あらすじ
十代のあなたに会いにいこう。
声を殺して泣いた日も、無理して笑ったあの日も。
ぐっと押し込めた心の痛みを、君嶋彼方は掬いとる
■収録作品
走れ茜色 「僕と同じ人を好きな君。だからこの嘘は、絶対に隠し通す」
樫と黄金桃 「中学時代の忘れたい過去。あの子だけがそれを知っている」
灰が灰に 「屋上で出会った不良。みんな怖がる君の本心を知ってみたい」
レッドシンドローム 「偶然見つけてしまった親友の裏アカ。一体どうしてこんなこと」
真白のまぼろし 「初めて漫画を描いていると話せた友達。一緒に描こうと決めたのに」
青とは限らない 「唯一心を許せる男友達。男女の友情って成立しないの?」
大人になれば忘れてしまう、全力でもがいたあの日のこと
『君の顔では泣けない』の著者最新作
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感情タグBEST3
Posted by ブクログ
朝からちょっと泣きそうになった。
とあるクラスの子達を描いた短編集。
最後の1話までは、学生の微妙な人間関係を突いてるな、って感じだったんだけど、ラスト1話の男女の友情話にぐうっっっっ、って持っていかれた。
純粋な男女の友情を信じられなかったり、心地悪かったり、恋愛に結びつけようとする周りのせいで、その幼さに大切な時間を失いかけた人たち。
そしてそれを救ってくれた大人たち。
そしてここで、二つの時代の話が混じっていることに気が付かされる。
彼らの未来、こうなってるのか!含め最後ではぁぁぁ!!!ってさせてくれてありがとう
2025.9.11
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Posted by ブクログ
そうそう、高校生の頃って、いっぱい考えて、感じて、悩んだ
懐かしい教室の風景が甦る
爽やかだけではない、もがいていたあの頃を思い出させてくれた
そしてやはり誰と出会うかが、人生に、彩りを持たせてくれる
Posted by ブクログ
面白かった。
ドキドキしながら読んだ!
灰が灰にが一番好きだった。
レッドシンドロームはもやもやした終わり方だし、椎名を好きにはなれなかった。
Posted by ブクログ
ぜひ学生さんに読んでほしい一冊。
こうゆう感情に振り回されることを、きっと青春って言うのかな。
最後の短編での回収がすごくて、何度も何度もめくり返した。こうゆうのが紙の本のいい所。
大人になると、あの頃を振り返って青春って言うけど、当人たちは毎日が必死で、その世界にいなくちゃいけなくて、常に好奇の目にさらされて、ヒエラルキーがあって、すごく大変だった。
そうだったよね、私も。
また高校生やりたいなとは思わない。たぶん同じような日々になるし、変えようとも思わない。
でもあの空気感は、やっぱり特別だった。
Posted by ブクログ
とある高校の、とある教室。冬木先生を担任にもつ生徒たちの、ままならない学校生活が連作短編になっている。
大人でも子どもでもない十代後半、みんないろいろあるよねーなんて半ば退屈しつつのんきに読み進めていたのだが、最終話を読んで驚愕することになった。
え、え、10年前にLINEを使ってたような高校生が、もう26歳になって学校の先生をしてるってこと!?
