カシワイのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
19世紀初め、イギリスで魚竜の化石を発掘した少女の物語。
幼いながら冴えた知性とまっすぐな気性、そして化石への強い好奇心を持つメアリから目が離せなかった。
稲妻のような激しさから、勇気をもらえる一冊。
とにかく、メアリの強烈な個性が痛快だった。
実在した女性の少女時代だけを書いているけれど、恋愛についてはほぼない。化石発掘を通じて階級の異なる人々と友情を育む様子は楽しいけれど、ちょっと苦さも感じる。
父から化石との付き合い方・楽しさを学び、完璧に理解されているわけではないけど兄や母と協力して発掘作業を進めた点は家族の有り様としておもしろい。
関わる全ての人が良い人ではないけど、要所要所で尊敬し合える人との出会いがあったことが救いになっている。
甘さはないけど少女小説だと思うし、科学への興味をキラキラと描いていたのが良い。
どんなことにも、興味を持っていいんだ。
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Posted by ブクログ
先日間違えて、続編の『花屋さんが夢見ることには』を読んでしまったので、その前日譚となる本作を読んでみた。
個人的には逆の順番で読んで良かった。
続編では主人公になっていたミドリが脇役として途中から出てくるのだが、なかなか難しいキャラクター。
続編で触れられていた、ミドリの失恋話もガッツリ描かれていて驚いた。センシティブな内容なのだが、こんなに色んな人たちの前で明かされていたとは。
このミドリのその後を先に読んでいただけに、本作での彼女の気難しさも大らかに見守ることが出来た。
逆に続編では完全に脇役になっていて、川原崎花店も辞めている紀久子のそれまでを知ることが出来て良かった。
ブラック企業を辞めるところからスタートしたのが意外だったが、川原崎花店のショップカードをデザインしたことをきっかけに、トントン拍子にデザイナーとしての道を進んで行く。
ちょっと出来すぎかなとは思うが、娯楽小説なのだからこのくらいが心地良い。
そして周囲の人たちがみんな良い。
店長の季多は勿論だが、その親世代の馬淵先生や、季多の母も格好良いし、紀久子の友人・瑞穂の友情も良いし、俳句を店先に書いている光代さんの人生の一端にも触れられたし、馬淵先生の孫・千尋も素直で可愛らしい。
常連客の蘭くんは続編と同じである種の天才っぽさがこの頃からあるなぁと思わずニヤリとしてしまった。
意外だったのは、紀久子と伊福部とのなれそめがファンタジーだったこと。
本作と続編を通して、いろんな花と花言葉を知った。
そして続編もそうだが、本作も花屋さんの重労働を知った。どんなお仕事も華やかさや楽しさだけではない、大変さがあるのは当たり前だが。 -
Posted by ブクログ
久しぶりの山本さんの作品。
『花屋さんが言うことには』の続編らしいが、そのことを知らずに読んでしまった。だが全く問題なし。
主人公は美大卒のミドリ。画材メーカーに内定していたが、コロナでその会社がまさかの破産、在学中からアルバイトをしていた河原崎花店でそのままアルバイト生活を継続することに…というところから始まる。
実家はミモザ農園で、絵に縁がある家族はいないミドリだが、美大卒なだけにその絵は色んな人たちを惹きつけているし、アルバイト先である河原崎花店での仕事にも役立っている。
『画家なんて、そう簡単になれるものではありません』
と分かっているし、一時は絵を描くことも止めていたが、やはり描きたいという衝動が沸き上がるのを見ると応援もしたくなる。
山本さんの作品だけにそう無体なことにはならないだろうと見守りつつ、読み進める。
コロナ禍のピークは過ぎつつも、まだまだ警戒しなければならない時期を描いていて、こんなことがあったなと思い出しながら読んでいた。
飲食店にばかりスポットが当てられていたけれど、苦しいのは花屋さんもだったし、雷のデビューがなくなったように芸能界もそうだった。
それでも河原崎花店のみんなが出来ることをやっているし、高校生たちの大会も行われていたし、もがきながら試行錯誤しながら乗り越えたなと思い出す。
ミドリの葛藤や変化は勿論だが、雷が結構いいヤツで良かった。意外にもミドリの初恋はエグい散り方で、よくその後乗り越えられたなとそっちの方が感心してしまった。
三条と何とか上手く行ってほしい。
そのうち紀久子が主人公の前作も読んでみよう。