阿刀田高のレビュー一覧
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【最後の一文で世界が変わる】
YouTubeのおすすめ動画で流れてきた「奇妙な味」というジャンルの本。
どことなく仄暗い気持ちになりたくて手に取ってみました。
【感想ほか】
初版が1982年!文体は丁寧な言い回しが多いが、そこまで違和感なく読み進められた。
特にお気に入りの話は「来訪者」
最後の最後でぞっとする。忘れられない短編になった。
どの作品も最後の一文で今までの前提がくつがえるような、そんな構成の短編集でハッとさせられることが多かった。
1話はだいたい20ページくらい。サッと読めるのも魅力的。
「サン・ジェルマン伯爵考」もお気に入り。最後の2行、その雰囲気言い回しが好き。
巻末の解説 -
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今年読みたい本のブックリストに登録した本書。
言ってしまえば、ギリシア神話の中でも読み応えがあって面白い話ばかりが集められている。
小説家 阿刀田氏のユーモアに溢れた脚色や考察も入ってはいるけど、入門書としては最高に面白いと書評にあっただけにビンゴだった。
ほぼ全ての自然現象は科学的に説明がつくのに、何故未だに神話が語り継がれ愛されるのか意味が分からなかった。(バリバリ文系なのに矛盾したことを言う…) 神々の領域に足を踏み入れたばかりで、正直のところ読後もまだ分かりきっていない。
ギリシア神話は様々な伝説の複合体として長い時間の中で成立したものだから、辻褄が合わなかったり中には「ノアの方舟 -
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古事記は物語と歴史が渾然と入り混じった時代の産物であり歴史そのものではない、と著者が結ぶようにかなりぶっ飛んだ内容になっているようです。
果たして古事記に書かれている天皇の何代目から実在の人物なのかという事も興味があって、大体のところはわかっているらしい。
古事記、その成立は和銅5年(712)43代元明天皇の時代に太安万侶が筆録。
そもそもは天武天皇の発案を受け稗田阿礼がイザナギ・イザナミからの伝承を暗唱し、その暗唱を太安万侶が筆写して編集したというのだからすごいな記憶力!
その意味するところ日本が天皇家を基にしてなっているという事を真理とするための根回しのような歴史書なのか。
阿刀田さんの解 -
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阿刀田さんの「〇〇を知っていますか」シリーズは、数年前にハマってすべて手に取りました。が、当時このコーランだけは途中でやめてしまいました…
イスラム教に馴染みがなさすぎたし、コーランの内容も旧約新約聖書と違って読み物としてはあまり面白くない(ストーリー性が薄いから)と感じてしまったのが理由です。
ですが、この度縁があってイスラム教の国で暮らすことになったので再度手に取ってみました。
毎日アザーンの音を聞き、街を歩くほとんどの人がヒジャブを被っている光景を見ると、やっぱりだんだんイスラム教が気になるしもっと知りたいと思うもの。前回よりは随分頭に入ってきやすかったです。
イスラム教への理解を深め -
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永遠のベストセラー「新約聖書」を著者の考察も添えながらわかりやすく解説している
新約聖書はイエスの生涯を表す部分が終わると、新しい部分に入り
イエスの亡き後、直弟子やその他の弟子たちがイエスの教えをどう伝えたからキリスト教がどう成立して、そこにどんな困難があったか、どんな励ましがあったかが語られる
著者の推測も含め以下のエピソードが印象に残った
◎マリアもアブラハム以降の血を引いており、処女受胎にも納得がいく
◎ヨハネの首を討ち取ったのはヘロデス王国の政治的な判断とヘロディアスの憎しみによるものであり、サロメは傀儡にすぎなかった
◎奇跡のエピソードは一つの比喩であり、イエスの偉大さを -
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あらゆる意味での西欧の原点「旧約聖書」の世界を、枝葉末節は切り捨てエッセンスのみを抽出して解説している
今まで離れ小島のようになってた知識がつながった…!
聖書ってこんなに面白かったんだ
信仰をもたない著者が解説しているので、フラットな立場で読めて良かった
もちろん信仰をもつ方が書かれた本を読むことにも意味はあると思うけど
西欧の文化や中東問題も、聖書の知識があったほうがいいというのは本当にその通りだと思った
パレスチナ問題の本質も遡るとここまでたどり着くのね
キリスト教が新約聖書に重きを置いているのに対して
ユダヤ教は旧約聖書のみを聖典としている(新約を聖典として認めてないので、旧も -
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誕生日と命日は同じ4月23日。
欧米の大衆娯楽演劇の原点、ハリウッドで最も売れている脚本家、世界で一番有名な作家。
その名もシェイクスピアである。
本書では、彼の生涯と30を超える彼の戯曲の中から11を選んで紹介している
名前は聞いたことあるけど読んだことは…。そんな人にも楽しんでもらえるよう、ユーモアを交えつつシェイクスピアの魅力を解説している
阿刀田さんの小説家ならではの着目と批評精神が本書の奥行きと面白さを生み出していて、ああこんなに面白いものなのか!と素直に思わせてくれる
著書を読むのはこれが始めてだけど、すごい人だ…
個人的に印象に残ったのは「オセロー」と「ウィンザーの陽気な -
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何となく西洋の古典に憧れを抱きつつ、チャレンジすることもなかった「イリアス」「オデュッセイア」。
ギリシャ神話にも何となく憧れを抱きつつ、こちらもいくつかの神々の名前を知っているぐらい。
こんな状態で原典にあたったら、絶対当たって砕けて終わるところを、阿刀田さんの語りにかかると、旅行ガイドに連れて行かれるような心持ちで、誘導されて行ってある程度の中身が身に付いている。
原典が生野菜そのままで、皮も食べたら一番健康にはいいんだけど、味も苦いし、固いし、食べたくない…としたら、この本はスープとか、煮物とかみたいに、美味しい美しい部分だけを他の具材(ギリシャを訪問した時の旅行記など)と一緒に調理して