種明かしというか、その時の流れの速さにひっくりかえりそうになった。信じられなくて調べたら、LINEがサービス開始したのは13年前なんですって……。そうかぁ、そんなに昔かぁ。
時代が交錯するタイプの叙述トリックとして使われるほどの年月が経って、それにまんまとひっかかるなんて、年老いるってこういうことなのか……なんて、衝撃を受けてしまった。
そして、姫ちゃん先生と芥川先生だけじゃなく、他の短編にでてくる生徒も同じように10年前のクラスメイトで、一冊のなかで交互に時代が行き来していたなんて二度目三度目の驚きだった。
慌ててページを遡ってみると、伏線もちゃんと綺麗にちりばめられておりました。
たしかに少しひっかかる部分あったもんなーというのは負け惜しみか。まさか冬木先生が水先案内人とはね。
けれど、その事実を知るまえも知ったあとも、ストーリーに違和感はまったくない。
読みながら、ついつい自分が高校生だったころの姿もこのクラスの中に投影していて、あのころの感情や景色がよみがえってきた。
だから結局のところは、高校生っていつの時代も変わらないものなのかも。
時代を超えて、そこに集う者たち。どれだけの月日が経ったとしても、私たちはいつでもまた帰ってくることができる。タイトル『春のほとり』は、そういう普遍性を言い表しているように思えた。
「十代のあなたに会いにいこう。」は名キャッチコピーで、きっと現役の高校生が読んでも、大人が読んでも何かが響いてくるはず。司書として、図書室で薦めたくなるような一冊だった。
君嶋彼方という作家は、今の若手の中ではもっとも感性が鋭いというか、センサーやアンテナのようなものの精度が高いような気がする。
時代を反映させるのが巧いというか、こういった多様性とかジェンダーを題材にする作品において、完成度がいずれも頭ひとつ抜けてる印象。
恋愛、友情、家族、そういう既成の名前がついていない関係性を、こうやって小説という形にしてどんどん開拓していってほしい。これからも読みつづけます。
Posted by ブクログ
ある高校2年生のクラスメートたちの連作短編集。
青春って青い春って書くけど、青く爽やかって感じじゃなくて、まだ熟してなくて青くて苦いストーリー。
みんなそれぞれ苦い思い出やリセットしたいことがあり、それを隠して高校生活をスタートする。でも、それがうまくいく場合もあり、時に綻びが見えたりして、みんな悩み苦しんでいる。
最後の章が総まとめ的で、ありがちな話なんだけど、そう持ってくるかと、感心。
君嶋さん作品を読むのは2作目だけど、繊細な少年少女から大人に向けて成長する不安定な高校生の姿がリアルに描かれていて、こちらの方が好み。
Posted by ブクログ
おもしろかったーーー!
途中から、お、これ同じ学校のひとたちなんだね、と知って、最終的に、この人がえーー!あの人で、えーー!!!
と、まるで過去その人達とわたしがクラスメイトだったかのように、知ってる!あの人が今こうなったの?そんでそことここが繋がってるの?!
という驚きも、ものすごく嬉しく楽しい感動の要因になりました。
高校生のお話だけど、大人になった今のわたしでも、懐かしいなあ、こんなだったなぁ、とかじゃなくて、結局人ってそんな変わらないんだよなぁ、と思いながら、それでも年月が経つことで色々なことを寛容にみられるようになることもたくさんあるよなぁと思いました。
わたしも見切れてる登場人物Fくらいだったとは思うけど、だけどどの人もこうやってその人が主軸になれば誰もが主役になれるわけで、誰の人生も本人が主役でそこには絶対に魅力的な物語が存在するよなー、って思い、それをたくさんの人物を通じて描ける君嶋さんは素晴らしいなぁと思いました。
君嶋彼方さんは、女性が読んでても、女性の心理をナチュラルに描けるのがいつもすごいなぁと思います。
しかもJK笑
わたし的に赤彦くんの表面的なところがすんごい嫌いなんだけど、内側にあるものはやっぱり嫌な奴でも素敵で、そう思わせてくれるところが、君嶋彼方さんの優しいところな気がします。
でも、赤彦くんみたいに嫌でムカつくところってわたしにもあるしなーとか。
あと最初の話の秋津くんだけは嫌いです。笑
君嶋彼方さんの小説大好きです!
短編も面白かった!だけど、全体を通せば長編とも言えるところが、ニクいなぁ。
すっごくおもしろかったです!
