上田健次のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
飲食店のカテゴリの中からは外れたイメージを抱いてしまうバー。多くのエピソードの中で重要な会話がさりげなく語られる場面に採用されるバー。カクテルを作る人は職人気質というよりキザな性格だと思ってしまう。なかなか注目しないけどカウンターにさりげなく滑り出されるグラスには緻密に精製された旨さが凝縮される。そのためには並外れた苦労があって不思議ではない。
テレビが時代を先行するメディアとして誰もが疑わなかった頃、スケッチブックにマジックで大きく書かれた言葉にクスッと笑うこともあった。画面を見る側にとって速やかな進行をするには無くてはならないペンとスケッチブック。定番の製品があるとは知らなかった。演者に伝える術にもきっとコツがあるのだろう。タイミング、簡潔さ、言葉選びなど当事者ならではの苦悩があるからこそ下積みで経験する作業として必要な感じがする。
向こう側が透けて見える程の薄い紙で丸くて沢山の花弁を重ねた花が形作られるのは作る過程が楽しい。手軽な材料で容易な要領で作れる物は単純だからこそ美しく見せるには些細なコツが大きな効果を生む。細やかな技能を有する人は外観とは無関係に思いやりが透けて見える。
子のための贈り物は受け取る相手が歳を重ねるごとに選定が難しくなると思う。あれもこれもとかき集めてしまう。良い!と思った文具を買って帰宅すると、"あ、既に買ってあった"なんてこともよくある。
文房具にまつわる深いイイ話は今回も硯さんの近くには沢山あった。挙式もそろそろ見られそうで次巻も楽しみ。 -
Posted by ブクログ
いつもながら時代遅れと言われかねないほど細やかな接客の宝田硯。
今回も「四方堂」にさまざまな思いを抱えたお客が、訪れて昔の出来事を振り返りながら、文房具を選んでいく。
いつも使うものなのに、ひとつひとつ丁寧に選んだ買ったのか⁇と思うものが、家の中に沢山ある。
宝田硯店主のような細やかな気配りと「四方堂」のような文房具店に足を運んで、迷いながら好きなものを選びたいという気分にさせてくれた。
道具箱〜就職が決まった息子に夫婦が選んだもの。
ファイル〜ほゝづゑのレジスター修理からマニュアル作りまでを完成させた営業マン。
フラワーペーパー〜校長先生になった洋子先生が、中学時代転校先で出会った校務の赤塚さんとの思い出。
スケッチブック〜TVの深夜番組でADをしていた頃に親しくしていた先輩との思い出。
多機能ペン〜ホテルのバーテンダーとして成長したのは、宝田硯の祖父・硯水との出会い。
どれもじんわりと心に染みてくる思い出にプラスして文房具がある。
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Posted by ブクログ
華やかな大通りからビルが立ち並ぶ迷路のような路地を進んだ先にある円筒形のポストが目印の文房具店「四宝堂」。そこの店主である宝田硯の元には様々な悩みを抱えたお客が訪れる。思い出の文房具と硯の言葉に涙なしでは読むことはできない優しい物語。
終始目が潤みながら読みました。
思い出の文房具とともに語られる過去はどれも切なくて優しくてどれもこれもいい話で読んでいるこっちが優しい気持ちになって行きました。
人は様々な出来事の上で生きていて、その上であとほんの一歩が踏み込めず悩んでいることがあるそんなときにこんな文房具店というより宝田硯に会えたらと思った。
あらすじではミステリアスな青年と記載されているが、読めば宝田硯が文房具オタクのおせっかいな性格であることがわかる。
そこまでするの?と読んでいて驚くことも多くあった、だからこそ多くの常連に恵まれるのだろうとも思った。
好きな話はやっぱり一番最初の話で新社会人新田が祖母に送る手紙と万年筆の話
ありきたりだけどだからこそ読んでいてすごく心にささった。素直な気持ちはどんな形でも伝えることが大切なのだと改めて実感した。
文房具は必ず誰もが手にすることになる道具で自分も学生のころは好きな文房具があったことを思い出した。だけど大人になるとケータイやパソコンで全てまかなってしまうこともあり文房具を手にする機会が少なくなって今では使うことは少ない。この本を読んでたまにはお店にいってじっくりと好きだった文房具を探しに出かけてみたくなりました。
文房具店を中心とした短編集で区切りよく読めるので読み進めやすい。過去の話も本によっては急な展開に混乱してしまうものもあるのだがそれがないためとても読みやすくあまり本を読まない人にもおすすめ、また穏やかな雰囲気が好きな人や文房具好きの人にも是非読んで欲しいと思いました。