阿刀田高のレビュー一覧
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分かりやすい面白いすごい!
信仰を持たない作者が信仰を持たない読者のために、新約聖書をわかりやすく噛み砕いたもの。
作者の大胆な解釈やツッコミ、間に挟まるエッセイがちょうどよく、すらすら読み進められる。
知っているエピソードも多いが、聖書全体をつなげてよんだことはなかったため、新鮮な気持ちである。そして、洗礼者ヨハネとヨハネによる福音書、弟子のヨハネが別人物なのはびっくり。
●魅力的な登場人物たちについて
登場人物たちがみんな魅力的でいきいきと描かれており、イエスの死の前後はとくにぐっと読んでしまった。
マグダラのマリアがイエスの死後墓に遺体がないのを知ってなきながらうろたえてるところに、「婦人よ、なぜ泣いてるのか」と声をかけたひとがイエスだったっていうエピソード、情景として結構すきだ。
それから、
おそわれたイエスを庇って剣を出したペテロに「よせ、剣を持つものは剣で滅びる」って言ったのとか、
遺体を十字架からおろしてきれいな亜麻布でつつんだアリマタヤのヨセフとか、
イエスの死を知って銀貨三十枚を祭司長たちに返そうとしたけど突っぱねられてそのまま銀貨を神殿に投げて首をつったユダ
とか........
イエスを中心とした当時の人々の姿がありありと思い浮かぶようだ。
●信仰について
筆者の知り合いKさんの言葉がひとつ、印象的だった。
どうしてあのときだけ神の子が地上に現われたか、という筆者の問いに対して、
「イスラエルの民は千年の長きにわたって、ずっとメシアの降臨を願い続けてたわけでしょ。それも並たいていの熱意じゃない。(中略)だから神の子が来臨するとすれば、ああいうところしかないんじゃないかな」
と言う。
妙に腑に落ちる言葉だった。
イエスもまた神を強く待ちのぞみ信じる人のひとりだったからこそ、イエスは神の子になったのかもしれない。
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Posted by ブクログ
コーランの。イスラム教の入門書としてこれ以上の本は無いと思う。
西洋のキリスト教世界的な感じ方に汚染されてしまっている現代の日本人として、一方的な見方でしかイスラム教を見て来ていなかった。
信じるものか違えば世界の見え方も変わって来るのだ、という当たり前のことが分かっていなかったことを痛切に感じた。
今後の世界ではイスラム教の信者の数がキリスト教の信者の数を上回ることは必然。
西洋世界の常識や思考のみに依存せず、偏向のない考え方を教えてくれる最良の書と思います。
最終章のサウジアラビア、ヨルダンへの旅行記はコーランから一気に現実のイスラム世界に一っ飛び。知ることの出来なかった実際の現地の人の感覚も垣間見れて楽しかったです。 -
購入済み
細部まで美味しい解説
語り口が見事だ。このように語られると、とても読みやすい。ただ述べるのではなく、先を読みたくさせる誘導がうまい。また、多岐に渡る素材を上手に配置して、これまた読みやすい。無闇に専門的ではなくて、しかもかなり詳しく核心をついて述べられている。
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【最後の一文で世界が変わる】
YouTubeのおすすめ動画で流れてきた「奇妙な味」というジャンルの本。
どことなく仄暗い気持ちになりたくて手に取ってみました。
【感想ほか】
初版が1982年!文体は丁寧な言い回しが多いが、そこまで違和感なく読み進められた。
特にお気に入りの話は「来訪者」
最後の最後でぞっとする。忘れられない短編になった。
どの作品も最後の一文で今までの前提がくつがえるような、そんな構成の短編集でハッとさせられることが多かった。
1話はだいたい20ページくらい。サッと読めるのも魅力的。
