君嶋彼方のレビュー一覧
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ネタバレ主人公2人が冒頭から入れ替わる所から物語が始まっていく。今までの交友関係や学力、好きなことも全然違う中、入れ替わった子を守るため適応しようと頑張る主人公から、本来の自分とは何か考えさせられた。家族に本当の自分で会いにいけないことが辛くて、私もそうなったら本当に辛いだろうと苦しくなって涙。入れ替わりもののストーリーって良くあるし、大体元に戻るために奮闘する話になりがちだけど、今作は入れ替わった後、お互いの身体で起こる心境を丁寧に描かれてるから男女の描写がリアルで珍しかった。元に戻らないもどかしさはあるけれど、2人しか知らない秘密を喫茶店で話すときだけ秘密基地で遊ぶ子どもたちを見ているみたいでほっ
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恋と食のある10の風景
小説新潮掲載作品から編まれた、
人気作家陣による〈恋〉と〈食〉をテーマにしたアンソロジー。
顔ぶれはなかなか豪華。
「わたしたちは平穏」 一穂ミチ
平穏なふりをする平穏が好きなふたり。
波風を立てず、壊さない距離を選び続ける関係性が、食卓の静けさとともに描かれる。
元妻の生霊だか怨霊だかの存在だって平穏
「ワタシノミカタ」 古内一絵
シングルマザーの漫画家と、その息子。
忙しさと不安を抱えるふたりのもとに現れたのは、救世主のような若いイケメンアシスタント。
外見だけでなく、心までイケメン。
仕事にも生活にも、さりげなく手を差し伸べる存在は、ふたりにとって確かに“ -
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一番というのは主人公の名前である。恋人であったはずの千凪がアロマティックアセクシャルで、恋愛感情も性的欲求もないことを知り、混乱しつつ苦悩する。千凪の方も、自分が人を愛せないことに不安を感じていたが、アロマアセクという存在を知って、大きく視点が変わることになる。
息子に一番とかいう名前を付けた(兄は勝利)父親。その価値観を何一つ疑うことなく、ただ評価されることだけを求めて努力し、すくすく育った一番は、その時点で微妙ではある。その彼が千凪のアロマアセクを受け入れようとするのは、大変な決心だと思うが、これはこれで彼の負担の方が大きすぎるような気もする。彼らがそのままの関係を維持するのはきっと難しい -
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同性愛者である27歳の柏木文也と、元々は異性愛者だったけれど彼と付き合うことになった33歳の西澤祥太。二人の馴れ初めから現在まで、そしてその周りの人々の反応や葛藤をも描いた連作短編集。
ここ数年ゲイを題材にした作品はものすごく増えて、映画や小説をはじめ恋愛リアリティショーまで、私自身もたくさん触れてきた。
ヘテロがエンタメとして消費するために綺麗にラッピングされているように感じたこともあったけれど、本作は心情描写に注力されていて違和感なく読むことができたように思う。
当事者にならないとわからない感情というのは絶対たくさんあって、そういうのを「理解してます」というポーズではなくちゃんと汲み取れる -
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君嶋彼方作品は「君の顔では泣けない」に次いで2作目。男性カップル、そして彼らを取り巻く周りの友人や親、バーのママ、それぞれの立場での思いや悩み。「君の顔では泣けない」でも思ったが、取り立てて何も起きない日常が、普通に丁寧に描かれる。悪意というほどの強い感情はなく、とんでもないこともやらかす人物も登場しない。
ゲイであってもなくてもみんな思うところはある。祥太が大らかで素直すぎるのではとか、文也がまあまあ屈折してるなとか、思ったりもするが、身体の関係が人間関係の最善の手段であると考える宮川が一番生きにくいのではと、私は思っている(彼もLGBTQの括りに入るのだろうか)。バーのママはこの先自らの呪 -
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誰にも恋愛感情を抱かず、性的欲求も抱かない〈アロマンティック・アセクシャル〉の千凪と、幼い頃から強い男であることを過剰に押し付けられて育って来た一番。「普通」の幸せに絡め取られながら、二人の幸せを選んでいく物語。
一番の親がひたすら気持ち悪かった。
そして、そんな親の期待に応えようとして自分を押し殺す一番が歯痒くてたまらなかった。
綺麗な月を見た時にそれを分かち合いたい、そばにいたい、その感情があれば、そこに恋愛感情は必要?相手を尊重し、時間を共有することに喜びを感じるならそれで十分だと思う。
惚れた腫れたという思いだって、いつまでも続くわけじゃないし、恋愛、特に性愛が結婚の絶対条件でもない