高瀬隼子のレビュー一覧

  • 水たまりで息をする

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    読み始めて一気に物語に引き込まれた。人がお風呂に入らなくなると、どうなっていくのかがリアルに描かれていた。そのわりには夫がどうしてこのようになってしまったのかを、深く探ろうとはしない妻がいて、はじめはそれが妻の優しさなのかと思った。けれど、台風ちゃんのエピソードが出てきたあたりから、妻にも何かひっかかる事あるなぁと思った。風呂に入らない夫に対して、イライラするわけでもなく、言葉を選んで会話するあたりはいい夫婦だなと思った。けれど、夫に対して愛があるのか無いのかを、自分でも分からず、愛があると信じたいと思うあたりが人として生々しい部分で、綺麗事では片付けられない部分だなと思った。
    最後夫がどうなったかはわからず終わってしまったけれども、夫が息をするのが楽になったのかなと思ったら少しだけ救われた。

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    2026年09月23日
  • 新しい恋愛

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    大人になるとどうしてこうも恋する気持ちが複雑になっていくんだろう。ただ、好きなだけでは一緒にいられないのはもちろん当たり前で、それ以上に周りの目とか自分の「貴方にはこうしてほしい気持ち」とか、あるいは貴方に向ける感情そのものまで悪意のない人に黒く汚されていってしまう。自分の力だけではそんなのどうしようもないし、それに抗えるだけの好きが減っていく。好きを増やすことに努力がどうして必要なのだろう。

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    2026年09月22日
  • 水たまりで息をする

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    ネタバレ

    終始、息苦しい作品だった。

    夫婦の外側の人間たちの描写に救いがなくてとてもリアルだった。
    普通、では息ができなくなってしまったのに壊れた心と身体のまま仕事をし続けていた夫の気持ちを想像すると辛すぎる。
    正常な判断ができていないのに、頭からミネラルウォーターかけたり雨水で頭洗ったり。目を背けてしまう、、
    そんな時、やっと息ができる場所を見つけることができた。最後の描写も、生死はわからないけれど彼はやっと息ができるようになったんだと思う。そこに辿り着くには死ななければならなかった寂しさ。

    母親からの電話に何度も大丈夫という彼。大丈夫ではない人間に大丈夫と言わせる残酷さと、大丈夫か聞く側の想像力の浅さ。でも親ってそうなんだよなぁ。憎みきれないところがある。

    私は夫側に感情移入してしまったため、妻側の気持ちがなかなか理解しきれないけれどこういう感じ方があるのかと感心した。

    厳しいほどにリアルな小説でした。

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    2026年09月18日
  • 新しい恋愛

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    「おいしいごはんが食べられますように」でも感じた、思わず「うっ」となるような感覚。

    それでも共感できないわけではなくて、普段は隠しているような気持ちが、ふと露わになったような。
    自分でもどこかで感じてたけど、敢えて見ないようにしていたものを、この作品によって可視化されたような感覚になる。
    これも高瀬さんの作風なのかな、、
    他の作品も気になったけど、元気な時じゃなきゃ読めなそう。

    綺麗事だけで終わらないところが好き。

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    2026年09月17日
  • 水たまりで息をする

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    ネタバレ

    ものすごく面白かった。こういう、現実世界に絶妙に空想が混じったシュルレアリスムっぽい雰囲気は、どこまでも空想と解釈が広がるので大好きです。

    「夫が風呂に入らなくなった」という問題は、パートナーが世間的に批判されるような状況になったとき、あなたはどこまでその人を愛せるか?と問うているように感じた。義母から批判され、職場を失い、それでも風呂に入らない(入れない)夫を、あなたは責めるのか、それとも寄り添うのか。

    ところどころ妻の圧倒的な生活に結びついた愛情を感じる言動があり、でも責めたい衝動と葛藤し、この人はほんとうに夫のことを愛しているんだなあと切ない気持ちになった。

    終盤の台風の後のシーンは解釈がむずかしいなあ。夫が出てこないのも不思議だし、魚をまた飼おうとしているのも。捉え方によってはものすごくダークなように解釈できそう。

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    2026年09月15日
  • 新しい恋愛

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    とてもおもしろかった。高瀬さんの小説は普段自分が思ったらだめなんだろうな、言わない方がいいだろうなと心の中でこっそり思ってることを主人公たちも思っていてそこが好き。恋愛は苦手だし恋愛小説も共感できるものではないけど、どこか引いて見ているのが新しい恋愛でこれまで読んできた恋愛小説とはまた別でそれがよかった。表題作の新しい恋愛の主人公のロマンチックが苦手なのもすごく共感したし、オチに驚いた。いくつも数えるもハッとして好きでした。 26/9/12

