熊谷達也のレビュー一覧

  • 海峡の鎮魂歌

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    潜水とか海のテーマが自分にはあんまり刺さらんかったけど、時代背景や歴史をよく調べ上げて書かれた小説やなとは思う。キャラクターは、主人公敬介はあまり好きではないが他の登場人物が魅力的だったし、最終的に相関図がコンパクトで面白かった。

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    2025年05月07日
  • 悼みの海

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     本書の中心テーマは、間違いなく「未来に残したい風景」だと思います。「仙河海」シリーズをライフワークとして取り組む熊谷達也さんの、痛切な悼みや祈りがあふれる渾身の力作でした。

     物語は、故郷である(気仙沼をモデルにした架空の町)仙河海と決別していた主人公が、震災をきっかけに故郷に戻り、生まれ育った町を見つめ直し、故郷の未来に想いを託す内容で、3部構成です。

     第1部は、主人公が仙台市で被災し、仙河海で両親が安否不明のまま、3週間の仙台市内の混乱が描かれます。
     第2部は、震災から50年後の仙河海市が舞台で、やや印象が異質です。小3児童の視点で、仙河海の街の歴史と経緯を学び、未来を託されます

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    2025年03月08日
  • ウエンカムイの爪

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    凄いスリリングで、北海道におけるヒグマに対する信仰的なものが見えた。
    人を襲う熊なのか、熊に襲われる人なのか。
    よく動物の生息域を人間が侵したというが、それもまた自然の姿のような気がする。
    それでも人間には知力があるので、自然を守る為になすべき事をなすべきである。
    …ということかな?

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    2024年05月22日
  • 悼みの海

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    宮城県気仙沼市が、この書に出てくる「仙河海市」のモデルになっている。これは、2011年の東日本大震災に関連した物語である。

    第一部:仙台で働いていた川島聡太は、東日本大震災に遭い、両親と連絡がつかないことが気にかかり、故郷の仙河海市に向かう。
    仕事中にビルの大揺れから始まり、歩いて塾生を送り、ライフラインの復旧のないまま車を走らせて避難所まで…という被災状況が非常にリアルに描かれている。

    第二部:東日本大震災から50年後の仙河海市に住む小学生の呼人は、海を見たことがない。
    少し先の未来を描いているのだが、ここで待人と呼ばれているちょっと変わった爺さんと出会う。
    爺さんが呼人に託したものとは

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    2024年05月17日
  • 悼みの海

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    熊谷達也『悼しみの海』講談社文庫。

    宮城県気仙沼市をモデルにした架空の町が舞台の『仙河海サーガ』シリーズの1作。『潮の音、空の青、海の詩』を改題、加筆訂正、文庫化。

    『仙河海サーガ』は震災小説や現代小説だけでなく、時代小説や青春小説にスタイルを変えて描かれ続ける熊谷達也のライフワークとも言えるシリーズである。

    本作は三部構成で物語は展開する。三部それぞれが独立した物語のようであるが、僅かな細い糸でつながっている。しかし、三部ともに自然災害に破壊された故郷の未来を考えるというのが、一貫としたテーマであるようだが、全体的にまとまりは無く、読み終えると狐につままれたような気持ちになる。


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    2024年02月18日
  • ウエンカムイの爪

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    1997年に書かれた作品。東北で熊が人を襲うニュースが多い昨今、旬なテーマといえるかも。

    北海道の山中で、殺人ヒグマを追いかけて駆除するストーリー。ボンボンの私大大学生や、アウトドア雑誌に雇われたカメラマンといった、いかにも90年代的な登場人物が現れることはご愛嬌。

    会話主体の文体なので軽く読めた。1月の連休最後の夜の読書。

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    2024年01月08日
  • 荒蝦夷

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    なかなかに知識が乏しく、ネットで調べながらの読破でしたが、読みやすい文体でした。
    もともと、その土地に住む者と支配したい者。
    戦国時代より生々しい、戦いというより殺し合い、力で奪い合う時代を感じました。
    朝廷との時代背景が 今一つ掴めず難儀しましたが、特に、阿弖流為と田村麻呂が出てきた辺りから、俄然面白くなり、しかも、この二人の描写がカッコ良く、グイグイと引き込まれました。
    最後は、新たな未来を感じさせる終わり方で、とても良かったです。

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    2023年12月31日
  • ウエンカムイの爪

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    熊が人の世界に現れる。
    いま、とても身近な話題。

    熊谷達也のデビュー作で1997年のすばる新人賞受賞作。

    本当は「邂逅の森」を読むべきと思ったけど、ある意味原点では?として、短い方を選んでしまった。

    短い中にも、「自然」というものに対する人間の感覚の過ちを露わにしており、ひとつ腹に落ちる物語。

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    2023年12月08日
  • 調律師

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    音に匂いを感じる調律師の話が東日本大震災と絡めて展開していく。熊谷達也らしい緻密な下調べが効果をあげている。

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    2023年07月04日
  • 相剋の森

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    ネタバレ

    邂逅の森に引き続きこちらも重量感ある内容でした。
    そしてやはり、登場人物の男性陣が魅力的。
    滲み出る哀愁と存在の重量感(?)がなんか渋いわー

    今回は女性ライターの立場から見れたので、読者としても狩猟と動物保護の葛藤など同じ立場から考えることができ興味深かかったです。
    そしてライターの取材、写真て壮絶すぎる、なんとなくナショナルジオグラフィーなど思い出した。
    記事読む時はきちんと向き合って読もうと思います。

