを掴んだ弥平は勇躍、新天地の関東平野へ足を延ばすが、途方もない壁にぶち当たる。それは箕作りへの理不尽な差別。誇り高き職人がなぜこんな目に……。そして、弥平は1人の少女に恋をした。(講談社文庫)
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Posted by ブクログ
新しい趣向をいろいろと思いつく人だなあ、熊谷さんは。 これは新しかった。 すこし講談調なのかなんなのか、ユーモアをまじえた語り口に熊谷さんの工夫が感じられたが、新しいのは、サンカが登場すること。 これまで、マタギや蝦夷を描いてきた熊谷さんだから、「お、今度はサンカか!」と期待するも・・・。 漂泊の...続きを読む民を主人公に描いたわけではない。 主人公は、秋田の箕作り屋さん。 東北では、箕直しをやって糊口をしのぐサンカ像、というのはないのだそうだ。 むしろ、技術のある職人さんとして一目置かれている。 そんな箕作り職人が関東にやってきて・・・。 こういうテーマをユーモアのある語り口でテンポ良く小説に仕立て上げた。 なるほどー、こういう手もあったか、と思った。
デビュー当時の熊谷達也さんのキーワードは「東北」と「自然・動物」。重厚で緊迫感がある物語でした。しかし、その後は色々な方面に手を出していますね。全てが成功しているとは言えませんが。 この作品は、部落問題という背景(そういえば「七夕しぐれ」でも扱っていました)はありますが、軽妙な作品です。大正末期を舞...続きを読む台にしていますが、どこか時代小説の雰囲気もあります。 主人公の若者・弥平の成長物語であり、友情の物語であり、淡い恋の物語でもあります。後にはあまり残らないけれど、読んでいて楽しい、そんな話です。 ただ、終わり方は中途半端。続編を出すのかなぁ。
秋田の若い箕職人が群馬へ行商に向かい苦戦しながら世を学びまた恋をする話。方言を交えながらも分かりやすい文章で読者を異次元へ誘う。
らしい題材なんだけれど、よりエンタメ色が濃いのに戸惑いを感じる。傑作「邂逅の森」を超える作品を読みたいが、この人は何処へ行ってしまうのであろうか。
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