★前世 遠野に存在していたのは確かなようだ(p.256)
(一)水木しげるさんの絵柄は遠野物語に合っています。また、読み較べてはないけど原作に忠実なようです。著者自身の合いの手が入ったりします。
(二)ひとつひとつの話はあっさりしています。
(三)三十年ほど前遠野に行ったことがありますがそのときす
...続きを読むでにわりと観光地化して不思議な雰囲気はありませんでした。とはいうものの陽光に輝く郊外の田園風景はのんびりした気分になれましたし、夜歩いているとたしかに怖いだろうなと思えるくらいなにもない感じでした。いまはどうなっているでしょう?
■遠野物語についての簡単なメモ■
【安倍貞任/あべのさだとう】朝敵認定されているが東北では英雄だった。遠野にはその伝説が多く残されている。早池峰の安倍が城という岩には今でも貞任の母が住んでいるらしい。
【雨風祭/あめかぜまつり】男女二体の人形をつくり道の辻まで送り行く。
【石臼】手紙を届けたお礼にもらった。米粒をひとつ入れると黄金を出す。妻が欲をかいてだいなしに。
【馬追い鳥】ホトトギスに似て少し大きい。「アーホー」と鳴く。飢饉の前兆。
【御犬】狼のこと。犬のふったち。
【大坊主】餅が好物。焼けた石を餅と勘違いして食べてしまう。
【大山男】山男のさらにデカいヤツ。
【オクナイサマ】大同と呼ばれる旧家でまつられている。桑の木を削った神像。家の神、作の神。
【オコマサマ】神体は男根に似せられている。コンセサマと似ている。
【オシラサマ】養蚕の神。遠野を代表する話のひとつ。娘と通じた馬を殺し首を切り落とすと娘はそれに乗ってどこかに行ったという有名な話。なんで養蚕と関わってくるのかいまいち釈然としていないのだけど。
【オット鳥】寂しい声の鳥。
【語り部】昔話を語ってくれる人。
【郭公】姉が芋の固い部分を食べているのはそっちの方が旨いからだと誤解した妹に包丁を立てられた姉が変じた。それを悔やんだ妹はホトトギスになった。
【河童】遠野を代表する妖怪のひとつ。遠野の河童は顔が赤いらしい。常堅寺にはカッパ狛犬もあったらしい。脚は猿か人間の掌に似ているかたち。馬を引きずり込もうとして逆に引きずり出されて裁判? にかけられた。
【菊池】松崎の人。庭作りの名人。珍しい形の石を見つけて持って帰ろうとしたが持って帰れなかった。
【菊池菊蔵】和野の人。狐に化かされて餅を取られた。
【菊池松之丞】飯豊の人。傷寒(腸チフス)を病んでいたとき幽体離脱して死んだ父や息子と会った。
【菊池弥之助】笛が上手い。境木峠(さかいげとうげ)で謎の声をかけられた。
【ケセネ】米、アワその他の穀物。
【狐】雉撃ちの鉄砲に土をこめたり、妻の夢に入り込み夫を騙そうとしたり、死体を操ったりする。
【ゴンゲサマ】神楽舞の組ごとにひとつずつ備えられている木彫りの像。獅子頭に似たタイプ。火伏せに霊験がある。
【コンセサマ】男根に似せられている神体はオコマサマと似ている。
【佐々木嘉兵衛】山女を撃ち殺し髪を奪ったが山男に取り返された。
【佐々木鏡石】佐々木喜善。遠野の不思議話を柳田國男に教えてくれた人。祖母の姉は魔法に通じていた。
【ザシキワラシ】いると家が栄える。神として扱われている。遠野を代表する話のひとつ。
【サムトの婆】寒戸にいた娘だが山男にさらわれたらしい。ある嵐の夜少しだけ顔を現した。
【猿のふったち】わりと人に似ていて好色。女性を覗いたりする。毛皮には松ヤニを塗り砂をつけているので防弾チョッキになっている。
【サンズ縄】魔除けとしている場所の周りを囲む。
【蜃気楼】山田ではたびたび蜃気楼が見られる。蛟とか大蛤のしわざとよく言われる。
【大同】旧家。オクナイサマやオシラサマをまつっている。寝ているとおどされたりする。神様のいたずらかもしれない。
【田尻丸吉】子どもの頃幽霊に出会った。
【ダンノハナ】近くに相対する蓮台野(でんだらの)があり六十を超えるとそこに追いやられる。日中は里で農作業などやって稼ぎ夜は戻る。野に出ることを「ハカダチ」、戻ることを「ハカアガリ」と言う。
【天狗】大男たち。オオイワの上で金の勘定をしていた。
【天狗森】若者が天狗に相撲をしかけたが負けたうえに後に手足を抜き取られて死んだ。
【遠野】平地。原野。当時、石狩の平野よりも人口密度が低かったらしい。
【遠野三山】早池峰、六角牛山、石神。若い女神が住まうという。
【鳥御前】元南部男爵家の鷹匠。遠野の山々に明るい。不思議な男女に出会ってちょっとからかったら最終的に死ぬことになった。
【ドンドハレ】昔話の最後に言う言葉。
【新田乙蔵/にった・おとぞう】深山の伝説をやく知っていたが臭かったので聞きに来る人は少なかった。
【白鹿/はくろく】神とも言われている。嘉兵衛爺が撃つと白い石だった。
【離森/はなれもり】燐寸の軸工場があった長者屋敷にけらけら女っぽいのが来たり、従業員を操って連れ出したりする女が出たりした。
【笛吹峠】山女や山男が出るらしい。
【福二】土淵村の助役、北川清の弟。婿に行った先で大津波に遭い妻と子を失うがある夜遠い便所に行こうとして死んだ妻とその死後の夫と出逢う。
【経立/ふったち】年を経た獣が怪しい能力を身につけ怪異を起こす。
【曲り家】人の住まいと馬小屋がL字形に合体した形の家。
【マヨイガ】山中で出くわす立派な家。何かしら持ち出すといいことがある。小国の三浦家の主人の妻が出会ったが何も取らずに帰ると後にわざわざ椀を送ってきた。
【柳田國男】著者。
【山男】ときおり里の娘をさらい生まれた子は食べてしまう。外国人説も聞いたことはあります。
【山女】山男にさらわれた人間の女かも。おおむね神隠しにあったとされる。それとは別に妖怪としての山女もいるような感じもする。
【山神】顔が赤い。逢い引きを邪魔されたら仕返しするし、人に占いの術や読心術を授けたりする。
【山口孫左衛門】家に童女のザシキワラシが二人いた。学がある。キツネと親しくなった。
【山口村の吉兵衛】山女に遭遇して寝込み死んでしまった。
【ヤマハハ】山姥のこと。若い娘を誘拐したりする。
【雪女】遠野の雪女は童子をあまた引き連れているそうだ。
【六部】全国を行脚する僧。行者。