島薗進のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
医療技術の発展に伴い課題として浮き彫りになってきた「治療を越えた医療=エンハンスメント」をベースに、いのちの捉え方を私たちに問う本作。
医療技術が飛躍的に進化している昨今。治療できなかった病気が治療でき、救えなかった命が救えるケースが増えてきました。ニュースでそれらを目にする度に単純に人間にとって「良いもの」が生まれた、と思っていました。本書では医療技術が人間にとって「より良く」利用された時、つまり治療を越えて「増強」として利用された時に「何が変わり、何が問題となるか」という課題や問題点が、さまざまな側面から投げかけています。
世の中には賛否両論ある技術がすでに実用化されているのも現状です -
Posted by ブクログ
古代から現代にいたるまでの神道史を概観している、バランスのよい入門書です。
神道の起源については、稲作にそのルーツをたどることができるという意見から、制度としての神道が確立された中世まで時代をくだらなければならないとする意見まで、論者によって立場が分かれます。本書はそれらのなかで主要な意見を手ぎわよくまとめつつ、古代律令国家による祭祀にその核を見いだし、その後歴史のなかでさまざまにかたちを変えつつも神道と呼ばれる信仰の形態が現代にまで受け継がれているという主張を提出しています。
その後、神道の歴史は神仏習合というかたちをとって日本に定着していきました。さらに室町時代から江戸時代にかけて、儒 -
-
Posted by ブクログ
2022年7月8日の安倍元首相の銃撃事件直後、宗教学者島薗進が編者となり思想史学者中野昌弘などと
統一教会問題を考えたものである。
教団の発祥から活動の実態、政治家との繋がり、元首相の銃撃にいたる背景などを掘り下げている。
これは自分が生活していた社会で実際に起こっていたことである。
犯人山上徹也の母は教団の信者となり1億以上の資金を注ぎ込み家庭崩壊を招いていた。
統一教会の被害相談は2015年までの28年間で23800件、1177億円発生している。
霊感商法は1970年代の中頃から始まり警察の摘発は2007年以降のことである。教団は訴えられても信者の勝手な行動として資金を集め続け、それを韓 -
Posted by ブクログ
人はなぜ絶対的な存在に祈りを捧げ、「救い」を求めるのだろうか?
世界三大宗教とよばれる仏教・キリスト教・イスラームを救済宗教と位置づけ、その名の通り救済を求める宗教の歩んできた歴史と社会的構造との相関関係を明らかにしている
そもそも救いとはなんなのだろうか。序盤では文学や歌にみられる救いの表現を取り上げつつ、芸術によって形成されてきた救いの意識をひもといている
ウェーバーの提唱した、人の死後はすでに決まっているから現世の行いや宗教の類は全く意味がない、とした予定説が興味深い こんな反宗教的な思想が許されるのか、と思ったけどケーサカンバリンの地水火風の話(たしか唯物論的なの)と似てる気もしてお -
Posted by ブクログ
私も宗教2世、いや、正確には3世です。
皆さんの体験談は、自分と重なるところも多く、改めて、自分もいろんなことを我慢してきたんだろうな、本当の自分を出すことができずに大人になったんだろうなと感じました。
せっかくなので、私の記録も(長くなりますが)ここに残します。
私は、父方の祖母、母方の祖父母が創価学会に入会し、父と母は子どもの頃から学会員で、学会活動の中で出会って結婚し、私が生まれました。
父母は地元でちょっと有名な活動家だったので、その長女である私も期待されていると(勝手に)感じていました。
小学生になる頃、母から勤行唱題を教わり、土日には未来部として会合や合唱団の活動に参加しました。 -
Posted by ブクログ
第1章まで呼んだ。グノーシス主義が、今まであまりよくわかってなかったが、簡単に簡潔にここで説明されていて良かった。右側に図も載っていて、楽しかった。
もっと続きを読みたかったなぁ。今度時間がある時に読みたいな。
この本の特に好きなところは、はじめににある著者の文章。
宗教学について学ぶ時、様々な生き方を具体的な人間の実相から離れることはできません。
宗教学は、人間が向き合う難しい問いを、それらの具体的な事例からつぶさに学んでいこうとするものです。
人の生きる根拠となるものがなんだったのか、何を生きがいとして人は生きてきたのか。
人類史を広く見渡せば、宗教抜きには語れないことが実に多いくあります