高瀬隼子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
恋愛小説として素晴らしいと思います。
私が思うに一般的に読み物は、しばしば起承転結に進みます。しかし恋愛小説にはその形にハマらないこともあり、この作品もまた、感情移入できる感情の情景や登場人物達の関係性を次第に読み解いていくことを基礎として、先の読めない不安定さと、それとは逆にその不安定さをバランスよく紡がれていく様が読み取れます。そして登場人物達がそれぞれ衝動を駆り立てられる様がこの作品には描かれています。
もちろん、人それぞれなのでどうしてそんな選択をしてしまったのだろう。と、思わせる登場人物もいますが、それも“恋愛”らしさとして私の中では落とし所についています。
新しい恋愛。とは、誰 -
Posted by ブクログ
私は共感の嵐だった。
普段心の中にどろどろと溜まっていく“言えないこと”を言語化してもらったような気分。
表題作の彼女は私だ。
「ぶつかったる」って思うしこっちばかりがいつも避けて「割に合わない」と思う。
歩きスマホをすれば、前を見てなければ、みんなお前を避けてくれると思うな、甘えんな、期待すんなよって思う。
来世は絶対高身長で体格のいい強面の男に生まれ変わりたい。
女ってだけで舐められて、ぶつかられて、舌打ちされて、そんな思いばかり。
このどうしようもない感情を分かってもらえたような嬉しさと同時に、醜い自分を見せられたような感覚。
時々、芯の突いた言葉で刺してくる鋭さ。
彼女は私だ、また読み -
Posted by ブクログ
確かにこれは恋愛小説なんだけど、ときめきに限らないさまざまな感情の機微がたくさん書き記されていて、逆にときめき以外のすべてがここにあるんじゃないかと思った。
【読んだ目的・理由】高瀬隼子さんの他の作品を読んで好きだったから
【入手経路】買った
【詳細評価】☆4.5
【一番好きな表現】それはまばたきから次のまばたきへの間だったり、息の吐き方だったり、吐かれなかった息のことだったり、津野がメニューへ注意を向けている時に注がれる眼差しが、視野の端ぎりぎりで捉えられること、その感覚に日菜子さんが気付いてないわけがないと思うことだったりした。(本文から引用) -
Posted by ブクログ
ネタバレ*公私共にわたしは「いい子」。人よりもすこし先に気づくタイプ。わざとやってるんじゃなくて、いいことも、にこにこしちゃうのも、しちゃうから、しちゃうだけ。でも、歩きスマホをしてぶつかってくる人をよけてあげ続けるのは、なぜいつもわたしだけ?「割りに合わなさ」を訴える女性を描いた表題作*
とてもとても不思議な読後感。
「いい子」でいることの必要性や優位性は十分わかっているけど、「いい子」でいることの割に合わなさ、理不尽に摂取され、消費されることに対して疲れ果ててしまう気持ち…わかるなあ。
我慢の限界と静かな怒りがじわじわと沁みてくる様がリアル過ぎて痛い。
決してキレイなお話ではないけど、読んで -
Posted by ブクログ
私の心の中の、
言語化できない“それ”が
はっきりと書かれていてぎくっとした。
女性の中の一つの期限。
それにとことん向き合う小説。
しばらく性行為をしていない恋人が他で子供を作ってきた。
許せるか許せないかを超えて、
その産まれてくる子をもらうか別れるか。
そんなことある?って内容。でもあるかも。
犬のが可愛い。本当にそう思う。
でも娘が子どもを産めば親が喜ぶかも。
そんなことで産めない。産み落として幸せな世界になるかなんて責任を取れない。
葛藤葛藤。
そんな感じの私の心を代弁してくれるようで
一気に読んだ。
答えはでなかったけど、お守りみたいな一冊。
私、このままでいいって思 -
Posted by ブクログ
あらすじを見てずっと気になっていた本。
主人公の気持ちはわかるようでわかりたくない…と虚しさを感じて、読後は「うわぁ…なんだこの読み終わった後の感情…むずいぞ…」と呟いてた…笑
ただ、この手のお話は自分は好きで、話自体はアブノーマルなように感じるけれども、ふとノーマルな人間の理性について述べられる箇所があって、現実とリンクしてハッとする、本作はそういうイメージ。読んでいて苦しいときもあるけど、「それが人間だよね」って楽にさせてくれる時もある。
夫婦によってそれぞれの愛の形はあるんだろうし、というか愛があると信じながら生きていくんだろうし、本当に人と人が生きるって、第三者も絡んできて、難しいと -
Posted by ブクログ
会社という狭いコミュニティで、二人の主人公二谷と押尾さんが、一人の女性芦川さんに翻弄される話。
タイトルの印象と読後感が全く違います。
そして、おそらく勤め人はみんな共感する作品かと思います。
僕はこの作品ものすごく好きでした。
そして、芦川さんにものすごく嫌悪感を持ちました笑
こうゆう弱さを盾にする図々しい人っているんだよな。。
だけどやっぱり一番良くないのは取り巻きの、藤さんと原田さんだよね。藤さんはわかりやすくアウトな人だけど、原田さんのような自分の善意を押し付けてくる人は怖い。自分が正しいと疑わない感じで。
ストーリー通して面白くて、没入する感覚がありましたが、最後の二谷の気持ちが