高瀬隼子のレビュー一覧

  • おいしいごはんが食べられますように

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    高瀬隼子さん、ほんとに良い作品ばかり書いてらっしゃる…
    私が高瀬さんの名前を記憶したのが今作の受賞のときなのだが、こんなにいい意味でおいしくない作品だとは。芦川さんみたいな人に出会いたくない。自分が汚いものに思えてしまう。一穂ミチさんのあとがきまで面白かった。
    私の感覚に1番近いのは押尾さんだ。だからずっとモヤモヤしながら読んだのだけど、読み終わってもなお心が晴れず、それでいて5分と置かず一から読み始めてしまったほどの魅力がある。二谷が食事を疎みながらも食べずに生きられないのと似ている。

    高瀬さんにハズレなし、これからもよろしくお願いします。

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    2025年12月05日
  • おいしいごはんが食べられますように

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    ごまめって自分のことかもしれない

    芦川さんも自分だし、押尾さんも自分だし、芦川さんも自分

    ご飯も食べるのも嫌い、体調が悪ければ仕事は休む、多少無理が必要な時は自分も押し殺してみんなのカバーをする

    3人それぞれの属性を持ち合わせているからこそ面白い読むのに2時間もかからなかった、面白い、非常に面白い

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    2025年12月02日
  • うるさいこの音の全部

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    芥川賞を受賞して華やかに作家デビューするはずが、自分以外の人があれよあれよと変化していき巻き込まれていく。変化があったのは自分のはずなのに、周囲が変わってしまったように感じられる。手の平を返したかのように態度を変える人もいれば勝手に期待して勝手に失望して勝手に離れていく人もいて、その渦の中で苦しい表情を見せないようにして何とか息継ぎしている感じ。頭の中の自分と作家の自分とが同時に存在して本当の自分が分からなくなる感覚の描写がリアルで、劇中劇みたいに「これも高瀬さんの体験談かも…」というメタ視点になってみたりした。
    高瀬隼子さんの作品の中でも特に好きかもしれない。

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    2025年11月24日
  • 犬のかたちをしているもの

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    自身の価値観や経験と似ている部分がたくさんあり、
    もの凄く共感もしたが、読み進めるのが辛かった、、、
    高瀬準子さん作品の中で一番好きだった。
    ほんとーに高瀬さんは、心情を語る描写がうますぎる!!
    大袈裟でもなく、まわりくどくもなく、きれい過ぎず、
    ただ心に浮かんだ言葉や想いがそのまま流れ出たような表現。
    ページ的には短めだから、もちろん多く語らない部分も全てを書き切るわけでもないんだけど、そのバランスもまた見事、、!

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    2025年11月24日
  • おいしいごはんが食べられますように

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    表現が繊細で読み込むのが楽しかった。
    読者が望むようなハッピーエンドにするのではなく、「結局そうなっちゃうのか」っ言うような現実味のあるエンディングが悔しかったけど、最後の解説で「やっぱりこれは私だけが思ってるわけじゃないんだな」って、自分のもやもやの存在も肯定して貰えた気がして後味が良くなった。薄くて短い小説だけど、十分に読み応えがあり、私はまだ1度しか読んでいないけれど、読む度に違う印象を受けそうだと思った。

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    2025年11月20日
  • おいしいごはんが食べられますように

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    ネタバレ

    読後に思ったのは、【この話好きだなぁ】だった。タイトルからは、ほっこり系を思わせられたが、全然違うし、「現実ってこうだよね!」「こういう人いるよね!」と思いつつ、「あれ?自分はこの中だったらどの人物に当たるんだ?」なんて考えたりもして面白かった。
    一穂さんの解説を読むと、さらに頷けた。
    しかし、二谷の【食】に対しての考えは、【食】に恨みがあるのか?と思わせるものがある。【食】の在り方は個人でバラバラでいいのに、強制されるのが嫌なのだろうか?【食】ぐらい弱い立場でいさせて欲しいという心の現れか?
    芦川さんをよりモンスターに仕立てたのは藤さんと原田さんだと思う。ああいった人たちが1番やっかい。持ち

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    2025年11月18日
  • おいしいごはんが食べられますように

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    人間社会の嫌なあるあるの中でも、誰が悪いとも言えないような部分を集中して書いた作品
    誰でも主観があって各々他人の為に生きているようで自分勝手な気がした
    優しい人がバカを見ているんじゃ無いかと感じた

