島薗進のレビュー一覧

  • 痛みとケアのスピリチュアリティ 死と再生の新たな形

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    本書では、現代世界の精神文化の経緯を振り返りながら、特定の宗教伝統や宗教団体の枠を超えて求められて来た新たなスピリチュアリティ…前向きにより良き自己と未来の世界を求めていく「自己変容のスピリチュアリティ」、そして本書の本題である、容易に超えていくことができない切実な痛みに向き合うことから展開する「痛みとケアのスピリチュアリティ」について語られている。
    概要をまとめるのが難しいのだが、まえがきによると、
    第一章〜第三章:死にゆく人の痛みとケア、そして死生学的な場の形成
    第四章〜第六章:死別・喪失による悲嘆、水俣病のような人為災害や自然災害、事故、事件による痛み
    第七章〜第九章:依存症、差別や虐待やいじめ、トラウマ的な痛み
    第十章〜第十三章:孤立・孤独、自傷や自殺などの痛み
    第十四章〜第十五章:それらに対するケアのあり方
    の流れでこのスピリチュアリティについて論じていく。
    著者も語っているが、これらのテーマと無縁でいる人はなかなか居ないのではないだろうか。程度の差こそあれ、たましいの痛みとどう向き合えばいいのか、考えたことがあると思う。
    著者のこれまでの研究の成果と、豊富な資料をもとに書かれた本書を、ぜひ多くの人に読んでほしい。とても興味深かったし、参考になることが多かった。著者の他の本も気になるので今後読んでいきたい。

    以下目次

    まえがき
    第一章 目に見えないものにふれる
    第二章 死と孤独に向き合う
    第三章 新たな教養と痛みとユーモア
    第四章 集合的な悲嘆とグリーフケアの集い
    第五章 水俣病運動のスピリチュアリティ
    第六章 深い悲嘆とそこからの歩み
    第七章 自助グループおスピリチュアリティ
    第八章 居場所のない自己からの歩み
    第九章 機能不全家族とアダルト・チルドレン
    第十章 孤独な魂の癒しと旅立ち
    第十一章 疎遠な世界と無垢な少年の心の痛み
    第十二章 閉ざされた世界への抗いと脱出
    第十三章 子ども・若者の自殺の背後にあるもの
    第十四章 新たなケアの形とスピリチュアリティ
    第十五章 当事者と支援者の心の居場所探求
    参考文献
    あとがき

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    2026年08月01日
  • 宗教学の名著30

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    「宗教の歴史は長いが、宗教学は近代になって経験科学の発達を背景としてヨーロッパで誕生した比較的歴史の短い学問である。近代人は宗教に距離をとりながらも、人類が宗教を必要としてきたゆえんを直観的に理解し、時に知的反省を加えてきた。宗教学の知は西欧的近代学知の限界を見定めて、芸術・文学・語りや民衆文化の方へと開かれようとする脱領域的な知ともいえる。本書は古今東西の知から宗教理解、理論の諸成果を取り上げ、現代を生きる私たちにとっての『宗教』の意味を考える視点を養う決定版ブックガイドである。」
    とあり、著者が名著として取り上げた30冊の書物で、新しい学問である宗教学を語ろうとしている。取り上げられる内容によっては、難解なものも含まれるが宗教学としての宗教が学べる素晴らしい本である。著者は執筆当時、東京大学文学部・大学院人文社会系研究科宗教学・宗教史学研究室教授。

    「はじめに
    P9宗教学とは
    宗教学は発展途上の学である。宗教学はまだ若い。青い果実の段階だ。というのは、その望みが大きいからである。」
    というように、宗教は昔からあるけれども、学問としての宗教学は新しい。

    「P12名著を取り上げる場合も、狭く「宗教学者」の系譜をたどるよりも、広く宗教理解、宗教理論の諸成果を継承することの方がはるかにおもしろい。」
    宗教を全体的に理解した方がおもしろいとある。

