阿刀田高のレビュー一覧
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ギリシア神話は有名だがほんの少ししか知らないので、本書を手に取った。
この本は非常に読みやすい。神話の全てではなく、人気エピソードをいくつかピックアップしたものだ。
読んだ感想は、ゼウスは奔放だと聞いていたが、アポロンもクソ野郎が過ぎる。気に入った女性は人妻だろうが相手が嫌がっていようが、どうにかしてやろうとする。基本的に女性の立場が低いらしく、「ジュピテルと一つのもの(この場合妻)を共有するのは、不名誉ではない。」と表現されてもの扱いだ。パンドラも「すべての贈り物」という意味だし、全ての悪いものは女性が原因、とされるあたりも男性目線なのを感じる。
次にミュルラの話も興味深かった。ミュルラは -
購入済み
引き込まれました
有名なアーサー王物語をはじめて読みました。岩波文庫のような直訳ではなさそうでしたが、文章がきれいで読みやすく、はじめにこの本を選んでよかったと思います☺️ 大人のための童話、という感じです。指輪物語なんかが好きな人は、この話もきっと気に入ると思います。
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Posted by ブクログ
ネタバレ1977~1979年に発表された作品を14編収録した作品集。単行本は1980年刊行。
阿刀田高氏はショート・ショートの名手ですが、ショート・ショートというにはちょっと長めの短編集です。
それぞれの短編がとても良い出来で、間延びしたショート・ショートということには全くなっておらず、それぞれの作品が短編小説でなくては表現出来ない絶妙な内容になっています。
特に心に残ったのは、野球がモチーフの『柳の下のジンクス』、曰わく付き物件がモチーフの『干魚と漏電』、万馬券がモチーフの『勝ち馬情報』です。
以下は簡単に各作品の感想↓
あの人を殺して
千円札1枚が同封された「あの人を殺してください。」とだ -
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旧約聖書を理解するにはいくつかの道筋がある。初心者向きはアブラハム事績から辿ってゆくことだろう。
アブラハムの子がイサク、イサクの子がヤコブ。ヤコブの子がヨセフ。
それでは胸いっぱいに空気を吸い込み「アイヤー、ヨッ」と彼らの頭文字を叫んで旧約聖書山を登ってゆこうではないか。
…というような書き出しで始まり、最後までこの調子(笑)
西洋文化や芸術、現在の世界情勢をある程度理解するためには、聖書が分からないと難しい。とりあえずちょっとずつ。
阿刀田高は中高生の頃結構読んでいて、この「知っていますか」シリーズも読んでいた。
しかし改めて読んでも面白くてわかりやすい。
聖書の流れを分かり易く解説し、 -
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「コーランを知っていますか?」
「え??・・・そういや知らないな。」
唐突に、でも何気に目に飛び込んできたので、ついつい手に取って買ってしまう。
ユダヤ教の側から言えば〔キリスト教も同じだが〕
「毎度のことだけど、コーランはおれたちの聖典のいいところを抜いて、勝手に自分たちの話にしてるわ」
となるし、イスラム教の側では、
「真実は一つ。アラーはすべてお見通しなのよ」
寛容とユーモアの精神を前面に、余裕と自尊心を背中に保ちつつ(解説より抜粋)。
入門書として、軽い気持ちで楽しく読み進めさせる。
本屋での出会いって、この何気なさがあるから、行くのをやめれない。 -
購入済み
阿刀田カラー満載
読み下しでは理解しきれない和歌や言い回しを読み返して、なるほど。ちょこちょこ挟み込まれるジョーク。阿刀田カラー満載です。そして。言葉を知るって豊か。どっちでもいーじゃん、では淋しいって。なるほど。最近ボキャブラリーが貧困になってきたなと感じる方にもおススメです
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日本書紀は大和朝廷が渡来人に端を発する天皇家の正統性を担保するために都合のいいストーリーを神話の形をとって作成したものらしい、従って日本書紀にはない記述が多い古事記にこそ真実が散りばめられている。という説を読んだことがありますが、本書を読んでその古事記すらも似たようなものだと知って、がっかりしたというよりむしろ楽しい気分になりました。
征服とか権力闘争といった生々しい過去すら、どこかのんびりしていて、かつ微笑ましくも滅茶苦茶な神話に仕立て上げてしまった太古の日本人のもつ大らかな気質が感じられ、流石は八百万の神を祀ってきた民族だなぁと感心します。
今の世知辛い日本では殆ど感じることがないこの気質