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    2025年11月18日
  • おいしいごはんが食べられますように

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    ごはんほっこりストーリーでないことを知った上で読むことができた。そうであると知らなかったら、読むことはなかったかもしれない為、知れて良かったと思う。
    芦川さんのことがすごく苦手。自分が弱い存在であることを自覚しながら、その権利を堂々と振りかざす姿。更には、罪滅ぼしのようにお菓子を皆に振る舞う。仕事を早めに切り上げた時間を使って作ったものを。同様に、彼女に対してそうするのが正しいと言わんばかりに作られる会社の雰囲気も苦手。ただ、自分も同じ場に居合わせると雰囲気に合わせ、適当な行動をとってしまいそうで嫌になる。社会に適応するというのはこういった行動に違和感を持たないようにすることなのかと少し嫌な気

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    2025年11月11日
  • おいしいごはんが食べられますように

    QM

    購入済み

    うわあこんな職場やりづらいな。
    誰が悪いとかって言うよりはそれぞれの価値観って言うか、ちょっと立場弱かったり能力低い人を前にしたときどんな風な扱いをするのか、たしかに「嫌い」というのはなんか違う、でも苦手。できれば関わりたくない。
    芦川さんはまさしくそんな感じの人。
    私がもし同じ職場にいたらサッとお菓子を受け取ってそれ以上も以下もないような関係性を維持できるように努めちゃうかもしれない。
    平均より少しデキが悪い人、それを理解して先回りして守ろうとする周りの空気、そのしわ寄せが他の人にいくところとか、なんて描写がリアルなんだろう。読んでてもどかしい、こんなにむず痒くなるような書き方、すごい。

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    2025年11月10日
  • 新しい恋愛

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    みんな一癖あってまともな恋愛できないのも肯定できる気がした。
    【花束の夜】
    自信が無いと自信がある人に好意を持つし、振り回されるんだなって思った。花束いいな。
    【お返し】
    思春期の小さな思い出はずっと心に残るのかと思った。
    【新しい恋愛】
    マッチングアプリをやってても心が動かされないのに現実では割とすぐ動かされるから新しい恋愛に共感した。この人と現実で会ってたら好きだったろうなって人もアプリにはいる、僕はロマンチックに自然な出会いから恋愛したいと思った。
    【あしたの待ち合わせ】
    好きじゃない人からの好意は高揚感より安心感なのかな。実らない片想いはずっと心に残る感じもある。
    【いくつも数える】

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    2025年11月05日
  • いい子のあくび

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    ネタバレ

    ◾️record memo

    駅や街中で人にぶつかられることがあると話した時、大地は信じられないという顔をして、実際に疑っているような声色で「おれ、ぶつかられたことないよ」と言った。何言っているんだろうこの人、と思った。大地は中学から大学卒業までバレーボールをしていたという。百八十センチ以上ある身長、腕にも足にも筋肉がそれと見てわかるようについている体。そんなものに誰もぶつかりに行くわけがない。と、そこまで考えて、なんだわたしやっぱりこいつならいいやって選別されてぶつかられてたんだな、と今更のように気付いたのだった。分かっていたけど、分かっていないことにしていたような。それで、わたしもよけるの

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    2025年11月01日
  • いい子のあくび

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    「いいこのあくび」
    ながらスマホで自転車に乗る中学生にわざとぶつかる主婦、転倒した自転車に車でぶつかってしまったレジのおばさん、その中学生の先生である夫。思わずあるあると思ってしまう深層心理の意地悪さがユーモラスに描かれています。
    「お供え」
    主人公の職場の後輩社員が机に会社の創業者フィギアを飾り、いつしか皆が願い事をするお祈りの対象に。
    「末永い幸せ」
    親友の結婚式参列を拒みながら、式場のホテルの窓から式の様子をそっと伺う主人公。

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    2025年10月18日
  • 犬のかたちをしているもの

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    4.3/5.0

    素晴らしかった。
    現代の女性が抱えている感覚や違和感(自分は男なので、完璧に理解出来るわけではないが)が、非常に濃く描かれていると感じた。

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    2025年10月12日
  • いい子のあくび

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    本当はそんなこと思っちゃダメなんだろうと、心の奥底にしまってきた感情を表現してくれた。すごく心が楽になった。

