あさのあつこのレビュー一覧

  • バッテリーVI

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     野球でなくとも良かったのかもしれない。ピッチャーでなくとも。

     例えば、バイクのレースに出るライダー。
     コンマ一秒を削り取るために、バイクと一体化するために、
     そのためだけに走る。
     右手が、エンジンの爆発と、ドライブチェーンを通じて伝わる力をコントロールし、
     タイヤのゴムがアスファルトと擦れ合ってちぎれ飛ぶのを感じる。
     ただ、その思いで走る。

     あるいは、ソロギタリスト。
     指が弦をはじいて生まれる、それまでは存在もしなかった世界。
     強くも、弱くも。激しくも、優しくも。
     誰でもない、自分が一人で生み出す、一人の世界。

     ピッチャーをするために、球を投げるために生まれてきた

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    2017年08月16日
  • 白兎4 天国という名の組曲

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    ネタバレ

    あさのあつこさんの「白兎」シリーズ4作目。
    1冊目を読んでいきなり4冊目に飛びましたが、違和感なく読めました。ファンタジーとミステリーが混じり合ったようなシリーズで、魂の浄化を行う白兎と、人の悪意を具現化させる黒羽の存在が、「心霊探偵 八雲」の世界観と途中だぶついてしまいました。
    オーナー中条のような“悪人”の存在より、閉塞的な村に住む、普通の人達の集団心理のほうが数千倍怖いと感じました。

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    2012年11月26日
  • ラスト・イニング

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    バッテリーの続編。野球の名門中学の瑞垣の視点で描かれる前編とはちょっと違ったスタイル。瑞垣がどう思いながら中学の野球人生を過ごしたのか。決して透き通った純粋な青春時代とは言えない時期を過ごした瑞垣。バッテリーを読むだけでは決して気付かない彼なりの悩みを知ることになる。少し複雑、しかし気付けば彼を応援していることでしょう。

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    2012年11月26日
  • ラスト・イニング

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    ネタバレ

    新田東中と横手二中の練習試合が終わり、高校へ進学した瑞垣は野球を辞めた。チームメイトだった門脇も推薦入学を辞退。あの試合でいったい彼らに何があったのか。

    『バッテリー』ラストシーンの続き。あの試合の結果が明らかにされる。今作は巧ではなく、横手二中の瑞垣視点から描かれている。試合だけではなくその後の瑞垣の心情が中心となっている。ラストの試合を組んだのは瑞垣。スケジュールや場所、メンバーを揃えるのも新田東中の海音寺とともに彼らだけでやった。なぜ、そこまでしてあの試合を行うことに躍起になったのか。瑞垣はなぜ野球を辞めることになったのか。

    瑞垣はとても中学生とは思えないほど頭のきれる、きれすぎる男

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    2012年11月25日
  • バッテリーV

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     大人になると知らず知らずのうちに、余計なモノを集めてしまっている。
     持ち物も、やる事も。
     残り時間を考えると、使い切れないぐらいのたくさんのモノに囲まれて生きている。
     それでも欲しくなる。手に入れるために、欲してしまう。
     無駄、無駄、無駄。
     時折、あれこもれも投げ出してしまいたくなる。
     捨て去って、投げさって、それでも捨てきれないごく一部のモノを確かめたい。

     野球以外、ボールを投げる以外に必要なものなんてない。
     そう思い切れる巧は、若さ故なのだろう。
     5巻では、それ以外のところも知ろうとする。
     そこを超えて、一回り大きくなるのか。

     シンプルに。でも残ったモノは大切に

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    2017年08月16日
  • バッテリーIV

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     天才だけのストーリーは、どこかで袋小路になってしまうのかな。
     天才に翻弄される、周りの人々のデッサンが、どんどん出来上がってきた4巻。
     主人公も食う勢い。
     つるりとした、天才を書き続けるよりも、苦悩する凡才の方が魅力的だったりする。

     才能ってなんだろう。
     巧も天才。門脇も天才。
     でも、そこに追いつけない才能は、どう違うんだろう。
     スポーツの世界は厳しくて、結果があれこれ見えやすいけれど、もっと一般的な社会生活の中では、それぞれの才能の差って、なんだろう。

     「あいつは頭がいいから」「彼は○○大学出身だから」「奴は××の資格持ってるから」
     自分ができないことをやれる同僚を見

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    2017年08月16日
  • NO.6〔ナンバーシックス〕 #7

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    面白いけど刊行ペース遅い上に展開もゆっくりでしかも1冊1冊が薄い・・・

    ネズミと紫苑の心境の変化を感じさせる巻だった。
    さぁ、いよいよ沙布とのご対面か!?