    「P15宗教学のおもしろさ
    宗教学はおもしろい。名著は世界について、社会について奥深い洞察を示した書物を期待してよい。
    おもしろいということのもう一つの意味は、自分自身の生き方や考え方の核心に関わるようなことが考察されているということでもある。かっての哲学や文芸学には人間の生き方や考え方の根本につねに立ち返るような姿勢があった。」
    社会について、自分自身の生き方や考え方の核心に関わるのが宗教学である。

    このような導入で、紹介されている本は下記の30冊の本について解説。各個人興味深く読めるところもあれば、難解なところもあって、概して全体的に非常に面白い。

    Ⅰ宗教学の先駆け
     空海『三教指帰』
     イブン=ハルドゥーン『歴史序説』
     富永仲基『翁の文』
     ヒューム『宗教の自然史』

    Ⅱ彼岸の知から此岸の知へ
     ラヴジョイ『存在の大いなる連鎖』
     カント『たんなる理性の限界内の宗教』
     シュライエルマッハー『宗教論』
     ニーチェ『道徳の系譜』

    Ⅲ近代の危機と道徳の源泉
     フレイザー『金枝篇』
     ウェーバー『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』
     フロイト『トーテムとタブー』
     デュルケム『宗教生活の原初形態』

    Ⅳ宗教経験と自己の再定位
     ジェイムズ『宗教的経験の諸相』
     姉崎正治『法華経の行者 日蓮』
     ブーバー『我と汝』
     フィンガレット『論語は問いかける』

    Ⅴ宗教的なものの広がり
     柳田国男『桃太郎の誕生』
     ホイジンガ『ホモ・ルーデンス』
     エリアーデ『宗教学概論』
     五来重『高野聖』

    Ⅵ生の形としての宗教
     ニーバー『アメリカ型キリスト教の社会的起源』
     レ―ナルト『ド・モカ』
     エリクソン『幼児期と社会』
     ショーレム『ユダヤ神秘主義』
     井筒俊彦『コーランを読む』

    Ⅶニヒリズムを超えて
     ヤスパース『哲学入門』
     バタイユ『呪われた部分』
     ジラール『暴力と聖なるもの』
     湯浅泰雄『身体論』
     バフチン『ドストエフスキーの詩学の諸問題』


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    2025年09月27日
  • 大学4年間の宗教学が10時間でざっと学べる

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    本当に「ざっと」。
    その代わり、かなり広範囲に網羅されているように思うし、こういう本でも読まない限り自分は見なさそうな情報も入っているので、視野を広げる意味で良かった。特にカルトを含め現代宗教に手厚く、良い面も悪い面もフラットに紹介している点は好感が持てた。

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    2025年03月19日
  • 大学4年間の宗教学が10時間でざっと学べる

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    《宗教を正しく理解し、自分と相手のことを理解してみよう》
    ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
    「私たちの何が怖いのですか?」
    駅前や玄関先で宗教家の方にこう聞かれた時、あなたはどう答えるでしょうか?

    「今急いでいるので、失礼します。」
    「すみません、結構です。」
    こう答えつつ、自分が何を恐れているのか分からずモヤモヤした気持ちを抱えていた時、こちらの本に出会いました。

    こちらの本では、「宗教学とは何か」という問いかけから始まり、様々な宗教についてや、現代の宗教観に至るまで、様々な観点から宗教について簡潔に分かりやすく解説されています。こちらの本を読んで、今まで「何となく怖いな」と思っていた新しい宗教や宗派についても、客観的な視点から学べたのが良かったです。

    グローバル化が進み、多様性が重視される今の時代だからこそ、「自分の価値観と違うから」「何となく良くないと思うから」という理由で自分と異なる宗派の人を否定するのではなく、宗教について客観的な視点から学び、相手はどんな考え方を持っているのか、自分はどんな考え方が合うと感じるのかを考えてみると良いのではないかと思いました。

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    2025年03月09日
  • 悲しみとともにどう生きるか

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    【目次】

    まえがき(入江杏)

    第一章 「ゆるやかなつながり」が生き直す力を与える(柳田邦男)

    第二章 光は、ときに悲しみを伴う(若松英輔)

    第三章 沈黙を強いるメカニズムに抗して(星野智幸)

    第四章 限りなく透明に近い居場所(東畑開人)