Posted by ブクログ
高校生の決して広いとは言えない世界を少しでも広げよう、抜け出そうとするそれぞれの登場人物たちの痛みがとてもリアルに伝わってくる。クラスメイトや友達、将来のことに悩み何かを変えたいと思いながらもうまくいかないもどかしさや苦しさがどの物語の中にあって、今この瞬間を生きてる人たちの姿がある。ラストの一編がそれまで感じてきたものを包んでくれるようなものがあって連作としての連なりが見事な着地をしていると思う。著者の四作目だけど今作がベスト。
Posted by ブクログ
推し作家さんの1人である君嶋さんの良さが詰まったような素敵な青春作品だったと思います。最近、仕事で荒んでいた私の心にもすっと沁み入るような、嫌味がなく、そしてしつこくない、良い塩梅の青春加減でした。
本作は、ある高校を舞台にした6篇からなる短編集。同じ人を好きになってしまった2人の関係性を描く「走れ茜色」。小学校の時の旧友と再会し、過去の秘密がバラされることに怯える主人公を描く「樫と黄金桃」。ある不良と、クラスで酷い扱いを受ける主人公との交流を描く「灰が灰に」。クラスの友達のとんでもない裏アカを見つけてしまう「レッドシンドローム」。初めて漫画を描いていると打ち明けた友達との関係を描く「真白のまぼろし」。男友達との友情を描く「青とは限らない」。
まず、若い作家さんということもあって、学校の描写がすごく現代に近いうえ、価値観も現代の若者っぽい感じが、作品にリアリティを生み出しているように感じました。そして現代の若者の繊細な心理描写という点では君嶋さんは素晴らしかったと思います。
君嶋さんは、過去作で男女の入れ替わりや、アロマンティックアセクシャルを見事に書き上げた丁寧な筆致ということもあり、それが複雑化する現代の若者の繊細な心情を描くのに上手くマッチしていると個人的には感じました。
これまでの作品ももちろん好きなのですが、個人的には今作が1番好きかもしれないです。住野よるさんとか好きな人は本作はたまらないのかなと思いました。
Posted by ブクログ
決してハッピーだけじゃない青春、なんかよかったです。最終話、連作ならではを超えるプチサプライズ設定が気持ちよさを倍増させました。冬木先生がフェイクでしたね。
Posted by ブクログ
タイトルから、なんかのんびりしたお話かなぁとか思ってたら、見事に裏切られました。読んでる間中、苦しかった。高校生のどろどろした感情のお話。なんか、経験したことある思いがたくさんあって、身につまされる。
こういうのひっくるめて、青春って呼ぶ気がするんだけど、違うのかなぁ。
Posted by ブクログ
デビュー作『君の顔では泣けない』から追い続けている君嶋彼方作品。
本作も瑞々しさに満ち溢れていた。
「走れ茜色」
「樫と黄金桃」
「灰が灰に」
「レッドシンドローム」
「真白のまぼろし」
「青とは限らない」
各話のタイトルに色が入った6話収録の連作短編集。
とある高校を舞台に繰り広げられる青春小説だがこの年代ならではの心理描写がリアル。
大人でも子どもでもない彼らの純粋さや未熟さ、承認欲求など全ての感情が鮮明に浮かび上がる。
読み進めるうちに感じる繋がりと違和感。
最終話の伏線回収で構成の妙に感動した。
あなたの青春は何色ですか?
Posted by ブクログ
人との距離感
10代の頃わからなかった
今も変わらないけど
教室の中での微妙な立ち位置
それぞれの複雑な思い
私の10代は何色?で季節は何だろう?
と思いを巡らせた
今10代の人にも、もう10代を忘れてしまった人にも手にしてほしい一冊です
Posted by ブクログ
同じ高校に通っている高校生6人の視点で描く連作短編。
青春ってキラキラドキドキだけじゃない。
割り切れなかったり、ドラマや漫画みたいに突然劇的に何かが変わるわけでもないけど、今のままでもいられない。
同じグループで一緒にいるのに2人きりになったらそんなに話せない子いたなぁとか、逆に2人だからこそ気兼ねなく喋れる子私もいたなぁとか、高校生だった頃の記憶がひょっこり顔をのぞかせる。
ミステリーじゃないけど、最後の話を読んだら
「あっ!わっ!ほんとだ!」って最初からバーっと確認しちゃうこと必至。
初めて読んだ作家さんだったけど、するする最後まで読めました。
Posted by ブクログ
ザ☆青春って感じ。
高校の放課後。
誰もいない教室の窓から
校庭を走るあの人をそっと目で追っている。
どうしようもできない気持ち。
揺れる想い。
ああ、甘酸っぱくてほろ苦すぎるー。
誰かが誰かを大切に思う気持ちが
あふれていて
もう、そんな純粋なものを
ずーっと忘れかけていたから
そのまっすぐさに
不覚にも泣きそうになってしまった…
Posted by ブクログ
当初、連作短編集なのかな?と思っていたら、連作は連作だけど、最後の最後に一気にいろいろ回収された。思わずぱらぱらと読み返した。なるほど、うまい構成だ。面白かった。
Posted by ブクログ
今時の高校生はインスタだのラインだの華やかなツールが標準装備となっているが、青春の悩みはいつだって不変。ポケベルではしゃいでいた我々と根本は変わっていないのかもしれない。要は、イケてる学生ばかりではない。何となくくすぶっている高校生たちの連作短編集。まず繊細で丁寧な描写に引き込まれた。私も「一刻も早く卒業したい」と常に念じていた冴えない高校生だったので共感はひとしお。そしてボーっと読んでいるとまったく気づかない構成と繋がり。思わず最初の章に飛ぶ。面白かった。お気に入りは『真白のまぼろし』『青とは限らない』
Posted by ブクログ
学校の片隅で紡がれる、青とも春とも限らない日々を描いた連作短編集。(作品紹介より)
君嶋さんの作品は、初読みでした!
