君嶋彼方のレビュー一覧
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推し作家さんの1人である君嶋さんの良さが詰まったような素敵な青春作品だったと思います。最近、仕事で荒んでいた私の心にもすっと沁み入るような、嫌味がなく、そしてしつこくない、良い塩梅の青春加減でした。
本作は、ある高校を舞台にした6篇からなる短編集。同じ人を好きになってしまった2人の関係性を描く「走れ茜色」。小学校の時の旧友と再会し、過去の秘密がバラされることに怯える主人公を描く「樫と黄金桃」。ある不良と、クラスで酷い扱いを受ける主人公との交流を描く「灰が灰に」。クラスの友達のとんでもない裏アカを見つけてしまう「レッドシンドローム」。初めて漫画を描いていると打ち明けた友達との関係を描く「真白の -
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男女入れ替わり系。ドタバタとか恋愛とかにはならず、心は男のまましっかりと女を生きていく話。誰かの人生を預かっている、という十字架にも似た精神がお互いに備わっているのが立派。内側の自分と外側の自分が異なっていると、そうか寂しさが出るのか。自分はいるのにいないことになって、自分じゃないのが自分になって。まぁナンセンスだから共感できるとかではないんだけど。入れ替わってからの自分を求めてくれた同性の友人に初めて体を許せた、ってとこがポイントなんだと思う。
最後好きな感じで終わったのに、アナザーストーリーで余計などんでんが入るかとヒヤヒヤしたけど、セーフ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ何度も心を痛めながら読みました⋯⋯。
恋人と過ごす時間のうち、セックスなんて夜の一時間程度しかないのに、どうしてこうも重大に感じるのだろうか。夫婦生活だって歳をとればいずれしなくなるだろうし、一生するわけでもない性行為を軽視できない。若さゆえか、性欲ゆえか。レス経験を振り返ってみても、どうしてあんなに考え込んでしまうのだろう、とよくわからない気持ちになる。
ストレートの一番は千凪のために何もしない愛を選んだ。本当に惚れた弱みでしかないのだが、恋愛ではない千凪の愛を知った彼が選んだ道が間違っているなんて少しも思わない。愛にも種類があって、伝え方を変えただけ。未来への不安を抱えたまま、それでもあな -
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ネタバレ朝起きると、高校のクラスメイトと身体が入れ替わっていた。そこまでだとよくある男女入れ替わりものだけど、
『十五年前。俺たちの体は入れ替わった。そして十五年。今に至るまで、一度も体は元に戻っていない』
そのあと元に戻れないパターンは読んだことなかったのですごく興味ひかれた。
高校生の男女が入れ替わると、だいたいコメディな感じで(記憶に新しい入れ替わりものが『君の名は。』だから?)
「私の体見たり触ったりしないでよね?!この変態!」みたいなやり取りがある印象なんだけど、そういうのはあまりなくて、周りへの対応に戸惑う陸に対してまなみは淡々と現状をこなして、陸のケアもしつつ過ごしていく。
たぶん陸の -
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君の顔では泣けないのに、読者は2人を想い泣いてしまうだろう。
ミステリーやどんでん返しが好きだ。
館や島に閉じ込められて殺人事件が起こったり、それを見たことがない解決編でびっくりすっきりしたりするのが本の醍醐味だと思っている。
だから最初は間違えたかもと思ったのに、これはなんて美しい、人間味ある、先に先にと引力のある文章とストーリーなんだろう。入れ替わりは太古の昔から紡がれてきたものの、こんなに長期間、人生を生きることはあっただろうか。
丁寧な葛藤でどっぷり感情移入してしまい、読み終わった後も余韻が残り現実に戻れない。
哀しいようなむず痒いような、2人がどちらの姿でも末永く幸せでいるよう -
Posted by ブクログ
男女入れ替わりもので、基本的には現実ではありえないことなのだが、入れ替わったこと自体(原因や解決法)に主眼が置かれていないので、不思議なほどリアルな物語として読み進めることができた。自分ではない人(性別や環境)になってはじめてわかる差違は、社会問題といってもいいほどで、その諸問題は主人公たちの戸惑いや怒りとして見事、落とし込まれている。入れ替わりものではないが、思い出したのは、娘の体の中に亡くなった妻の魂が入り込んで、妻の部分を持ったまま娘が嫁いでいく東野圭吾の「秘密」。どちらも、戻ることよりも、現実を受け入れ生きていこうとする主人公たちの決意に切なさが合わさって胸に迫る作品だった。