高瀬隼子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
私の心の中の、
言語化できない“それ”が
はっきりと書かれていてぎくっとした。
女性の中の一つの期限。
それにとことん向き合う小説。
しばらく性行為をしていない恋人が他で子供を作ってきた。
許せるか許せないかを超えて、
その産まれてくる子をもらうか別れるか。
そんなことある?って内容。でもあるかも。
犬のが可愛い。本当にそう思う。
でも娘が子どもを産めば親が喜ぶかも。
そんなことで産めない。産み落として幸せな世界になるかなんて責任を取れない。
葛藤葛藤。
そんな感じの私の心を代弁してくれるようで
一気に読んだ。
答えはでなかったけど、お守りみたいな一冊。
私、このままでいいって思 -
Posted by ブクログ
「私のほしいものは、子供の形をしている。けど、子供ではない。子供じゃないのに、その子の中に全部入ってる。」
なにかの形をしているけど、それを通して欲しいのは、それを持っていると苦しくても、苦しさですら周りから正当化されて世界がやさしくなるもの
私にとってのそれは子供ではなくて、向上心とか社会的成功とか成長とかそういうものだけど。
生きやすくなるために効率的なコスパのいい悩みが欲しいという自覚と重なるものがあって、「ーのかたちをしているもの」という語彙をこの本を通して手に入れられてよかった
「当たり前のように傷ついた、ことを自覚してまた傷ついて、なに傷ついてんだわたし、とまた‥トイレの個 -
Posted by ブクログ
自由と権利の尊重が謳われる現代。そんな個人裁量の幅の広がった今に生きる人たちの恋愛模様を描いた「恋愛」短編集。
◇
送別会がお開きになり、水本は部屋の中を見て回っていた。忘れ物がないか確認するのは、いちばんペーペーの水本の仕事だ。
今夜は倉岡の送別会だった。倉岡は退職までの3ヶ月間、新入社員の水本への引き継ぎを兼ねて指導してくれた中堅社員である。
倉岡は明るく元気な体育会系らしい男だ。誰にでも気さくに接するし、面倒見もよい。それだけに距離の詰め方もうまく、水本はいつの間にか倉岡と男女の関係になっていた。
店の前で部長による一本締めの音頭と倉岡への花束贈呈があり -
購入済み
おもしろい
話題になっていたから気になって手に取ってみた。始まり方といい、途中の描写もすごく引き込まれたけどラストはちょっとよくわからなかった。急に風呂に入らなくなった夫を目の前にして、入ってほしい気持ちと、もうそれでもいいじゃない、と奥さんもどうしたらいいか途方に暮れたに違いない。心の葛藤がよく分かる内容だった。
-
Posted by ブクログ
”普通”に生きる事の圧力に耐えながら生きる事の難しさ、現代社会では誰しもがその圧力の中に生きていて、何かをきっかけに人は簡単に狂ってしまう、そういった怖さを感じる小説だった。
東京に住むどこにでもいそうな中年の夫婦の夫がある日職場での些細な出来事をきっかけに風呂へ入らなくなる。
次第に体臭も尋常ではないほどのものとなり、仕事を辞めざるを得なくなり、地方へ移住することとなるが・・・という話。
社会では"普通"に生きる事を求められる。
例えば、ある程度の年齢になったら結婚をして、結婚をしたら子供を持つもの、それが当然だと言うように。
そこからずれてしまうと異端扱いで生き辛 -
Posted by ブクログ
私は紙の本も電子書籍も読む。
媒体にあんまりこだわりはない。
でもこの文芸誌を作る過程の様子をYouTubeで見て、いまだに紙の本好きが一定数いる理由がわかった。
私にとって読書は文字を情報として捉えるだけだった。でも本当に本が好きな人は、ページをめくるという行為そのものも読書体験の中に含んでいる。
作り手はそこをいちばんわかっていて、こだわり抜いてできたのがこの文芸誌。
本屋で見つけて手に取ったらすぐに理解できた。
内容も、普段本をあまり読まない層にも届かせようと完結型の短編にしている。
派手な展開はなくとも日常の中でじわじわ人の心理に訴えかける話が多くて楽しめた。
ミステリー好きとしては -
Posted by ブクログ
タイトル・表紙と内容のギャップがすごい、とのことで気になり読んでみた。
なるほど、おいしいごはんにまつわるほんわか物語かと思いきや、職場内における人間関係のリアルを抉り出した、心がざわつく本だった。
学校や職場で必ずいるような、「"普通"レベルが難しい人」、「みんなと同じようにできない人」、「なんかいつもズレてる人」。そんな人たちほど気遣われて、配慮されて、優遇されて、"普通"にやっているこっちが損をしている気分になる。
【正しいか正しくないかの勝負に見せかけた、強いか弱いかを比べる戦いだった。当然、弱い方が勝った。そんなのは当たり前だった。】
配 -
Posted by ブクログ
芥川賞受賞した高瀬隼子さんの作品とのことで、読んでみた。
本の柔らかな装丁と、穏やかに思えるタイトルから、ほんわかしたような内容かと思っていたら、全く違った。
タイトルから、おいしいごはんの話かな、美味しそうな表現がたくさん出てくるのかな、と想像していたが、正反対の話だった。よくもまあ、うまそうなケーキをそんなにおいしくなさそうに表現できるものだと、逆に感心した。身体にもよくて、おいしい食べものを受け付けなくなっていく主人公の様子(いや、最初から受け付けなかったのかも)が、痛々しくもあり、もやもやもする。
ただし、この物語の主人公はかなり嫌なやつなので、ほとんど共感できないし、「なんだこいつ -
Posted by ブクログ
ネタバレ年々積み重なっていく、うっすら抱いている違和感や不快感を全部言い表してくれていて驚いた。
色んな方の感想を見ていると、共感の程度はあれど、これもしかすると同世代のそこそこ多くの女性が感じていることなのかなと思う。
それにしても私は、そんなやつさっさと別れてその人たちと関わるのやめたほうがいいよ…と思ってしまう。
きっと女性の読者が多そうだけど、男性が読んだら何を感じるのかなと気になった。
女性が選択を迫られるたくさんのこと、身体にかかる負担のこと、それによって諦めたり、諦めることで他人と比べてしまうこと、それらについて少しでも考えを深めてもらえたらと思った。