【感想・ネタバレ】犬のかたちをしているもののレビュー

あらすじ

「子ども、もらってくれませんか?」――彼氏の郁也に呼び出された薫は、その隣に座る見知らぬ女性からそう言われた。薫とセックスレスだった郁也は、大学時代の同級生に金を払ってセックスしていたという。唐突な提案に戸惑う薫だったが、故郷の家族を喜ばせるために子どもをもらおうかと思案して……。昔飼っていた犬を愛していたように、薫は無条件に人を愛せるのか。第43回すばる文学賞受賞作。「おいしいごはんが食べられますように」で第167回芥川賞を受賞した高瀬隼子のデビュー作!

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Posted by ブクログ

現実的になさそうでありそうなお話!

Everybody has their own taste.
The story made me to think what is important
自分を大切にしてくれる人を大切にするべきで、they shouldn’t think those are normal
But The giver should not think of it as a favor they are doing for the recipient.

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2026年05月31日

Posted by ブクログ

久しぶりに大人の小説を読んだという感じです。現実に起きたらとんでもないと思うストーリーですが小説ではありです。ただ、男の私には生々しい表現が多く少し厳しかった。性別で受け止め方は分かれる小説かも知れません。登場人物それぞれが自分の生き方を全うしていて、自分勝手とも言うのでしょうが私はそうなりたいと思う方です。日頃、時間潰しに単純なお子さま向けの小説を読むことが多いのですが、やっぱり読書の醍醐味はこの様な本ですね。

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2026年05月22日

Posted by ブクログ

“自分の内側の整理”ができた本だった。

「子どもが欲しいかどうか」みたいな表面的な話じゃなくて、もっと奥にある“自分は何を求めていたのか”に気づかせてくれた話だった。

この本は答えをくれるタイプじゃないが、私にとっては、自分の気持ちに名前をつけるきっかけになった一冊になったように感じる。

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2026年05月14日

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どうすれば愛していると証明できるのか
高瀬隼子さんの作品の中で1番好きかもしれない
分からなくて分かりたくて、ずっと考えてしまう余韻が残る作品

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2026年03月14日

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こういう自分迷走系・周りを俯瞰系の話大好き。

薫の彼氏の郁也はある日、
浮気相手を連れて薫に話があるとドトールに呼び出す。
浮気相手のミナシロさんは、
「郁也との子供ができたから、私が産むので、あなたが育ててくれませんか?」と。

この時点で、は?となるところだが、
薫はそうはならなかった。
う、頭が回ってないというか、
日頃から考えに考えすぎて、考えられないのだ。
薫自身、病気のことや、世間体に
押しつぶされそうになりながらも、
ミナシロさんの提案が無しよりのあり。にもなっていく。

犬は心から愛せるのに、人は上手に愛せない。

薫の辛さ、生きにくさ、
可能であれば共有したい。
最後の郁也とのシーンはズキっとした。
好きとか、嫌いとか、
そういう話ではなくて、
情はそこにあるのだ。

薫の枝分かれだらけの選択を
そっと背中を押して応援したいと思えた。
がんばろう。

追記だが、38ページから39ページにかけて凄かった。
あ、高瀬準子先生だなぁ。。ってなって。
是非、他の作品も読んでみたい!

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2026年01月23日

Posted by ブクログ

自身の価値観や経験と似ている部分がたくさんあり、
もの凄く共感もしたが、読み進めるのが辛かった、、、
高瀬準子さん作品の中で一番好きだった。
ほんとーに高瀬さんは、心情を語る描写がうますぎる!!
大袈裟でもなく、まわりくどくもなく、きれい過ぎず、
ただ心に浮かんだ言葉や想いがそのまま流れ出たような表現。
ページ的には短めだから、もちろん多く語らない部分も全てを書き切るわけでもないんだけど、そのバランスもまた見事、、!

