君嶋彼方のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレアロマンティックアセクシャル、略してアロマアセクとも言うらしい。恋愛やセックスに対する欲求がない性向やそれを持つ人を指す言葉。
主人公の一人「千凪」はセックスに嫌悪感を抱きハグや手をつなぐことにすら違和感を感じる自分が、アロマアセクだと知る。それも恋人「一番」にプロポーズされた翌日に。
一番は男らしくにこだわりぬいた父親の教育に影響を受けたイケメン。そんな二人の恋愛が平穏なはずがなく…。
主人公二人の恋愛の行方や愛の形がメインテーマなんだが、それ以外でも二人の家族模様がとても重要なファクターとなっている。恋愛やマジョリティがてーまではあるけども、秀逸な家族小説としても読ませる。
一番の父 -
Posted by ブクログ
ネタバレとある高校の、とある教室。冬木先生を担任にもつ生徒たちの、ままならない学校生活が連作短編になっている。
大人でも子どもでもない十代後半、みんないろいろあるよねーなんて半ば退屈しつつのんきに読み進めていたのだが、最終話を読んで驚愕することになった。
え、え、10年前にLINEを使ってたような高校生が、もう26歳になって学校の先生をしてるってこと!?
種明かしというか、その時の流れの速さにひっくりかえりそうになった。信じられなくて調べたら、LINEがサービス開始したのは13年前なんですって……。そうかぁ、そんなに昔かぁ。
時代が交錯するタイプの叙述トリックとして使われるほどの年月が経って、それに -
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おもしろかったーーー!
途中から、お、これ同じ学校のひとたちなんだね、と知って、最終的に、この人がえーー!あの人で、えーー!!!
と、まるで過去その人達とわたしがクラスメイトだったかのように、知ってる!あの人が今こうなったの?そんでそことここが繋がってるの?!
という驚きも、ものすごく嬉しく楽しい感動の要因になりました。
高校生のお話だけど、大人になった今のわたしでも、懐かしいなあ、こんなだったなぁ、とかじゃなくて、結局人ってそんな変わらないんだよなぁ、と思いながら、それでも年月が経つことで色々なことを寛容にみられるようになることもたくさんあるよなぁと思いました。
わたしも見切れてる登 -
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推し作家さんの1人である君嶋さんの良さが詰まったような素敵な青春作品だったと思います。最近、仕事で荒んでいた私の心にもすっと沁み入るような、嫌味がなく、そしてしつこくない、良い塩梅の青春加減でした。
本作は、ある高校を舞台にした6篇からなる短編集。同じ人を好きになってしまった2人の関係性を描く「走れ茜色」。小学校の時の旧友と再会し、過去の秘密がバラされることに怯える主人公を描く「樫と黄金桃」。ある不良と、クラスで酷い扱いを受ける主人公との交流を描く「灰が灰に」。クラスの友達のとんでもない裏アカを見つけてしまう「レッドシンドローム」。初めて漫画を描いていると打ち明けた友達との関係を描く「真白の -
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正解はないとわかりながら、「この話のテーマは何だったのだろう?」と考えてみる。
p244
「いいか。幸せの形はひとそれぞれだなんて、ふざけたこと言うなよ。周りから幸せに見えることが幸せなんだ。結局普遍的なことが幸せなんだよ。俺が、お前が幸せになるために、どれだけ心血をそそいできてやったと思ってるんだ。恩を仇で返すつもりか?」
ここは、もはや作品のテーマの1つとして考えても良いだろう。家族のような近しい存在でも、同じ人生を歩んできたわけではない。分かり合えない存在・思想がある。大切なのは、他人に注がれる心血ではない。自身の人生観だ。それは誰にも侵すことは許されない。許してはいけない。それが自分 -
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ネタバレこれだけ多様性、多様性と言われる世の中になり、様々な人がいるということは理解しているし、受容、尊重したいと思うけど、当事者になったら果たして自分は本当にそうかを考えさせる作品。
特に極端なのは一番の父親で、古臭いジジイだなって思ってた。でもこの人なりの息子への愛なんだよなって最後には思うようになった。自分が男性らしく振る舞えなくて苦しんだからこそ、息子には同じような思いをしてほしくなかったんだろうね。最後まで全然わかってくれないし、間違ってるけど。
一緒にいたい人と埋められない何かがあるとき、綺麗事を抜けば、譲ったり我慢したりすることになる。私は意地悪なのかなー、そうしようと思ってもそれが -
Posted by ブクログ
ネタバレ自分が性別が違う人と入れ替わったらどうだろうと想像して怖くなった。
家族や友人、職場、慣れ親しんだ場所が他人のものになり、自分には新しい場所が与えられて、でも他人を演じないといけないから上手くやれなくて、、二人の立場を想像すると本当に辛く、苦しい
自分にはとても上手く生きていく自信が無いと思った。
苦しみながら、それでも二人は諦めずに自分の人生を生きていて逞しい。
入れ替わってから15年間、相手のことを大切にする気持ちと共に、自分の人生も諦めなかったから、元に戻るのが怖いと感じるんだなと思った。
ラスト二人がどうなったのかは明かされないけれど、そのまま戻れなくても、元に戻ったとしても、二人は