上田健次のレビュー一覧
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ネタバレ四宝堂第二弾。
前作より良かった気がする。
店主宝田硯の子供時代、喫茶店の看板娘との出会いの物語「栞」も良かったが、
田舎から高卒で就職した会社で愚直を通し、退職の日を迎えた「名刺」が良かった。
前作にもあった、
真面目な若者が人生の先輩の先達を受けて成長していくお話だが、
登場する「大人」が素敵だ。
「名刺」では毎朝会社の前を掃除する会長で、
新入社員に掃除を教え、仕事を教え、人生を教えた。
会社の金庫の鍵を預けるほど信頼し、彼も信頼に応えた。
それは彼の人生を変えたが、彼自身が変節することはなかった。
退職の日四宝堂の2階で、退職祝いの会と
亡くなった会長が注文した「主任」の名刺が待っ -
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銀座の老舗文房具店『四宝堂』の店主とそこを訪れるお客様たちの物語、第二弾です。
今日も老舗文房具店『四宝堂』は銀座の一角に静かにたたずんでいる。そこに訪れるのは、突然結婚して外国に行くと娘に告げられた父親、クラスにうまく馴染めないことを悩む女の子、長く勤めていた会社を退職することになった人に、久しぶりに来日した日本で思い出の色鉛筆を探す男性。今回は若かりし日の店主、硯と良子の出会いにまつわる話も収録されている。
どれも文房具は一つのきっかけに過ぎないけれど、確かにだれかとだれか、だれかとなにかをそっとさりげなくつないでくれる物語となっている。
前作もそうでしたが、文房具店の店主が、 -
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ネタバレ銀座四宝堂、第三弾。前ニ作も良かったのだけど、この三作目、読み応えがあり、とても良かった。
「ブックカバー」
ギクシャクしてしまう2組の母娘の話。私も娘がいるので、身に覚えがあり過ぎて感情移入してしまった。そして、多くの人が心の奥底ではわかっているだろう、手書き文字の大切さ、長所を再認識できた。
「シール」
家事と子育てに追われる主婦が、独身の友達を羨んで自己嫌悪に陥り‥仕事が忙しいダンナさんの優しさに、今ある幸せに気づく。ありがちかもしれないけど、過去と現在を繋ぐ道具立てがうまくはまっていて、ステキな話になっている。
「原稿用紙」
苦学した後、事業で成功した男性。中学校の恩師とのエピソ -
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中学卒業から日本を離れていた吉田は、旧友に誘われた中学の同窓会に赴き、30年以上もほっぽかれたタイムカプセルを開けることに。
吉田のタイムカプセルから出てきたものは…。
そこから一気に中学三年の夏になり、夏休みの夏期講習で他校の東屋と出会うことに…
東屋は、素行の悪さで区内中に知れ渡っている名前だったが、初めて見る姿は不良の感じはしなかった。
吉田と東屋の切なすぎるひと夏に青春を感じるが、けっして青くさいものではなく、ただ東屋が語ることは真っ当で中学生とは思えず驚いた。
食に関して詳しいことと美味しいものをどうやって提供できるか、など観察眼も凄い。
すべては祖父に教わったようだが、孤独であ -
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平凡で普通の「僕」と、最恐の不良と言われる「あいつ」が過ごした一夏の物語。
主人公は、中学の同窓会の誘いを受けて帰京し、そこで御開帳されたタイムカプセルに、中学時代の懐かしい思い出を見つける。
その頃の「僕」は受験をどうするか迷いのある中学三年生。夏期講習で他校の不良と隣の席になったことで、いつの間にか少しずつ彼と交流が生まれていく。名の知れた不良だという「あいつ」は、義理堅くて、読書家で、つまらない夏期講習も真剣に聞いているようなところもあって、縁日の屋台で焼きそばを作る姿が堂に入っている。けれど、平々凡々な一般人である「僕」と四代目を継ぐのだという的屋の「あいつ」とは、住む世界が違 -
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とても面白かった。
1巻は出来すぎたお話感が気になったけど、
2巻はそれよりもうるうる感が強くなって、出来すぎたお話でも良いよね〜って思えるようになった。
特に「単語帳」はその思いが強かったかな。
「名刺」は文句なしに面白かった。
大好きなお話でした。
昔はこんな人たちがいたよなー。
「ハサミ」は
会話とか作業とか高校生のレベルのような気がして、中学生という設定はちょっと無理があるかな、と思いました。
「栞」は2人の出会いとこれまでがわかったけど、2人とも30代後半。昭和な私は、
人ごとながらちょっと焦ってます笑
「色鉛筆」は名入れとか色の名前とかなかなか興味深かったです。
差別に対する人の意