藤ノ木優のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
医師作家9人によるアンソロジー作品。
どの作品も50頁程なので、スピード感がある。
研修医 精神科医 救急医療 現場医療 研究者 認知症等 医療1つとってもジャンルが違い、心理描写の加減に手に汗握ってハラハラしたり、淡々と読み進めたり、一冊で何度も美味しい読み応えのある本でした。
医師(著者)が実際に経験しているであろうリアリティがそこにある。
認知症対応を生業としている身としては、何度も見た光景で「あーー大変さの中に、いくつも希望が見いだせるんだよ」「怒ったらダメダメ」と逆の意味でハラハラさせられた。
現代はサービスが揃っているので、抱え込まず使える手段を利用していくのがお互いの -
Posted by ブクログ
医療小説は今まで何冊か読んだけど、今までのものとは少し違った。
医療ミス?から病院を追われたうえに記事がでたことにより、SNSでの誹謗中傷。追い詰められ逃げ出してしまう。
一方で記事を書いたジャーナリストも自分の記事で1人の医師の運命を狂わせてしまったと記事が書けなくなっていた。
そんな2人が村の産院で過ごすうちに自分を取り戻して行くお話。
産院だけに出産シーンは詳しく書いてあり、いつ何が起こるかも分からない現場の中で最善を尽くしてくれる医療従事者の方には尊敬と感謝しかない。
ただ、人柱となり病院を守ってきた相良先生の言葉ありがとうは麻薬みたいなものだ
は考えさせられた。言われたら嬉しいから人 -
Posted by ブクログ
医療ミスをしたとして記事にも書かれ
いくつもの職場を追われた 産科医の阿比留一馬が
限界集落にある小さな産婦人科に出会うお話。
いやあ〜〜〜!とても疾走感があって
ページをめくる手が止まりませんでした!
村で小さな産婦人科を医師ひとりで切り盛りする
相良先生がとても素敵で言葉一つ一つが
心に響きました。
医療ミスをした過去を抱える一馬と
相良先生にもとある過去もみれてとても感動した。
子どもが産まれることって本当に奇跡で
神秘的なことでお母さんもそれに携わる人たちも
言葉では言い表せないぐらいすごいなと思った。
医療ミステリは好きで色んな作品を
読んでいるけれど
実際に産科医をしてい -
Posted by ブクログ
ネタバレのんびりとした伊豆の温泉や美味しそうなご飯の情景。それと交互に現れるすごく怖い教授、そして凄まじい気迫の医師そして妊婦の妊娠との激闘、緊迫した手術と命の危機。気の緩みと緊張が幾度となる続く物語であった。才能ある医師が新たな出会いをし励まされ、時に休み時に覚悟を決めて挑む。いろんな形の強さと医師の生き様を感じさせる。
最初に頑迷にして旧弊な存在として現れた教授ルールが、この極限の環境においては非常に理にかなったものであるということが複数の段階で、複数の理解であらわになっていき、逆にそれが必要なほどに地域医療の抱える根本的な問題が浮かび上がる。そして合間にある伊豆の土地の温かさや美しさ、ご飯の -
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『あしたの名医』がお面白かったので、藤ノ木優さん3冊目。こちらはデビュー作のようです。
赤坂翔太は見習い料理人。
包丁の技術はあるし、練習も欠かさないのにいつまでも料理を作らせてもらえず、腹を立てて店を飛び出す。
偶然見つけた『まぎわ』というお店のお雑炊に惚れ込み、そのまま修行させて貰うことに。
実はこのお店、事情がある人達のための料理店でした。重度の糖尿病患者や、癌で余命わずかな人、重度の食物アレルギーのある女の子などなど。みんなの健康状態を把握して、制限内で食事を出してくれる。
面白かった。先が気になってすいすい読みつつ、知らない飾り切りや料理はググったり。翔太が人として -
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Posted by ブクログ
ネタバレあっという間に読み終えた。
ラストは想像と少し違っていた。
同著者の作品を過去に一度読んだことがあったが内容が薄く感じて(既視感が強かった)印象に残らなかったのだ
今回もラストは人情に訴えて一馬が竹下診療所の院長になりましためでたしめでし、かなとある意味危惧しながら読み進めた
ところが相良の確固たる意思に救われた。一馬も美希も私も。現在日本至る所で同じようなケースがあるし、これからどんどん増えていくのだろう。そこに小説とはいえ綺麗事だけで完結することは気持ちのいいものではないからだ。
そして人間の過ちとはなんなんだろう。罪を償うということはなんなんだろう
今回は重いテーマだった