阿刀田高のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ギリシア神話は有名だがほんの少ししか知らないので、本書を手に取った。
この本は非常に読みやすい。神話の全てではなく、人気エピソードをいくつかピックアップしたものだ。
読んだ感想は、ゼウスは奔放だと聞いていたが、アポロンもクソ野郎が過ぎる。気に入った女性は人妻だろうが相手が嫌がっていようが、どうにかしてやろうとする。基本的に女性の立場が低いらしく、「ジュピテルと一つのもの(この場合妻)を共有するのは、不名誉ではない。」と表現されてもの扱いだ。パンドラも「すべての贈り物」という意味だし、全ての悪いものは女性が原因、とされるあたりも男性目線なのを感じる。
次にミュルラの話も興味深かった。ミュルラは実の父と悲恋をした王女が変身した樹、没薬の木の樹脂という意味。親子婚を辞さないエジプトでミルラ(没薬)が珍重される訳だ!と妙に納得。
他にはアキレウスの女装やヘラクレスが男色家なこと、イアソンの冒険など有名人の意外なところが知れたような喜びがあった。
パンドラの壺と衆議院解散を結びつける辺りは著者のセンスに唸ってしまった。プロメテウスとエピメテウスの「プロローグ・エピローグ」からの「先見の明と下衆の後知恵」も面白かった! -
購入済み
引き込まれました
有名なアーサー王物語をはじめて読みました。岩波文庫のような直訳ではなさそうでしたが、文章がきれいで読みやすく、はじめにこの本を選んでよかったと思います☺️ 大人のための童話、という感じです。指輪物語なんかが好きな人は、この話もきっと気に入ると思います。
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Posted by ブクログ
ネタバレ1977~1979年に発表された作品を14編収録した作品集。単行本は1980年刊行。
阿刀田高氏はショート・ショートの名手ですが、ショート・ショートというにはちょっと長めの短編集です。
それぞれの短編がとても良い出来で、間延びしたショート・ショートということには全くなっておらず、それぞれの作品が短編小説でなくては表現出来ない絶妙な内容になっています。
特に心に残ったのは、野球がモチーフの『柳の下のジンクス』、曰わく付き物件がモチーフの『干魚と漏電』、万馬券がモチーフの『勝ち馬情報』です。
以下は簡単に各作品の感想↓
あの人を殺して
千円札1枚が同封された「あの人を殺してください。」とだけ書かれた手紙が、毎週木曜日に届く、という不条理ミステリー。気の利いたオチがあるわけでもなく、不条理な結末を迎えますが、オチの利いた作品よりも深い印象を残してくれました。
柳の下のジンクス
代打要員として1軍ベンチ入りをしているプロ野球選手が、あるジンクスを信じ始めてから代打成功率7割になるという物語。ピンチ・ヒッターの興奮と、ジンクスが持つ神秘に、読んでいるこちら側も胸ときめきました。名作だと思います。
銀座の恋の物語
銀座のホステスと、客である係長クラスのサラリーマンとの、恋と金の駆け引きの物語。謎を残した結末が、妙にしんみりとした気分にさせられます。
蜜の匂い
結婚詐欺の物語。男と女どちらが上手か、と読者に想像させます。結局、謎めいたまま終わるブラックなオチが印象的です。
ベター・ハーフ
※ネタバレ※
最後の一行で全てがひっくり返される叙述トリックが見事な一編。完全にだまされました。歌野晶午氏の代表的作品と同じ叙述トリックですが、こちらのほうがだいぶ早いです。
殺意
妻の浮気を疑い、浮気相手に殺意を抱く男の物語。オチは、ちょっと強引などんでん返し。
海が呼ぶ
怪談+ミステリー。ここまで正統派なスリラーは、阿刀田高作品としては珍しいのではないでしょうか。
凶事
阿刀田高作品らしいブラック・ユーモア感がある一編。ただ、阿刀田高作品によくある夫婦関係ではなく、姉妹の関係にしたのは、ちょっと珍しいかもしれません。
自殺クラブ
これも銀座のクラブが舞台ですが、男と女の物語ではなく、自殺がテーマの物語。ブラックというより、ダークで陰鬱な一編です。
紅白梅の女
男女の関係を描いた情緒ある一編。ブラックな笑いもないという阿刀田高作品には珍しい雰囲気。
演技
俳優を目指す学生が、殺されるフリをしてくれないか、という変わったアルバイトを依頼されるサスペンスフルな一編。恐ろしいラストが印象的です。
夢判断
予知夢を描いた一編。ずっと恐ろしさで押し通していたのに、最後の最後でブラック・ユーモア。悪いオチではないですが、ちょっと拍子抜けしました。
干魚と漏電
こんなタイトルですが、曰わく付き物件に引っ越してきた老女が、電気料金に対する違和感から、曰わくの元凶にたどり着く、という怪談風味のミステリーになっています。タイトルと冒頭のエピソードから、なんとなくオチが予想はされますが、期待を裏切らないオチだとも言えます。これも名作ではないでしょうか。
勝ち馬情報
競馬で大きな勝ちが続いている老婆がいる、という情報を手に入れたフリーの雑誌記者の物語。このオチは全く予想出来ず。予想の斜め上を行くブラックなオチで、それまではブラックな雰囲気が無いのに、ラスト2ページで急にイヤーな気分にさせられるのが、実に上手いと言える作品です。これも名作ではないでしょうか。 -
Posted by ブクログ
「コーランを知っていますか?」
「え??・・・そういや知らないな。」
唐突に、でも何気に目に飛び込んできたので、ついつい手に取って買ってしまう。
ユダヤ教の側から言えば〔キリスト教も同じだが〕
「毎度のことだけど、コーランはおれたちの聖典のいいところを抜いて、勝手に自分たちの話にしてるわ」
となるし、イスラム教の側では、
「真実は一つ。アラーはすべてお見通しなのよ」
寛容とユーモアの精神を前面に、余裕と自尊心を背中に保ちつつ(解説より抜粋)。
入門書として、軽い気持ちで楽しく読み進めさせる。
本屋での出会いって、この何気なさがあるから、行くのをやめれない。 -
購入済み
阿刀田カラー満載
読み下しでは理解しきれない和歌や言い回しを読み返して、なるほど。ちょこちょこ挟み込まれるジョーク。阿刀田カラー満載です。そして。言葉を知るって豊か。どっちでもいーじゃん、では淋しいって。なるほど。最近ボキャブラリーが貧困になってきたなと感じる方にもおススメです
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Posted by ブクログ
日本書紀は大和朝廷が渡来人に端を発する天皇家の正統性を担保するために都合のいいストーリーを神話の形をとって作成したものらしい、従って日本書紀にはない記述が多い古事記にこそ真実が散りばめられている。という説を読んだことがありますが、本書を読んでその古事記すらも似たようなものだと知って、がっかりしたというよりむしろ楽しい気分になりました。
征服とか権力闘争といった生々しい過去すら、どこかのんびりしていて、かつ微笑ましくも滅茶苦茶な神話に仕立て上げてしまった太古の日本人のもつ大らかな気質が感じられ、流石は八百万の神を祀ってきた民族だなぁと感心します。
今の世知辛い日本では殆ど感じることがないこの気質を、日本人として少しでも次の世に引き継げたらいいのにと思いました。