「サン・ジェルマン伯爵考」もお気に入り。最後の2行、その雰囲気言い回しが好き。
巻末の解説にて学ぶことが多かった。
・恐怖文学のいちばん恐ろしい情景は、筆で書くより読者の想像に任せた方が底知れない広がりがあること。
・アイデアは備忘録に書き連ねて、それを組みあわせてひとつの小説にすること。
創作をする時に思い出したい。
どうも!ぶろろぐです。
23冊目読破になります。
久々に小説を読んだ感想を載せてみました〜。 -
Posted by ブクログ
今年読みたい本のブックリストに登録した本書。
言ってしまえば、ギリシア神話の中でも読み応えがあって面白い話ばかりが集められている。
小説家 阿刀田氏のユーモアに溢れた脚色や考察も入ってはいるけど、入門書としては最高に面白いと書評にあっただけにビンゴだった。
ほぼ全ての自然現象は科学的に説明がつくのに、何故未だに神話が語り継がれ愛されるのか意味が分からなかった。(バリバリ文系なのに矛盾したことを言う…) 神々の領域に足を踏み入れたばかりで、正直のところ読後もまだ分かりきっていない。
ギリシア神話は様々な伝説の複合体として長い時間の中で成立したものだから、辻褄が合わなかったり中には「ノアの方舟」のような”よそ”の神話と酷似した話があったりする。その辺も含めて最終的に物語として楽しむ余裕が出ていたのは、まさしく本書のおかげとしか言いようがない。
更に科学が未発達の時代だからこそ絶対的なものへの想像力(あるいは妄想力?)がとことん豊かなので、シンプルに続きが気になる。それにあやかった著者の執筆力というか妄想力も達者で、我ながら久々に良い選書をしたと思った。
最高神ゼウスがとてつもない遊び人だったりと、ギリシア神話には「神のくせに…」と軽蔑したくなるような神々がわんさかいる。そのため本書の物語群もほとんど救いようがなく、読書中は著者のユーモアとバッドエンドのアップダウンを何度も喰らった。
『パンドラの壺』もその一つで、開けるまでの経緯(開けた後の結果だけは知っていた笑)や前・後日譚に至るまで、幸と不幸の間を行き来するハメに…。知恵者の兄プロメテウスがゼウスをおちょくったせいで、地上に壺を持った美女が弟エピメテウスの元に派遣される。幸い壺を開けても二人に不幸は訪れず無事子供も生まれたが、やがて当事者の兄にお咎めが下り、別の場所では災いの種が蒔かれて…。
…まぁ著者の思惑通り、こちらも読み応えがあって面白おかしく読ませていただきましたが笑
以前は神話をおとぎ話のように認識していたが、時折現実世界とリンクしていると錯覚する事実があるからたまらない。
牛頭人身の怪物ミノタウロスが閉じ込められていた迷宮や、英雄ペルセウスが石にした海獣によく似た岩塊が、当地に実在していたり。岩の件はともかく、ミノタウロスの迷宮は実在しないと近年アメリカの研究チームが結論づけていたが、きっと他にもどこかで繋がっていると半ば信じている。
最終章の「古代のぬくもり」でも伝説と思われていたトロイア遺跡を発掘したシュリーマンのエピソードが取り上げられている。そこに著者自身がギリシア神話への個人的体験を添えられているから、彼もまた少なからずロマンチストだったのかもしれない。
裏表紙の内容紹介にある「ギリシア神話通」には及ばなかったが、神話への通用門にはなったはず。神話の迷宮に飲み込まれそうな時は、またここに戻ってこよう。 -
Posted by ブクログ
古事記は物語と歴史が渾然と入り混じった時代の産物であり歴史そのものではない、と著者が結ぶようにかなりぶっ飛んだ内容になっているようです。
果たして古事記に書かれている天皇の何代目から実在の人物なのかという事も興味があって、大体のところはわかっているらしい。
古事記、その成立は和銅5年(712)43代元明天皇の時代に太安万侶が筆録。
そもそもは天武天皇の発案を受け稗田阿礼がイザナギ・イザナミからの伝承を暗唱し、その暗唱を太安万侶が筆写して編集したというのだからすごいな記憶力!