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2025年11月24日

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4.3/5.0

素晴らしかった。
現代の女性が抱えている感覚や違和感(自分は男なので、完璧に理解出来るわけではないが)が、非常に濃く描かれていると感じた。

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2025年10月12日

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私の心の中の、
言語化できない“それ”が
はっきりと書かれていてぎくっとした。

女性の中の一つの期限。
それにとことん向き合う小説。

しばらく性行為をしていない恋人が他で子供を作ってきた。
許せるか許せないかを超えて、
その産まれてくる子をもらうか別れるか。

そんなことある?って内容。でもあるかも。

犬のが可愛い。本当にそう思う。
でも娘が子どもを産めば親が喜ぶかも。

そんなことで産めない。産み落として幸せな世界になるかなんて責任を取れない。

葛藤葛藤。
そんな感じの私の心を代弁してくれるようで
一気に読んだ。

答えはでなかったけど、お守りみたいな一冊。
私、このままでいいって思った。

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2025年09月13日

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「私のほしいものは、子供の形をしている。けど、子供ではない。子供じゃないのに、その子の中に全部入ってる。」

なにかの形をしているけど、それを通して欲しいのは、それを持っていると苦しくても、苦しさですら周りから正当化されて世界がやさしくなるもの 
私にとってのそれは子供ではなくて、向上心とか社会的成功とか成長とかそういうものだけど。 
生きやすくなるために効率的なコスパのいい悩みが欲しいという自覚と重なるものがあって、「ーのかたちをしているもの」という語彙をこの本を通して手に入れられてよかった

「当たり前のように傷ついた、ことを自覚してまた傷ついて、なに傷ついてんだわたし、とまた‥トイレの個室くらいの狭さのところで両手にナイフを持って振りまわしているみたいな傷つき方だった。」
感じたであろうものを自然発生的に受けとめるのがどこまでも苦手で、感情を自覚して、その自覚すらも怪しんで、のループから無限に抜け出せず、もういいや、と感じることを放り出してしまう。

「目の前に本物がいるのに、待ち受けまで子供にしておく意味あるのかな?そういう親っぽさって、どこまてが本気のものなんだろう。わかんないな全然。わかるわけない」
その感情や行動は純真なものなのか、という辿り着けるはずのない問いに気づかないこともできず、どうしても気になってしまう様子の描写に救われる。
みんな本当に心からの気持ちでそういう言動に至ってるのかな?そういう時にはそう感じるべきっていうヘブ則的学習に騙されてるだけなんじゃないの?本当はこうなんじゃないの?っていうのも過剰な逆張りで私の中の予測符号化にすぎないんじゃないか?っていう、疑念すらも疑念にかわる、輪郭のないものを追っている自分の輪郭のなさに絶望する、それがトイレでナイフを振り回す様子と重なる。

「彼らの期待値とわたしの理想値はいつだって似通っている。そうありたいと、やはり思う。愛され承認され、ぐるぐる巻かれてあったかくなるために。」
世界の感触がやさしくなりますように。

欲しいのは子どもの形をしているものと犬そのものでは?とは思った

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2026年05月12日

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ネタバレ

年々積み重なっていく、うっすら抱いている違和感や不快感を全部言い表してくれていて驚いた。
色んな方の感想を見ていると、共感の程度はあれど、これもしかすると同世代のそこそこ多くの女性が感じていることなのかなと思う。
それにしても私は、そんなやつさっさと別れてその人たちと関わるのやめたほうがいいよ…と思ってしまう。

きっと女性の読者が多そうだけど、男性が読んだら何を感じるのかなと気になった。
女性が選択を迫られるたくさんのこと、身体にかかる負担のこと、それによって諦めたり、諦めることで他人と比べてしまうこと、それらについて少しでも考えを深めてもらえたらと思った。

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2026年05月22日

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高瀬さんの作品を読むのは2回目だが、本当に文章が生々しくて大好き。同じ女性として経験しているものがそのまま載っているのでスイスイ読める。
性行為と愛の繋がりは切っても切れない関係であるが、愛の伝え方が必ずしも性行為にはならない。でもそれ以外でどう愛を伝えればいいのか。自分も同じような考えを持っていたので共感しながら読めた。

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2026年05月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