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    2012年11月22日
  • バッテリーIII

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     望みを叶えるために譲歩する。
     大人の言う事なんだからと、訳もなく折れてしまう。
     
     試合に出るために、監督の言うことを聞く。
     それが理屈に合わなくても。
     その時の悔しさを抑えても、のちのちの結果をとる。

     大人はそうする。
     いつの間にかそうなっている。

     自分もいい加減年を食ってきた。
     子供もいれば、部下もいる。
     仕事も失いたくないし、立場も守りたい。
     目の前に立ちはだかる不条理や、理屈に思いを曲げることはしばしば。
     
     損して得取れ。
     戦略。
     全体を見ろ。

     マウンドに立つピッチャーが、
     試合の勝ち負けも、
     チームメイトの思いも、
     何も考えてずに、ただミッ

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    2017年08月16日
  • バッテリーII

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     キャッチャーがいてこそのバッテリー。
     ピッチャー一人では何もできない。
     そんな関係ってたくさんある。

     子がいてこその親。
     生徒がいてこその教師。
     妻がいての夫。夫がいての妻。

     相手がいるからこそ成り立つ関係。
     それを理解しながらも、言葉にして感謝して、自らを弱めたりはしたくない。
     わかっているけれど認めなくない。

     若さゆえの傍若無人ぶりか。
     経験や知恵の裏打ちがないからこその強がりなのか。


     自信過剰。
     干渉されたくない。
     薄情なまでの真摯さ。
     未来への疑いのなさ。

     心の奥にほこをかぶって忘れていた記憶が甦る。
     少年時代の思い出。
     いつ失ったのか。

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    2017年08月16日
  • 白兎4 天国という名の組曲

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    「メフィスト」に連載されたものの単行本化で、シリーズ4作目。

    この世にいてはいけない魂を還るべき場所に還す役割を負う少年。白兎は、あさのあつこの原風景だという。

    まぁ、白兎抜きでも、ちゃんとしたミステリーになってるんだけど。

    舞台は山の中にある、少数の金持ちのためだけのホスピス。
    がけ崩れで孤立し、6人のスタッフで奮闘するさなか、入所者でもあるオーナーの気まぐれで、50億の遺産をスタッフに与えると発表され、スタッフが殺され、続いてオーナーも殺された。
    誰がなぜ?

    人の心の奥底にある暗闇を、さらりと掬って見せてくれる。
    読み終わってみおると、やはり、「あさのワールド」の作品。

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    2012年11月16日
  • NO.6〔ナンバーシックス〕 #5

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    ネタバレ

    “「…虫けら同然に潰され、殺され、苦しめられ、なぜ安らかに逝くことなどできる?できるわけが、ないだろう。人狩りに捕まれば、ほとんどの人間が助からない。無残な死を強いられる。だとしたら、死んでいく者は、苦痛や怨みの言葉を撒き散らして息絶えるべきなんだ。せめて本物の思いだけは・・・・・・それが、怨嗟と呪詛だけであろうと、本物の思いだけは奪われちゃならない。安らかな死なんて、紛い物じゃないか。虫けらみたいに扱われて、虐げられて、笑って死んでいくだって?何が救済だ。そんなもの、ごまかしにすぎない。…」”

    ネズミのこの言葉は虐げられ苦痛の中死にゆく者にとってあまりにも残酷で厳しい。けれど私達の社会でも

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    2013年02月28日
  • 朝のこどもの玩具箱(おもちゃばこ)

