【感想・ネタバレ】-196℃のゆりかごのレビュー

あらすじ

母はなぜ、義母だと嘘をついたのか。

明日見つむぎはごく幼い頃に父と母を亡くし、母方の親戚である奈緒に引き取られた。奈緒は心に不調を抱えながらも「義母」としてつむぎを懸命に育てる一方、心の距離を取ることにはこだわり、「母」と呼ばれることをかたくなに拒んでいた。

そんなある日、病院から奈緒が倒れたと連絡が入る。持病の子宮腺筋症が悪化し、大量に出血したのだという。急ぎ病院に駆けつけるつむぎだったが、そこで医師から奈緒の病状だけでなく、奈緒がつむぎの実の母親であることも告げられる。

信じがたい話に愕然とするが、医師が持つカルテには、たしかにこの病院で奈緒がつむぎを出産したことが書かれていて――。

母はなぜ、義母だと嘘をついたのか。18年間隠された出生の謎を追う、現役医師作家が描く圧巻の家族小説。

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感情タグBEST3

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義母の奈緒が倒れたと病院から連絡があり電話を受けたつむぎが医者から告げられたのは実母だったという事実。戸惑いどうしていいかわからず考えた末、真実を知ろうと行動する。どうなるのか気になって一気読みでした。感動。

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2025年06月18日

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ネタバレ

産婦人科医・結衣子が過去に手を染めたグレーな医療行為は、さらに違法の医療行為につながり、結果的に様々な支障や問題を生じさせ、本人だけでなく、その母子に大きな暗い影を落とすことになるが、その時々の事情下で法律・倫理観と命を天秤にかけた時、それしか選択肢がなかった、それが最善の方策であったということに違和感を感じず、自分にはすとんと腑に落ちた。

現在国内で認められている不妊治療は非配偶者間人工授精までで、アメリカやイギリスで認められている非配偶者間体外受精や代理出産は認められていない。代理出産を望む夫婦年間数十組がアメリカやイギリスに渡るらしいが、たとえその結果子供を得たとしても日本では養子扱いとなる。

望まない出産、血が繋がっていても、愛情を抱けない、と言った不幸な親子関係がたくさん存在する中、「不妊治療で生まれる子=100%望まれて生まれる子」であるのに、現法下で認められている不妊治療にはまだまだ限界がある。夫婦の形、家族の形が多様化しているこの時代、夫婦別姓問題、同性婚問題、戸籍の問題などとともに不妊治療の問題も転換期を迎えていると感じた。

とはいえ、そもそも家族を作るものは、血より共に重ねる時間、理解、愛情だと思う自分には、過去と向き合い受け入れたつむぎが奈緒さんとともにようやく家族のスタートラインに立ったラストには希望を感じることができた。

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2024年12月12日

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夢中になって読み進みました。
良いか悪いかは私には全然わからないから、置いとくとして…

平気で子供を殺したり、産まなければよかった…と口にする人がいる一方で、切実に子供を望んでいる人もいる。

複雑な家庭もたくさんあるし、心に病を抱えている人もたくさんいる。

人の心はみんな別々で考え方も感じ方も違うけど、関わるならばそれぞれを尊重していかないとね…

難しい内容だけど、私は好きな小説でした。

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2024年10月25日

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体外受精、不妊治療、虐待、自傷、家族の話でした。

次々と、先が読みたくなって、読み進み、面白かったです。

でも、やはり、登場人物の心の闇というか、痛みというか、傷ついた心が、
(私は、オーディブル、聞く読書のため)耳からはいってきて、聞くのがつらかったり、疲れたり。

それぞれ、傷があって、ちょっと疲れた。
それでも、素敵なラストで、よかった。

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2025年09月13日

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ずっと気になっていて、読み始めたら一気に最後まで読んでしまいました。一児の母になった今だからこそ、色々な視点から考えることができました。

子どもは授かりものとは言いますが…子・親・子をもつことに関わる人々の様々な気持ちに思いをめぐらせることのできる1冊でした。

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2025年03月28日

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母の立場と責任を引き受けるからこそ、絆を築くことができるのかもしれない。毎日子供と繰り広げている泥臭い毎日を幸せと感じた。

−196℃に詰めこまれた命。産む権利、出自を知る権利、それを人の技術を介在することによって複雑になるよなぁと思う。

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2025年03月24日

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☆4.3

液体窒素の一気圧での温度がマイナス196℃。
受精卵のゆりかごということで、家族のあり方を、考えさせられた。
事情はいささか複雑で、両親の胚を着床させて、両親の子を宿し、娘を出産するが、遠縁の親戚が引き取った程で、義母として、自ら腹を痛めた娘を育てる、精神的に疾患のあるというか、ある種PTSDの症状のある主人公が不器用に育ての母を演じるというものかたり、地面師とと並行読書だったので、なかなかきつい話の中身である中、少しほっこりする話でした。いやぁ、本当に生き切ることは難しい。
幸い私は、母から、産まなきゃ良かったとは言われたことは一度もなく、主人公の友達の心境は明確にはわからないが、私が生まれてしまったことにずっと疑問を持って生きているということを、両親に云ったことも幸いないのである。これだけは、一つ救いだ。生き切ることは困難だが、生まれてきてしまっては致し方ないことである。
何とか人生をまっとうしたいものである。

