熊谷達也のレビュー一覧

  • 迎え火の山

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     お盆に山から下りてくる先祖の霊を迎えるための祭りを開催しようとする村の青年団と、先祖の霊に混じって悪い死霊(鬼のこと)が降りてきてしまうから阻止しようとする霊能者たちの戦いが主な内容です。
     
     こんなふうに書くとサイキックウォーズみたいな感じですが、ワクワクドキドキというより、嵐の前の静けさというか不気味さが延々と続く地味な作品でした。説明調の文が続くので、京極作品を読んでいるのに近いところがあります。
     即身仏に関する歴史とか、霊を認識するとはどういうことかなど、薀蓄が多くて自分は結構好きな文体だったのですが、ラストが裏切られたような結末だったので残念でした。きっと作者も力作過ぎて力尽きてしまったのだと思いました。


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    2017年08月15日
  • 漂泊の牙

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     東北や北海道などの民族や風土をモチーフとした作品に定評のある熊谷達也の小説。他の作品に比べ方言を使っておらず、非常に読みやすいのが特徴と言えるだろう。
     野犬に妻を殺された男がその犯人を追う。というストーリ。テンポが良く、冬山の描写も非常に上手い。
     しかし最後の展開が少し強引。核心部も、狼の生態をある程度知っていないと飲み込めないような気もするし、知っていればそれはそれで逆に「うん?」となってしまう。ニホンオオカミ発見シーンは本当に必要だったのかなぁ…
    そして犯人と対峙したと思えば、まさかのバトルパート。いきなり少年ジャンプで描かれるバトル物を読んでいるような気分になってしまい、それまで描写していた冬山や自然の美しさ,厳しさの余韻を殺してしまった。
    惜しい、とても惜しい。そう感じてしまう作品だった。

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    2012年12月29日
  • 氷結の森

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    歴史的事実を背景にして物語を作る。
    その時代の文化や国際関係まで調べ上げ、物語を作り上げていく作業は本当に地道で大変な作業なんだろうなと思う。

    権謀術数が渦巻く中で、誰よりも真正直に生きる主人公は、魅力にあふれている。
    真正直な主人公に振り回される女性の姿も共感を呼ぶ。

    どこまで、男と女はわかりあえるのだろう・・・
    独占欲。それは必然だと思うけど、それがなければどれだけ楽に生きられるんだろうなぁと思う。自分も含めてだけど。

    ストーリー展開も歴史を背景にスリリングに作られていて読んでいて面白い。

    なかなかひきつけられる話だなぁと思っていたら、
    よく考えたら、この話はドラゴンボールだ!

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    2011年05月26日
  • 荒蝦夷

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    この人は東北地方の作家で、東北にこだわった作品を書いております。
    森三部作はかなり面白かったですし、短編集も味があってよかったです。
    特に東北地方に広がる森の雰囲気や野生動物と対峙する緊張感なんか、いつもドキドキさせております。

    で、今回の『荒蝦夷』。
    これは平安時代の坂上田村麻呂の蝦夷討伐の前夜を書いた作品です。
    同じ系列の作品で『まほろばの風』っていうのがありますが、これは坂上田村麻呂にやられる蝦夷の英雄アルティを主役にして書いているのですが、この『荒蝦夷』はアルティの父親のアザマロを主人公にして書いております。
    同じような内容で同じような話なのですが、『荒蝦夷』のほうが好きですね。
    内容も同じようなのですが、結構違ってきております。
    『荒蝦夷』は蝦夷の大反乱が起こる前に終わっております。

    両方の作品に共通しているのは、蝦夷と大和は別のものであるという認識です。
    別のものだから差別みたいなものもないっているか、最初から違っているから違うものとして接しているっていうかんじですね。
    そこで駆け引きとか争いとかが発生する、異文化同士の争いですね。
    特にアザマロの残虐さを乾いた描写で書いているところはよかったです。

    今度はアルティの反乱が終わった後に、この奥深い森林の中でどうなって奥州藤原氏の栄華に至ったのか、ってかんじの物語を書いて欲しいなぁ、と思います。

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    2011年05月05日
  • 群青に沈め

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    重苦しいテーマを、
    重苦しくない軽いタッチで描いているのは、
    万人受けというか、
    戦争アレルギーの若い人も受け入れやすくていいのかも、
    と、思わなくもないけれども、
    ワタシ的にはこの軽さが不快。

    新しいとか、瑞々しいとかいう評価はどうなんだ??
    納得いかないんですけど。

    あえて伏龍に目を向けたことには敬意を評しますがね。

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    2011年03月13日
  • 群青に沈め

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    終戦間際の予科練上がりの特攻隊員たちの日常。
    日常の感情が淡々と描かれ、ストーリー的に派手な起伏はない。
    次第に戦争というものに疑問を持ち始める過程がリアルではあるが、なにせ淡々としているために、迫ってくるものがない。
    主人公が少年だから文体が簡易なのだろうか?他の作品もこうなのだろうか?
    戦争の無意味さは確かに描かれているのだが、むしろ少年の成長物語。
    なんとも期待はずれでした。

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    2011年03月08日
  • 漂泊の牙

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    この人の作品はスリルがあって最初は凄く引き込まれるんだけれど、ラストが拍子抜けの感じがある。迎え火の山もそんな感じ。
    こういう作品でも恋を絡めてくるところがけっこう好きだったりする。

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    2010年11月27日
  • 相剋の森

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    邂逅の森が圧倒的だっただけにこちらはそのおまけみたいな印象。。。つまらなくはない。しかしあの密度がもう一度ほしい!

