水木しげるのレビュー一覧
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(01)
標題の短編のほか5編が収録されている.いずれも太平洋戦争の南方戦線が舞台となっている.
おそらく著者本人が描いたであろう背景の細密が印象的で,南や黒を感じるタッチであり,テーマ(*02)にも即している.その背景に比べると人物や表情は戯画化されシンプルであるが,飄々さ,戦場をさまよう亡霊といった感じがよく出ているように思う.
擬音表現も興味深い.それは背景でもなく人物でもない,セリフでもないし,説明の地の文でもない,その擬音たちが細密な背景にうまくデザインされて配置され,漫画を芸術として昇華させている.
(02)
無論,反戦の立場から戦争の悲惨さを描いた作品として読んでよいと思うが,戦争礼賛まではいかないものの戦場の美談といったテーマも扱っているところに著者の冷静が表現されているように思う.また,戦場となった南方の現地人,風土風物への言及にも著者ならではの視線を感じる. -
Posted by ブクログ
ネタバレ小人の涙ぐましい犠牲。
そして後半で急激に絵柄が変容し、ホラー、かと思えばまたも死神かよ。
201908再読。
第4話 カッパ泳法と十人の小人
ユーモア奇談という表題。三平は泳げない。河童に訊くと、屁というロケット泳法を教えてくれる。死神いわく小人たちは父を食いつくす吸血鬼だと。しかし真相としては、10人の魂を取ろうと死神が嘘をついているのだった。
第5話 大根畠の珍事
小人のひとりが三平の大会に付き添い、自分で屁こき虫の粉を使って屁をひって三平を勝たせる、かわりに死ぬ。ところで大根畠でタヌキが掘り当ててしまった刑部狸を、三平と狸は共闘して壺に再度封印する。川に流れる糞で河童がまた来て合流。死神いわく三平はプールで水死する、と閻魔大王の手紙(死神の自作)。そのころ三平は炭焼き小屋のおばさんから、母は東京でパチンコ屋に勤めていると聞く。閻魔大王の死のシナリオを書き換える、が(凄まじいホラータッチになって)死の郵便配達夫から、筋書きを書き換えてははならないという郵便を受け取る(実は死神の変装なんだけどね)。 -
Posted by ブクログ
ネタバレあんなにドタバタとしたのに、お爺さんが淡々と死亡し、漫画の舞台から消える。
これが死生観と言わずして何か。
201908再読。
第1話 河童の三平
川原三平。祖父。河童の都へ。長老の息子が人間世界へ留学。ヘソ=キモをとられて。
第2話 水泳大会と死神の巻
祖父を相手に入れ替え劇。西瓜小屋で祖父を迎えに来た死神を会う。三平は祖父の死を遠ざけようと画策。眠り薬。河童が学校へ。水泳大会予選で世界新記録。
第3話 父かえるの巻
五カ村水泳大会でなんと勝つ。三平は少し死んで死後の世界を死神に案内される。雪隠詰めなどを経て祖父は自分の死を観念し受け入れる。三平に父母の話を残して。タヌキが来るようになる。父が帰り研究してきた小人一族をトランクに入れて三平に託す。 -
Posted by ブクログ
あとがきから察するに、ほぼ実話、少しフィクション、のようです。
ほんとうはきっと耳を覆いたくなるようなひどい話、つらい話をいっぱい見聞きされてこられたのでしょうが、その中からこれらの話を選んで漫画にしてきた水木さんの思いのようなものを考えてしまいます。
悲しい物語もどこかこっけいな描写があって、読むのがそんなに辛くなく、過酷な状況で忘れられがちな「人の誠実さ」「友情」「家族愛」が、決していつも損なわれてばかりではなかったことなどを教えてくれます。
前にも思いましたが、漫画というメディアは、かつて日本が我を失い袋小路に迷い込んでしまった戦争の体験を伝えるのに非常に向いていると思います。
特に水木さんの漫画は、少しトボけたような明るい雰囲気があって、「戦争のことを知ろう!」なんて気負うこともなく、読むことができます。それでいて戦争の本質みたいなものはしっかりと伝わってきて、心の奥に残ります。
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