谷口ジローのレビュー一覧
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山を登るクライマーの物語で、このドラマ性の完成度の高さにはひたすら圧倒された。
常に生きるか死ぬかの境で山に挑むこの緊迫感は、たとえ映画でも簡単には表現出来るものではないだろう。
「岳」を読んだ時も山のコワさを実感したけれど、この「神々の山嶺」は国内の山だけでなく、ワールドワイドなので「岳」よりもさらに数段コワい。
とにかく驚くのが、山の絵がものすごく上手いことだ。写真かと思うぐらいの質感を持って、山の美しさと険しさが迫ってくる。この質感があるからこそ、リアルに山の存在を感じながらクライマーの視点で世界に入ってゆくことが出来る。この作品を描けるのは、間違いなくただ一人、この谷口ジロー氏だけだ -
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「それで、どうなんだあんたは。何故山に登る?」
「正直・・よくわからないな。あのマロリーは、そこに山があるからだとそう言ったらしいけどね。」
「少なくとも、俺は違うね。そこに山があったからじゃない。ここにおれがいるからだ。おれにはこれしかなかった・・これしかないから山をやっているんだ。」(p.83)
ここでテントを張ることができるのは唯一この岩の下だけだ。しかもここの狭いこの場所だけなんだ。他の場所にテントを張れば、ひと晩に何度か必ず落石が襲う。それが頭部にあたれば死ぬ。眠る時もその姿勢でいることだ。もしザックの上に上体を被せて寝込んでしまったら落石が直撃する。おれが山だったら、そういうミス -
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深町と女の描き方
私は小説原作を読んでないのですが、深町の元カノへの対し方はほぼストーカーですよね?小説の書かれた時代の限界なのかもしれませんが、おじさんが読んでいても気持ち悪いです。ハッキリいって元カノの存在は不要ですよね?と、私は思いますが?バクの弱点?
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有名な孤独のグルメの第1巻
テレビの実写版は何回かみたのだが漫画は初めて。
初老の男の一人飯の漫画である。何か時間が起こるわけでもなく、ストーリーもない。
輸入雑貨の貿易商を営む井之頭五郎は下戸ではあるが、食欲は人並み以上に旺盛である。ミシュランの星の店や行列のできる店を避けつつ、自分の胃袋と嗜好を満たす店を探していろんな街を徘徊し、食べ物に対峙する。
日本人が外食する時に直面する、店選びの苦悩と喜びを漫画という形で表現することに成功した作品である。食べ物を美味しそうに描くこと、美味しそうに食べていることを描くことは相応の画力がないと難しいのだが、谷口ジロー氏の劇画風の画風がそれを可能にしてい -
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僕が知る殆どの漫画家の作画の世界はテレビドラマのカメラワークなのに、谷口さんの作画の世界は常にスクリーンの1シーンなのだ。 これは如何に外食がうまく運ばず失敗だらけかという可笑しみの話だ それは孤独である尊さと迷う心とこの世界が生み出すやはり愛すべき時空なのだ 大波と繁茂する蘆のエネルギーが対比的に配置される 遡行 いんこう咽喉がつかえて声もでなかった 海苔を練り込んだ黒はんぺんを焙ったもの フレホーレス タルトタタン 小津安二郎監督の『お茶漬けの味』 外連味のないピザ イタリアにはタバスコはないというけど_メキシコのタバスコをビシバシかけて_アメリカのコカ・コーラで食べるのが日本流だい さお
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「私」でも「僕」でもなく「俺」という一人称に相応しい雄々しさが漲っていた しきいき識閾 むげんのう夢幻能のように時空を渡る 父はその間隙をつくように汽車に乗り込む 生命存在は無限とも言える偶然性と共に始まり、誕生と成長の過程の中、急速に現実という極小に向けて縮小固定される。その縮小と固定が始まる前の完全に開かれた宇宙的可能性をふと振り返った時、ピン留めされた存在が感じる立ち眩みのような感覚が「もやもや」ではないか。 あおいのうえ葵上 生霊とはあり得たもう一つの人生を生きてくれる存在であり、それは人間精神の不思議さと共に、生の可能性を表すとも言える。 俺は得体の知れない奇妙な満足感を味わっていた
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ドラマよりある孤独感
ドラマが好きで、原作も気になり購入。
ドラマよりも孤独感に溢れている。ドラマだとナレーションだから気づかないが、マンガだと心のなかで考えていることがよくわかる。
そして静かに目の前のご飯と向き合う食事がしたいと思った。