    第五章 悲しみとともにどう生きるか(平野啓一郎)

    第六章 悲しみをともに分かち合う(島薗進)

    あとがき(入江杏)

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    2024年10月11日
  • 徹底討論 ! 問われる宗教と“カルト”

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    宗教とカルトは本当に難しい問題で、おそらく「答え」はないのでしょう。
    こういう問題を考えるうえでは、このような複数人での対話が重要になる気がします。

    「理解できないと重んじられない、ではなくて、理解する前に重んじる」「宗教的要素を教育から排除してきたことを見直す」といった、自分が普段から考えていることが述べられていて、深く共感しました。

    若松さんが「拘束」はカルト化の原因だと述べたあとに、川島さんが宗教においてある程度の拘束は避けられないと、自身のキリスト教徒としての経験から正直な感想を述べていたのが印象的でした。では何が問題なのか、互いに共存できる考え方は何なのか。こういうのは対話によってしか歩み寄れないのだろうと思います。

    皆がお互いの意見や理想を言い合い、しかしそれは現実には難しいことも認め合い、それでも譲れないところはどこなのか、着地点を見つけ出そうとする。これを続けていく選択肢しかないのでしょうし、宗教の専門家たちがこのように率先してそれを行ってくれることを期待します。

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    2024年09月23日
  • みんなの宗教2世問題

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    エホバの証人の2世の方で、臨床心理士の資格を取り、スクールカウンセラーをされている方の言葉が、とても強く切実に響きました。
    ぜひ多くの人に読んでもらいたい本です。

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    2024年03月30日
  • 大学4年間の宗教学が10時間でざっと学べる

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    キリスト教や仏教だけでなく、オウムや創価などカルトや新興宗教にもページが割かれていて、総合的な理解が進みました。逃げずに知ることは大切です。

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    2024年02月17日
  • 徹底討論 ! 問われる宗教と“カルト”

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    NHK「こころの時代」を興味深くチェックするようになったのは、本書のもととなった放送を見て以来。よって、本書の購入は記念的な意味だったが、各先生が放送で語られたことを一歩深めて書き下ろしているコラムが追記されていて、より深まった。

    ”カルト”について考察を進めると、宗教と国家、社会における個人へと問いがつながっていく。その過程が平易な語りでなされているのは、どの先生方も当事者として、危機感をもって関わってきてたからだろう。こうした番組が多くの人の目に留まり日本社会の宗教リテラシー向上につながることを願う。

    ①カルトの定義②宗教と国家の歴史的把握③宗教間対話の可能性④宗教の意義、役割

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    2023年09月02日
  • 政治と宗教 統一教会問題と危機に直面する公共空間

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    統一教会関連のトピックを丹念に詳細にまとめた好著だと思う.自民党と統一教会の関係に関してはこれまで読んできた内容と特に異なることはなかったが、創価学会・公明党の歴史や立場の解説は圃場に面白かった.時に参考になったのはフランスの状況を記載している第4章だ.良心の自由と礼拝の自由と保障するライシテの原則を堅持している国で、反セクト法がどのような過程で成立し、どのように運用されているかが述べられている.セクトのとりあえずの定義として「何らかの正統の観念が存在する多かれ少なかれ集権的な社会において、異端的な社会的行動によって公共の秩序や個人の生存を脅かすと問題視されうる組織」を挙げているが、法案自体にセクトの定義はない由.政教分離体制を考慮した措置だとの解説があったが、フランスの空気の一部に触れた感じがした.簡単に統一教会を褒め上げる文言を送る自民党の輩にぜひ読んでもらいたい本だと感じた.

