水木しげるのレビュー一覧
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あとがきから察するに、ほぼ実話、少しフィクション、のようです。
ほんとうはきっと耳を覆いたくなるようなひどい話、つらい話をいっぱい見聞きされてこられたのでしょうが、その中からこれらの話を選んで漫画にしてきた水木さんの思いのようなものを考えてしまいます。
悲しい物語もどこかこっけいな描写があって、読むのがそんなに辛くなく、過酷な状況で忘れられがちな「人の誠実さ」「友情」「家族愛」が、決していつも損なわれてばかりではなかったことなどを教えてくれます。
前にも思いましたが、漫画というメディアは、かつて日本が我を失い袋小路に迷い込んでしまった戦争の体験を伝えるのに非常に向いていると思います。
特に水木さんの漫画は、少しトボけたような明るい雰囲気があって、「戦争のことを知ろう!」なんて気負うこともなく、読むことができます。それでいて戦争の本質みたいなものはしっかりと伝わってきて、心の奥に残ります。 -
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水木しげるさん2012年の作品。最晩年の仕事ね…と思ってちょっと調べたら、水木さんは本当に亡くなる間際までほかにもたくさん漫画描いてらしたんですね。すごい。
さて内容はタイトルの通りなのだが、なんでもこの30年来、古代出雲族と思われる青年が水木サンの夢枕に立っては自分たちの無念を訴え続けてきたのだそうで、水木サン自身のルーツとも関わりの深い古代出雲のありし日の姿、そして国譲り神話の真実、これを描くのは自分の使命であると考え研究を続けてきたということである。
古事記はいわば勝者の言い分、そこで語られなかった真実を追い求めるという立場がはっきりしているので、ロマン溢れる読み心地で楽しめます。
でも内容の真偽のほどや、へ~情報よりも、水木翁が古代霊にせっつかれながら色々調べてこれを描いたっていうできごと全体が、なにより楽しい。
出雲での(弟子?の京極夏彦氏を伴っての)フィールドワークにも熱心だし、参考文献には2010年代出版の本も並んでいるし、精力的である。
そして、真面目なのにくすっとくる語り口。独特。 -
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水木さんの人生ダイジェスト。
想定外に南方への郷愁があるものなんだな。
2019年8月13日再読。
■1巻、少年時代。
・のんのんばあ。餓鬼大将。絵が好き。
・二十歳にして立身出世ならず。
■2巻、青年時代。
・徴兵。南方行き。トペトロ。
・大阪でアパート経営。紙芝居。
・上京し貸本マンガ。
■3巻、壮年時代。
・見合い結婚。雑誌マンガへ。福の神といそがし。
・南方へ再度行く。
・有名人になり冒険旅行。この中で、トペトロすら資本に飲み込まれもはや楽園ではない。
■4巻、老年時代。
・文化人類学ともいえる自称冒険。
・ラバウル火山、トライ族は遠くへ。父母の死。
・水木しげるロードや記念館。幸福観察学会。 -
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鬼太郎他、たくさんの漫画を残した(とはいえ、2014年現在まだ現役ですが)水木しげる先生の自伝。子供の頃のガキ大将の逸話~戦争で腕を失う~戦後の混乱とマンガを始めるというあたりを、珍しくイラスト抜きで書き上げている。
とはいえ、たくさんの水木作品や自伝的漫画を見てきたので、それぞれのシーンが自然とあのタッチで頭のなかに再構成されていくのである。ただ、40歳で結婚ということだけど、NHKのあのドラマでは、もっと若かったんちゃうかったっけ?とちょっと疑問になったりもする。
文体は漫画のザクザクとしたキレとはまた異なり、若干ねちっこくて、最初は面食らう。そこを乗り越えればそれなりに楽しめるだろう。ただし、水木作品を好きな人であれば、という大切な前提を最後に記しておきたい。 -
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言わずもがな『ゲゲゲの鬼太郎』らの著作で有名な水木しげるの自叙伝的エッセイ。巻末に花町ケンカ大将という漫画も収録あり。
数年前には朝ドラで『ゲゲゲの女房』もやってたし、最近のニュースでは「91歳で新連載!」なんて記事も出てたほど、未だ健在、どころか、ますます注目度が上がってるんじゃないか、と思うほどの水木サン。本当に漫画を描くことがお好きなんだろうなあ、と思います。
このエッセイを読んで、今更ですが水木サンの半生、考え方を知ることができました。歳を重ねられ、達観された今だから書ける部分もあるとは思いますが、こんな生き方、考え方もあるんだな、と。
何より「水木サンのペース」を今も?貫かれていることが素晴らしい。普通だったら諦めてしまうような逆境でも、周りに流されてしまいそうな時でも、「好きだから」で自分のペースを貫いたからこその今。「努力は人を裏切る」が水木サンの言葉ではありますが、でも諦めなければ見えてくるものがあるということを改めて感じさせてくれる作品です。遅咲きの諸先輩がたを見ると、自分もこれからだ、と勇気が出ます。