熊谷達也のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
再読。
吉村昭を思わせる(記録文学的な吉村さんよりずっと物語よりですが)動物文学です。
かなり綿密な調査を行った物だと思います。熊との遭遇シーンなど、リアリティも迫力もあります。戸川幸夫さんに嵌り、吉村さんのマタギものを大好きだった私からして、熊谷さんの登場は喜ぶべきものでした。
「面白かった」と言う記憶があって再読したのですが、意外に粗さが目立つ。改めて調べてみたら前回の感想も「もう少し・・・」でした。
設定や登場人物が魅力的なだけに残念です。
熊谷さんはどうもばらつきの大きな作家さんですね。
==========================
05-071 2005/07/16 ☆☆☆ -
Posted by ブクログ
お盆に山から下りてくる先祖の霊を迎えるための祭りを開催しようとする村の青年団と、先祖の霊に混じって悪い死霊(鬼のこと)が降りてきてしまうから阻止しようとする霊能者たちの戦いが主な内容です。
こんなふうに書くとサイキックウォーズみたいな感じですが、ワクワクドキドキというより、嵐の前の静けさというか不気味さが延々と続く地味な作品でした。説明調の文が続くので、京極作品を読んでいるのに近いところがあります。
即身仏に関する歴史とか、霊を認識するとはどういうことかなど、薀蓄が多くて自分は結構好きな文体だったのですが、ラストが裏切られたような結末だったので残念でした。きっと作者も力作過ぎて力尽き -
Posted by ブクログ
東北や北海道などの民族や風土をモチーフとした作品に定評のある熊谷達也の小説。他の作品に比べ方言を使っておらず、非常に読みやすいのが特徴と言えるだろう。
野犬に妻を殺された男がその犯人を追う。というストーリ。テンポが良く、冬山の描写も非常に上手い。
しかし最後の展開が少し強引。核心部も、狼の生態をある程度知っていないと飲み込めないような気もするし、知っていればそれはそれで逆に「うん?」となってしまう。ニホンオオカミ発見シーンは本当に必要だったのかなぁ…
そして犯人と対峙したと思えば、まさかのバトルパート。いきなり少年ジャンプで描かれるバトル物を読んでいるような気分になってしまい、それまで描 -
Posted by ブクログ
歴史的事実を背景にして物語を作る。
その時代の文化や国際関係まで調べ上げ、物語を作り上げていく作業は本当に地道で大変な作業なんだろうなと思う。
権謀術数が渦巻く中で、誰よりも真正直に生きる主人公は、魅力にあふれている。
真正直な主人公に振り回される女性の姿も共感を呼ぶ。
どこまで、男と女はわかりあえるのだろう・・・
独占欲。それは必然だと思うけど、それがなければどれだけ楽に生きられるんだろうなぁと思う。自分も含めてだけど。
ストーリー展開も歴史を背景にスリリングに作られていて読んでいて面白い。
なかなかひきつけられる話だなぁと思っていたら、
よく考えたら、この話はドラゴンボールだ! -
Posted by ブクログ
この人は東北地方の作家で、東北にこだわった作品を書いております。
森三部作はかなり面白かったですし、短編集も味があってよかったです。
特に東北地方に広がる森の雰囲気や野生動物と対峙する緊張感なんか、いつもドキドキさせております。
で、今回の『荒蝦夷』。
これは平安時代の坂上田村麻呂の蝦夷討伐の前夜を書いた作品です。
同じ系列の作品で『まほろばの風』っていうのがありますが、これは坂上田村麻呂にやられる蝦夷の英雄アルティを主役にして書いているのですが、この『荒蝦夷』はアルティの父親のアザマロを主人公にして書いております。
同じような内容で同じような話なのですが、『荒蝦夷』のほうが好きですね。
内