藤ノ木優のレビュー一覧

  • あしたの名医2―天才医師の帰還―(新潮文庫)

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    静岡県は原木椎茸生産日本一だとは知らなかった。初っ端から絶品の黒鮑や、伊豆牛が描かれて食べたい思いが募る。
    北条衛のチーム、塔子、筋肉の神里真司、先輩の下水流明日香、そして禿げでずんぐりの田川誠一とこれまでのチームも健在で、そこに研修医阿佐ヶ谷ゆめと塔子の同期で三枝教授の教え子の海崎栄介が加わった。

    圧倒的な手腕の海崎先生は登場した時から自由奔放な印象だった。腹腔鏡手術の専門家でもあり、北条衛は立ち会うことができるのかが最大の興味だった。
    モクズガニや小牧寿司(マグロ)の三色丼も洋梨も美味しそう。激務の中で美味しい料理が描写されるとこちらまでホッとさせられる。世界遺産の韮山反射路まで出てきた

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    2024年12月09日
  • あしたの名医―伊豆中周産期センター―(新潮文庫)

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    伊豆といえば、駿河湾や伊豆高原など風光明媚な印象がある。日本の地形の始まりが凝縮されているようさえ感じる。そんな場所へ若手医師の北条衛が赴任する。本作は6編の短編で構成されている。
    藤ノ木優さんらしく、食事と医療を上手く織り交ぜている。食べるということは生きるということでもある。金目鯛が食べたくなった。

    医療現場での奮闘とほっとする場面とが絶妙なバランスだと感じる。ひとりひとりが患者のために向き合い、それを助け合う姿が美しい。医療現場に限らず、社会生活を送る上で、それはとても大切だと思う。
    医療のAI化やロボット化は一面では技術として有効なのだろう。しかし、患者のケアは生身の人間対人間である

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    2024年12月02日
  • 夜明けのカルテ―医師作家アンソロジー―(新潮文庫)

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    医師でありながら作家でもある方々の医療小説9編。

    私の知っている作家さん以外にこんなに多くの医師作家さんがいることに驚きました。どれも医師であるだけに小説の内容は臨場感が溢れていて迫力がありました。

    中山祐次郎さんの『救いたくない命』は救急で運ばれてきた患者が犠牲者15人以上を出した通り魔事件の犯人と知り、葛藤をしながらも必死に命を救う姿に京アニ事件を思い出しました。

    南杏子さんの『空中テント』は家族の介護の経験がある人は共感出来るはず。

    どれも本当に良い作品ばかり。若手医師の過酷な労働時間、医療ミスの隠蔽、不都合な論文を闇に葬る等、医療小説が好きな人なら興味のある内容ばかり。でも朝比

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    2024年10月31日
  • 夜明けのカルテ―医師作家アンソロジー―(新潮文庫)

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     書くことで、解放される思いがある。

     新たなジャンルが始まることへの期待を込めた夜明けでもある一方で、書かないと解放できない思いが溜まってきているのも事実であると思う。

     

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    2024年10月26日
  • あの日に亡くなるあなたへ

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    作家、産婦人科医・医学博士

    今なら、過去を変えられる――

    大学病院で産婦人科医として勤務する草壁春翔。

    春翔は幼い頃に妊娠中の母が目の前で倒れ、何もできずに亡くなってしまったことをずっと後悔していた。

    ある日、春翔は実家の一室で母のPHSが鳴っていることに気づく。不思議に思いながらも出てみると、PHSからは亡くなった母の声が聞こえてきた。

    それは雨の日にだけ生前の母と繋がる奇跡の電話だった。さらに春翔は過去を変えることで、未来をも変えることができると突き止める。そしてこの不思議な電話だけを頼りに、今度こそ母を助けてみせると決意するのだが……。

    現役医師が描く、時をこえる本格医療・家

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    2024年10月24日
  • -196℃のゆりかご

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    母子家庭で育ったつむぎは、遠縁の義母と二人で暮らしていた。優しいけど、距離のある関係。モヤモヤする気持ちを抱えていた。ある日、義母が産婦人科に救急で運ばれ、そこで衝撃な事実を知る。

    親になるとは、すごく大変で覚悟のいることなのだと、改めて思った。保身に走るのではなく、子どものために、自分とも向き合わないといけない。

    体外受精は、自身の子どもを持つための最後の手段だけど、子どもを育てるためのスタート地点であることを再認識した。

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    2024年10月04日
  • あの日に亡くなるあなたへ

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    私も過去が変えられるなら、変えたい事が1つあります。でも、小説ようなフィクションは現実には起こらないのが、とても残念でなりません。
    とても良い小説ですよ。読む価値はおおいにあるかと。

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    2024年10月03日
  • あしたの名医―伊豆中周産期センター―(新潮文庫)

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    今日買って3時間で一気読みしてしまった。著者が医師だからか、良い意味で患者と医師の描写には変に感情に訴えるような場面や表現はない。それでいて患者への思いや医師としての信念はじんわりと伝わってくる。自分の仕事への向き合い方はどうなんだと、ハッとさせられる言葉があちこちに。けして派手さはないけれどじっくりと心に響く、味わい深い一冊だった。あと、いつか必ず伊豆に行きたい!