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2025年01月17日

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物語の世界に引き込まれたし、意外な展開もあり、どんどん読むことができた
不妊で悩む人達の苦悩と、凍結胚で生まれてきた人の苦悩も感じることができて、良い作品だと思った

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2024年12月13日

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母子家庭で育ったつむぎは、遠縁の義母と二人で暮らしていた。優しいけど、距離のある関係。モヤモヤする気持ちを抱えていた。ある日、義母が産婦人科に救急で運ばれ、そこで衝撃な事実を知る。

親になるとは、すごく大変で覚悟のいることなのだと、改めて思った。保身に走るのではなく、子どものために、自分とも向き合わないといけない。

体外受精は、自身の子どもを持つための最後の手段だけど、子どもを育てるためのスタート地点であることを再認識した。

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2024年10月04日

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幼い頃に父と母が亡くなり、義母と一緒に住むことに・・・
ある日、病院で義母は本当の母だったと知る・・・
なぜ、義母は嘘を貫き通したのか・・・

体外受精の本当の意味を知れる命と向き合う小説だと思います。
体外受精の生々しさを感じることができる表現がすごく感じます。

世間では体外受精の偏見があると思うけど、この機会に不妊治療の内容を突き詰めた小説に出会えてよかったです。

望む命もあれば、望まない命もある。そのことを知ると命が生まれることについて、考える必要があるのかと思いました。

また、義母の奈緒さんがつむぎに対しての大切な想いなど、
命の誕生や扱い方について深く考えるきっかけをくれる小説でした。

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2025年05月08日

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母子家庭の主人公つむぎは、精神面が弱い義母と距離を保って暮らしている
ある日、義母が産みの母であることを知る
ショックと怒りと不安と色々な感情が渦巻く
自分の足元が音を立てて崩れていくような感覚に陥り、にっちもさっちもいかない

自分の誕生に不安になりながらも、真実を求めて調べ始める
そこで知る絶望される命と切り捨てられる命、不妊治療の現実
距離を保っていたのではなく、距離を置いていたことに気づいた時、つむぎの世界は変わった

読み進めていくとタイトルにある-196℃の意味が分かる
大切な意味を持つ数字だった

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2025年03月14日

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うーん。
現実離れしてるけど、こどもがほしいってね。
そこの気持ち。
不妊治療するってことは、確かに望まれた命。
だったんだって、不思議に感じた。

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2025年01月28日

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ネタバレ

オーディブルで
テーマが胚移植によって産まれた子の運命なのかな。移植によって産まれたから不幸、みたいな下地があって、ちょっと違和感があった。
里子とか、本当の親子じゃなくたって幸せなに育つ人はたくさんいるはずだから。
そもそも、なおさんが性的虐待を受けていながら何も保護されなかったことに問題があるのに。
血のつながりの有無にかかわらず、家族に隠し事はいけないね。そもそもウソつかなければこんなことにならなかったのでは。なのに、つむぎがいい子過ぎる。
でも、二人が再スタートできそうでよかった。

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2024年12月10日

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生殖医療の小説だと知って読み始めました。義母というのは嘘だったとは、どういう理由だろう?と思って読み進めましたが、その設定はなるほど、と思いました。ただ、主人公にしても、奈緒さんにしても、心理描写が表面的で浅く、どちらにも入り込めませんでした。また、出生の秘密を追うだけの展開で、もう一つ何かが欲しかったです。なんというか、キャラクターが全て作者のストーリーラインのために動いている典型的な反応しかしてなくて、個性がないとも思いました。

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2024年11月27日

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-196℃という題名が気になる。絶対零度は-273℃くらいだが、何を意味するのだろう。読んでいくとわかった。大事な数字だった。

明日見つむぎは18歳、義母という母奈緒と2人暮らし。ずっと奈緒は家庭の暖かさもなく、他人行儀だった。その理由は、奈緒が倒れたことから次第にわかってくる。つむぎは奈緒の母を探し、奈緒の母結衣子から、奈緒の生い立ちを知る。幼馴染の浅田純くんも力を貸してくれている。その純くんもまた生い立ちが訳ありだった。

産婦人科医である藤ノ木優さんらしいテーマであり、正解のない問題だと思う。法は進化しないと意味をなさない。法の整備は遅れるのが常だ。それを待つ間に機会損失が生まれる。生きる人の選択にしたら良いことも多々ある。

私の身近にも不妊症で悩んでいる人もいる。望まれて生まれてくる人、望まれないのに生まれてきた人、どちらも生ある人である。生い立ちは人それぞれだが、自分の生き方は自分で決めるしかないと思うのだ。

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2024年11月15日

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医療人です。

ストーリーの展開に無理があるが、問題提起として世の中に知ってもらうきっかけになる作品だと思う。

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2024年11月09日

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おぉ、なかなかヘヴィー。義母が本当は実母と知った主人公が自身のルーツをたどる。義母(実母)のつらい過去も。

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2024年10月24日

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複雑な人間関係、過去の辛い出来事など、一貫して暗いトーンではあるんだけど、文章にあたたかみがありわかりやすい。胚移植ということに関して問題点も含め知ることができた。

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2024年07月12日

Posted by ブクログ

個人的には、家族とは何かというより、母とは何かを考える作品。ラスト1/3あたりから涙が止まらなかった。こんなにぼろっぼろ泣いたのはいつぶりだろう。涙を拭くのが追いつかない。でも読後感が良くて、雨上がりの空みたいなすっきりした心もちがした。

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2024年06月13日

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