その意味するところ日本が天皇家を基にしてなっているという事を真理とするための根回しのような歴史書なのか。
阿刀田さんの解説付きで読んでも無理矢理な理屈や飛びすぎた表現が一杯。
歴史書は勝者の記録と言われるが、力づくで歴史を作り出している部分が多いのも似た様な事と考えれば良いのかもしれない。 -
Posted by ブクログ
阿刀田さんの「〇〇を知っていますか」シリーズは、数年前にハマってすべて手に取りました。が、当時このコーランだけは途中でやめてしまいました…
イスラム教に馴染みがなさすぎたし、コーランの内容も旧約新約聖書と違って読み物としてはあまり面白くない(ストーリー性が薄いから)と感じてしまったのが理由です。
ですが、この度縁があってイスラム教の国で暮らすことになったので再度手に取ってみました。
毎日アザーンの音を聞き、街を歩くほとんどの人がヒジャブを被っている光景を見ると、やっぱりだんだんイスラム教が気になるしもっと知りたいと思うもの。前回よりは随分頭に入ってきやすかったです。
イスラム教への理解を深めたい初心者には、この本はとても良いと思います。どっちにしろコーランはアラビア語で読まないと読んだことにならないようなのでハードル高いですしね。
日本にはイスラム教の人はあまり居ませんが、世界の三代宗教のひとつだし、教養の一つとしても知っておくべきなのだろうと思いました。ユダヤ教とキリスト教との関係もよくわかりました!
ここからは単純に疑問…
イスラム教だけではないが、かつて神の啓示をうけた預言者が人々に神の言葉を伝えてくれたわけですが、神の啓示って更新されないんですかね?つまり預言者は布教当時に現れただけで、今後は現れないのかしら?
神様の基本的な教えは変わらないと思うけど、特にイスラム教の教えは随分細かいとこまで指定されている印象があるから、時代の変化に伴って図らずとも結果的に神の教えに背いてしまいそうな時も多々あると思うのだが…例えば金融業はダメとか、女の人の取り扱いとか。これだけ女性が社会進出してるなかで矛盾もたくさんあるのではと推察。豚肉がダメな理由は不明だが、仮に当時の衛生環境的に食べたらお腹壊すから、、みたいな理由でNGにしたとしたら今は改善されてるわけで。
なんて、そんなことを考えてしまいました。
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永遠のベストセラー「新約聖書」を著者の考察も添えながらわかりやすく解説している
新約聖書はイエスの生涯を表す部分が終わると、新しい部分に入り
イエスの亡き後、直弟子やその他の弟子たちがイエスの教えをどう伝えたからキリスト教がどう成立して、そこにどんな困難があったか、どんな励ましがあったかが語られる
著者の推測も含め以下のエピソードが印象に残った
◎マリアもアブラハム以降の血を引いており、処女受胎にも納得がいく
◎ヨハネの首を討ち取ったのはヘロデス王国の政治的な判断とヘロディアスの憎しみによるものであり、サロメは傀儡にすぎなかった
◎奇跡のエピソードは一つの比喩であり、イエスの偉大さを大衆に伝えるために適した伝達方法だった
◎十字架に架かる前日、ゲッセマネでイエスは長い煩悶のすえ、再び確信を取り戻す
◎イエスの復活は、まだ脆弱であった集団の基盤を確かなものにするために欠くことができない、絶対に必要なものであった
新約聖書の構成は
福音書(4巻)、歴史的記録(使徒言行録)、手紙(使徒たちの檄文)、文学(黙示録)
となっており、中核を成すのは福音書である
ちなみに福音書はイエスの言動を伝えるものと思われがちだが、厳密に言えば、それぞれの著者がイエスをどう捕らえたか、どう伝えねばならないと思ったか、執筆者の主観と立場を反映させたものである
聖書の知識が美術、演劇、映画、音楽の理解における不自由さを軽減させてくれると思うと、これから先芸術に触れていくのが待ち遠しい -
Posted by ブクログ
あらゆる意味での西欧の原点「旧約聖書」の世界を、枝葉末節は切り捨てエッセンスのみを抽出して解説している
今まで離れ小島のようになってた知識がつながった…!