【あらすじ】

昔飼っていた犬を愛していた。
どうしたら愛を証明できるんだろう。犬を愛していると確信する、あの強さで――。


間橋薫、30歳。恋人の田中郁也と半同棲のような生活を送っていた。21歳の時に卵巣の手術をして以来、男性とは付き合ってしばらくたつと性交渉を拒むようになった。郁也と付き合い始めた時も、そのうちセックスしなくなると宣言した薫だが「好きだから大丈夫」だと彼は言った。普段と変らない日々を過ごしていたある日、郁也に呼び出されコーヒーショップに赴くと、彼の隣にはミナシロと名乗る見知らぬ女性が座っていた。大学時代の同級生で、郁也がお金を払ってセックスした相手だという。そんなミナシロが妊娠してしまい、彼女曰く、子供を堕すのは怖いけど子供は欲しくないと薫に説明した。そして「間橋さんが育ててくれませんか、田中くんと一緒に。つまり子ども、もらってくれませんか?」と唐突な提案をされる。自ら子供を産みたいと思ったこともなく、可愛いと思ったこともない薫だったが、郁也のことはたぶん愛している。セックスもしないし出来にくい身体である薫は、考えぬいたうえ、産まれてくる子供の幸せではなく、故郷の家族を喜ばせるためにもらおうかと思案するのだったが……。
快楽のためのセックス、生殖のためのセックス。子供を産むということ、子供を持つということ。
1人の女性の醸成してきた「問い」の行方を描く。

『こんな街で、こんな世界で、よく子どもなんて産もうって、思えるな、みんな。かわいそうだと、思わないのかな。傷ついたり嫌な思いをしたりするのが、目に見えているのに。子どもを産みたいとか持ちたいとかいう、自分の希望を優先するんだろうな。』

【個人的な感想】
妊婦さんのお腹を見て怖いと感じる気持ちはおかしいのかと思っていたが、主人公も同じことを言っていてびっくりした。
生まれたての赤ちゃんの写真を見て『昔、実家の納屋でひからびて死んでいたこうもりに似てる。』という表現をしていて笑ってしまった。
自分が子供を持つことに対して慎重になってしまう理由がこの小説の中には詰まっていた。
産みにくい身体、産めない身体になるとわたしも子供を産みたいと思うようになるんだろうか。
犬に対して感じる愛情に対して『愛することってこういうことだ』と文章で書き起こしてあるp38〜39も印象的だった。
色々なことを考えさせられた。

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2026年02月20日

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ネタバレ

面白かった。短めなのでほぼ通勤時間2日分で読み終えてしまった。
読み終わった今ならそりゃそう落ち着くよなと思うが、読んでる最中は驚きの展開だった。もらう、もらわない、どっちでもないんだ。産んでない人間には決定権がないんだ。
巻末の解説もよかった。

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2026年02月13日

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結局女はいつかは産むか産まないか、覚悟を持って選択しなければいけない。時期やその時のパートナーにもよるし仕事にもよる。私も欲しいのか欲しく無いのかがずっとわからない、産む自信もない。でも小さい頃から子供は産むだろうという想像はやんわりあったが、それが現実を帯びる年齢になり、一気にわからなくなったし、覚悟は決まらない。かなり突拍子の無い話だが、主人公の気持ちはわかるし、かなりリアルだなと思った。

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2026年01月28日

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主人公の気持ちちょっとわかるなーー。
「子どもがほしいのかな、いらないのかな。そういうことを考えすぎたんだと思う。選択する前に、よく考えてから選べと言うけど、考え抜いた後で、選びたい方が残っているとは限らない。」は刺さった。
私はバツイチ。今周囲は結婚ラッシュ出産ラッシュ家を建てる人まで。人生は人それぞれの歩み方がある。これが幸せという正解などもちろんない。今の私にとって、結婚も出産も「したい」ではない。この人と思える人がいたら、結婚したい。その人と結婚して家族を増やし、子どもを迎えたいと思えたなら、出産したい。
今のわたしは、この人と思える人もいないので結婚も出産も「したい」ではない。

でも、ラッシュ最中だとやっぱり考える。今こうやって考えてるうちに結婚せず出産せず年をとって、選択肢がない、例えば出産できる体じゃもうない、とかってなったとき、後悔するのかなって。
そうならないためには、たまに自分の胸に聞いてみるってことを、ちびちび続けていくことなのかな。いろんな幸せの形があるから、自分にとって本当に幸せなものを、見逃さず、まちがえず、大切にしてあげたいな。私にとって大切な人たちが今日もあったかいお布団で、やさしい夢を見て眠れてたらいいな。

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2026年01月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