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    2023年09月01日
  • 大学4年間の宗教学が10時間でざっと学べる

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    ○予定説と資本主義
    西洋の近代化が進んだ原因は、プロテスタント・カルヴァンの「予定説(*)」の影響が大きい。
    職業労働に専心し、自分は救われているとの確証を得たいとする態度が広がった。
    *人間が死後、天国に行けるか地獄に落ちるか予めすべて神によって定められており、どんなに神に祈ったり、祀ったとしても、救われない者は救われないものとした。

    ○宗教と生命倫理
    人工中絶への考え方

    ○宗教とエコロジー
    アニミズムの再評価

    ○正教分離
    ・宗教に友好的な政教分離(宗教の自由を守るための政教分離):イングランド、スコットランド、ギリシャ、ドイツ、アメリカ
    ・宗教に非友好的な政教分離(国家は宗教に関わってはいけない):日本、中国、フランス

    ○宗教対話
    ・世界宗教者対話会議

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    2021年12月25日
  • 新宗教を問う ──近代日本人と救いの信仰

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    コロナ禍によるいわゆる「ニュー・ノーマル」って産業構造やライフスタイルの問題だけじゃなく、人の心にも大きな影響を与えることになるでしょう、きっと。だから芸術だとか宗教を求める力も大きなってくるんだろうな、となんとなく思っていました。芸術はみんな大っぴらに語るとするとして、時代の要請に応じて宗教がどんな変化をしていくのか、そもそも時代の変化に合わせて生まれてきた新宗教って何?というモヤモヤ感によって手に取ったのが本書です。かなりスッキリしました。プロレス団体の集散離合のように新宗教の相互関係が初めてわかりました。同時に公明党とか日本会議とか現在の政治を語るうえでの重要な要素としての新宗教の大きさにたじろいだりもしました。しかしここまで仕組みがわかると得体の知れなさに怯える必要もないのかな、とも感じました。怯えるべきは人の心の行方。新宗教がコミュニティベースの「旧新宗教」と個人ベースの「新新宗教」に分かれるという分析がそうだとしたら、オウム真理教が獲得したスピリチュアルを求める個人の願いは、きっと東日本大震災やコロナ禍を経て日本の上空に大量に浮遊していると思われます。

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    2021年03月07日
  • 悲しみとともにどう生きるか

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    個人的に興味深い作者名が並んでいたこともあり、本屋で衝動買いしたもの。ただひたすら真摯に、悲しみと向き合ったからこそ到達し得た心境が、ことばで生きている諸氏によって語り起こされる内容は圧巻で、それぞれに異なった対峙方法にも関わらず、通底する温もりは十分に享受できる。心のどこかに本書の存在を認識しているだけで、ずいぶん楽に感じられる、そんな座右の一冊。

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    2021年01月12日
  • 宗教学の名著30

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    デパ地下の試食コーナー巡り的です。
    後程、政治思想史を学ぶ上でも有益です。

    ①宗教学の先駆け
    空海『三教指帰』―比較の眼差し
    イブン = ハルドゥーン『歴史序説』―文明を相対化する
    富永仲基『翁の文』―宗教言説の動機を読む
    ヒューム『宗教の自然史』―理性の限界と人間性

    ②彼岸の知から此岸の知へ
    ラヴジョイ『存在の大いなる連鎖』―形而上学の解体の後に
    カント『たんなる理性の限界内の宗教』―倫理の彼方の宗教
    シュライエルマッハー『宗教論』―宗教に固有な領域
    ニーチェ『道徳の系譜』―宗教批判と近代批判

    ③近代の危機と道徳の源泉
    フレイザー『金枝篇』―王殺しと神殺し
    ウェーバー『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』―宗教の自己解体
    フロイト『トーテムとタブー』―父殺しと喪の仕事
    デュルケム『宗教生活の原初形態』―宗教は社会の源泉

    ④宗教経験と自己の再定位
    ジェイムズ『宗教的経験の諸相』―「病める魂」が開示するもの
    姉崎正治『法華経の行者 日蓮』―神秘思想と宗教史叙述の地平融合
    ブーバー『我と汝』―宗教の根底の他者・対話
    フィンガレット『論語は問いかける』―聖なるものとしての礼・儀礼

    ⑤宗教的なものの広がり。
    柳田国男『桃太郎の誕生』―説話から固有信仰を見抜く
    ホイジンガ『ホモ・ルーデンス』―遊びの創造性と宗教
    エリアーデ『宗教学概論』 有限が無限に変容する時
    五来重『高野聖』―唱導と勧進の仏教史