最後の短編で一気に繋がっていくところが楽しかったです。伏線とっても楽しめました。他の作品も読んでみたいです。
読解力なくて(ToT) “ホワイトパレット”の作者…あれ?ってなりました。
Posted by ブクログ
学校の片隅で紡がれるそれぞれの物語。
青い春とも呼べない、なんでもない日常でも、たった一つの忘れられない瞬間があったということだけで、きっと人は生きていける。
全てを読み終わった時に、もう一度読み返したくなる本。
Posted by ブクログ
あの頃って、なんて事ない事でも敏感に反応してたなって思う。
素直なんだけど
素直になりきれない時もあって
決してウソをついてるんじゃなくて
本当の事が言えなかったり
本当の事を言いたくなかったり
本当の事を言うまでに時間が必要だったり
本当の事に気づいて欲しかったり
経験値も足りないから
手探りで周りとの距離感保って
だけど結局は
自分に気づいて欲しい
自分を認めて欲しい
そんな承認欲求の塊なんだろうなって思う。
あの頃はあのころでキラキラしてたけど
今はもっと、キラッキラしてる!って
最後の1話で大人になるのも悪くないって思う。
Posted by ブクログ
連作短編集6編
同じ高校を舞台に十年の時差で二つの高校生たちの青春.同じ教師が出てきたりするので少し時系列がこんがらがったりするが,ひりつくようなもどかしさなど高校生のいろんな立ち位置の心理描写が巧みだ.1番良かったのは最初の「走れ茜色」最後の「青とは限らない」ですっきり全部が種明かし.
Posted by ブクログ
キラキラしていなくても、青春だな。
最後の一話でいろいろな答え合わせができて、おぉ!と思わず言ってしまった。
まさかこんなふうに繋がるとは‥。
Posted by ブクログ
予想はしていたけれど、見事な伏線?回収だった。
現代は人とのつながりは薄いと言われているけど、高校生の時くらい人と接してこんな葛藤を味わってもいいのではと思う。
Posted by ブクログ
とある高校に通っているもしくは通っていた高校生たちについての連作短編。どちらかというと淡々とした語り口で、高校ヒエラルキーの上位も下位もどちらの様子も、その世代の人たちのきっとそうであろう気持ちが丁寧に描かれているようで好印象でした。星3つの評価としました。
Posted by ブクログ
文章が良かったのでほぼ一気読み。
短編集のようだけど、読みながらも、何だか妙に繋がってるなぁと思っていたら、最後の章で、あーそういうことねーと繋がった。
それを分かったうえでもう一度読むのも面白いかも。
ただ、それぞれの話の内容はよくある高校生設定の話なかんじで、ある程度展開も読めるので、読んでいて心が震えるというか、感情の起伏はさほど起こらなかった。
一番初めの「走れ茜色」が面白かった。
Posted by ブクログ
高校生達の日常を主題にした短編集。
それぞれの話が、とても面白いという感じではないが、最後まで読むと連作短編集だった。というこどがわかる。
他の人が書いていたが最後まで読んだあと、
パラパラと前の短編を読みたくなる。