藤ノ木優のレビュー一覧
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ネタバレ産婦人科医・結衣子が過去に手を染めたグレーな医療行為は、さらに違法の医療行為につながり、結果的に様々な支障や問題を生じさせ、本人だけでなく、その母子に大きな暗い影を落とすことになるが、その時々の事情下で法律・倫理観と命を天秤にかけた時、それしか選択肢がなかった、それが最善の方策であったということに違和感を感じず、自分にはすとんと腑に落ちた。
現在国内で認められている不妊治療は非配偶者間人工授精までで、アメリカやイギリスで認められている非配偶者間体外受精や代理出産は認められていない。代理出産を望む夫婦年間数十組がアメリカやイギリスに渡るらしいが、たとえその結果子供を得たとしても日本では養子扱い -
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「まぎわ」って、何が起こる間際なのだろうか?藤ノ木優さんの作品からすると「いまわ」のことだろうか?
若い料理人の翔太が兄弟子と反りが合わず店を飛び出した先に、拾ってもらった店が、特別な料理店だった。藤ノ木さんの作品は名前に「翔」がつく登場人物がやたら目に付く。そして店の名前が・・・。
拾ってもらった料理店は、マスターと呼ばれる優しい料理を作る元医者がいた。元寿司職人でオーナーの親方と呼ばれる芝、小夜、この2人がマスターとともにこの作品を引き締めている。翔太の未熟さをより際立たせることで、「まぎわ」の意味を強調しているように思えた。小夜が翔太と話している時に、人差し指を挙げて語る場面は、天久鷹 -
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わたしの尽きぬ悩みの一つに「病院が遠くて通うのが大変」というのがあります。持病があり専門医に診てもらう必要があるのですが、住んでいる所は医療過疎地域です。
この小説は、同じく医療過疎問題を抱える伊豆半島が舞台になっていて興味深く読みました。
伊豆半島にある産科救急特化型の医療センターに、入局5年目の医師、北条衛が東京の大学病院から異動でやってきます。前任者から聞く話によると、この病院の医師たちは曲者ぞろい、トップの教授は頑固で絶対的な権力を持っているとのこと。
過疎地域に住むわたしは、病院の少なさや高度な医療を受けるためには遠方まで出向かなければならないことに不安を持っていますが、都落ちしてく -
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医師で作家の藤ノ木優さん、知念実希人さんとは作風が異なるが、不思議さと医師としての覚悟は、似ているように感じた。
大学病院に勤務する産婦人科医・草壁春翔は幼い頃に妊娠中だった母を亡くしている。それは自分のせいだと思い、1人でも救いたいとの思いで母が亡くなった病院で産婦人科医になった。
ある時、雷鳴と共に母の鼻歌と同じ着信音が聞こえてくる。それは母の遺品のPHSだった。なぜ過去と未来が通話できるのか?その謎を解明しようとする春翔、ある意味ミステリーであり、ファンタジーだ。
春翔は小学1年の時に母が亡くなったことを後悔し、咎に囚われている。母からの電話は、あたかもそれを払拭するためのように思え -
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