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    題名の通り、色々なお話し6編の玩具箱のような本でした。キツネ世界の安泰のため、人間に化けて紛れ込んで暮らすのですが、そんなキツネは人間に恋をしてしまいます。(孫の恋愛)朝起きたらしっぽがはえてて、でもいじめっ子にそのしっぽを刺すと言うことを聞いてくれる。みんな自分の思い通りになれ!ってしっぽを使いまくるのですが、だんだん自分の姿が入れ替わってしまいます。助けてくれるのは・・(しっぽ) 朝読にぴったりな本です。

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    2012年11月12日
  • ランナー

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    言い訳するのは簡単で、自分に向き合うのは本当に難しい。語り手が変わると、一つの物語に奥行きが出るんだなぁ。苦しい場面もあったけど、読み終わったあとは爽やか。

    【2016.10再読】
     シリーズ第3段が出たため、1作目から読み直し。覚えてるエピソードもあったたけど、大筋は忘れてしまっていた。碧李の揺らぎが、杏樹の痛みが、千賀子の苦しみが胸に迫ってきた。仕事柄虐待の記述は読んでいて苦しくなる。余計なものをそぎ落として走り出す碧李の姿が見たいと思った。

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    2016年10月10日
  • ガールズ・ブルーII

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    ガールズ・ブルーの2巻目。
    1巻と雰囲気は変わらず爽やか。
    あさのあつこさんの文体はクセがなくてさらりと読めるから好き。

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    2012年10月18日
  • ガールズ・ブルーII

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    ネタバレ

    ガールズ・ブルーの続き。理穂、美咲、如月も高校3年生になって進路を決めなくてはならなくなる。どんどん大人になって行くみんな。高校生というタイムラインが近づく中、彼女達は各々の「解」を見つけて行く。1話に引き続き読んだ後にほっこりした気持ちになった。

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    2013年02月16日
  • NO.6〔ナンバーシックス〕 #7

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    やっとスピード感が出てきた感じかな。それでもなかなか話が進まない。
    紫苑に対する想いはネズミに非常に共感。
    沙布との再会は意外だったな。
    月薬さんのくだりがやるせなさすぎる。

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    2012年10月14日
  • 夜のだれかの玩具箱(おもちゃばこ)

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    朝から夜に。

    「仕舞い夏の海」と「もう一度さようなら」が好き。
    特に「もう一度さようなら」の空の絵の思い出に感動する。
    こういう記憶が人を支えるんだろうな。きっと何より大切なものなんだと思う。
    「お花見しましょ」も良かった。
    あさのさんの描く少年はやっぱりいいなぁ。

    そして怖い夜を描いた「うちの猫は鼠を捕りません」に恐怖した。
    こんなBARには絶対行きたくない。

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    2012年10月08日
  • 朝のこどもの玩具箱(おもちゃばこ)

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    すごいなぁ‥。
    それぞれ全く違う世界を描いた6つの物語。
    読み始めてすぐに物語の世界に引き込まれてしまう。

    「謹賀新年」の優しさにほっとして、「ぼくの神さま」のフユンの行く末にハラハラした。続きが読みたい!
    そして「この大樹の傍らで」、勝手に結末予測していたのだけど、それよりももっとずっと素敵なラストですごく嬉しかった。

    良かったなぁと思いながら自作解説を読んで、それがまた面白くてとても嬉しい。
    自作解説いいなぁ‥。全ての文庫につけてほしい。

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    2012年10月07日
  • NO.6 [ナンバーシックス](5)

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    巻を増すごとに絵柄に慣れて…というか好きになっていく。紫苑もネズミもすごくいい。

    今回はついに矯正施設に潜入。原作で読んだ時の想像よりかはグロくなかったけども緊迫感は変わらず、読み終わってちょっとまだドキドキしてます。


    そろそろ(話重くなってきて)原作を読むのを止めたところに追いつくので楽しみです。

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    2012年10月07日
  • 白兎4 天国という名の組曲

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    ファンタジー色のあるお話だと思ってたら、最終巻はミステリっぽい雰囲気で面喰いました。でも白兎シリーズは1巻とこの4巻が特に好きです。

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    2012年10月07日