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    2024年09月23日
  • 夜明けのカルテ―医師作家アンソロジー―(新潮文庫)

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    9人の作家(医師)による9篇の物語
    それぞれの作家自らの経験なのかはわからない
    ただ、それぞれの作家の医療への思いが短い作品の中に散りばめられていると感じた

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    2024年09月18日
  • 夜明けのカルテ―医師作家アンソロジー―(新潮文庫)

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    ネタバレ

    9人の現役医師による医療小説アンソロジー。
    医師作家でしか表現できないと思われる臨場感あふれる詳細な描写、ヒューマンでミステリアスなストーリーが魅力の作品集だ。
    1〈研修医ヒナノの洞察〉
    上司からパワハラを受けている研修医が患者の膠原病を見つけ上司を見返す痛快な話
    2〈魚類譚〉
    封建的で理不尽な医大の内部構造、詳細な手術シーンにミステリーとホラーの要素を取り入れた作品
    3〈パイナップルのある光景〉
    同じような引きこもり系の精神疾患でも、一方は入院治療、一方は家族による対処という示唆をする精神科医。専門的な見解が押し付けなく、ふわっと伝わってくる秀作
    4〈救いたくない命〉
    救急外来に運び込まれて

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    2024年09月04日
  • あしたの名医―伊豆中周産期センター―(新潮文庫)

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    初読み作家さん。
    地元が舞台で、知ってる土地の名前が出てくるし、もちろんモデルとなった病院にも行ったことがあるので、とても親近感を持って読み進めました。
    美味しいお店も気になり、出てくる料理も作ってみたいと色々な点で読み応えのある1冊でした。

    続編、出るかな〜?

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    2024年08月20日
  • 夜明けのカルテ―医師作家アンソロジー―(新潮文庫)

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    医師が描く小説はリアリティがあります。専門的な用語も飛び交うがそれもまた面白い。本短編集はよく知った医師作家が多かったので、新たな面も見れて楽しめました!

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    2024年08月07日
  • あしたの名医―伊豆中周産期センター―(新潮文庫)

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     伊豆半島。温泉や景勝地、魚の幸・山の幸にも恵まれた豊かな土地だ。
     けれど近年、伊豆でも若者の流出とともに過疎化も始まっている。医療施設の減少も目立つがそれは産婦人科において特に深刻である。
     そんな伊豆の産科医療を支えているのが伊豆中央病院、通称「伊豆中(いずなか)」だ。

     伊豆の新しい生命の誕生を第一線で守る伊豆中産婦人科医たちの奮闘を描いた医療ドラマ。
     北上次郎オリジナル文庫大賞。

     なお物語は主人公の北条衛の視点で展開するが、第4話「城ヶ崎塔子の夏休み」のみ先輩医師の城ヶ崎塔子の視点で語られる。
              ◇
     天渓大学医学部附属病院の医局員、北条衛に急な異動の辞令が

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    2024年06月03日
  • まぎわのごはん

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     小学館が創設した「食」に関する新レーベル「おいしい小説文庫」。2020年、コロナ禍の非日常だからこそ、食小説を通じ読者の心に彩りを添えたい、との思いで立ち上げたとのこと。その内の一冊です。

     ところで、現役医師兼作家さんて結構いらっしゃいますね。本書の著者・藤ノ木優さんもそうで、本作がデビュー作とのこと。今回初読みでした。

     末期患者専門の料理を提供する店「まぎわ」を舞台に、終末期医療の一つのあるべき姿を提示するとともに、人の心や店の流儀が解らない半端な青年・翔太が、人の想いや最後の晩餐を叶えることに喜びを見出し、料理人として成長していく物語です。

     翔太の、包丁の技はあれど心が伴わな

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    2024年04月26日
  • アンドクター 聖海病院患者相談室

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    お仕事小説。謝り方なんて誰からも教えてもらえなかったように思う。というか謝ることから逃げてたからじゃないかなと思う。そういうう意味で、身をつまされる思いもした。それ以上に学ぶ事も多かった。

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    2024年03月17日
  • あしたの名医―伊豆中周産期センター―(新潮文庫)

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    出産の描写は圧巻です。人間がこの世に生まれて来ることは奇跡だと、そんな風に思ってしまう。
    本格的な医療小説であると同時に、これはグルメ小説ですね。読んでるとお腹が空いて来ます。

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    2024年01月09日
  • あの日に亡くなるあなたへ

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    読んでいて泣いてしまった。良かったです。
    最近ものすごく涙もろい自分がいる。

    小さい頃に母を亡くした産婦人科医がある日母親が使用していたPHSを母親の部屋(亡くなった日からそのままにしていた部屋)で見つけ、そのPHSに過去の母親
    から電話がかかってきて物語が進行していくというありがちなお話しではあるのですが、なんかすごく感動した。

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    2023年11月29日
  • あしたの名医―伊豆中周産期センター―(新潮文庫)

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    美味しそうな表現と、美味しそうなお店たち。伊豆中の温泉、食のツアーに行ってみたいです。次回も楽しみにしております。

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    2023年11月18日
  • あしたの名医―伊豆中周産期センター―(新潮文庫)

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    ネタバレ

    人物設定、ストーリー展開、全てどこかで読んだことのある感満載でした。最後の衛の出した答えも予想通り。
    それだけに気持ちよく読めたし安心の結末なのです
    ハラハラドキドキではなく心穏やかに読み終えたい人におすすめ

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    2023年10月29日
  • まぎわのごはん

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    まぎわの料理とは、「死ぬまぎわ」の料理だった⁉️
    「ありがとう。私の人生で、一番美味しくて、一番楽しくて、一番美しいご飯だった」

    「料理を作り続けて欲しい。翔太さんの料理には、人を救う力があるわ。私が亡くなった後も、沢山の人を助けてあげてね」

    現役医師が描く圧巻のデビュー作!

    修業先の和食店を追い出された赤坂翔太は、あてもなく町をさまよい「まぎわ」という名の料理店にたどり着く。

    店の主人が作る出汁のおいしさに感動した翔太は、店で働かせてほしいと頼み込む。念願かない働きはじめた翔太だが、なぜか店にやってくるのは糖尿病や腎炎など、様々な病気を抱える人ばかり。

    それもそのはず、「まぎわ」は

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    2023年10月14日