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    2025年10月05日
  • うるさいこの音の全部

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    読んでいるうちにこちらもどんどんその思考に飲み込まれていくような、独特の心理描写が心地よかった。やっぱり高瀬隼子の書く人間が好きだと思う。
    この小説は高瀬隼子の自伝なのか、という疑問が自ずと湧いてくるが、だとしたらこの小説の内容は全部それらしく書いた嘘なのだろうし、読者にそう勘ぐらせることを目的に書いた小説であるような気もする。いずれにしろ、高瀬隼子の手のひらの上で転がされてしまったと思った。それが心地よかった。

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    2025年10月04日
  • いい子のあくび

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    いい子のあくびを含む3作が収録されている本作、やっぱり私は高瀬隼子さんの作品が全部好きだろう。

    人の悪意を書くのが本当に上手で、しかもその悪意はとびっきりの悪意ということではなく、本当に嫌な、犯罪者とかの悪意とかではなく、これ私のことって思う人が多数いるような。そして私もその1人である。

    描いてる悪意を、持っている側の苦悩というか、そこまで書いてくれるので、これ私だ。と思った私も救われる。
    次の高瀬隼子さん作品も早く読みたい…
    自分の心を言語化してほしい。

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    2025年10月04日
  • 新しい恋愛

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    恋愛小説として素晴らしいと思います。

    私が思うに一般的に読み物は、しばしば起承転結に進みます。しかし恋愛小説にはその形にハマらないこともあり、この作品もまた、感情移入できる感情の情景や登場人物達の関係性を次第に読み解いていくことを基礎として、先の読めない不安定さと、それとは逆にその不安定さをバランスよく紡がれていく様が読み取れます。そして登場人物達がそれぞれ衝動を駆り立てられる様がこの作品には描かれています。
    もちろん、人それぞれなのでどうしてそんな選択をしてしまったのだろう。と、思わせる登場人物もいますが、それも“恋愛”らしさとして私の中では落とし所についています。

    新しい恋愛。とは、誰

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    2025年09月30日
  • いい子のあくび

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    私は共感の嵐だった。
    普段心の中にどろどろと溜まっていく“言えないこと”を言語化してもらったような気分。
    表題作の彼女は私だ。
    「ぶつかったる」って思うしこっちばかりがいつも避けて「割に合わない」と思う。
    歩きスマホをすれば、前を見てなければ、みんなお前を避けてくれると思うな、甘えんな、期待すんなよって思う。
    来世は絶対高身長で体格のいい強面の男に生まれ変わりたい。
    女ってだけで舐められて、ぶつかられて、舌打ちされて、そんな思いばかり。
    このどうしようもない感情を分かってもらえたような嬉しさと同時に、醜い自分を見せられたような感覚。
    時々、芯の突いた言葉で刺してくる鋭さ。
    彼女は私だ、また読み

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    2025年09月29日
  • 新しい恋愛

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    確かにこれは恋愛小説なんだけど、ときめきに限らないさまざまな感情の機微がたくさん書き記されていて、逆にときめき以外のすべてがここにあるんじゃないかと思った。

    【読んだ目的・理由】高瀬隼子さんの他の作品を読んで好きだったから
    【入手経路】買った
    【詳細評価】☆4.5
    【一番好きな表現】それはまばたきから次のまばたきへの間だったり、息の吐き方だったり、吐かれなかった息のことだったり、津野がメニューへ注意を向けている時に注がれる眼差しが、視野の端ぎりぎりで捉えられること、その感覚に日菜子さんが気付いてないわけがないと思うことだったりした。(本文から引用)

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    2025年09月23日
  • うるさいこの音の全部

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    本名「長井朝陽」としてゲームセンターで働きながら、ペンネーム「早見夕日」として小説を書く主人公。文学賞を獲り、職場や地元に兼業作家であることが知れ渡ってしまい、朝陽として勤めていれば職場の人から小説家の顔ばかり注目され、夕日としては取材陣やネットから作家の素顔つまり朝陽のことばかりに注目され、相手の求める解答ばかり話しているうちに段々、現実と小説の境界が曖昧になっていく。

    強烈なタイトルに惹かれて手に取った作品。息苦しくてめんどくさくて、共感のしようがないのになんか共感してしまうような自分の傲慢さに笑ってしまいました。

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    2025年09月21日