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    2026年09月12日
  • いい子のあくび

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    この人が描く女の人の陰湿さ?こざかしさ?が、いつも全部わたしのことかと思う。実際にはデフォルメされすぎてるからわたしはここまで極端ではないのだけれども、社会に抱いている不満とか、自らいい子を演じることで得をしていることもわかっていることとか、だけどやっぱり割に合わなさをずっと抱えているところとか、ぜんぶ共感できて、でもそれが正しくはないこともわかっていて、つらかった。

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    2026年09月11日
  • 新しい恋愛

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    本屋で5冊買ったうち、最初に手をつけた一冊。

    ところが1話目の途中で退屈に感じてしまい、いったん読むのをやめた。そのまま他の4冊を読み始め、気づけば全部読み終えていた。

    それから戻ってきて、2話目、3話目と読み進めるうちに、先を急くようにページを捲る手が速くなっていった。

    最初は読むのをやめた本だったのに、気づけば5冊の中でいちばん夢中になって読んでいた。

    面白いと思ったところも、共感したところも、要所要所にありすぎた。読み終えたばかりなのに、もう一度読み返したくなっている。

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    2026年09月05日
  • いい子のあくび

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    おんもしろかった、おもしろすぎた
    この本の主人公たちの言葉にわかるわかると思いながら、酷いことばが連なったページの端を折り曲げる私ってなんだ?やばくないか?とか思いながら読んでた。
    割に合わないってよく思う、見えている人や、わかる人の方が気を使って、見えていない人のぶん遠回りしたり、少し身体を傾けたりして、歪にパーツを合わせないといけない、そんなのって割に合わない。だけど私が見えない部分を合わせてくれてる人もいるんだろうなとも思うから、割の合わなさって何なんだろう……
    結婚式についての話もそれなーって思いながら呼んでたし、それなーって思うなよとも思った。
    花嫁さんのこと綺麗だと思いながら、綺麗か?とも思うし、おめでたいなって思いながら、なんですかこの茶番は?3万払ってさ、みたいな気持ちもある、どっちもあって、キレイな感想だけ持つのは無理だ

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    2026年09月01日
  • 新しい恋愛

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    恋愛感情って、個人と個人の性格だけじゃなくて、それぞれを取り巻く環境や肩書き、社会的評価のようなものに左右されるのが真理だなと思った。
    単純な話だと、友人の夫が自分の夫より優良な企業で働いてると、急に夫が惨めに見えるとか。

    高瀬さんの作品はいつも「読むとざわざわする」のですが、この作品も違わずざわざわさせてくれます。

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    2026年08月31日
  • 新しい恋愛

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    好きだと伝えることは付き合うための手段じゃない。共に居たいと思うからってロマンティックな交わりを欲してるわけじゃない。他人のそれをジャッジするのと同じ目線で自分を裁いてしまうことがある。知らないふりをして、思ってないふりをして、好きじゃないふりをして日常を紡ぐおとなたちの話

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    2026年08月30日
  • 犬のかたちをしているもの

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    一気読みした。
    最初は、淡々と短い文章が詩を読んでいるかのように進むけど、内容とのギャップがすごい。

    ここ何年も言語化できなかったことを言語化してもらった感じ。これは私の内面見られてる?って。

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    2026年08月24日
  • 水たまりで息をする

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    次々にページをめくって読んでしまったー
    耐える人と自由な人、偽善者、
    ガチ風呂キャン界隈になる夫が、自然界隈になるところ、とても丁寧にこんな話があるんじゃ無いかと、思ってしまうようなファンタジーが現実味を帯びてくるところにすごく興奮した。

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    2026年08月24日
  • 犬のかたちをしているもの

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    「子ども≠愛の形」ということが言語化された作品です

    30代の女性が独身のまま過ごすか、それとも結婚して家庭を持って過ごすかについて、外野の立場では個人の自由だ、全くもって強制される理由はないと主張するだろうが、当事者となってはどうだろうか?
    親は独身の私をどう思っているだろうか、結婚して育児をしている同級生、同僚をはじめとする職場の雰囲気を無意識に感じ取り、同調圧力とは違うが、不思議と独身でいることへの劣等感に苛まれはしないだろうか?

