熊谷達也のレビュー一覧
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50代半ばの男性が、健康診断の結果に何かしないとヤバすぎる危機的状況に気づくのだが…
スポーツクラブに入ろうかと思っている矢先のコロナ禍。
そんなときに社内で一番若手の水野唯にロードバイクを勧められ、次の日には一緒に自転車屋さんに行く。
結局、一目惚れしたロードバイクを手に入れて走り始める。
ちょうどコロナで緊急事態宣言が出て、会社でもリモートワークを推奨している。
地下鉄やバスでの通勤を避けて、自転車に替えたという人も多かったのではないだろうか。
今や若い人だけに限らず、ロードバイクを乗っている人をけっこう見かけるようになった。
それは、やはりコロナ禍の影響も少しはあるのだろうか?
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なんとあの『邂逅の森』の熊谷達也がSF!
半ば怖いもの見たさで手に取った本書ですが、立派なハードSF大作でした。
小惑星の衝突が迫った地球。人類の一部は新天地を求めて太陽系を脱出し、一部は地上が生存可能になるまでの数世紀を地下シェルターで乗り切ろうとし、さらに一部は身体を冷凍保存しサイバー空間での生存を図る。そんな世界を第一部では衝突前から衝突後の混乱や陰謀を、第二部では新たな危機の発覚とスペースオペラ風な活劇が描かれます。
1970年代のビッグ・スリー(アシモフ・ハインライン・クラーク)のストーリー骨格に、最新のサイバー世界を織り込み、登場人物に名作SFアニメ(詳しくないがエヴァンゲリオンあ -
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自転車、コロナ、テレワーク。この三題噺を2020年から21年にかけて、仙台周辺を舞台に小説にしたものがこの本の内容と言ってよい。
小さな印刷会社企画部門の室長である主人公は健康のために、部下の女性のすすめに従い70万円もするロードバイクを購入、その娘に手ほどきを受けながら、泉ヶ岳への挑戦や、泉NTから亘理往復という100kmライドを達成していく。この間の初心者の苦労や半年でひと月に1000kmのトレーニングを乗りこなすまでの喜びが、軽快な文章で書かれていて一気呵成に読み終えてしまう。
一方、テレワークの必要性から会社としてサーバーの構築をしなければならなくなるが、当該部下にはとんでもないハ -
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気仙沼をモデルにした架空の街、仙河海シリーズ集大成(らしい)。森シリーズは知っていたのだけど、こちらは知らずに、帯の仙河海サーガにも気が付かずに一気に読破。やっぱり好きな作家さんだ。
大正〜昭和の激動の時代に生まれ、太平洋戦争を経て漁師として成長していく守一。彼の父や兄、友人の征治郎、など登場人物がみなキラキラと魅力的。港町の湿った空気と潮風の匂いを感じられる。シリーズは、守一の子ども、孫たちの世代が今後この街で成長し、震災を経験して未来へと、時代を前後しながらたくさんあるようなので、少しずつ読んでいこうと思う(なんとなくサーガというのに抵抗がある…)。
欲を言えば、もう少し成長した守一の -
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熊谷達也『鮪立の海』文春文庫。
文庫化を待ちわびていた熊谷達也のライフワーク仙河海サーガの1作である。三陸の『仙河海』に生まれた菊田守一が大正、昭和と移り行く激動の時代の中で一人前の漁師になるまでがダイナミックに描かれる。作中に同じ仙河海サーガの1作『浜の甚兵衛』の主人公・菅原甚兵衛が登場するのも面白い。
『仙河海』という架空の港町は宮城県気仙沼市がモデルである。また、タイトルの『鮪立』は気仙沼市唐桑町に実際にある地名である。『鮪立』は遠くに大島を臨む小さな港であるが、東日本大震災で壊滅的な被害を受けた。昔はその名が示す通りマグロ漁で賑わった港で、付近には唐桑御殿と呼ばれるマグロ漁で財を成