特別にグロテスクな場面があるわけではないのだが、愛や性の生々しさにじかに触れさせられるような感覚があり、どこか直視することに抵抗がある作品だった。
読みやすく、物語に引き込まれるし、質の高い作品だとは思う。
うまく感想を書けないので単行本の帯のコピーを転載しておく。
「どうしたら、証明できるんだろう。犬を愛していると確信する、あの強さで愛しているのだと——。」
「わたしたちがセックスを手放したあとに、やってきた『彼の子ども」。それでも二人でいつづけられるのだろうか、互いの身体を重ねることなしに……。」
「小説でしか表現できない、思考と文体を駆使しなければならない『複雑』さが、この作品の一番いいところだ。高橋源一郎(作家)」

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2025年11月16日

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高瀬隼子さんの作品は前にも読んでいて
こちらもずっと読みたいなと思っていてやっと読みました。
現実にはありえない話だけど、その過程での主人公の気持ちは共感するばかり。
主人公と歳が近い人は、悩みや一度は考えたことがあることが分かる、ってなるのではないかと思った。
特に私は地元や田舎はどこも同じなのかなと思ったし女同士の会話もそんなものだよねと思った。ラストは含みをもたせる感じでどうなるかは曖昧な感じなのかな。
面白かったです。

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2025年11月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

女の人には確かに子供を作る、作らない、産むか産まないかなど選択肢が多い。
まあそもそも相手がいなければこんな選択肢はないけども。
私も子供欲しいと思ったことがないし、だから作る行為も必要ないと思うから共感できた。
最後は大体想像はできた。そりゃ、食べたいもの飲みたいものいろいろ我慢して痛めて産んだんだからそうなるよね。
逆に子供をかわいいと思えないのに主人公が他人の子供を育てられるのかってところもある。自分の子供だったら変わると思うけど。
だからこの結末でよかったと思う。

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2025年10月19日

Posted by ブクログ

全然うまくかけないのだけど、
自分の至らなさとかをわかりつつ、自分を必要と思いたいし、恋人に私のことが必要というのを体現してほしいし、そのために試すようなこともしてしまう。
それでいて自分にとって何もかも投げ売って大切に想える何かがほしい。それは恋人なのかわからない。
そして何よりも自分のことを必要としている、大切に想ってくれてる何かがほしい。それが恋人であってほしい。でも自信がない。
ごちゃごちゃ、そんなことを感じている私好きな文章でした。
救われなくて苦しくなる。終始苦しいお話。それでも好き。

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2025年10月11日

QM

ネタバレ 購入済み

タイトルの「犬のかたちをしているもの」、これは主人公の愛の形なのかなぁ。話の主旨とは違うかもしれないけどミナシロさん最後ちゃんと離婚してくれたのかしら、そこだけめっちゃ気になる。

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2024年09月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

女性の怖さは観察が鋭いところである。高瀬さんの書いた小説を読むと慄然とする。「たしかに男って、こういうときこうするよな」というのが、じつに見事に描写されているのだ。「こんなところまで見られているのか…」と冷や汗が出る。男性作家はなかなかこういう真似はできない。男の場合、登場人物(とくに女性)にしばしば自分の理想を投射してしまう。わかりやすく言えば、エヴァンゲリオンの綾波とアスカだ。魅力的ではあるが、嘘くさいと言えば嘘くさい。

セックスをしていると、大切にされていない気がする。この薫の気持ちはなんとなく理解できる。どうせ私のことは体目当てなんでしょ。しかしセックスがなければないで、愛されているか不安になってしまう。郁也が求めてこないのは、彼が「大丈夫」だからなのか。そんな男がいるのだろうか。薫はどうやって郁也の愛を確かめればいいかわからない。
同時に薫は、郁也に対する自分の愛にも自信が持てない。あなたの子供を産みたい。これは愛である。しかし、薫は持病のせいもあり、子供を作ることに消極的だ。郁也が子供を欲しがっているのはわかっているのに。こんな自分は、本当に郁也を愛しているのか。自分の愛が本物の愛だと、どうやったら証明できるだろう。

本作は一見すると無茶苦茶でありえない設定だが、このありえなさを成立させることで、私たちが当たり前だと思っているものを「本当に当たり前ですか?」と問いかけてくる。犬のロクジロウを愛してると確信することはとても簡単なのに、どうして人間どうしが愛し合うことはこんなにも面倒なのか。
愛や性は〝理性〟とは対極の〝本能〟であり、本能に従っていれば迷うことなどないのに、考えてしまうから答えが出ず前に進めなくなる。
「これまで考えすぎるほど考えてきたつもりなんだけど、振り返ってみると全然、目の前に置かれた課題の方がまだ全然、多い」と薫は語る。逆だ。考えてばかりだから目の前に課題が積もってしまう。それに対して、本能のままに赴くミナシロはずっと軽やかだ。あれほど子供が嫌いと言っていた癖に、いざ産まれたら自分で育てると言い出す。つまり本能が優先しているわけで、これは欲望解消のためならお金だけの肉体関係もありだと考える彼女らしい決断である。それに比べたら、薫が最後に下した決断は、じつにささやかと言うしかない。それでも、彼女はここでようやく一歩を踏み出したのである。