    本作は人の嫌な内面をポツポツ、ツンツン、チクチク…いやいや縁を囲い込むようにグサグサと刺してきます、同時に読後は深い余韻に包まれて、膿を摘出したようなストンと落ちる感覚を得たことは確かです。

    最後に表紙にも注目しちゃいました
    白と黒基調がいいですね!
    ぱっと見、犬のかたちをしたふわふわの毛か綿のようなまとまりしか見えないですよね。ちょうど折り返してある部分にうまく隠れるようにそれが描かれており、細かい工夫が施されておりますよ

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    2026年08月23日
  • 水たまりで息をする

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    ネタバレ

    妹から誕生日プレゼントで貰った1冊✩.*˚
    「自分の夫だと思って読んで」と言われたので、旦那に置き換えながら読んでみました。
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    ある日突然お風呂に入らなくなった夫。
    はじめは、会社で嫌な処遇を受けていて、後輩にかけられた水がトドメになったのかな?読み進めてくと語られるのかな?って思ってたけど、最後まで特には触れず。
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    本人は、自分自身が不潔なことに気がついてはいるが、それでも入れない。
    自分の夫がもし、そうなったら私はすぐに精神科に受診させるだろう。
    主人公の何もしていない感じが私には理解できなくてイラッとしてしまった。
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    最後は、え!?夫どうなった!?とすごく気になり余韻がすごい。

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    2026年08月09日
  • GOAT Winter 2026

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    このお値段にこのクオリティ。
    た、たまんねー!!!!
    出版社さん、ありがとう。
    中でもルリいろのハねがあまりにも良すぎて、何度も何度も読み返してしまった。
    1番大好きな話。
    短編でここまで心揺さぶられたのも初めてである。

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    2026年08月06日
  • 水たまりで息をする

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    ネタバレ

    お風呂に入らない以外旦那さんは穏やかでいい人そうだし、夫婦2人で生きていくという決意のもとの生活、互いに干渉しすぎない生活は一見良さそうに感じる。でも人に迷惑がかかるほどにお風呂に入らない。私なら病院に連れて行ってしまうかもしれない、と思うと衣津実の冷静さが羨ましくも思った。それは私の中に弱さがあるからなのか?
    なんでこうなったか、最後どうなったかも語られないけど、それよりもこの生活自体が不思議で奇妙で読んでる側としては夢中になって読んでしまいました。私は高瀬隼子さんの小説が、人間の隠しきれない本当のところが見えるから好きです。

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    2026年08月01日
  • GOAT Winter 2026

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    ✎︎____________

    この世界には目に見える美もあれば、見えない美もある。
    誰かにとっての美が、誰かにとっての醜であることもある。
    最近あなたの心を震わせた美は何ですか?
    ✎︎____________

    GOAT第三弾!!
    今回は"美"をテーマにした特集。
    表紙がキラキラでめっちゃ綺麗〜♪
    もちろん中味も色合いや紙質なんかにもこだわられてて素敵だった

    短編小説、エッセイ、対談などなど 今回もめちゃくちゃ盛りだくさんな内容で、しかも豪華ラインナップ!
    これで510円だなんて、ほんと いいんですか?って感じ。

    時間はかかったけど、とても楽しめた〜!
    小説で特に好きだったのは、間宮改衣さんの「ルリ色のハね」、大前粟生さんの「いつになったら大人になれる?」、蝉谷めぐみさんの「蜻蛉の衣」、佐原ひかりさんの「魔法の咲く丘」あたり。
    あと対談もどれも面白かった◎
    大満足♡


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    2026年07月21日
  • うるさいこの音の全部

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    好きな作風。社会が押し付けてきた価値観に対する憤りや諦めが作品に現れているように感じた。

    人は誰しもがペルソナを使い分けて生きていると考えるのだが、発言したことに一貫性を求める風潮がある。その場その場で求められそうな発言をしていると、いつの間にか過去と現在の発言内容に乖離が生じてしまい、その点を人々は糾弾する。けれど、空気を読まずに言葉を発すると無愛想な人間だと烙印を押されたり、空気を読めずに発言する頭の良くない人間であると思われてしまう。そういったことがあるから、人とのコミュニケーションに疲れてしまうのかもしれない。そういったことが頭に思い浮かぶ作品だった。

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    2026年07月06日
  • GOAT Winter 2026

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    とになく綺麗な雑誌!装丁が美しい!
    紙にもこだわっているから、ページをめくる楽しさを指でも感じられて、なんとも味わい深い最高の読書体験を得られる!
    そして中身は、多様な作家さんたちの美を見られるお話たちがたくさん、たくさん。
    GOAT、510円で得られる幸せな時間の中で1番といっても過言じゃぁないッ!

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    2026年06月18日