    ⑥生の形としての宗教
    ニーバー『アメリカ型キリスト教の社会的起源』―持たざる者の教会
    レーナルト『ド・カモ』―神話的な生の形
    エリクソン『幼児期と社会』 母子関係と自立の試練
    ショーレム『ユダヤ神秘主義』―神話的経験の再活性化
    井筒俊彦『コーランを読む』―言語表現からの実存解釈

    ⑦ニヒリズムを超えて
    ヤスパース『哲学入門』―実存・限界状況・軸の時代
    バタイユ『呪われた部分』―消尽と無による解放
    ジラール『暴力と聖なるもの』―模倣の欲望から差異創出へ
    湯浅泰雄『身体論』―修行が開く高次システム
    バフチン『ドストエフスキーの詩学の諸問題』―多元性を祝福する

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    2020年10月03日
  • 宗教学大図鑑

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    今まで「宗教は胡散臭いから苦手」と毛嫌いしていたが、どうやらそうでもないようだ。
    科学と宗教の意外な関係性を知ってしまったら、宗教の歴史を学ばずにはいられなくなった。


    宗教は、何をおいても秩序に関心がある。宗教は社会構造を創り出して維持することを目指す。
    科学は、何をおいても力に関心がある。科学はその「力」を、研究を通して獲得することを目指す。
    科学と宗教は、真理よりも秩序と力を優先する。
    したがって、両者は相性が良い。
    ーユヴァル・ノア・ハラリ


    宗教、芸術、科学はすべて、
    同じ一本の木から生える枝である。

    ーアルベルト・アインシュタイン

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    2018年12月21日
  • 宗教を物語でほどく アンデルセンから遠藤周作へ

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    筆者の島薗さんは小説への造詣が深い。
    古い小説から新しい小説まで、日本、海外、子供向け、大人向け、様々に、バラエティー豊かに紹介されていることがうれしく、飽きない。
    紹介文に、各小説への愛を感じる。

    この本を読むと、
    (言われてみれば、当然だけど)宗教と物語は非常に近い関係にある。
    ということがよく分かる。

    宗教とは、人が生きる上での苦難に対して、なんとか生きていけるように、寄り添ってくれるものだと思う。(人は一人では弱くて生きられないので、寄り添って、支えてくれるものがあれば、生きていける。)

    物語は、読者が自分と違う登場人物と同化し、物語世界を疑似体験することで、今の囚われている自分から解放され、物語のもっている何か(物語の本質)に触れることができる。

    宗教を説明する際、論理的に効果などを説明するのよりも、ほかの人のストーリーとして話した方が、聞いている人に、より分かりやすく、「本質的な何か」を伝えられるのだと思う。なので、聖書は物語の宝庫なのだと思う。

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    2017年09月05日
  • 宗教を物語でほどく アンデルセンから遠藤周作へ

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    序章 宗教は物語のなかにある 第一章「死」を超える 第二章「弱さ」と向き合う 第三章「悪」に向き合う 第四章「苦難」を受け止める 終章 重なり合う宗教と物語の力

    「物語好きの方、また、宗教に関心があるが、宗教教団や教義は敷居が高い、親しみづらいと感じている方に楽しんでいただきたい」との著者の想定読者層にピタリとはまり、どの章のどの参考文献からの引用も興味深く考えさせられるものばかり。
    『きりこについて』『想像ラジオ』『わたしを離さないで』など既読のものも改めて読み直したくなったし、遠藤周作『深い河』は読まなければ、という気持ちにさせられる。読書案内としても素晴らしい。

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    2017年01月04日
  • いのちを“つくって”もいいですか? 生命科学のジレンマを考える哲学講義