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2026年03月23日

Posted by ブクログ

 作者の高瀬隼子さんは、芥川賞受賞作の「おいしいご飯が食べられますように」と同様、微妙に社会での生きにくさを感じる、微妙に変な人たちの物語が、絶妙に上手い。おかしな話なんだけど、いつのまにか主人公に感情移入してしまう。

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2025年12月07日

Posted by ブクログ

私も子どもが好きではないし、このまま持たない人生なんだろうと思っている。
育休中の人が職場に子どもの写真見せてくる時の居心地の悪さにすごく共感した。
ほんとに犬のほうがかわいい。
ということでとても共感を覚える主人公だったけど、そんな馬鹿な!って要求になし崩し的に適応しようとするのは何で!?の連続だった…
すいすい読める文章なのにすいすい飲み込めない不思議さがあった。

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2026年04月19日

Posted by ブクログ

読んでいてずっともどかしいというかしんどかった。
これを言うと一部の人には怒られるのだろうけど、犬を愛していた愛情と家族や恋人へ向ける愛情を天秤にかけるというか犬を愛していた愛情が最大の愛でそれと同等の愛を家族や恋人へ持てているのだろうかと悩んでいるのがおもしろいなと思った。
犬って愛情が返ってくるというよりは無性の愛を与える形の愛情で家族や恋人は愛情が返ってくると思うけど、その中でこの話の中で犬と対比して書かれているのが赤ちゃん。
ただ、無性の愛を与え続けるか愛情が返ってくるかで考えると犬と赤ちゃんは対比関係ではなく同じ分類なのに犬はかわいいが赤ちゃんは可愛いと思えないと描かれているのが純粋に面白いなと思った。

赤ちゃんが怖いと思う現象の名前あったよね

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2026年03月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

推定枚数218枚
途中からミナシロさんは子どもを渡さないんじゃないか、と思ってたらやっぱり。
おばあちゃんが危篤になって、「お腹が大きくないから帰れない」と考えるシーンは生々しく印象的だった。子供が他の女とできてしまったからもらってほしい、ということ以上にそれを許される前提で進むことに腹が立つ。主人公の受け身の感じが随所によく出ている。

◯印象的な文
わたしのほしいものは、子どもの形をしている。けど、子どもではない。子どもじゃないのに、その子の中に全部入ってる。
→セックスが苦手なのに子どもを産まなければいけないのか、産んだら両親は喜ぶし社会は優しくなるし悩まなくて済むだろう。そもそも選ぶのがしんどい。そういうことが全部詰め込まれている。

◯展開
検診のため隠毛を切る

子どももらって

過去犬の話、郁也との出会い、病気の話、東京での就職

ミナシロと再会

課長と不倫して子供ができた笹本さんp63

大学への転職話

ミナシロ なぜセックスできないか

郁也と喧嘩

大学見学 子供が成長してほしい

実家帰る 子供できたら喜ぶかな

田舎での手術。もう結婚できないね。

ミナシロ 郁也と結婚

祖母危篤、子どもをもらう決心。

ミナシロ こども渡さない

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2026年03月01日

Posted by ブクログ

「子ども、もらってくれませんか?」という一言から始まるストーリー。主人公、薫の心情の変化が見どころでした。子どもを産む、産まない、育てる、育てないなど、様々な決断が盛り込まれていました。

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2026年01月02日

Posted by ブクログ

間橋さんの心情描写はとてもいいんだけど、そもそものスタートが現実離れしすぎてて、なんとも言えない感じが最後まで続いた

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2025年11月12日

Posted by ブクログ

高瀬さんは本作が初めてでした。
文章の表現力、心理描写がとても上手で、そこに1番引き込まれたかな。
特に田舎への複雑な思いの描写。
高瀬さんと同じ四国の田舎(高瀬さんの新居浜と似たようなところ)で生まれた自分には、刺さった。
育ててくれた親や良くしてくれた人たちには感謝しているけど、選択肢が多いところで生まれてたら...人が多いところで生まれてたら...といった都会への羨望と田舎へのうっすらとした失望、かといって地元が嫌いなわけじゃない。
なかなか割り切れない、消化できない地元への思いとか感覚をうまく文章にされていて、高瀬さんに親近感が湧きました。

