あらすじ
宝亀五(西暦七七四)年、陸奥国の北辺には不穏な火種がくすぶっていた。陸奥を支配せんと着々と迫り来る大和朝廷。そして、その支配に帰属する、あるいは抵抗する北の民、蝦夷。動乱の地に押し寄せる大和の軍勢の前にひとりの荒蝦夷が立ちはだかった。その名は呰麻呂(あざまろ)。彼が仕掛ける虚々実々の駆け引きの果て、激突の朝が迫る――。古代東北に繰り広げられる服わざるものたちの叙事詩。
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歴史物だが特別知識が必要ということもなく、分かりにくい言い回しもなく、引っ掛かることなくスイスイ読める。非道に見える呰麻呂の人間味が読み進めていくごとに顕になって、とても魅力的な人物だった。
荒蝦夷とは繋がった話ではないとあとがきにもあったが、阿弖流為が主人公の「まほろばの疾風」も読んでみたいと思った。
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「まほろばの疾風(熊谷達也著)」と時代はかぶる
熊谷達也としては「アザマロ(呰麻呂)はアテルイ(阿弖流為)の父」という設定のようだ
こちらはアザマロが主人公
同じ作者だが
登場人物像が違っていたり
アザマロの死に様が違っていたり
する
筆者の中で蝦夷像が変わったらしい
他の作者の本も読まなきゃ偏るな・・・
と思う
内容は面白い
アザマロがカッコよく描かれている
--追伸--
「火怨(高橋克彦著)」の方が良い。
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あらすじ(裏表紙より)
宝亀五(西暦七七四)年、陸奥国の北辺には不穏な火種がくすぶっていた。陸奥を支配せんと着々と迫り来る大和朝廷。そして、その支配に帰属する、あるいは抵抗する北の民、蝦夷。動乱の地に押し寄せる大和の軍勢の前にひとりの荒蝦夷が立ちはだかった。その名は呰麻呂。彼が仕掛ける虚々実々の駆け引きの果て、激突の朝が迫る―。古代東北に繰り広げられる服わざるものたちの叙事詩。
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「荒蝦夷」とともに、東北に住んでいる人間なら読んでおかねばと思い手に取った一冊。地元が多賀城ということもあるし。
朝廷側の記録にしか残っていない蝦夷ってどんな人々なんだろうと思いながら読んでました。
うーん、こうあって欲しいです。
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なかなかに知識が乏しく、ネットで調べながらの読破でしたが、読みやすい文体でした。
もともと、その土地に住む者と支配したい者。
戦国時代より生々しい、戦いというより殺し合い、力で奪い合う時代を感じました。
朝廷との時代背景が 今一つ掴めず難儀しましたが、特に、阿弖流為と田村麻呂が出てきた辺りから、俄然面白くなり、しかも、この二人の描写がカッコ良く、グイグイと引き込まれました。
最後は、新たな未来を感じさせる終わり方で、とても良かったです。
Posted by ブクログ
古代東北史・蝦夷史のターニングポイントとなった780年の「伊治呰麻呂の反乱」に至る過程を描いた歴史小説。主人公の呰麻呂の残虐で野性的なキャラクターに綺麗ごとでないスケールの大きさを感じるか、単なる野蛮さを感じるかで評価は割れよう。史料不在で不明なところを大胆な仮想で埋めたり、明らかな史実改変を行っているので、注意が必要である。
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この人は東北地方の作家で、東北にこだわった作品を書いております。
森三部作はかなり面白かったですし、短編集も味があってよかったです。
特に東北地方に広がる森の雰囲気や野生動物と対峙する緊張感なんか、いつもドキドキさせております。
で、今回の『荒蝦夷』。
これは平安時代の坂上田村麻呂の蝦夷討伐の前夜を書いた作品です。
同じ系列の作品で『まほろばの風』っていうのがありますが、これは坂上田村麻呂にやられる蝦夷の英雄アルティを主役にして書いているのですが、この『荒蝦夷』はアルティの父親のアザマロを主人公にして書いております。
同じような内容で同じような話なのですが、『荒蝦夷』のほうが好きですね。
内容も同じようなのですが、結構違ってきております。
『荒蝦夷』は蝦夷の大反乱が起こる前に終わっております。
両方の作品に共通しているのは、蝦夷と大和は別のものであるという認識です。
別のものだから差別みたいなものもないっているか、最初から違っているから違うものとして接しているっていうかんじですね。
そこで駆け引きとか争いとかが発生する、異文化同士の争いですね。
特にアザマロの残虐さを乾いた描写で書いているところはよかったです。
今度はアルティの反乱が終わった後に、この奥深い森林の中でどうなって奥州藤原氏の栄華に至ったのか、ってかんじの物語を書いて欲しいなぁ、と思います。