【感想・ネタバレ】徹底討論 ! 問われる宗教と“カルト”のレビュー

あらすじ

「旧統一教会問題」が露わにしたもの

安倍元首相銃撃事件を機に急浮上した旧統一教会問題。宗教のあり方が問い直された。本来は人を救うはずの宗教と“カルト”との境界はどこにあるのか。政治と宗教の関わり方にどのような“歪み”があったのか。これから私たちは、どのように宗教と向き合うべきなのか。現場の第一線にいる研究者・宗教者6人が集まり、宗教と社会・政治・人間の「これから」を徹底的に討論する。YouTube版動画が10 万回以上再生されたNHK E テレ「こころの時代 宗教・人生 問われる宗教と“カルト”」に、出演者の書下ろし論考を収載して緊急出版化。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

宗教とカルトは本当に難しい問題で、おそらく「答え」はないのでしょう。
こういう問題を考えるうえでは、このような複数人での対話が重要になる気がします。

「理解できないと重んじられない、ではなくて、理解する前に重んじる」「宗教的要素を教育から排除してきたことを見直す」といった、自分が普段から考えていることが述べられていて、深く共感しました。

若松さんが「拘束」はカルト化の原因だと述べたあとに、川島さんが宗教においてある程度の拘束は避けられないと、自身のキリスト教徒としての経験から正直な感想を述べていたのが印象的でした。では何が問題なのか、互いに共存できる考え方は何なのか。こういうのは対話によってしか歩み寄れないのだろうと思います。

皆がお互いの意見や理想を言い合い、しかしそれは現実には難しいことも認め合い、それでも譲れないところはどこなのか、着地点を見つけ出そうとする。これを続けていく選択肢しかないのでしょうし、宗教の専門家たちがこのように率先してそれを行ってくれることを期待します。

0
2024年09月23日

Posted by ブクログ

NHK「こころの時代」を興味深くチェックするようになったのは、本書のもととなった放送を見て以来。よって、本書の購入は記念的な意味だったが、各先生が放送で語られたことを一歩深めて書き下ろしているコラムが追記されていて、より深まった。

”カルト”について考察を進めると、宗教と国家、社会における個人へと問いがつながっていく。その過程が平易な語りでなされているのは、どの先生方も当事者として、危機感をもって関わってきてたからだろう。こうした番組が多くの人の目に留まり日本社会の宗教リテラシー向上につながることを願う。

①カルトの定義②宗教と国家の歴史的把握③宗教間対話の可能性④宗教の意義、役割

0
2023年09月02日

Posted by ブクログ

安部元首相殺害で関心が集まる宗教、カルトの世界。容疑者家庭における母親の一億円寄付、家庭崩壊がいわれるが、ではなぜ宗教にそこまで入れ込んだかという視点も必要ではないか、というのが冒頭の問題意識としてあった。読んでいくと、本来宗教とは、そういうものではないんだな、と思ったね。ただ、宗教の力を利用して、そういうことをする集団もある、と。見分けるポイントは「恐怖」「搾取」「拘束」する集団であるかどうか。あと「嘘」をついていないか、ということも言われていた。

「宗教というのは、その扉に鍵がかかっていないはずなんです。もしなんらかの宗教画内側から鍵をかけるようなことがあれば、それは宗教と呼ぶには値しないのではないでしょうか」

日本では宗教教育が行われていない。政教分離だから、とはいわれるが、本来それは政治と教会(宗教集団)の分離であって、宗教とは人間が生きていくうえで強力な力を持つものなのだから、本来分離すること自体が難しい。教育しないことによって、危険である部分もわからなくなってしまったのではないか。

 いろいろ考えさせられる本だったんね。

0
2023年08月02日

「学術・語学」ランキング