他の方も書かれているけど、
肉体関係がなくても愛せるのは子供や動物だけになる人が多いのは、そうなんだろうな...
人の思いや感情を否定したくないけど、少し悲しい...
行為をするほうがより、満足度は高いし、愛を分かち合える良さは感じられるけど...愛は決心するから生まれるものだとも思うから、というか、そういう愛にチャレンジしたいなと...難しいんだろうけど、思いました。

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2025年11月06日

Posted by ブクログ

愛ってなんだろう。
育って来た環境、ルーツが違うもの同士、互いの本音なんて見えない中で探り合いながら協調して慈しんで・・
主人公が抱いていた飼い犬への愛情のようなもの。それを自分にも相手に求めたい気持ちが分かり過ぎるけれど、そこに「性」の問題や「生活」や「他人の目」や「自己肯定感」が入ることで、より複雑に愛の形は変わるし思うようにいかないことの方が多い。
主人公の立場に立てば、郁也の言動はズレ過ぎているし、私だったらナシの一択だけど。
主人公は自分のことを愛せているのかな。少なからず、郁也といる時の自分のことは愛せてないんじゃないかなーと思う。
ただ、ラストで主人公が起こした行動は、私には2人の関係を肯定したい気持ちがあるように思えた。

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2025年09月20日

匿名

購入済み

感情の表現が切なくて繊細でリアルでした。
内容は実際にこんな事ってありえるの?どんな神経してんの!とミナシロさんとイクヤに腹が立ち、けれどイクヤの彼女に対する愛情も感じ複雑です。彼女はしんどくても、ずっと彼を受け止めるべきだったのかも。子供は出来なくても幸せになれたのかも知れない。

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2025年09月19日

Posted by ブクログ

最終的な3人の結末が大事なのではない。
女性への妊娠という時間制限のある永遠のテーマへの葛藤が書かれていた。

『子どもがほしいのかな、いらないのかな。選択する前に。よく考えてから選べと言うけど、考え抜いた後で、選びたい方が残っているとは限らない。』
妊娠する事、子供が無事に産まれる事は、本当に当たり前な事じゃない。
子供が欲しいと思う今だからこそ読んでよかった。

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2025年09月11日

Posted by ブクログ

読みたいリストから。
ふゆイチ対象作品になっていた時に、あちこち探して買ったのに、手に取るのがすっかり遅くなってしまった( ..)՞

間橋薫は半同棲している恋人・郁也に連れられ、ミナシロと名乗る女性に会う。彼女は郁也との子どもを妊娠したけれど、育てる気はないと言う。そして薫に尋ねるのだ。「子ども、もらってくれませんか?」

「水たまりで息をする」もだけど、本書もあらすじがなかなかに強烈…でもなぜか惹かれてしまう…!
短い物語なのでサクッと読めるけど、感想を書くのはなかなか難しい…… 。

子どもを産むこと、産まないこと。
子どもを持つこと、持たないこと。
性は愛がなくても成立するが、愛は性がなくても成立するのか?
考え出すと「これ」という答えが出ない問いを出されているかのよう。

設定にはリアリティがないのに、その出来事が間橋の心を動かしていく様がすごくリアルで引き込まれた。
「子ども」ってパワーワードだよなぁ。

ミナシロには終始嫌悪しかなかったけれど、子どもを産むか産まないか、についての言葉には共感した。
私も実際に子どもを産むまでは、頭の片隅にずっと産むか産まないか問題があった気がする。
実際は「産んだらクリア」ではなくて、産んだら産んだで第2子問題がある気がするし、第2子産んだら第3子…?(。•́•̀。)
物理的に産めなくなるまで終わらない気がする。
これはもう女の性なのかもしれない。

私は母親という立場で読んでるからか、子どもの行く末がとにかく気になった。
収まるべきところに収まったなぁという気はするけれど、その後の2人は…?
心がザワザワしたまま読み終えた。

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2026年04月26日

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