    ただ邂逅の森の富次の曾孫のくだり、、、必要だったのかな。。?と疑問が残った。

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    2023年06月21日
  • 孤立宇宙

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    小惑星が衝突した後に電脳に精神だけをアップロードして生きる地球人と、近傍恒星系で居住可能な惑星を探す人々の、小惑星再突入を避ける攻防。軽いタッチで読みやすかった。サイバー内で生きる将来への道標となる作品。

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    2023年06月09日
  • 箕作り弥平商伝記

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    秋田の若い箕職人が群馬へ行商に向かい苦戦しながら世を学びまた恋をする話。方言を交えながらも分かりやすい文章で読者を異次元へ誘う。

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    2023年04月12日
  • オヤジ・エイジ・ロックンロール

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    オヤジバンドの話。
    著者とは同学年なので、話の内容が私とほとんどシンクロしてます。(前半は)
    学生の頃、喉から手が出るほど欲しかったフェンダーやギブソンは当然買えないのでコピーモデルを買った。
    就職と同時にバンド活動は中止。
    50才に近づくにつれ、久しぶりにギターでも弾いてみるか。
    昔はとんでもない値段がついていたが円高の影響か? 無理すれば買えない事もない。
    で、買ってしまうと同時にバンドをやりたくなってくる・・・と。

    実際私も、フェンダー、ギブソン、マーチン・・・が今、手元にありますもん(^_^;)

    話の後半は、そのバンドがコンテストに出て、みるみる全国大会に出場・・・と。
    これはちょ

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    2023年03月30日
  • 明日へのペダル

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    ダイエットの為にロードバイクを初めて、痩せると共に新たな趣味を獲得する話でかなりべたな展開で、特別劇的な事は無いのですがこういういい話でまとめた本嫌いじゃないです。作者がきっと自転車にはまって、そのすばらしさを喧伝したくて書いたのではないかと邪推しますが、多分当たっているんじゃないかと。
    実際に自分でも自転車乗ってみたいなと思いました。かなり自転車の事細かく書かれているので、知っている人はそこも楽しいはず。ギターに置き換えるとなんとなくわかります。

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    2023年01月10日
  • 孤立宇宙

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    ネタバレ

    電脳空間で永遠に生きるか、それとも人間として限りある命を生きるか…。
    二者択一ならどちらを選びますか?

    本書中盤に出てくる質問です。
    … 
    … /(´・ω・`)\ウーン


    やっぱり自分は人間を選びます。

    電脳世界では病気にならず、痛みも感じず、どこへでも行けて何にでもなれるといいます。それが果たしていいことなのかどうか…。

    この本で少し疑似体験することができます。
    電脳世界では「食べる」ことはできないので美味しいものとは無縁だし、ネコに触ったり、海で泳いだり、風を感じることもできなさそうです。(似たようなことはできるかもしれませんが)

    人間はなんと無駄なことばかりしている生き物で

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    2022年12月09日
  • 揺らぐ街

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    震災を描いた物語を期待していたが、震災をどう文学にするか作家の内面を掘り下げる物語だった。
    編集者である主人公が登場する担当作家からやたら信頼されているが、なぜなのか腑に落ちないし、元カレとの偶然の再会はご都合主義を越えて投げやりな感じがしたり、期待して読み始めた分イマイチな印象が残った。

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    2022年11月04日
  • 明日へのペダル

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    主人公が自身の年齢に近いせいか、自分の身に置き換えて考えさせられる、つまり、これからの事に焦りのようなものを感じさせられるような内容でした。最後はハッピーエンドだったので良かったぁと思いつつも、現実もこんな風にうまく行けばいいのになぁと感じないではいられませんでした。あと、昔読んだ、邂逅の森とは随分感じが違うなぁとも。

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    2022年09月25日
  • 海峡の鎮魂歌

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    海で生きていく主人公がさまざま形で海に向き合っていく。函館の大火と荒れる海、戦争の海の特高隊、青函連絡船洞爺丸事故、その中、子供たちがつながっていく。後半、若干駆け足に感じたが、読み応えのある作品でした。

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    2022年09月18日
  • 明日へのペダル

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    55歳本間、コレステロール値が高いと言われるが、ジョギングは昔膝を痛めたので気が進まない。部下の女子社員に勧められたのは自転車。そしてロードバイクの世界に魅せられていく。

    既に知ってる情報が多いのとほぼ想像通りに進むストーリーは安心できるものの、ちむどんどんはしない。しかしこれからロードバイクを買いたい、乗ってみたいという人にはオススメ。

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    2022年09月08日
  • 明日へのペダル

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    暗いコロナ禍の中、定年間近のおやじが、仕事と趣味の両立を図りながら、色々悩みながら結局ハッピーな生活を手にして行くストーリー。

    仙台の印刷会社の室長として働く本間優一は、健康診断でのメタボでイエローカードを貰い、今一歩対処出来ずにいた。ふとした事から若い女子部下の水野唯からロードバイクの紹介を受け奮発してデローザアイドルを購入して色々な楽しさを知る。時はコロナ禍初期で緊急事態宣言下で経済的なダメージを負いながら、リモート勤務が開花する。そんな中、優一は、自転車にのめり込み健康増進と会社生活を両立するも会社経営陣が変わりリストラに見舞われ、慣れ浸しんだ職場メンバーで退社し会社を起す。

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    2022年07月27日