藤田和日郎のレビュー一覧
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購入済み
勝の成長がみえる
あんなに泣き虫で弱っちかった勝が、急成長します。まだ小学生なのに、人を殺すことを何も思わない大人やオートマータ、人形に立ち向かう姿は圧巻です。
しろがねを守るナルミがかっこいい。あんなに冷たくあしらわれてるのに、守ってあげる義理深い男、素敵です。 -
購入済み
いよいよ始まりました
人形たちとの戦いがいよいよ始まりました。
しろがねの美しさ、オートマータの不気味さ、キャラクターの表情など、絵が細かくてとっても大好きな作品です。
一度全巻読み終わりましたが、この頃より後半の方がやはり絵が上手で見やすくなります。
早く続きが読みたい。 -
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ネタバレ残花少尉がうっかり上官に舐めた口を叩いてしまう14巻である。
うっかり残花少尉と、そんな少尉と多少の縁があったらしき宿木二等陸尉の困惑がこの巻のハイライトかもしれない。残花少尉の変貌ぶりに呆気に取られる面々にはだいぶ笑わせていただいた。
今巻もコンパクトながら、実に濃厚な内容になっている。
帰黒=真琴と青一お兄ちゃんの再会シーンと、寸でのところで泥努殺害に失敗した紅と泥努の対話、そして双亡亭への総攻撃に対峙する圧倒的な泥努の姿。
それぞれはそこまで大きな動きではないが、物語はドラマ性を多分に含み、次へ次へと進展している。
シンプルな布石ではあるが、弟を持つ紅であったればこそ泥努の -
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ネタバレ久々にホラー展開が見られた13巻である。
この巻では、ここに来てようやく青一の弟・真琴に関する伏線が消化されている。
物語はいよいよ佳境を迎えつつあり、泥努の元へと向かう青一、緑朗、凧葉、帰黒の四人が今回の主役になっている。
現れる鬼離田姉妹の長女・菊代と、彼女が繰り出した残忍な策が青一を苦しめる。
一方、亭内に突入している緑朗、凧葉、帰黒らもまたそれぞれがピンチに見舞われながら、緑朗の意外な活躍・覚醒によってまた新たな戦う手段を手に入れ、双亡亭の悪意に立ち向かっている。
いくつもの勢力の意思が絡み合う中、一歩一歩確実に物語は進んでいる。
真琴に関する伏線は完全に意表を突かれ -
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ネタバレ主たる謎はすべて明かされた12巻である。
泥努と紅の対話により、泥努の思い出が詳らかにされた。彼と姉の思い出は、個人的には想定した中で最も哀しい、誰一人とて救われないものだった。
人が生きていく上で、侵略者のような存在なくとも、ただただ悲しさだけで人は壊れ化け物になってしまう。この物語が突き立てる真理はあまりに重い。
それと同時に、ついに侵略者どもは真なる敵を見つけ、排撃することを決めている。
能力者をからめとり、将棋のようにむしろ彼らを戦力化する双亡亭にとって、そんな彼らの攻撃を無効化してしまう凧葉と緑朗の見せる勇気は何よりも致命的だ。
そんな彼らの反撃を受けながら、泥努が描く -
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ネタバレ前半戦を締めくくる決戦の7巻である。双亡亭に巣食う侵略者たちの弱点が知れた巻でもある。
突入組に覚悟を問いかける凧葉から物語は始まり、双亡亭では奴らの目的にメスを入れていく展開が組まれている。その過程で彼らの弱点も見つけ出した形だ。
また、青一・緑朗がついに双亡亭に到り、青一のドリルが双亡亭を正面から破壊する象徴的なシーンが描かれた巻でもある。
そして、数多の敵に取り囲まれながら決死の覚悟で液体窒素のアポーツを敢行したフロルが、双亡亭内部の決戦で中心的に描かれている。
フロルの過去と、語られる思い、そして覚悟は率直に胸を打つ凄まじさだ。彼女の見た末期の風景、心象風景における空の青さ -