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    2010年11月10日
  • 相剋の森

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    ちょっとだけマタギの世界や熊の事をを知っている人なら
    とても面白く読めて、解釈も深まる作品だと思う。
    この本を手にとる前に
    まずはマタギのことをちょっとでも知ってから。
    そして「邂逅の森」を読んでからトライすると
    面白さ倍増。

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    2010年06月07日
  • 氷結の森

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    これまでの繋がりからは表面的には離れている感じ。自然との繋がりよりは、人間の内面について書かれているみたい。
    それにしても、樺太で日本人が殺されるという歴史があるとは知りませんでした。
    少し勉強しなければならないですね。

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    2010年04月06日
  • 七夕しぐれ

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    小学生の少年が転校先で得た友人達二人とともに、根深く残る差別、いじめ、大人の押し付けに抗いながら成長する一夏の物語。
    昭和40年代のややノスタルジックな雰囲気と、当時の少年達の純粋な心に触れることの出来る作品。
    子供だからこそ感じる理不尽さや無力感。それでも立ち向かおうとする力強さがまぶしい。
    読んだ後にもの寂しさと温かさを感じさせ、思わず自分の事を振り返ってしまう小説でした。

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    2010年01月25日
  • モビィ・ドール

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    熊谷さんと言えば東北というイメージが有り、その中でもまたぎなどの人物を中心にすえ、自然を舞台にした迫力のある小説が多く有ります。
    この作品は東北から離れ、しかも山ではなく海を舞台としていますが、やはり自然を舞台にしたという意味で、熊谷さんの持ち味を生かした作品です。
    登場人物の設定が、例えば潜水中の事故でバディを死なせてから潜れなくなっていたダイバーなど、やや通俗的過ぎるきらいがあり、「邂逅の森」のような迫力や重厚感には欠けるところがありますが、面白い物語になっています。

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    2016年08月05日
  • 相剋の森

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    もう、個人的には無条件で好きな題材。マタギ。
    自然保護、クマとの共存、都市生活....この題材
    を描くにあたってついて回るテーマ...というか
    必然的に、展開されるストーリーは制約され
    予想しやすい話になりがちですが、個人的には
    気になりませんねー。

    山や森で暮らすという事に、深層的に憧れが
    ある所為か、凄く、ワクワクして読み耽ってしまいます。

    今作は、若いマタギの頭と、都会の女性ライターという
    視点の交差と、その2名それぞれの恋愛模様も描いたため
    ストーリー全体や、結末がああいった形になった模様ですが
    更に、マタギ側に踏み込んだ展開でも、全然良かったのかも。

    でも、凄く、凄く、大好きな場面もあって、大満足の一冊。

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    2009年10月07日
  • 山背郷

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    「旅マタギ」が圧巻。しかし、どちらかというと、短編より長編で本領が発揮されるタイプの小説家だとは思う。

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    2009年10月04日
  • 相剋の森

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    自然と共生、自然保護を語るのはなんと難しいことだろう。
    描きすぎると押し付けがましく足りないと薄っぺらい印象になってしまう。
    本書は、ためになる部分が多かった割りに視点が定まらず、言いたいことはわかるのだけど言い切れないもどかしさを感じた。

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    2009年10月07日
  • 荒蝦夷

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    全1巻。

    マタギとか書いてた人。
    の、
    みちのく史。
    2作目。
    前回アテルイ。
    今回アザマロ。

    1作目よりは良い。
    少し湿気みたいなのが戻ってきてる。
    けどあいかわらずとんでも設定。
    それが嫌なんだって。

    前作よりましとは言え
    あいかわらず弱い。
    もっとジメっとしてほしい。
    この人は。
    んで、
    一般的な史実を書いてほしい。
    創造はいんだけどそれが効果無し。
    むしろ嫌。
    薄い。


    本当。
    いつまで期待を持たせたままなんか。
    ちゃんと当ててほしいなあ。
    みちのく史で。
    期待してんだから。

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    2009年10月09日
  • ウエンカムイの爪

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    若々しいと思ったらデビュー作だったのね〜
    「邂逅の森」を読んだ後ではかなり物足りない・・でも著者の作品これがお初だったら、「邂逅の森」や他の作品に手がのびたとはとは思わないので、よしとしようか。

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    2009年10月07日
  • ウエンカムイの爪

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    アイヌの言葉で、カムイとは神のこと。人間を食ってしまう悪いクマのことをウエンカムイというらしい。ヒグマと共存してきたアイヌたちとは違い、現代人たちは、ヒグマの生息地を荒らし、生活圏を分断している。中途半端な環境問題を描くのではなくて、もっとリアルにこの本は心にせまってくる。作者は人よりもクマの方に親近感感じてるんじゃないかと思うくらい。初期の作品ということで、人物の描き方などは荒い気もするが、でも、そうした欠点以上に内容がおもしろい。でも、クマに襲われる大学生たちはバカすぎてちょっとどうかと思うけどね・・・

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    2011年09月12日
  • 迎え火の山

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    しっかりした構成。でもだんだん話が展開するにしたがって、「フツー」の本になっていってしまうのはなぜ。

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    2009年10月07日
  • 迎え火の山

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    この著者さんを知ったのが「邂逅の森」<直木賞受賞作
    やったので、ものすごく意外やなぁーと思いつつ手に取りました。
    するすると読める文体だったので、即購入。
    んで、お楽しみにとっておいて、ようやく本日読み終わりました。

    読み始めてからはあっという間でした。
    風呂で、移動中に、などなどの細切れ時間を使って3日くらい。
     
    んとねーなんていうかねー面白いんだけれどもね
    ちょいと説明部分が正直つらいなぁ・・・という部分もあり。
    けど、エンタメ小説としてはスンバラスィ部類に入ると思うので
    ぜひともよんでいただき鯛!

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    2009年10月04日