藤ノ木優のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
美味しい料理小説でデビューした産婦人科医が書いた本格医療小説。なので各話毎に医療と料理が出てくる。
伊豆中周産期センターという架空の設定だが、どう考えても自治医大の分院をイメージしてしまう。作中では周産期センターしか出てこないので、これだけかと思うのだが、現実の大学病院は殆どの科が揃っているので違和感がある。
ただ、伊豆随一の病院なので、伊豆中から難しい患者が運ばれるのは間違いない。作中では、それらの出産光景が専門医である作者から詳細に描かれる。赤ちゃんも母親もリアルな死からの生還は感動する。
本院から左遷されたような主人公が、頑固で偏屈な老教授に虐められるようなイメージの出だしだが、同僚、先 -
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Posted by ブクログ
自分の道は自分で決めた方がいい。今も昔も、そういうもんだ。
せっかく免許を持ってるんだから、使わなねえと勿体無いだろう。
逃げたらどの道、もとの世界には戻れなくなるぞ。
自ら価値を下げてどうするのか。
自らの意思で、後悔なく向き合う。
ゆっくりでもいい。自分を取り戻したい。
その肩書きを失ってしまうと、私自身が築き上げてきたものが、全部崩れてしまう。
いっそ縛るものがなくなれば、外の世界に飛び立てるかもしれない。
どうせ先が見えないのであれば、現状に早く見切りをつけて新しい形に変わった方がよい。
求められていない場所は、消えていくのが自然の摂理。
あんたが全力を尽くした結果だったんだから。
そ -
Posted by ブクログ
ネタバレ過去と電話する系2冊目。
好き嫌いあるけど、自分は非日常系好き。
翔子の命日に電話かかってくるぐらいから一気に進んで一気に読んだ。
バッドエンドにもハッピーエンドにも転びそうな感じやった。結果ハッピーエンド。
でも、
「どう行動するか、なのだ。たとえ結果は同じだとしても、後悔なく行動するかしないかで、未来がガラッと変わってしまうのだ。」
の部分回収する感じで、「助からんかったけどあの時の自分の行動に悔いはない」みたいな感じになるの予想した。全然違うけど。
秋穂の性格素直過ぎてちょっと物足りんのと、春翔以外の人間の記憶どうなってんの???ってめっちゃ思ってスッキリせんのと、家族4人(5人 -
Posted by ブクログ
医師でありながら小説家でもある9人の短編小説が詰まった作品でした。あんなに忙しそうなのに、いつ小説書いてるんだろうって不思議に思う凄い方々。
医師であるからこそのリアルな感じが伝わってきて、とても面白かったです。
特に空中テントは、認知症の家族を介護したことある人なら誰しも共感出来る部分がたくさんあると思いました。施設の入所は、家族を見捨てることではなく、プロがみてくれる安全な場所にいれるという考えが広がったらいいな。
私も主人公のお母さんにとても同情しました。介護する人は、自由が奪われて当然なのか、当事者じゃない人達から見捨ててるなんて文句言われる筋合いはほんとにない。文句を言うなら1週 -
Posted by ブクログ
☆4.3
液体窒素の一気圧での温度がマイナス196℃。
受精卵のゆりかごということで、家族のあり方を、考えさせられた。
事情はいささか複雑で、両親の胚を着床させて、両親の子を宿し、娘を出産するが、遠縁の親戚が引き取った程で、義母として、自ら腹を痛めた娘を育てる、精神的に疾患のあるというか、ある種PTSDの症状のある主人公が不器用に育ての母を演じるというものかたり、地面師とと並行読書だったので、なかなかきつい話の中身である中、少しほっこりする話でした。いやぁ、本当に生き切ることは難しい。
幸い私は、母から、産まなきゃ良かったとは言われたことは一度もなく、主人公の友達の心境は明確にはわからないが -
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Posted by ブクログ
静岡県は原木椎茸生産日本一だとは知らなかった。初っ端から絶品の黒鮑や、伊豆牛が描かれて食べたい思いが募る。
北条衛のチーム、塔子、筋肉の神里真司、先輩の下水流明日香、そして禿げでずんぐりの田川誠一とこれまでのチームも健在で、そこに研修医阿佐ヶ谷ゆめと塔子の同期で三枝教授の教え子の海崎栄介が加わった。
圧倒的な手腕の海崎先生は登場した時から自由奔放な印象だった。腹腔鏡手術の専門家でもあり、北条衛は立ち会うことができるのかが最大の興味だった。
モクズガニや小牧寿司(マグロ)の三色丼も洋梨も美味しそう。激務の中で美味しい料理が描写されるとこちらまでホッとさせられる。世界遺産の韮山反射路まで出てきた -
Posted by ブクログ
伊豆といえば、駿河湾や伊豆高原など風光明媚な印象がある。日本の地形の始まりが凝縮されているようさえ感じる。そんな場所へ若手医師の北条衛が赴任する。本作は6編の短編で構成されている。
藤ノ木優さんらしく、食事と医療を上手く織り交ぜている。食べるということは生きるということでもある。金目鯛が食べたくなった。
医療現場での奮闘とほっとする場面とが絶妙なバランスだと感じる。ひとりひとりが患者のために向き合い、それを助け合う姿が美しい。医療現場に限らず、社会生活を送る上で、それはとても大切だと思う。
医療のAI化やロボット化は一面では技術として有効なのだろう。しかし、患者のケアは生身の人間対人間である