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ネタバレ青一のあまりに陰惨な戦いが現在へと繋がる5巻である。
この巻の前半では侵略者たちが双亡亭を扉にして地球に移住しようとしている姿が描かれ、双亡亭そのものの悪意に満ちたその相貌に青一が叫んでいる。
弟のマコトとの別離と再会の約束、そして改めて歴代首相らから依頼された「双亡亭を壊す」という約束など、ここでも見どころは多い。
そして後半では、再び舞台は双亡亭へと移り、乗り移られた修験者とパイロキネシスの老夫婦の戦いと、占い師の三姉妹の乗っ取られた長女と次女三女の戦いが描かれている。
特筆すべきは次女三女の暴かれた過去、出生に関わってくる双亡亭との因縁だろう。そのあまりに壮絶な半生と、その -
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ネタバレ双亡亭のあちら側から現れる奴らの正体にメスを入れる4巻である。
これまでのホラーテイストの物語からSFのニュアンスを強める感と言っていいだろう。
合間に科学者組同士の(乗っ取られた側とそうでない側の)対決を挟みながら、青一が地球ではない場所で45年もの間戦い続けた経緯が語られている。
侵略者と、侵略者から青一達飛行機の搭乗員を救った星の抗争をメインに描いたこの巻ではあるが、抵抗しない「おじいちゃん」に怒りを教える青一の姿には胸打たれるものがある。
虐げんとする者どもに対し反抗せよと語る内容もまた、子供たちに向けて反骨を教えるニュアンスを感じるのだ。
だが、同時にその反抗が45年も -
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ネタバレ屋敷の魔の手が異能者たちを襲う三巻である。
この巻ですべてが説明されているわけではないが、事実上の壊滅だろう。先の巻での引きがそのまま絶望的な展開を導いている。
この巻の肝は、絵の中で見せられる絶望と、それに対抗するための手段だろう。
異能者たちや自衛隊員が取り込まれる中で、同じく絵に取り込まれた凧葉は不思議な青年と会い、そしてその後の絵の襲撃を撃退している。
心強くあらねば、いかなる異能を持っていようとも何の役にも立たない。双亡亭の恐ろしさをまざまざと描いた巻だろう。
その悪辣さも特徴的だ。トラウマに直面させることで、催眠術で言う驚愕法のような手法で精神に空白を生じさせ、そこに -
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ネタバレ悪意と怪異の巣窟・双亡亭を壊さんと異能者たちが集う第二巻である。
この巻では巻頭に、政府の説明会で集う異能者たちが描かれていて、いよいよ双亡亭を壊すべく物語が動き始めている。
その脇を固めるのが緑朗と青一の二人の総理との会談だろう。双亡亭の闇を説明する総理と同期するように、物語は暗澹たる壊滅へと向かっている。
それにしても、実にスマートな物語運びだと思う。
集まった異能者たち、それは堕落した修験者であったり、米国の調査チームであったり、あるいは全てを見通す占い師三姉妹であったりするのだが、そんな彼らを緑郎の姉・紅や凧葉の視点を通すことで、彼らの儚い運命を予見している。
その上で、 -
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ネタバレ自衛隊の爆撃をも物ともせず、中に入る者たちを取り込み化け物に変えてしまう。
そんな化け物屋敷・双亡亭を壊すべく立ち上がった人々の群像劇的物語である。主人公は(おそらくは)三人だが、基本線は群像劇と見ていいだろう。
それにしても、物語が開いていくワクワク感は素晴らしいものがある。
藤田さんが描く絵の濃さ、ホラー描写の巧みさも影響しているのだろうが、何よりストーリーテリングの手並みが本当に優れている。
おぞましき屋敷に因縁を持つ総理が、自身の手で双亡亭壊すべしと述べ、賞金を懸ける。
双亡亭に父を食われた少年・緑朗は双亡亭を壊しうる人との出会いを得て、双亡亭を目指す。
双亡亭爆撃の夜