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    著者は、1997年にクローン羊のドリーが誕生したことを受けて、当時の橋本首相が設けた生命倫理委員会に参加し、それ以降生命倫理の問題について第一線で取り組んできた、現・上智大学神学部教授である。本書は、NHKテレビテキスト『きょうの健康』に2013~2015年に連載された「いのちとモノ」をもとに加筆・再構成されたもの。
    本書は、「現代のバイオテクノロジーや最先端の医療が目指しているものが、ほんとうに私たち人間の幸せをもたらすのだろうか」という問いをテーマにしており、著者は次のように考察を進めていく。
    ◆現代のバイオテクノロジーと医療は、私たちの欲望を限りなく満たす方向、即ち「幸福に満ちたいのち」を求める方向に進んで行こうとしているのではないか?
    ◆再生医療の進歩は「からだを取り換える」ことを可能にし、遺伝子工学の進歩は「遺伝子から人をつくり変える」ことを可能にするが、それらは、医療の本来の目的である「治療」を越えた「エンハンスメント(増進的介入)」を促進することになりかねない。身体を「改造」すれば幸せになるのだろうか?
    ◆バイオテクノロジーの進歩は、様々な出生前診断を可能にし、いのちは「授かるもの」から「選び取るもの」に変わろうとしている。更に技術が進めば、親が遺伝子レベルで好ましいと思う子どもを意識的につくる、即ち「デザイナー・ベビー」をつくることにつながる。そのようないのちの選別を続けていけば、将来的におかしな事態が起こってくるのではないだろうか?
    ◆ES細胞やiPS細胞のような万能細胞の発見は、人間と動物のキメラをつくる(例えば、豚の体の中で人間の内臓をつくる)ことを可能とするが、これは一体どこまでが人間でどこまでが動物なのか、種の境界を揺るがせかねない。また、万能細胞から「生殖細胞」がつくられれば、万能細胞という人工的な細胞から「いのち」そのものを生み出すことが可能となる。
    ◆欧米では、ES細胞をつくる際に「いのちの始まりを壊す」(ES細胞は受精卵を壊してつくる)という観点で倫理問題が議論され、また、中絶が一般に認められていないが、いずれもキリスト教の思想に基づくものである。また、「脳死」が比較的疑問なく受け入れられているが、それは、心と身体(精神と物質)を二分する二元論的思考、近代文明を築いてきた科学に対する強い信頼感、個人の主体性・独立性を強調する考え方などを背景としており、いのちを「個としてのいのち」と捉える傾向が強い。
    ◆日本では、かつて堕胎や間引きにより、共同体が一つのいのちとして生き延びていくために人口の調整が行われていた時代があり、また、「脳死」を受け入れ難いと感じる人の割合が高いが、それらはいずれも、いのちを「つながりのなかのいのち」と捉えることを反映している。
    ◆生命倫理に関する考え方は、文化的・歴史的背景の違いにより異なるが、バイオテクノロジーの進歩が行き着く、「そこから何ができてしまうのか」という究極の問題は「人間の未来のいのちの形」を問う問題であり、文化や歴史の相違を越えてしっかり議論を深める必要がある。
    今考えるべき生命倫理についての全てがわかりやすく説明されており、若い世代を含めて全世代必読の一冊と思う。
    (2016年5月了)

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    2016年05月29日
  • 宗教学大図鑑

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    文字通り世界の宗教に関する基礎知識が得られる本。あくまで宗教の知識について史実に基づいて記述しているので、安心して(笑)読める。

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    2015年10月31日
  • 宗教学の名著30

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    [ 内容 ]
    宗教の歴史は長いが、宗教学は近代になって経験科学の発達を背景としてヨーロッパで誕生した比較的歴史の短い学問である。
    近代人は宗教に距離を取りながらも、人類が宗教を必要としてきたゆえんを直観的に理解し、時に知的反省を加えてきた。
    宗教学の知は西欧的近代学知の限界を見定めて、芸術・文学・語りや民衆文化の方へと開かれようとする脱領域的な知ともいえる。
    本書は古今東西の知から宗教理解、理論の諸成果を取り上げ、現代を生きる私たちにとっての「宗教」の意味を考える視点を養う決定版ブックガイドである。

    [ 目次 ]
    1 宗教学の先駆け
    2 彼岸の知から此岸の知へ
    3 近代の危機と道徳の源泉
    4 宗教経験と自己の再定位
    5 宗教的なものの広がり
    6 生の形としての宗教
    7 ニヒリズムを超えて

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

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    2014年10月28日