聖書ってこんなに面白かったんだ
信仰をもたない著者が解説しているので、フラットな立場で読めて良かった
もちろん信仰をもつ方が書かれた本を読むことにも意味はあると思うけど
西欧の文化や中東問題も、聖書の知識があったほうがいいというのは本当にその通りだと思った
パレスチナ問題の本質も遡るとここまでたどり着くのね
キリスト教が新約聖書に重きを置いているのに対して
ユダヤ教は旧約聖書のみを聖典としている(新約を聖典として認めてないので、旧も新もないのだけど)
ちなみに、旧約聖書は大きく分けて以下のように構成されている
☆神話的記述
天地創造
アダムとエバ
アベルとカイン
ノアの箱舟
バベルの塔
☆歴史的記述(イスラエル最盛期)
アブラハム
(→イサク、ヤコブ、モーセ、ヨシュア、ダビデ)
→ソロモン
☆歴史的記述(イスラエル分裂後)と預言書
北イスラエル王国と南ユダ王国の分裂
バビロン捕囚
ヨブ記
イザヤ書、ダニエル書
救世主(イエス・キリスト)の到来 -
Posted by ブクログ
誕生日と命日は同じ4月23日。
欧米の大衆娯楽演劇の原点、ハリウッドで最も売れている脚本家、世界で一番有名な作家。
その名もシェイクスピアである。
本書では、彼の生涯と30を超える彼の戯曲の中から11を選んで紹介している
名前は聞いたことあるけど読んだことは…。そんな人にも楽しんでもらえるよう、ユーモアを交えつつシェイクスピアの魅力を解説している
阿刀田さんの小説家ならではの着目と批評精神が本書の奥行きと面白さを生み出していて、ああこんなに面白いものなのか!と素直に思わせてくれる
著書を読むのはこれが始めてだけど、すごい人だ…
個人的に印象に残ったのは「オセロー」と「ウィンザーの陽気な女房たち」
「オセロー」は主人公が黒人。
決して差別問題がモチーフではなく
肌の黒さというものが醸し出すどうしようもない心理的葛藤を描いているところに面白さがある、と。
なるほど、これがシェイクスピアの凄さなのか…と腑に落ちた。
「ウィンザーの陽気な女房たち」は唯一オペラの舞台で見たことがあって、
本をちらりと読んでみたけど、むむ、入り込めない、、
やはり戯曲はあくまでテキストに過ぎず、舞台になって初めて生き生きと動き出すのでは…?とも思ってしまう
とはいえ活字の世界に分け入らない理由にはならないので、いつか原作の良さもわかるようになりたい -
Posted by ブクログ
何となく西洋の古典に憧れを抱きつつ、チャレンジすることもなかった「イリアス」「オデュッセイア」。
ギリシャ神話にも何となく憧れを抱きつつ、こちらもいくつかの神々の名前を知っているぐらい。
こんな状態で原典にあたったら、絶対当たって砕けて終わるところを、阿刀田さんの語りにかかると、旅行ガイドに連れて行かれるような心持ちで、誘導されて行ってある程度の中身が身に付いている。
原典が生野菜そのままで、皮も食べたら一番健康にはいいんだけど、味も苦いし、固いし、食べたくない…としたら、この本はスープとか、煮物とかみたいに、美味しい美しい部分だけを他の具材(ギリシャを訪問した時の旅行記など)と一緒に調理してくれる感じ。
面白かったです。
他のも読んでみたい。